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編集者の一日 【投稿日 2005/11/19】

カテゴリー-その他


小「ふむ・・・。いいんじゃない。じゃあ、これ預かるから。」
荻「どっどうもお忙しいところ時間を割いていただいてありがとうございました。」
深々と頭を下げて荻上は部屋を出て行った。
笹「ど、どうですか?彼女?」
小「んー、まあ、いいんじゃない。彼女まだ学生だっけ?絵も基本ができているし、デッサンも数こなしているみたいだし・・・。真面目そうで『納期』をしっかり守ってくれそうな子だね。卒業したらプロのアシスタントの口紹介しても支障ないな。」
笹「いや、そういうんじゃなく・・・」
小野寺は笹原の表情を見て、ははーんと納得した顔をした。
小「心配するな。俺の趣味じゃないよ。ああいうしょんべんくさい子は。」
笹「荻上さんはしょんべんくさくなんかありません!!・・・っと、すっすいません!」
小「とと、すまん、すまん。そういう意味じゃなく漫画家としてか・・・」
笹「ええ・・・」
小「それはなんとも言えんよ。言える人なんかいるのかね。インスタントラーメンお前も食うか?」
笹「ありがとうございます。それはそうかもしれませんけど、『才能』みたいなものを感じるかとか・・・。」
小「『才能』?お前、プロの編集者だろうが!そんな幻想みたいな言葉使うな!まあ、必要最低限な技術とかは必要かもしれんが、プロとしてやってくかとかとは関係無いぞ。」
笹「え?でも・・・」
小「・・・なあ、笹原。漫画家といっても色々いるよな。へたくそな絵でプロですってのもいれば、絵がうまいのに全然面白くない漫画家。」
小「はやりの萌え系漫画や劇画とか。ゲームやアニメになる売れっ子や売れないけど実力評価されている漫画家とか。」
笹「ええ」
小「色々な漫画家はいるが、漫画家に限らず創造的な仕事する人間ってのは『業』を持ってんだよ。欲求不満かもしれんし、怒りかもしれんし、罪悪感かもしれん。」
小「好きで好きでしょうがないって人もいるな。それが何かは本人しか分からんさ。本人にも分からんかもな。でもそういう『業』が無きゃ続けられないんだよ。」
笹「よく分かりません。」
小「そりゃ多作な人でアシスタントを沢山使って『仕事』として漫画を描く人もいる。でもそういう人でも激しさは無いが、内面にそういうものをもってんのさ。」
小「逆に一作で消えてく漫画家も沢山いるよな。そういう奴はうすっぺらな自分の内面を一作で全部さらけ出して何も無くなった奴だ。もぬけの空ってやつだ。あるいは『業』が無くなったかだ。うまいへたじゃないんだ。」
笹「・・・なんとなく分かったような気がしますが、俺たちの役目って何なんですか?」
小「それじゃ売れないからだよ!ずれてんだよあいつらは!言い方悪いが、自分の思いだけが満載の漫画なんぞ。それが読者と共感する部分が多けりゃ売れるかもしれんが、そんなのはめったにある事じゃない。『商品』として市場にでなきゃ仕事として成り立たんだろう!」
笹「昔、同人誌ゴロの先輩に似たような事を言われたような気がします・・・。」
小「ははっ、だがな、俺たちはそういうゴロとは違う。俺たちは作家と一緒に苦しんだり悩んだりして信頼関係を築く。コネだけで立ち回る輩とは全然違う。」
笹「そうですよね。じゃあ荻上さんは・・・」
小「まあ、あの娘次第としか言えんなあ。正直少女漫画は苦手なんだよ。恋愛とかやおいとかもな・・・。」
笹「苦手なジャンルもあるんですか?小野寺さんにも。」
小「ああ、男は正義とか友情とか勝利とか分かりやすいだろう。男は信義とか信仰とか『無償の愛』に捧げるが、女は母性に根ざす実利的な人間関係、恋愛とか愛欲とかで人間関係を見るからな。」
小「それだけ女の人の方が人間観察が優れているし、逆に男は幻想を追い求めて変な宗教とかフェチに走る場合もあるがな。」
笹「うっ、心当たりが・・・。」
小野寺の携帯が鳴り出す。ヒーロー戦隊ものだ。
笹「あれ、小野寺さん・・・」
小「うっうるさい、はい、ああ、お前か、日曜日な、分かった」
笹「どなたですか?」
小「ああ、離婚調停中の女房だ。子供の面会日の確認だよ」
笹「えっ結婚してたんですか!」
小「してる!だ!まったく昔は乙女チックな少女漫画描いてたくせに、今じゃ養育費だ慰謝料だの騒いでばかりだよ!編集者の仕事をまったく理解しとらん!お前はこうなるなよなー」
笹「(滝汗)」

小「ところで、イラストサンプルの他に、荻上さん、健全パロディーも置いてったらしいな、その封筒か?」
笹「ええ、初の一般向けパロディーへの挑戦だそうです。何でも連載中の作品の続編を考えて作ったそうです。」
小「ほほー、意欲的だな、どれどれ。」

タイトル「『わしおしゃ』」

小・笹「・・・・・・・・・・・・」

小「さてと!仕事がまだ残ってるんだった!」
笹「まっ待ってください!かっ彼女は成長中なんです!見捨てずもう一度チャンスを!」
小「ええい!離せ、泣くな、すがりつくな!忙しいんだ!俺は!」
笹「あれっ!荻上さん・・・。いつの間に・・・いつからそこへ・・・」
荻「忘れ物をして・・・見捨てずもう一度チャンスを・・・というところから・・・」
小「なーんで、キミそんなに顔を赤くしてるのかなー(汗)」