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薄明かり 【投稿日 2006/05/25】

最終回に寄せて


大「え~それではっ!
笹原さん、咲さん、高坂さんの卒業と、荻上さんの会長就任を祝して!」

「かんぱ~~~~~い!!!!!」
グラスを合わせる音が響く。

田「や、おめでとう」
笹「ありがとうございます」
恵「おめでとうゴザイマス、コーサカさん!」
高「ありがとう」
咲「あーこらこら。あんまくっつくな」
恵「えーいいじゃん、今日くらいさー!」
咲「…ま、いいけどね。今日くらいは」
恵「うわ、余裕?なんかむかつくなー」
咲「何でよ(苦笑)」

荻「笹原さん、そっちお皿あります?」
笹「え?ああ、ありがとう」
恵「うっわ、お姉ちゃん、何だか新婚さんっぽ~~~w」
荻「な、何言ってんですか!(///////)」
恵「もーずっとお兄ちゃんの部屋行き来してるしー、新婚同然?」
荻「変なこと言わないで下さい。ていうかお姉ちゃんはやめて下さい。」


もうすでに賑やかな席になってきている。
…いや、隅のほうで、朽木君が珍しく静かに飲んでいる。
朽「…次期会長はワタクシだと思ってましたのに。シクシク………」
斑「まー、そんな落ち込むことないって。会長なんて面倒くさいだけだぞ?」
朽「…斑目先輩も会長デシタよね?面倒くさいって思ってたんデスカ?」
斑「むう、フォローしてんのに。何でそんな質問振るかなー…」

久「よ、よう。盛り上がってるなあ」
田「よう!」
斑「ようやく来たな」
笹「あ、お久しぶりっす。久我山さんも来てくれたんですねー」
久「し、仕事があったから、来れるかどうか分からんかったんだけどな。何とか時間内に終わらせられたからなあ」
斑「はー、大変なんだなー営業ってのも…。」
久「…お、お前は大丈夫なんか?この不況下でそんなヒマそーにしてて」
斑「う、うるせーな。事務はそんなもんなんだよ」
田「はは、久我山も言うようになったな」

大「すいません生大追加~」
咲「早っ!しかももう大ジョッキかよ!!」
大「中ジョッキじゃおっつきませんよ♪」
高「うわばみだね」
大「あら(汗)高坂さん、今日はツッコミ厳しいですね」
高「あまり出番ないからねー(ニッコリ)」
大「え、えーとえーと…そんなことは………(汗)」


朽「アレ、斑目先輩どこ行くんデスカ?」
斑「んー?ああ、ちょっとトイレ行ってくるわ」
そう言って斑目は席を立った。

トイレから出るとすぐ、裏口につながる通路がある。
少し外の風にあたりたくなり、なんとなく裏口から外に出た。

上を見上げると、建物の隙間から四角い星空が見えた。
春でも、夜はけっこう冷える。
でも酒の入った体にはむしろ気持ち良いくらいだった。
裏口を背にして、建物の壁にもたれかかる。

「………………………」

何だかあの賑やかな雰囲気の中にいるのが苦しかった。
最近ずっと感じていた。でも表には出さないようにしていた。
(何でかね…。一人でいるときよりも、皆といるときのほうが寂しく感じる。)

(…疎外感?いや、それよりも、やっぱ……。)

(もう部室に行く意味が、今日でなくなろうとしてる…。多分そのことが………。)


咲「こんなトコで何してんの?」
斑「うおっ!?」
急に後ろから声をかけられ、びっくりする。
咲「何、酔い覚まし?もう回っちゃったの?」
斑「え、いや、まーね…」
咲「フーン。はー、外けっこう涼しいね。気持ち良いかも」
斑「………………」

店の中から皆の騒ぐ声が聞こえる。薄暗がりで、裏口から少し光が漏れている。
春日部さんが、酒が入って少し赤くなった顔で笑っている。
急にこの空間が特別なもののように思えた。

斑「あ、えーと、卒業おめでと」
咲「何、今さら?」
斑「んー、まぁ一応ね」
春日部さんは呆れた顔で笑った。
咲「ありがと」
斑「…春日部さんも丸くなったよなあ………」
咲「ん?」
斑「いやね、昔はしょっちゅう怒ってたのに。最近穏やかになったよな」
咲「んー、そうかな。…そういやコーサカにも最近、そんなこと言われたよーな気がする」
斑「そーなん?…じゃあやっぱ穏やかになったんだな。高坂がそう言うくらいだから」
咲「そうかもねー」


なんだか、こうしていると落ち着かない。
腕を組んだり、また下ろしたりしていると、それを見て春日部さんが言った。
咲「ん、寒い?じゃあ中に入ろうよ」
斑「え?あーいや、寒くは…」
咲「じゃ、先入ってるよ」
斑「あ…」
咲「ん?」

春日部さんがこっちを見て、「?」という顔をする。
斑「いやその、えーと…(汗)」

何か言いたいのだが、言葉が出てこない。
…もう当分、こうして二人で話すことなどできないかも知れない。いやもしかしたら、もう一生………。

斑「いや、今日さ、春日部さんと喋れて良かったよ…」
咲「はあ?大した話してないじゃん」
斑「うん、それでもさ…」

言いながら、かなり自分にしては大胆なことをしてるなと思った。
気持ちがバレるかもしれないのに、大丈夫なんか?
…でもそれでもいいかな、と思っていた。少し気持ちが投げやりになっているのかも知れない。

斑「…少しでも話せて、嬉しかった」


咲「………酔ってる?」
斑「うん、そうかも知れねー」
咲「元気ない?」
斑「うん………」
咲「元気出せよ。アンタらしくもない」
斑「ハハ、そーだな…」
春日部さんが、軽くこっちの胸の辺りを叩いた。びっくりしたので少しよろける。
斑「………………」
咲「頑張れ」
斑「え、あ…うん。か、春日部さんも」
咲「うん」

少し沈黙があった。
急に春日部さんが笑い出す。
咲「アハハ!なんか変、こんなかしこまっちゃってさ!」
斑「え?あ、アハハ…。そうだな」
咲「じゃ、そろそろ戻るね」
斑「うん…酔ってる?」

思わず聞いてしまった。春日部さんの顔がさっきより赤い気がしたから。
咲「あー、ちょっとね…」
そう言って春日部さんは店の中に入っていった。


「……………………………」
しばらく放心していた。

薄闇の中、春日部さんが今までいた空間が、少し暖かいように感じた。
すぐに夜風が吹いて余韻をかき消してしまう。


「………………………………」

今はまだ何も考えられない。未来のこととか、いや、明日からのことでさえ、考えられない。
ただ立ち尽くしている。
俺はまだ迷っている。標識のない暗闇の中を、道を探してもがいている。

でも。
一人一人があの部室から旅立っていくように、自分も何かしらの「道しるべ」を見つけて進まなければならないのだ。
「光」を見つけだして、進まなくては…。

店の中から皆の騒ぐ声が聞こえる。薄暗がりで、裏口から少し光が漏れている。
不意に皆の中に戻りたくなった。


………………………



278 :薄明かり8 :2006/05/25(木) 22:59:48 ID:???
朽「遅かったですにょ、斑目先輩!!うんこでしたかにょ?」
斑「あ?あー…、まーな…」
言い訳を考えるのも面倒くさかったので、適当に相槌を打った。



高「…いいですよ、今日くらいは」
高坂が斑目のほうを向いて言った。鉄壁の笑顔で。
斑「!!!!!」

高坂が何を言おうとしてるか、ものすごく身に覚えがあるのでびびった。
斑「は、ハイ!!!(激汗)」
朽「ん?どーしたんデスカ斑目先輩??汗びっしょりにょ~。」
斑「いっ、いや何でもねーし!!!(汗)」

高坂、今日はツッコミ厳しいな!!と焦りながらも思う斑目であった。

                        END