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その四 それなんてエロゲ【投稿日 2005/12/26】

カテゴリー-3月号予想


何で逃げてんだ私…

…今更戻れねえし…

顔も合わせられねぇ…

謝れねぇ…けど…

謝らねえと…そして…


…また傷つけるのか…?


…だめだ、私じゃ…

迷惑だって…

最低だ…


俺何で走ってるんだ?

そりゃ荻上さんを連れ戻しに…

でもさっき振られたばっかなのは

もう分かりきってるけど…

何て話せば…

…いや

そんなことより…ついさっきまで寝てたのに…

あのままじゃ風邪ひいちゃう…

放っておいたら何処に行くのか分からないし…


まさか…川に飛び込んだり…

……!



荻上 「笹原さん……」
笹原 「…ハァ、ハァッ……」

 ようやく追い付いた橋の上で、荻上さんが振り返る。
名前を呼ぼうとしても、喉がひりついて声が出ない。全速力で走ったのなんて、何年ぶりだろう。

荻上 「……何しに来たんですか…」
笹原 「……ハァハァ……何って……」
荻上 「……」

 言葉が続かない。
連れ戻しに来た、なんて言った所で、今の彼女が素直に頷いてくれるだろうか。
それが先程あんな事を言った相手だったら、尚更だ。

荻上 「さっき言ったじゃないですか… 私は男の人とはつき合わないって…」

 改めて聞かされると堪(こた)える。
拒絶されてる以上、一体俺に何が言えるんだろう。無力感が募る。

笹原 「あ……ごめん……」

 結局反射的に漏れる言葉。自分で自分が情けない。

荻上 「……なんで謝るんですか」

 だって荻上さん、そんなに辛そうな顔をしているのに。
 今は目の前にいる君を、ただ安心させてあげなきゃいけないのに。

 何も出来ない。 なんの言葉も浮かばない。

 今謝ったって何にもならないのは分かっているけれど。


荻上 「悪いのは私です」
笹原 「…どうして!?」

 俺の視線から少し目をそらしつつ、荻上さんが答える。

荻上 「せっかく優しくされても……、………また裏切っちまう…」

 …一体何の話だろう?
 ……荻上さんが?裏切る?誰を?

荻上 「もう怖いんです…」
笹原 「え?……」

荻上 「…もう私の所為で、人を傷つけるのは怖いんですっ!!」

 今にも壊れてしまいそうな声で、荻上さんが叫ぶ。

荻上 「私と関わったら、ロクなことにならねえっす!!間違いないです!絶対に…!」


 今立っている場所からほんの数歩歩けば、荻上さんの場所まで行ける筈なのに。
 今の俺と荻上さんの距離が、ものすごく遠く感じる。

 この人は、ずうっと今までこうして、人との距離を測りながら生きてきたんだろうか。
 まるで、自分のトゲで仲間を傷つけないよう、臆病に生きるハリネズミのように。

 そんなの、あまりにも辛すぎる。


荻上 「絶対に…」
笹原 「そんなことあるもんかっ!!」

 思わず叫んでしまった。
 荻上さんは驚いた目で、俺の目を見つめる。

笹原 「こ、コミフェスで、荻上さんを見てたときっ…」

 視線があってドギマギしてしまい、舌が思うように廻らない。

笹原 「どれだけ、…どれだけ嬉しかったか!!」

 相手の目を見つめ返しながら、あの時の気持ちを。
 少しでも、ほんの少しでも、自分の気持を伝えられたら。
 そう心の底から思いながら、言葉を口にする。

荻上 「ふっ…は、ははっ」
笹原 「何も可笑しくなんかっ!…」

荻上 「嬉しいんす」

笹原 「え?」


荻上 「笹原さんの気持ち、嬉しいんです」


 ドクン。

 一瞬、心臓が飛び跳ねる音が聞こえた気がした。
 微笑みを浮かべながら、荻上さんが話す。
 さっきコテージで見せた、どこかで何かを諦めきっているような、哀しい微笑み。

荻上 「でも駄目なんです」
笹原 「…」
荻上 「もう、決まってるんです」
笹原 「荻上さん、何を言って…」

 荻上さんの言葉と表情に気を取られていた俺は、すぐに後悔することとなる。
 気付いた時には、荻上さんが橋の柵を跨いだ後だった。

荻上 「来ちゃ駄目です!それ以上来たら…」
笹原 「だっ、駄目だよ、荻上さん…!」


 手を膝ほどの高さの柵の手摺りに引っ掛けて、つま先だけ地面に乗せながら、
こちらを今にも泣きそうな目で睨んでくる。いつ川に転落してもおかしくない。

 ここからもし落ちれば、一体どの位の高さなのか。荻上さんから目を逸らせず、確かめようも無い。
山の奥から、激しい滝の音が聞こえる。
 追いかけて来た時の嫌な考えが頭をよぎった。

笹原 「何で…!なんで、そんなにっ、荻上さん…、自分を…」

 なんて上ずった声だろう。一瞬自分の声か分からなかった。

荻上 「だって、…わがんねえんです!…」
笹原 「……」
荻上 「嬉しくても…駄目なんです…」

荻上 「もう、私、どしたらいいか…!」


(笑えば良いと思うよ)

 突然、ふっと頭の中に例のフレーズが浮かんでくる。

笹原 「わ…わら…」

(…こんな時に何浮かんでんだよっ!!馬鹿っっ!!)

笹原 「笑わなきゃ…!」
荻上 「えっ…?」

笹原 「そんな…嬉しいんだったら…笑わなきゃ…!」


笹原 「そういえば荻上さん…あんまり笑ったことないよね…」
荻上 「…」

笹原 「ずっとそうやって…、周りに壁作ってたの?」

 自分でも何を言っているか分からない。
 恥ずかしさを抑えるように、一気に話しかける。


笹原 「確かに、ヌルい部活だけどさ…」
荻上 「…」

笹原 「俺ら同じ部活仲間じゃん」

 いつもなら絶対言えないような言葉だと思う。
 俺じゃない別の誰かが喋っている感じだ。


笹原 「皆だって荻上さんのこと…好きだと思うし…」

 振られたことが頭をかすめて、とっさに”俺”を”皆”に置き換える。
 言っていることに間違いはないと思うけれど。

 荻上さんはまだ俺の方から目を離さないでくれている。

 話し掛けながら、気付かれないよう少しずつ、足を近づけていく。


笹原 「そんなに、自分のこと…責めないでよ」

荻上 「!」

 荻上さんの表情が変わった。
 自分の言葉が空回りじゃなかったと思えて、少しほっとする。

 あと一歩歩けば荻上さんに届く場所まで近づいた。


笹原 「とりあえず…、戻らない?…皆の所へ」

 そういいながら、そっと手を伸ばしてみる。


荻上 「…、……」


 荻上さんの視線が、俺の頼りない手へと落ちていく。

 そして。
 彼女の手が、だんだんと近づいて…


荻上 「ひゃっっ?!」
笹原 「!!」


 突然足場の土が崩れて、荻上さんがバランスを失う。
 近づいてきた手が、今までと反対の方向へ離れていく。
 まるでスローモーションのように。


笹原 「荻上さんっ!!」


 すぐに離れた手を追いかける。
 次の瞬間には二人とも地面から離れていた。


 相手の手を掴む。
 水が激しく跳ねる音がした。


 何も見えない中で、腕を引っ張り手繰り寄せる。
 身体の何処かが擦れたような痛みが走った。
 とにかくがむしゃらに水を掻く。


笹原 「っぱ、はぁ、ハァっ…、」

 水中から顔を出して、息を吸い込む。
 荻上さんは…。

 腕の中を確認する。
 きちんと、その存在があった。
 彼女を抱えたまま急いで、川原へと移動した。

荻上 「……ぷぁ、はっっ、ごほっ…っ、がはっ…」
笹原 「だっ、大丈夫!!?」

荻上 「…はっ、あ、いえ…、……ちょっと、水飲んだだけっす…」

 俺の呼び掛けに、荻上さんは答えた。
 どうやら、怪我らしい怪我も無いようだ。

笹原 「…は……良かったぁ…」
荻上 「…!!笹、原さ…」
笹原 「…ん?」

荻上 「…ち、…血が…」


 そう言われてから鉄くさい匂いに気付き、慌てて自分の顔に手を当てる。
 赤い。
 もう一度顔を触る。
 いったい何処から。

 しばらく出血場所を探すと、額の左上から目尻にかけて傷が走っていた。
 その場で傷を洗い、箇所をこする。うっすらと水で薄められた赤色。
 …どうやら浅い傷みたいだ。
 それほど大した痛みもない。

笹原 「…大丈夫、ちょっとこすっただけ…」


 ツー…


 荻上さんの目から、涙が頬を伝って落ちる。


荻上 「…う…うぅっ…」


 とうとう声を出して、泣き出してしまった。

 目を腕で隠しながら、必死に声を抑えようとして、嗚咽を漏らす。
 きっとこんな状況になってしまい、また自分を責めているのかもしれない。


 …こんな時、泣いている女の子に対して、一体どうすればいいのだろう。

 以前どこかで見たことがあるような気がする。
 何時だったかの、高坂君と春日部さんの姿がちらついた。

笹原 「ごめっ…」
荻上 「!!」

(声でねぇぇっ…)

 行動に移すべきか考える前に、体が先に動いてしまった。
 荻上さんの頭を抱え込む。


笹原 「ご、ごめんねっ…」

荻上 「うっ、ひぐっ、なんであやっ、まるんす、かっ…」
笹原 「いや、その…」

荻上 「わたすの、せいでっ……けが」
笹原 「…じゃなくて!…そうじゃなくて…」


 そうじゃなくて…何か言わないと…
 ……あの時、高坂君はなんて言ってただろう?

 ………
 そういうこと?


 …そういうことなのか。


荻上 「わげ、わがんねっ…」
笹原 「荻上さんのこと!」

笹原 「気付いて、あげっ、あ、あげられなくて」


笹原 「ごめ…」
荻上 「…っう、うぅ…ぁあっ、うわあっ…」


 全て言い終わる前に、彼女は泣き崩れた。


荻上 「うーっ…、ぁう…ひぐっ…ぁっ…ひはっ…」

 背中に、彼女の腕が廻ってくる。
 自分の腕の中で泣きじゃくる声に、胸が痛む。

荻上 「はぁ…も、怖くでぇっ…はっ…ぅあ…」
笹原 「…うん」


 ただ頷くことぐらいしかできない。

荻上 「えぐっ…ひぃ、う…」

………
~~

~~
………

笹原 「お、…落ち着いた?」
荻上 「…」

 辺りが静かになり、
 今まで意識へ入ってこなかった音に包まれた。
 ひゅう、と風の音が聞こえる。

荻上 「寒…」
笹原 「あ…」
荻上 「い、いや!何でもないっす…」

 周りには何も風避けになるようなものがない。
 彼女の頭に回していた腕を背中に回す。
 少しでも寒さをしのげるように自然と力がこもる。


荻上 「先輩…苦しい」
笹原 「あっ…ごめ…」

 そう言われ、とっさに腕を放す。
 密着している状態じゃ息もできない。当たり前だ。
 …セクハラまがいのことをしてしまったのでは。
 急に不安になる。


荻上 「…さっきから…、謝って、ばっかりですよ…」

 腕を放した筈なのに、荻上さんと俺との距離は離れない。
 荻上さんの腕は俺の背中に廻ったままになっている。


 …もしかして、ものすごくありえない状況では。

 そういえばお互いの服がびしょ濡れのままだ。

 シャツが腕に張り付いて気持ち悪い。


 ……。

 やはり荻上さんの服も…。

 …さっきから胸の辺りに感じるやわらかいようなものは…


 ………。


笹原 「は…、早くもどろっか!か、風邪引いちゃうし…」
荻上 「…りたくねっす」
笹原 「え!?」


 一瞬自分の耳を疑う。


荻上 「戻りたくないです…」

笹原 「…でも…」
荻上 「…もう少し、こんまま…」
笹原 「!…?!」


 背中から、力が服越しに伝わってくるのが分かる。


トクン


 自分の心臓の音が聞こえる。…それしか聞こえない。


ドクン


 こんな大きな音、相手にも伝わってしまうんじゃないか。


笹原 「お、荻上さん!?」

荻上 「先輩…」


 か細い声を漏らしながら、荻上さんが上目で見つめてくる。

 …こんな表情、見たことが無い。


笹原 「…荻上…さん…」


 名前を呼びながら、彼女の肩に手を乗せる。
 改めて、小さな身体だと分かり、何だかとても愛おしくなる。
 ずっとこの小さい身体で、周りに虚勢を張りながら頑張って来たんだろうか。


 …もう、無理しなくたって大丈夫だよ。
 そんなことを思う。


 …自然と、顔が近づいていく。


荻上 「…だ…駄目っすよ!」

 荻上さんの突然の制止に、ふと我に返る。


荻上 「さ、さっき…、吐いたばっかですしっ!」

 そういいながら二人の間に腕を挟み、押し返される。
 少しだけ距離が離れる。


荻上 「っ…、何でそんなこと言わせるんですか…」


 泣きそうな顔で、そう俯きながら零す。
 濡れた髪のせいか、曇りがちの表情がより健気に見えた。
 まるで落ち込んだ子犬みたいだ。


 …可愛い。


笹原 「…ごめん」
荻上 「え…?」


笹原 「…もう我慢できないや」


 そういいながら、目をつむって顔を近づける。


 ほのかに唇に当たる感触。



高坂 「なんてことになってたり」
斑目 「…それ何つーエロゲー?」
咲  「……ちょっと…キャラが違うような…」
大野 「高坂さん仕事のしすぎじゃ?」
恵子 「…ハハ……」
朽木 「タイトルは"おぎちん"とかドーデスカ?」
田中 「ありそーで嫌だな…」
朽木 「名前に引っ掛けてふたなりモノなんかイケそーな」

男一同「…………」

恵子 「何それ?」
咲  「…さぁ?」
大野 「…ちょ//……ちょっと!」

朽木 「… (うゎ、ハズしちゃったかにょー…)」
斑目 「朽木ー、後ろ、後ろ…」
朽木 「…はい?」

笹荻 「……………」
朽木 「……(大汗」
一同 「………………………」

荻上 「人が居ない所でなんの話してるんですかっッッ!!!!」

咲  「…何で二人とも濡れてんの?」
荻上 「へ?…!! …/////や、…あの、そのっ…」
笹原 「…ふぁっ……ックシュン!!」


翌日。


大野 「そんな曇り顔じゃ駄目ですよ荻上さん!」
荻上 「でも…私が原因で…」
咲  「いーからいーから!!笹原は男共に任せとけって!」


大野 「そこじゃ映りませんよ!せっかく可愛いワンピースなんですから!!」
荻上 「先輩、ちょっ…、引っ張っちゃ…」
恵子 「おーい、撮るよー」


           『パシャッ』