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目眩く夢酔い 【投稿日 2007/02/20】

カテゴリー-荻ちゅ関連


―荻上!!

彼女の表情が微笑みに変わったとき、私はフェンスから手を離した。
落ち際に見えたのは、微笑んでる自分の姿だった。

ハァッ、ハッ、ハァ・・・

体中、嫌な汗でベットリしてる。
荻上は笹原と付き合い始めてから、あの悪夢で目覚めたのは初めてのことだった。
それは彼女に再会したのが理由だろうか。

―荻上!?

笹原とのデート中。
懐かしい声に、荻上は振り返った。

荻上「中島っ・・・!?」
中島「やっぱり荻上だぁ、コミフェス以来じゃん」

あの悪夢以前の関係のように、中島は馴れ馴れしく接してきた。
中島は荻上に、就職活動の最中であると話した。
中島は立派な社会人の女性のように、凛々しい出で立ちをしていた。

中島「ふーん、やっぱり彼氏だったんだ」

笹原は一歩引いた感じで、中島と会話を交わした。
中島は、自分も東京の大学に在学してると話した。
その後。中島は強引に、荻上と再び会う約束をして去っていった。

そして今日が、その約束の日。
中島は是非、笹原も一緒にとのことだった。
荻上は、笹原の卒業式のときのような出で立ちで、笹原と共に出かけた。

中島「ごめーん、お待たせー」

その声に振り向いたとき、荻上に衝撃が走った。
中島の横には、一緒にコミフェスにきてた中学時代の腐女子仲間いた。
その後ろにいる、眼鏡をかけた男性。

荻上「えっ!ま・・・巻田くん!?」
巻田「お・・・荻上さん!?」

荻上は信じられないという感じで、両手で口を押さえた。
巻田が少し胸元の開いた、白いシャツを着てるのが印象的だった。

巻田「中島さん!これ、どういう・・・」

事情を知らなかったのか、巻田は困惑していた。
巻田は、やり切れないという表情で去ろうとした。

中島「まぁまぁ、いいじゃーん」

中島は去ろうとする巻田の腕に、両手と胸をくっつけながら引き留めた。
以前の出で立ちとは違い、キャミソールを着た中島。
巻田は視線を横に背けながら、立ち止まった。

荻上「中島、これぇ・・・」
中島「まあ、お互い積る話もあんべ」

荻上の東北訛りの問いに、中島も東北弁で返した。
中島は、困惑してた笹原に視線を向けた。

中島「つーわけだから、じゃ行きましょーか」

中島は笑顔で、笹原の背中を強引に押した。
腐女子仲間も背中を押すのを手伝って、笹原は困惑しながら場を離れた。
三人が去った後、荻上が口を開いた。

荻上「あ・・・謝っても謝っても許されることじゃないけど、あの時はゴメンッ!」

荻上は涙ながら、その場に手をついた。

荻上「ス・・・スンマセンッ!ホント、スンマセン・・・」

それをじっと見ていた巻田は、笑みを浮かべながら口を開いた。

巻田「荻上さん、いまプロの漫画家なんだってね。中島さんから聞いた」
荻上「ま、漫画家つーか、まだ読み切り数本載せてもらったくらいで」

荻上は静かに、腰を上げた。

荻上「巻田くんは、なんで中島と?」
巻田「うーん、なんか数日前に突然尋ねて来たんだよ」

巻田は、照れとも困惑ともいえない表情で、微笑みながら話した。

荻上「じゃあ東京に?」
巻田「うん、東京に引っ越してたんだ」
荻上「ゴメンね、本当にゴメン!」

荻上は、力強く目をつむりながら謝った。
巻田は、構わず話しを続けた。

巻田「今はそれくらいの個人情報なんて、手に入れるのは容易いみたいだね」
荻上「ま、巻田くんは、今何を・・・」
巻田「去年から大学に通ってるんだ。それまでは・・・分かるでしょ?」

笑みを浮かべながら話す巻田を見て、荻上はなんともいえない気分にさせられた。
去年から大学生ということは、それまでは社会に参加しづらい状況であったこと。
それを話す巻田の表情を見れば、自ずと理解できた。

荻上「わっ、私になんか出来る事があったら!」
巻田「今更?そんなのないよ」

巻田は苦笑しながら、淡々と話した。
荻上は、ただ呆然としていた。
自分への嫌悪感と、巻田への申し訳なさでいっぱいだった。

巻田「・・・でも、そうだな。一つだけあるかも」
荻上「な、なに!?」

呆然としていた荻上は、大きな目を更に見開いた必死の表情に変わった。

巻田「荻上さん。僕と、もう一回付き合ってよ」

荻上は、ただただ困惑していた。
巻田は、微笑みながら続けた。

巻田「冗談だよ。さっきの笹原さんだっけ?あの人が今の彼氏なんでしょ。
やっぱ、あの人のも描いたのかな?」
荻上「描いたよ。自分の本性は、やっぱ変えらんねぇ!笹原さんも理解してくれたから
だから付き合ってる。でも、巻田くんが描くの止めろって言うんなら止める!」

荻上は、腕を力いっぱい真っ直ぐ下に伸ばしながら言った。

巻田「僕も理解できてたら、こんな遠回りせずに済んだのかな」
荻上「そんな、そんなこと。悪いのは全部私で!」
巻田「違うよ。責任は僕自身と中島達にもある。中島達が絡んでたことも
なんとなく気づいてた。でも、今日ここに連れて来られて、それが確信に変わったよ」

荻上は、目を白くしながら巻田の話を聞いていた。
巻田の表情は微笑ではなく、少し口元が締まった表情になっていた。

巻田「あの本にショックを受けたことは事実だ。でも、君だけが責任を負うのは間違ってる。
あの本にショックを受けたのは、ほんの数日だけだったんだよ。でも僕は事を大袈裟に捉えて
そのウチ学校でも噂が広まり、学校に行きづらくなった。ここからは君に責任なんてないんだ。
勿論、中島達にもね。今日、君が謝ったことで、その数日の苦しみの責任は果たされたんだよ。
でも中島達の責任は果たされてないかな?ハハッ」

巻田は、そう言って笑った。そして話を続けた。

巻田「その後の引き篭もってた期間は、僕だけの責任だ。でも僕は、それを君や親のせいにしてきた。
本当は、あの事件の話が学校中に伝わる前。いや、伝わってても学校に行くべきだった。
あの事件を、引き篭もった“キッカケ”にしようとして、イジけて引き篭もってただけだ。
好きな人の些細な妄想も許せず、噂で周りの視線を気にして逃げた。逃げただけだった。
ただ自分が弱かっただけだ。その証拠に引越してからも引き篭もってた。
      • なんてね。引き篭もってたとき、そんなこと考えたんだよね」

巻田は、寂しく微笑んだ

荻上は巻田の言葉に救われつつも、全てを納得したわけではなかった。

荻上「そんな、自分を卑下しないで。それに、そう言われて、ハイそうですかって言えない」
巻田「いや、ホントに。荻上さんの責任は果たされたんだよ」

そう言うと、巻田はビル間に垣間見える夕日を見た。
巻田は、少しトーンを低くして言った。

巻田「もし今、僕が荻上さんの趣味を理解できるなら荻上さんは・・・」

また声のトーンを戻し、巻田はこっちを振り返って微笑んだ。

巻田「いや、うん。なんでもないよ、ハハハ」

寂しそうに微笑む巻田に、荻上の心はキュンと痛んだ。
辺りが暗くなり始めた頃、あの三人も戻ってきた。
笹原は不安げで、申し訳なさそうな表情をしてた。

中島「二人で、なに喋ってたの?怪しいー。ねぇ、笹原さん?」

中島は悪びれる様子も無く、無邪気に言い放った。
荻上と巻田は、お互いの顔を見合って苦笑した。
三人は近くのファミレスで、ヨタ話に浸ってたそうだ。

中島「ふーん・・・」

中島は、じっと荻上と巻田を見つめた。
見つめられた、荻上と巻田は困惑気味だった。
今日は、ここでお開きになることになった。

荻上「じゃあ、中島」
中島「うん!また会おうね」

中島は、満面の笑みで荻上と別れた。

荻上「じゃ・・・また、巻田くん」
巻田「うん、またいつか」

遠くの方で中島と腐女子仲間が、巻田を待っているようだった。
荻上と巻田は、互いの携帯番号を交換して別れた。
巻田が中島達の元へ駆け寄るのを見届けて、荻上と笹原も反対側へと歩き始めた。

巻田「ごめん。じゃあ、行こうか」

巻田が、そう言うと三人も反対側へと歩き始めた。
中島が足を止め、反対側へ去っていく二人へと振り向いた。
そして、気味の悪い表情で微笑んだ。

シャアアアアー・・・キュッ

―ガチャッ

シャワーから上がった荻上は、笹原の寝ているベッドに入っていった。
二人は当然のように、お互いの身体を求め合った。
荻上が、いつにも増して求めていると笹原は感じてた。

荻上「今日は、いつもより感じるんで・・・」

荻上の、その言葉に笹原の動きが一段と激しくなった。
荻上は笹原の下で、体を抱きながら天井を見てた。
頭に浮かぶのは、巻田の寂しそうな微笑みばかりだった。

朝起きたら、荻上はベッドにいなかった。
朝食の仕度か、台所から音が聞こえてくる。
もう一週間くらい、笹原は荻上の家で寝泊りしていた。

笹原「おはよー」

眠い目を擦りながら、台所で挨拶した。
寝癖も無く、身だしなみを整えた荻上が笑顔で答えた。
笹原も、会社に出掛ける準備を始めた。

笹原「じゃあ、行って来るね」

笹原が照れながら言うと、荻上は玄関で笑顔で見送った。
玄関を閉めると、すぐさま昨日の夜のことが頭を過ぎった。

笹原「それにしても昨日の、荻上さんは凄かったな・・・」

笹原は膨らみそうな股間に気づき、すぐに妄想を止めた。
いつものように満員電車に揺られて本社に向かう。
今日は派遣先ではなく、本社で一日中仕事だ。

―笹原さん?

人口密度の高い車内で、笹原のすぐ横からだった。

笹原「えっ?中島さん!?」
中島「昨日はどうもー」

中年サラリーマンに押し潰されながら、中島が苦しそうに挨拶した。
香水と甘い香りに、笹原も苦しみの中に快感を感じた。
だが、すぐに荻上のトラウマの原因であることを思い出し、気を引き締めた。

中島「きゃっ!」

中島は群集から押し出されるように、笹原と密着した。
笹原は、背中に中年男の独特の臭いを感じながら、前では中島の柔らかさを感じていた。
中島がどういう人間かは理解してたが、一方では悶々としたものを感じざる得なかった。

中島「ハハ。なんか、すいませんね。」

苦しそうに、少し息を乱した中島の声。笹原の股間はMAXだった。
とまらないドキドキ。悲しいかな。エロゲーの、似たようなシーンとダブらせていた。
そうこうしてる内に目的の駅に着いた。

笹原「ふうー、大変だったね。大丈夫?」
中島「ええ、大丈夫です。でも、笹原さんとあんなにくっつけて嬉しかったかな。」

笹原は、少し驚いた表情で中島を見た。
中島は、少し息を乱し火照った顔で笹原を見つめた。

笹原「おはようございまーす」

程よい声で挨拶すると、そのままデスクに向かった。
以前は、おぼついてた仕事も、今では慣れた手つきでこなすようになってた。
そんな仕事も一段落着いて、休憩室からコーヒー片手に窓から外を眺めたとき。

笹原「あれ、中島さん?」

それは、どこか緩んだ表情の中島ではなかった。
いつもと違い、真剣な表情で社内に入っていくのが見えた。
そんな大人っぽい女性的な一面が、笹原のオタクの性を刺激した。