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げんしけん西遊記 【投稿日 2005/12/25~作成中】

カテゴリー-童話パロ


 むかしむかし、天界に荻上千佳と言う女の子がいました。仲間内からは通称
荻悟空と呼ばれていました。
 彼女が仲間と一緒に天界で801同人誌を作り、配るという活動をしていた
ところ、目の前にまばゆいばかりの光を纏った朽木如来様が現れました。
「オギチン、ちょっとやり過ぎだにょ~。いろんな人から苦情が出てるヨ。し
たがってワタクシが懲らしめに来たのであります!」
「――チッ」
「し、舌打ち!? 舌打ちでアリマスカ!? その余りの酷い仕打ち、ワタク
シの繊細なグラスハートがボロッボロッでアリマス! ガー!!!」
 朽木如来様が雄叫びを上げると、天のさらに上から大きな岩が落ちてきまし
た。荻悟空はあえなく岩の下敷きになってしまったのです。
「……この程度の岩、壊せないとでも思っているんですか?」
 冷めた視線を向けてくる荻悟空。しかし、朽木如来様はまったく動じません
でした。
「このお札を岩に貼っておくにょー。このお札があるかぎり、壊そうとすれば
いつでも僕チンがオギチンに説教をしに来るからねン」
 その言葉を聞き、青ざめる荻悟空。一方朽木如来様は、話を続けています。
「今から五年の後一人の坊さんが通るので、彼のお供をするなら許してあげま
すぞ~」
 しかし、荻悟空の耳に言葉は入っていきませんでした。
(壊そうとする度にこいつと顔を会わせるなんて、ぜってぇ嫌だぁ!)
 荻悟空は、それどころではないといった風に俯き、微かに震えていました。
 一方朽木如来様は、言いたい事を言いきり満足したのか、
「それでは、バイバイにょー」
 そう言い放ち、天に帰っていきました。


 あれから五年、荻悟空は気力を失っていました。
 五年の月日、やはり我慢出来ず何度か脱出を試みていた荻悟空。だが、その
度に朽木如来様が現れ、荻悟空を戒めていったのです。
(……誰か通りかからねぇかなぁ。一人でいるのはヤだなぁ、話も出来ねぇし
退屈だぁ。そう言えば、あいつが言っていた坊さんってどんなんだろ? って
考えても無駄かぁ、どうせ来るわけ無ぇもんな。はぁ……寂しいなぁ……)
 その時です。急に空が暗くなりました。
 何気なしに荻悟空は、ふと顔を上げました。するとそこには驚いた表情を浮
かべた一人のお坊様が立っていました。
 どうやら空が暗くなったのではなく、お坊様の影に入ったためでした。
「……えーと、何やってるの?」
 お坊様が聞きました。
「……朽木如来の奴が、私をここに閉じ込めたんです」
 荻悟空は視線を合わせずに答えました。
「あー! もしかしてキミが如来様の言っていた、荻悟空さん?」
「私の事、知ってるんですか?」
「うん、俺が旅に出る時にね。如来様が教えてくれたんだ」
「え? じゃあアナタが朽木如来の言っていたお坊様ですか?」
「あー、うん。たぶんそう」
 お坊様は苦笑しながら頷きました。
「……」
「あ、ごめん。すぐにお札を外すからね」
 お坊様がお札を外してくれたので、荻悟空は何とか岩から抜け出すことに成
功しました。
「……あ、ありがとうございます」
「ん? ああ、いやいやどういたしまして。あ、そうだ。これも如来様から頂
いたんだけど……」
 お坊様は懐から金色のわっかを取り出し、荻悟空に渡しました。
「……これは?」
「何か証みたいなものって言ってたけど」
「……」
「ん、じゃあ俺行くね」
 お坊様はくるりと背を向けると、歩き去ろうとしました。
「え? ちょっと待ってください。私を旅のお供にしないんですか?」
「ん? 確かに如来様にそんな事も言われたけどでも、無理強いは出来ないし
ね」
 少し寂しそうな笑顔を浮かべるお坊様。それを見た荻悟空は、
「……ついて行きますよ、約束ですからね。それに助けてもらった恩もありま
すし」
 そう言い、金のわっかを頭に被りました。不思議な事にそのわっかは、荻悟
空の頭にぴったりとはまりました。
「でも、いいの?」
 聞くお坊様に荻悟空は答えました。
「もう決めましたから、イヤならいいですけど」
「イヤじゃない! イヤじゃないよ。うん、はいOKです」
「なら問題ないですね、えーと」
「あ、俺は笹原完士。笹原法師って呼ばれてます。本当は完士法師なんだけど
ちょっと語呂が悪いしね」
「笹原法師様、うーん。お坊様のお供って事は弟子に入るようなものですね。
じゃあお師匠様って呼んだほうがいいですね」
「別に好きな方でいいけど……」
「では、お師匠様って呼びます。これからよろしくお願いしますね」
「あ、うん。よろしく」
 こうして、荻悟空は笹原法師と旅に出るのでした。


二人が歩いていると、前方から奇妙な格好をした人達が道で途方に暮れて
いました。
 一人はまるで軍服のような服装、一人は西洋に伝わると言われる冥土服と
呼ばれる物、そして最後の一人は露出度の高い下着のような服と、猫の耳の
ような物を着けていました。
「どうしました?」
 笹原法師が尋ねると、猫耳の少女が答えました。
「この先の峠道で物の怪に服を取られて、無理やりこんな格好をさせられて
途方に暮れております」
 すると今度は冥土服の女性が口を開きました。
「お坊様! こんな格好のままでは恥ずかしくて旅を続けられません。お願
いですから私達の服を取り返して下さいませんか?」
 冥土服の女性に詰め寄られて、それほど悪い気もせず、笹原法師はつい了
承してしまいました。
「……お師匠様のスケベ……」
「い、いや、だって困ってる人は放っておけないでしょ?」
 笹原法師は、しどろもどろな返事を返し、赤くなった顔をパタパタと扇ぎ
ました。
 この後、笹原法師は小一時間かけて荻悟空を説得し、何とか件の峠道にた
どり着く事が出来ました。
「ここが彼らの言っていた場所みたいだね、確かに禍々しい妖気が漂ってる
よ」
 なにやら怪しげな気配漂う中、笹原法師と荻悟空は進んでいきました。す
ると、どこからか誰かの泣き声のような物が聞こえてきました。
 声のする方へ行ってみると、そこには旅芸人のような格好をした一人の女
性がうずくまっていました。
「ど、どうかしましたか?」
 笹原法師が聞くと、女性は答えました。
「じ、実は、この峠道を歩いていたところ急に物の怪に襲われまして、驚い
て逃げてきたところ足を挫いてしまったのです」
「そ、それは大変だ。さぁ俺の肩に?まって下さい」
「危ないお師匠様!」
 笹原法師が女性の手を取ろうとしたその時、急に荻悟空に突き飛ばされま
した。
「げふぅ!」
 笹原法師は身体が一瞬九の字に曲がり、壁に激突しました。
「げほっげほっ! な、何? 一体どうしたの?」
 息も切れ切れに笹原法師は聞きました。
「危なかったですよお師匠様、もう少しでこの物の怪の攻撃を喰らう所でし
た」
 荻悟空が見ている先に目をやると、先ほどまで笹原法師のいた場所には、
見たことも無い衣装が落ちていました。
「えーと、もしかしてこの人が?」
「そうですお師匠様。危うくコスプレさせられるところだったんです!」
(コスプレの方がダメージ少なかったような気がする)
 笹原法師はそう思いましたが、口には出しませんでした。
「あーもう! もう少しだったのに!」
 女性は毒づくと、すっと立ち上がりました。
「お前だな! 道行く人々にコスプレを無理強いするという物の怪は! 名
は何と言う!」
 敵意むき出しの荻悟空に女性は冷静に答えました。
「私の名前は大野加奈子といいます。まぁ天界時代は八戒って呼ばれてまし
たけど」
「八戒? 聞いたことあるぞ! 確かコスプレが趣味で天界を混乱に陥れた
物の怪がいるって。お前、あの八戒加奈子か?」
「ええ、たぶんその八戒だと思います」
「……あのー、話が全然見えないんですけど……」
 置いてかれるのに耐えかねた笹原法師が口を挟みました。
「お師匠様、こいつの名は八戒。コスプレ好きの変態豚の物の怪です」
「誰が豚ですか!!!」
 八戒加奈子は激怒しました。
「豚の物の怪を豚と言って何が悪いんですか? 豚は豚でしょうが!」
「私のどこが豚だって言うんですか!?」
 荻悟空は一瞬言葉に詰まり、視線を逸らし言いました。
「……胸とか(ぼそっ)」
「……は?」
「胸とかですよ! 何でそんなにでかいんですか!! あからさまに必要じ
ゃ無いです! 贅肉ですよそれ!!!」
 八戒加奈子は、にやりと笑いました。
「あー、もしかして妬みですかぁ?」
「ち、違う!」
「どーこーがー違うんですか? 小さいですもんねぇ、荻悟空さんは。心が
小さいと胸も小さくなるんですよぉ」
 二人は笹原法師がいる事も忘れ、口げんかをはじめてしまいました。
「そんなの聞いた事もありませんよ! そ、それに、大きければ良いっても
んでもないですよ。小さい利点って物もあるんです」
「へぇ、どんなぁ?」
「そ、それは……。は、走る時に邪魔にならない! とか……」
「あらあら、そんな理由なの? まるでお子様ですねぇ。負け惜しみは見苦
しいですよー、お・さ・る・さ・ん(はぁと)」
 ピキッ!
「誰がサルだー!!!」
 怒りが一気に爆発した荻悟空は、頭の筆を抜き取ると軽く振った。
 すると、見る見ると筆は変形し、あっと言う間に一つの棒に変わっていき
ました。
「この如意棒で叩きのめしてやるぅ!!」
 半分涙目で襲い掛かる荻悟空。怒りに我を忘れた攻撃は八戒加奈子に当た
るわけもなく、悠々と避けられていきました。
「くそっ! くそっ!」
 ただひたすらに感情に任せて攻撃を繰り出す荻悟空は、ついに足を滑らせ
転んで気を失ってしまいました。
「あらら、勝手に自滅してしまいました。……この隙にコスプレでもさせち
ゃおうかしら」
 懐から衣装を取り出す八戒加奈子。しかし、その行動は実行に移される事
は無く、代わりに八戒加奈子の首にチョーカーが取り付けられました。
「……え?」
 八戒加奈子は不思議そうに後ろを振り向くと、そこには苦笑を浮かべた笹
原法師が立っていました。
「あのさ、今まで俺の存在忘れてたでしょ」
「……あ」
「……やっぱり」
「そ、そんな事より、こんなチョーカー一つで私を縛れるとでも思っている
んですか?」
 そう言うと、八戒加奈子はチョーカーを外そうとしました。するとどうで
しょう。急に耳元で何かが囁きはじめました。
『パンパカパーン! ただ今より、朽木如来のお説教タイムどぇーす』
「いやぁー!!! 何なのコレぇ!」
「あー、やっぱり。それ、如来様から貰った物なんだ。困ったら使えって言
われてて」
「は、外してくださーい!」
「ごめん、外せないんだ。如来様が言うには、天竺に着くまで外れないって
言ってたから」
 八戒加奈子は本気で落ち込みました。やがて気を取り直すと、こう言いま
した。
「わ、わかりました。私も旅に同行します。連れて行ってもらえますね!」
「え? あ、うん。大歓迎だよ」
 こうして仲間に八戒こと、大野加奈子が加わり、一行は天竺を目指し旅を
続けるのでありました。

                      一応、続きかな……