まだらめの紐 【投稿日 2006/06/16】
「笹原……いつまで俺の部屋に転がり込んでるつもりなんだ?」
「迷惑なんですか?僕はいつ出て行ってもいいんですけどね」
ベッドから起き上がり、素肌にワイシャツを着込む。
「いや、そんなわけじゃ」
「僕の担当作家がまさか斑目さんの隣の部屋に住んでいるとは僕も驚きましたよ。神の采配って
やつじゃないですか。心配しなくても原稿が上がったら帰りますよ。あと数日ってところでしょう」
「そうか……」
「(にやり)あれ、どうかしましたか?」
「いっいや、なんでもない」
ネクタイをゆるく締め、ベッドに座っている斑目の横にどっかりと腰を下ろす。
「しかし安普請のアパートだ。隣の先生、夜通しネタがネタがって叫んでるのがまる聞こえでしたね」
「安普請は大きなお世話だろう」
「ねえ斑目先輩、先輩の声も隣に聞こえてたと思いませんか?」
「……よせよ、そんな話」
「あはは、可愛いなあ斑目先輩は」
「くっ……」
「ねえ斑目先輩、おなか空きませんか?ゆうべあんなに運動したし」
笹原は斑目の肩に腕を回す。
「何か食事、作ってくださいよ。僕も腹ペコだ」
以上、『斑目のヒモ』でございました。
おまけ。
ガバッ。
「はうあ!!」
「荻上さん、どうしたの?荻上さん!」
ベッドから飛び起きた千佳を、隣で笹原が抱きとめる。心配そうな顔。
「汗びっしょりだよ。……怖い夢でも見たの?」
「……いえ……怖い夢は見てねすけど」
「そう?よかった」
彼の表情に笑顔が戻った。ベッドから起き上がり、腰掛ける。
「びっくりしたぁ。荻上さん急に大声出すんだもん」
「……すいません」
「お隣に聞こえるかと思っちゃったよ、な~んて」
「!」
「うそうそ、ごめんね……ねえ荻上さん、悪いんだけど」
笹原は千佳の肩に腕を回す。
「何か食事、作ってくれないかな?腹ペコなんだよね、実は」
「!!!」
いねえよ、こんな笹原。
最終更新:2006年06月23日 06:11