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あのひとのとなりに 【投稿日 2006/07/29】

カテゴリー-現視研の日常


「や……山田さん……やめてよ、ね?……どうして、こんな……ッ」
 榎本千尋はボタンを外された胸元を押さえながら、生徒会室の中央で立ちすくんだ。廊下へのドアに立ちはだかるように予備の制服を手に持った山田薫子に、戸惑いながら話しかける。
「千尋さん、ごめんなさぁい。蓮子さまがどうしてもあなたのことを足止めしろって言うから……わたし、こう言うのよく解りませんけどぉ、こんなカッコにすれば簡単に逃げられない、って蓮子さまがぁ」
 おっとりしているようで意外に素早く力強い薫子に翻弄されるうち、いつしか千尋は服を剥ぎ取られ、用意されていた女子用の制服を着せられていく。己の行動を恥じ、詫びているような物言いをしながらも彼女の動きは的確で、千尋が腕を振れば上着を奪われ、走り出そうとすればズボンを取り上げられた。さらに暴れれば代わりの衣装に袖を通させられる有様で、彼はものの数分で上着から靴、下着に至るまですっかり女の子の姿になっていた。
「ほぉら、出来上がりー。千尋さんがこんなカッコするの好きだってみんなに知れたら大変ですよぉ」
「やっ……だってこれは山田さんが」
「わたしに無理やり着せられたって説明して、納得する人いるかしら?わたし女の子で、千尋さん男の子なのにぃ。……あ、今は女の子ですよねぇ、ふふ」
 その時、生徒会室のドアノブががちゃりと鳴った。先刻薫子が内側から施錠していたのだ。
「ん、あれ……鍵か?」
 ドアの向こうのその声は……麦男?こんな姿見せられない!千尋はドアに体を預け、麦男の注意を逸らそうとする。
「麦男、な、なんでもないんだ、今ちょっと取りこんでて……」
「六原さんですかあ?いま開けますねぇ」
「千尋か?俺、出直したほうがいいのか?」
「ごめん、そうして……」
「あっ千尋さん、脱いだ服そのままですよ、ほらぁ、下着ですよ?」
「わあぁっ!」
 千尋が自分の服を拾い上げるのと、薫子がドアを解錠するのはほぼ同時だった。服で自分の姿を隠そうと壁際にちぢこまる千尋を認め、麦男は……にやりと笑みを浮かべた。

 ****
「……」
 大野加奈子は息を飲んでページをめくっていた。もう何度となく読んでいるが、このシーンの迫力には慣れるということがない。額に汗と、いつも心に引っかかるあるものを感じながら彼女は同人誌を読み進んでゆく。
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「はぁッ、はあぁッ……」
 麦男の執拗な指戯から逃れる術もないまま、千尋はその華奢な体の全てを陵辱され尽くしてゆく。小さな耳朶の裏、僅かの力で手折れそうな細い首、はだけたブラウスから覗く薄桃色の敏感な突起……。幼い頃から彼の体を知り尽くした麦男なればこその容赦のない、それでいてひどく優しい愛撫。汗ばむ襟元から首筋へと舌を這わせるかと思えば、彼の腰には若干緩いスカートの裾を大きく捲り上げ、温かく湿った秘所を攻め立てる。千尋の彼自身はもう何度も悦楽の高みへといざなわれ、麦男を受け入れるにはまだ経験の足りない紅色の花弁をもねっとりと濡らしていた。
「麦男ぉ……僕、僕もうッ……来て、お願い麦男!僕を……こんな場所ででこんな、こんな恥ずかしいカッコさせられてる僕を、どうか愛して下さい!こんないやらしい僕を、女の子みたいに……して……して下さいッ!」
「千尋……可愛いよ。俺はお前がどんな姿をしていても、お前のことを離しはしないよ。普段の一生懸命なお前も、今の愛らしいお前も。さあ、お前の好きなように愛してやろう。言ってごらん、俺の可愛いハッピーフォーチュン?お前のこのさもしい場所を、どんなふうにして欲しいのか。俺にして欲しいことを、ひとつ残らずその口で説明するんだ」
「は……はい……ッ」
「いやらしい子だな、千尋は。俺はそんないやらしい千尋が大好きだよ」
「麦男……僕……うンッ……うれしいよォ……」

 ****
 スーも大好きだというクライマックスシーンにさしかかった時、現視研のドアが開いた。入ってきたのは荻上千佳だ。加奈子しか知らないことだが、今日は他の誰もここには来ないようになっていた。
「あ、こんにちわ大野せんぱ……っきゃあぁっ!」
 加奈子が読んでいたのは1ヶ月と少し前の夏コミで、千佳が発行した初めての個人誌『あなたのとなりに』だった。一瞬で顔を真っ赤にして、千佳はあわてて加奈子の持っている本に突進する。が、加奈子はすばやく体をかわした。
「っちょ、ちょっと大野先輩、なんでソレ持ってきてるんですかっ!」
「いいじゃないですか誰もいないんだから。……実はどうしても荻上さんに確認してみたいことがあって」
「か……確認?」
「荻上さんのこの漫画の……この導入部分のシチュ、どこかで見た記憶が……っていうか『やった』記憶があるんですけど?」
 千佳は頬を染めたままうつむき……やがて、観念したように口を開いた。
「……笹原さんには黙っててくだサイ」
「荻上さんたらぁ。もー、しょうがないですねえ」
 加奈子は困ったようにそう言い、

 ……にやりと笑みを浮かべた。



終わってないように見えるけど、おわり。