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奇眼藩国:アイスクリーム屋


ぐるぐるさんのぐるぐるアイス~奇眼藩国民、内緒でこっそり~

「ふっふっふぅ…このカッコなら誰にもばれますまい…」

ぎらり、と男の目が
―もとい、その目を覆うビン底ぐるぐるメガネ―
が、光を放った。

ってか、本当にぐるぐる模様が描いてある悪趣味ぶりである。
一応、帝國の人間である事を隠す為の変装のつもりらしい。
まぁ、あまり意味の無い事ではあったが。

「おじちゃん、あいすちょうだい!」

ネコ耳をぴん、と立てた男の子が硬貨を差し出している。
男はもふふ、と珍妙な笑い声を立てた。

「お兄ちゃんを呼ぶときは!」

ひゅばっ、と風を切り夜空に輝く星を指差す!

「ぐるぐるさんと呼びたまへっ!」
「うん、あいすちょうだい」
「…お兄ちゃんでも良いよ?」

男はその細長い身体をちょっと小さくして、100にゃんにゃんを
受け取った。

「よぉし、ちょっと待ってるんだよ」

男は、台の上に置かれた大きいタルの様な入れ物に突っ込まれた
オールのような棒をガコガコとかき回し始めた。
撹拌して空気をたっぷりと含ませたアイスはふんわりと、
滑らかな口当たりになるのだ。
ぐるぐるアイス、とはこの様から適当にもじってつけた名前である。

材料は、
濃くてまろやかな牛乳、新鮮な卵。
素朴な甘さは高級小麦「流星」から作った麦芽糖。
どれも奇眼藩国自慢の食材ばかり。
おいしい物をみんなに食べて欲しい、そんな気持ちが一杯詰まった
最高の逸品だ。

「入れ物はコーン?カップ?」
「コーン!」
「はいはいっ!」

白く、新雪のようにキメの細かい滑らかなアイスがコーンの上に
ゆっくりと山を作った。

「さぁ。出来たよ!」
「わぁ、ありがとー」

男の子はアイスを手に、祭の喧騒に消えていった。

男はその姿を、にっこりと笑いながら見送った。

「さぁさ、ぐるぐるさんのぐるぐるアイス!健康志向の貴女にも、
ちょいと食通の貴方にも、祭の思い出アイスクリーム!
坊ちゃん嬢ちゃんよっといで!祭りの夜はまだ長い!」