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現聴研・第八話 【投稿日 2006/05/07】

現聴研


夏!照りつける太陽が傾きつつも、なかなか日は沈まない夏の夕方。
ここは夏祭りの音楽フェスティバル会場、中央公園。
特設ステージと、その前の椅子が並んだ野外会場が向こうに見えて
今出ているバンドの演奏が聴こえてくる。
綿菓子や焼きソバ、アメリカンドッグやかき氷などの出店が並んでいる
そこそこの人ごみの中を、斑目を先頭にして、笹原、荻上、大野達、
現聴研のメンバーがぞろぞろ歩いている。
斑目「今聴こえてるの、MOON CILDRENだぜ。渋いな!」
笹原「あー、言われてみれば…。」
斑目「今やってる名曲『日暮と少女』と『微熱帯』のメドレーがわからんのか!
    まさか『雪のハレルヤ』やドラマ主題歌の『逃避』も知らないのか!?」
笹原「やー、ちょっと今まで範囲外でしたねぇ。」
斑目「ええい!現会長がこの程度の知識とは嘆かわしい!今度特訓だ、特訓!」
後ろから荻上は話についていけなくて傍観を決め込んでいるし、
大野と一緒に歩いている田中は苦笑して聞き流している。
田中「斑目、テンション高けーなぁ。緊張してんのかな。」
大野「あっ、終わったらアレ食べましょうね!」
そう言ってチョコバナナをチェックする大野には緊張が見られない。
しかし本番前の時間を全員がそわそわと手持ち無沙汰な様子ですごしている。
クッチーは既にステージ最前列で撮影&録音しまくりだ。
田中のカメラバッグも預けてある。高坂は咲に連れ出されて別行動。
ステージ上は、いつの間にか次のバンド、スピッシのコピーバンドになっている。
ボーカルが女の子なので印象がかなり変わっているが、なかなか上手い。
「♪だからもっと遠くまで君を 奪って逃げた~」
手拍子や拍手、声援など会場もかなり盛り上がっている様子が伝わってくる。

荻上「有名バンドが原曲だと盛り上がってますね…。」
笹原「良い曲だし、俺も聴くしねぇ。それにしてもこの曲、うねってるベースが
    特徴だけど、打ち込みでやってるね。」
荻上「これ弾くの面白いけど大変でしょうね、ベース。」
次の曲になって、歌い出しからして観客から歓声が上がる。
「♪遠く 遠く あの光まで――――」
斑目「次の曲は、新曲だな。笹原こないだこれカラオケで自爆してたよな。」
笹原「やー、なんかスピッシ、年々声が高くなってますよ(苦笑)。」

そんな会話をしながら、会場裏へと移動してきた。高坂と春日部も遅れてやってきた。
出演準備の最終チェックを始める。
荻上や高坂はそれぞれエレキギターとベースのチューニングをしている。
久我山は係の人にドラムセットの確認を受けている。
係員「出ているドラムセットの中で、スネアと、バスドラペダルだけ自前で使用ですね?」
久我山「え、は、はい、それで。」
まずは田中の用意したステージ衣装に着替えるが、荻上が抵抗を見せる。
荻上「これ、私には似合いませんから!普段着で良いです!」
大野「まあまあ、可愛いですよー。お祭りなんですし、全員特別の衣装なのに
    一人だけ普段着の方が目立っちゃいますよ!」
田中「歌う曲に合わせて作ってきたんだからさ、頼むよ。
    これってあのPVの服装を元にして……。」
などと説得を受け、やや強引に更衣室へ引っ張り込まれて行った。

係員「椎応大現聴研の皆さん、ステージ入りして準備してください~!」
着替えに手間取っているのか退室に荻上が抵抗しているのか、女性陣が
出てこないうちに呼び出しが掛かった。
もう、前のバンドが捌けて、機材入れ替えに取り掛かる。
恥ずかしがっている場合ではない。荻上たちも飛び出してきて楽器を手に、
ステージ袖の階段からステージ内に飛び出していく。
全員初めての事なので、ボランティアの係員さんにかなり誘導されながら準備をした。
といっても弦楽器がチューナーごと楽器を持ち込んで、アンプに繋ぐだけで、
ドラムのセッティングと、笹原の音源のセッティングがやや面倒なぐらいである。
そんな準備の様子まで丸見えで見られているのが、地域イベントらしい感じだろう。
今は少し薄暗くなってきて照明は落とされているので、まだ目立つ感じは無い。
あわただしく準備完了して、舞台脇の司会のお姉さんの紹介が掛かる。
司会「次は、マイナー曲を広める使命を帯びたバンドだそうです。
    それでは『げんちょうけん』の皆さん、どうぞー!!」
照明が灯り、白い光に照らされる。夏祭りらしい雰囲気の中、さあ、ライブ本番だ!