瞼から流れる映像
目を瞑ったまま、蛍光灯の光を真近で見つめる。すると、血管が見える。
赤い血が流れているね。
そういえば、小学校の頃似たようなこと?をやっていた。
それは、夜布団に入って寝るとき、真っ暗になる前の光(褐色の光)がついたままで行われる。
目を瞑ったまま目の奥をずっと見つめ続けるのだ。始めはぼんやり、よく分からないものが映し出される。
寝る前に(テレビなど)よく目を使っていると、その残像的なものが現れてくる。そうなろうがなるまいが、気にせず、じっと見つめ続ける。すると、粒々、もやもやが次第に形を帯びてくる。
今でもよく覚えているのは「江戸時代の風景」。
まず、その場面は黄土色。これは寝る前のあの褐色の光の影響じゃないかと思う。そして、家や道や人が俯瞰的に映し出される。巻物や絵などにあるように。
だから、江戸時代にタイムスリップしたとかいう話ではない。ずっと、瞼の奥を見ていると、なにかの細胞がそう見えてくる。
始めは、ぼやーとしていたものが、ジンジン脈打ちながら、次第に形がはっきりしてくる感じ。
脳に映し出される映像というよりは、瞼の奥を見つめ続け、そこから見えるものを解釈するという感じだ。
確か、橋なんかが見えたこともあった。
見えたときは、ちょっとした感動があった。
でも、気を抜くと、すぐに見えなくなる。
そして、また画面がぐわんぐわんと鳴り出し、
別の映像に変わっていく。
「江戸時代の映像」なんかの大物が見えたあとは
もう満足して寝ていた。
(MO)