残暑のひとコマ 【投稿日 2005/12/02】
恵子「ちわー」
斑目「あ…やあ、ちわ。」
恵子「………ども。」
笹原の就職が決まってから数日、いつもの部室の風景だったが…。
恵子「………。」
斑目「………。」もぐもぐ
沈黙が続く。いや、斑目のコンビニ弁当を食べる音だけが聞こえる。
今日はどうやら冷やし中華とサンドイッチのようだ。
なにしろこの二人、今まで会話なんてほとんど無かったし、馴染んでない。
恵子「ねぇ、マヨネーズ使わないんだね。」
斑目「ん?…ああ、まあね。」
先に話し掛けたのは恵子だった。退屈過ぎたようだ。
恵子「っていうか、ほんとよく来てるよね。昼休みに。」
斑目「まぁねぇ。近いし、落ち着くっていうか―――。」
恵子「会社に馴染んでないんだね。」
斑目「うっ。」
「やー、まぁねぇー。」ハハ…
恵子「………。」
また、しばらくの沈黙。斑目の食事は終わったようだ。
斑目「小さい会社だからね。他の社員は作業に出てるし、もう一人の事務員は
40歳のおばさんだから、まぁ昼に出ちゃうんだよネ。」
恵子「大学ってさ、居心地良いんだね。」
斑目「んー、そうとも限らないけど。」
恵子「………。」
やはり会話は弾まない。
斑目「あ、妹さんさ。今度の合宿なんだけど、俺も休み合いそうだから。」
恵子「あ、そうなんだ。おっけー。」
「軽井沢で温泉なんて楽しみ…って、興味あるの?」
斑目「え?え?そんなに不思議?」
ちょっと焦る斑目を見て、何故かニヤける恵子はさらに
恵子「オタクらしくないなぁ。アヤシー!」
斑目「妹さん、ちょ…」
恵子「ストーップ!さっきから[妹さん]って何なのよ。」
「あたしは恵子よ。知ってんでしょ。マ・ダ・ラ・メ・さん。」
赤くなる斑目。
斑目「…恵子…ちゃん。だって、今、名前呼んだの1回目じゃない。」
ちょっと笑う斑目を見て、恵子もつられて笑う。
恵子「ははは、合宿、楽しみだネ。」
斑目「まぁねぇ。」
恵子「さっきから、まぁねぇ。ばっかりじゃーん。」
と、昼休みが終わる時間になったようだ。予鈴が鳴る。
斑目「あ、ヤベ!じゃ、合宿幹事、頼んだよ。恵子ちゃん。」
恵子「あーわかったよー。」
背中にその声を受けて、午後からの仕事に向かう斑目だった。
最終更新:2005年12月20日 03:16