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【 一日目2 】

 

 真神貴弘は鋭い目つきで、周囲を警戒していた。
サイボーグのアイドレスであることをフル活用し、各センサーで周囲200mの状況を掌握。いつでも全速力で飛び出せる様に、全身のモーターをアイドリングさせる。

 無名騎士藩国、入国管理センター。
藩国への入国経路はいくつかあるが、主なものは陸路。砂漠を越えるルートが一般的である。
 入国管理センターといっても、厳戒な雰囲気はない。実質、入国に関する制限は無いし、パスポートも存在しない。入国者や旅行者の為に、藩国内の主要施設を記載した案内図を手渡す為の施設といっていい。案内図の裏面には、緊急時の連絡先なども書かれている。


 普段は、事務員と兼任の警備員がいるだけだが、今日は警備兵として真神と他数名が配置されていた。
「お祭り」の開催に合わせて、入国する旅行者の数が増えることが予想され、万が一に備えてのことだった。

 万が一。
テロの情報があった。「お祭り」に合わせてGENZ藩王の殺害を企てているという。「顔なし」というのがテロリストのあだ名だ。

 真神はその為に、藩国各所を回っていた。今日は、陸路側の入国管理センターに顔を出す日だったのだ。
センターの人間と情報交換し、そして警備についた。
 警備は重要だが、その為にお祭りの雰囲気を壊してはならない。真神は一計を案じた。

 


「わ、でんおーだ」
「えー、こんなのいたっけ?」
「でんしゃだしてよ、でんしゃー」

 どこから湧いてでてきたのか。
真神の周りには、子供たちがわらわらと集まってきていた。


「ちげーよ、コレぬこ仮面だよぬこ仮面」
「なにそれー? しらなーい」
「こー、ぬこに代わってゲキメツよ、ってやつ」
「しらん」
「しらなーい」


※ぬこ仮面は、第一世界の「月○仮面」相当とお考えいただけると、理解されやすいかと思われます。


 真神はまとわりついてくる子供たちを追い返そうと、ぶんぶんと手を振り回す。子供たちはきゃっきゃっと、楽しそうに振り回される手をよけ、ますますまとわりついてくる。


 着ぐるみ。
そして「無名騎士藩国へようこそ! おまつり開催中!」という看板。
 それが今の真神の、世を忍ぶ仮の姿だった。

(続く)

文責:沙崎絢市