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げんしけんオープンキャンパス 【投稿日 2006/08/14】

カテゴリー-現視研の日常


就職活動といえど、毎日あるわけではない。
つまりは毎日スーツを着なくても良いわけであって、
今日は笹ヤンにとってはそんな日であった。

「あー、暑いっすねえ…」
「朝のニュースでは最高気温35度だとさ」

相手はスーツを着ているが、これは社会人なのでむしろ当然。
正直、社会人がなぜ大学に居るのかの方が問題なのだが、
まあそこは流せ。
…流してあげよう。

「前期は結構深夜アニメ、豊作だったな」
「ええ、まさかあの漫画があそこまで映像として再現できるとは思っていませんでしたよ」
「『兜蟲氏』…か。悪い目の付け所ではないが、まだオタクとしては覚悟が足りんな」
「ええー、そうですか~?結構俺、ああ言うのが好きなんですよ」
「おまえはどうせ『工学機動隊SWAT』とかが好きなクチだろう」
「ええ、まあ」
「そこが足りんと言うのだ。オタクたるもの、萌えを意識せずしてどうする!」
「ええ!でも、俺結構、アレの中ではマチコマ萌え~って感じですが」
「うむ、動作に声もあいまって、確かにマチコマは萌える。だが、オタクはもう少し踏み込むべきだ」
「幼女…とかですか?外見だけで言ったら、そもそもマチコマ萌えは成立しませんよ」
「まあそれだけではないがな。萌えは正直難しい」
「んー…でもあんまりあからさまに『萌え』に特化してると、逆に『引き』ませんか?」
「ふーむ、確かに。…俺を論破するとは、お前も成長したもんだな」
「ええ…おかげさまで」
…成長しているというより、むしろダメ曲線をスパイラル落下しているように思うのは自分だけだろうか。


「暑いな」
「…ええ。ここまで来ると、もう『熱い』っすね」
「今度アキバで扇風機でも買うか」
「そうしましょう」

すると、ドアの外から人の気配がしてきた。
「…から、…なさい」
「…って、…待てよ」

どうやら、声の調子からして男女の高校生らしい。
…待ち人来たらず…だな、斑目よ。まあ今日は雨降りでもいつの日にか。

「誰か来ましたね」
「ああ」

すると、そのドアが「ばーん」という効果音付きで…のような気がして開いた。

ショートカットの美少女と、そのお供。

笹ヤンの第一印象としてはこんなところだった。
ただしショートカットの方の雰囲気に、なんとなく荻上を思い出したのは、他には言えない秘密だ。

しかし、そのショートカットの女の子(以下ショートと略す)は引いていた。
そりゃそうだろう。これだけアニメのポスターやら販促物やらフィギュアが満ち溢れていたら、
普通の人間は引く。…つーか入り口のポスターは見なかったのだろうか。

「お、見学か?」
それを察したのかそうでないのか、斑目は軽~く、フレンドリーに声をかけた。
やはり斑目はこの4年間で、相当に進化している様だ。
「い、いえ…何ていうか…」
しかしながら、その心遣いが届くはずも無く、ショートは引きまくっていた。
あたかも「やわらか○車」の様に。退却開始だ。
すると、そのお供が、意外にも男らしく、前に出て聞いてきた。
「ここって何をしてるところなんですか?」

…案外このカップルの主導権を握っているのは、こっちの方なのかもしれない。
そう笹ヤンは思った。コーサカと咲を見てきた経験則もあるのかもしれないが。

さっきは気が付かなかったが、胸に「見学章」とデカデカと書いてある。
そういえば、今この学校はオープンキャンパスの日だ。
なるほど、で見学に来たというわけか。
ならば先輩としての威厳を見せろ、我らが笹ヤン!

「えーと…何ていうのかな…オタク?の集まるところだよ」

…ダメじゃん。

「そ、そうですか…で、では失礼します」
まだ呆然としているショートの手を引っ張ると、お供はドアを開けて、連れて行った。
ラブラブだな。今のこの二人には目の毒だぞ。
…まあ笹ヤンはこの後直ぐ報われるんだがな。

「いやー…」
「なんか、『飛び出せ青春』って感じでしたね…」
「…やっぱ、もう少し掃除しとくか?」
「でも、『お盆の一大イベント』が終わったら、また元の木阿弥ですよ」
「…そうだな」
「…ですね」

…ジーワジーワ…
蝉の声が外から響く。
そして強くなった照り返しがやたら明るく部屋の中の『それ』を映し出す。

「じゃあ、俺そろそろ会社行くわ。就職活動、頑張れな」
「ええ、それじゃあ、また」
「うぃ」


それにしても、今日は荻上さん来ないのかなあ…そう思う笹ヤンの午後であった。

終わり。