※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

夏風萌の店 【投稿日 2007/06/25】

カテゴリー-現視研の日常


咲のマンション 咲と恵子が二人で飲んでいる。
恵子はここ暫く咲の店でバイトしていた。
明日休みということもあり、仕事が終わった後、一緒に咲のマンションで酒を飲むことにしたのである。
「だからさーそろそろこーさかさんあきらめなよー。姉さんー。」
「ばーか。ぜってーあきらめねー。それよりお前、早く金返せ。」
お互いに遠慮なく喋りあえる関係だけに本音ぶちまけトークはストレス発散にもってこいだ。
あーだこーだ言い合っているうちにいつしか夜も更け、二人ともぐっすりと寝てしまった。

「ん・・・。」
軽い二日酔いで咲が目を覚ますと既に昼過ぎである。窓から日光が降り注いでいる。
「ん?」
別の部屋からPCをカチャカチャやっている音が聞える。
咲のマンションに自由に出入りできるよう合鍵を持っているのは高坂だけだ。
「こーさか?」
咲は驚いて跳ね起き、PCを置いている部屋に向かう。
「やあ。咲ちゃん。起きたの?勝手に上がってPC使わせてもらってるよ。」
「来るなら一言、いってよね。こーさか。」
久しぶりの高坂の来訪に喜び抱きつき甘える咲。
「何やってるの?」
「昨日までボクがつくっていたゲーム。」
「へえ。」
「それも、このゲーム、僕がプログラムだけでなくゲームのキャラクターとか
ストーリー構成とかほとんど全部任されてつくったやつなんだよ。」
「凄いじゃないこーさか!・・・って・・・こーさかって絵とか描けたっけ?」
「具体的な部分とか細かい所は専門の人に任せてるよ。でも、おおまかなキャラクターは僕が考えたんだ。」
「こーさか凄い。なんでもこなすのね。」
(さすが超人こーさか!マルチな才能は半端じゃないわ)
咲はそんな高坂を惚れ直した。

「で、できあがりを試そうと思って、ここに持ってきて自分でプレイしてみてるんだよ。
このゲーム、宣伝も兼ねてげんしけんの皆に配ろうと思ってるんだ。」
「ふーん。」とうなづく咲。
「で、なんてゲーム?」
「うん。タイトルは『夏風萌の店』っていうんだ。」
(夏風萌・・・なんかどっかで聞いたような・・・)
「どんな内容なの?」
咲が高坂に聞く。
「主人公は女性で夏風萌というのはその主人公の名前だよ。
ストーリーはその主人公がゲームショップを立ち上げてさまざまな障害と闘いつつ
苦労しながら店を軌道に乗せて繁盛させていくって内容。」
(あれ・・・なんかどこかで聞いたような話だな・・・)
咲は嫌な予感を感じる。
「これが主人公のイラストだよ。」
そういって高坂はゲームのパッケージを咲に見せた。
そのイラストはなんとなくスタイルといい顔立ちといい咲に似ている。

「これ姉さんじゃね?」
いつの間にか化粧と着替えを済ませた恵子が後ろにいてそう指摘した。
「はあ?」
咲が眉間に皺をよせて恵子を睨む。
「ねえ。これねえさんモデルにしてない?」
無遠慮に高坂に質問する恵子。
「えー。全然、意識してないよー。」と高坂。
「そうかなあ・・・」と首をかしげる恵子。
そういうと恵子はゲームのストーリー・内容を書いた紙を読み始める。
ざっと目を通した恵子が一言。
「これぜってーねえさんがモデルだよ。」
「まさか。」
「だって・・・途中、店を火事で燃やしそうになったり(タバコでなくて料理をしていてだが・・・)
ゲームショップの宣伝のために嫌々コスプレ大会に出されたりするとか書いてあるよ。」
そういうと恵子は咲にその紙を見せた。
紙を丁寧に読む咲ちゃん。そして高坂のゲームのプレーを見るためPCのディスプレイに目をうつす。
それはちょうど主人公の夏風萌がコスプレを嫌がって逃げたところを彼氏に捕まるシーンが
うつしだされていた。

沈黙が部屋を包む。カチャカチャと高坂がPCを操る音が部屋に響く。

恵子が恐る恐る口を開く。
「・・・確かこーさかさんの会社ってエロゲーメーカーだよね。」
「うん。夏風萌ちゃんが、他の登場人物とエッチするオプションもこのゲームの醍醐味なんだ。」
「こーさか・・・。」
「だから咲ちゃんがモデルじゃないって!」
高坂は明確に否定して罪の意識のかけらもない天使のような笑顔を咲に向ける。
(そ・・・そうよね・・・そうよ。いくらなんでも、そんなことこーさかしないわよね)
「でも・・・これぐらい設定がそっくりってぜってーおかしくねえ?」
ついつい食い下がってしまう恵子。
高坂は暫く「うーん」と考えてから
「多分、ボク、現実の女性は咲ちゃんのことしか考えてないから、
無意識のうちにインスパイアしちゃってるってことはあるかもしれないねー。」
と心憎い言い訳をする。
恋する女は盲目です。新興宗教に洗脳された信者です。
咲ちゃんは高坂を信じた。
「どうみてもネエさんがモデルだよー。」としつこく言う惠子をグーパンチでだまらせ
「高坂がああ言ってるんだからあたしじゃないんだって!!」
と叫ぶのであった。

さて当然、このゲーム、斑目にも配られた。
斑目 ゲームを初めて初日
(こ・・・これ春日部さんだよなあ・・・)
      • 主人公の女性が咲ちゃんとかぶり、途中でやめられなくなっていた。
(これ・・・春日部さんは知ってるんだろうか・・・)
斑目は夏風萌のエッチの相手に痩せて眼鏡をかけた萌に片思いを抱き、萌に会うために
毎日のように店にゲームを買いにやってくる自分とそっくりの大学生を選んだ。

そして今、斑目がやっているシーンは斑目の選んだ男がアニメを見ながら夏風萌をバックでやっている場面である。
(この場面どっかで聞いたような・・・)
斑目は頭の中で遠い記憶の片隅を思い出していた。
睡魔に襲われ半分、意識を失った脳みそが次の言葉を繰り返していた。
(高坂・・・魔王・・・鬼畜・・・)

斑目は当分、このゲームから抜け出せそうにない。