紅茶とコーヒー
アトリエ展のずっと前。
僕が小さかった頃のお話。
ずっと嫌いだったK君と喧嘩をした。
お互いがお互いを嫌悪していることは子供ながらの直感で理解っていた。
理由は忘れてしまったが、瑣末であることは言わずもがな。
ただ、そんな気分だったのだと。
あぁこのままでは、僕は彼を殺してしまうのではないか、いやいっそ殺してしまおうか。
きっと虫の居所が悪かったんでしょう。
僕は彼のお腹を蹴り飛ばしました。
思い切り。
そのときはそれが正義でした。確実に。
彼がとても痛そうに泣くので、僕は泣いてしまいました。
先生に怒られると思って、僕は泣いてしまいました。
お母さんとお父さんが悲しむだろうなと思って、僕は泣いてしまいました。
その日はとても寒くて、僕は泣いてしまいました。
お互いが小学校の真ん中で泣いてしまいました。
僕はその後、職員室につれていかれ、一言二言反論をした後、やっぱり涙が止まらなくて、最終的にはK君にあやまりました。
そのことはお母さんには言いたくありませんでした。
近くの団地で顔を洗って、家に帰り、いつものようにただいまを言いました。
お母さんはとても暖かい紅茶を入れてくれました。
でも僕はコーヒーをねだりました。
そして今日あった出来事をいいました。
その夜、お父さんにも怒られて、僕はなんだか情けないやら悲しいやらで、うわんうわん泣き、紅茶を飲んで、疲れて寝てしまいました。
本当は牛乳が好きです。
(担当H)