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第十三話・廻る宇宙(ソラ) 【投稿日 2006/04/20】

第801小隊シリーズ


「オーライ、オーライ。」
第801小隊の面々を乗せたシャトルが、ドッグ艦「ビッグサイト」に到着した。
ドッグ艦、というには何かというと、MSなどの軍事兵器を開発、
運用実験、改修するための工場のような研究設備付きの宇宙艦である。
フェスト社は連盟お抱えの軍事設備会社であり、この「ビッグサイト」も連盟軍と共用で使われている。
「うはあ、無重力ってこんなんなんだー。」
入口から出て来る一同。間の抜けた声を出すケーコに一同苦笑い。
「そうか、ケーコは宇宙初めてだっけか。」
「そうなんだよね・・・、わわっ。」
ふわっとした独特の移動法に変なほうに移動してしまうケーコ。
それをうまく誘導するササハラ。
「おいおい・・・。とりあえずこれもっとけ。」
宇宙空間にある居住設備ならば必ずある移動用の取っ手である。
これが移動することで無重力空間でも行き過ぎずにすむのである。
・・・宇宙は、人が住むには少々大変だ。
「・・・久々だなあ、宇宙・・・。」
「ああ・・・。半年振りか?」
マダラメとタナカが並んで視線を落としながら進む。
「・・・だな。」
「・・・・・・やっぱ、嫌な気持ちは消えんなあ・・・。」
「・・・まあな。しかし、あの頃とも違うさ・・・。」
「・・・ああ。頑張ろう・・・。」
その二人の会話をいつもの表情で見つめる大隊長。
「全く・・・嫌なところに帰ってきちまったよ。」
サキがそうぼやく。
「まあね・・・。ここには二度と戻ってくる気はなかっただけにね・・・。」
コーサカもそれに同調する。心なしか顔色が優れない。
「コーサカ・・・。」
「大丈夫、いまさら戻れって事も、無いだろうから・・・。」
サキの心配そうな声に、コーサカはいつもの笑顔に戻って答えた。

「ご苦労様です。」
このドッグ艦における連盟軍代表と司令室にて対面する一同。
「・・・状況はあまりよくは無いのです・・・。」
「どういうことですか?」
代表の唐突な言葉にマダラメが訝しげな顔をしながら聞く。
「皇国の作戦が・・・不確かながら分かったのです。」
「それは僕から説明しよう。」
大隊長がすっと前に出、代表の横に並ぶ。
「あの兵器が地球圏のどこかの隠し基地にあることは分かったんだ。
 いま、連盟軍主要部隊は皇国の本拠点・・・『サン・シャ・イン』に向かっている。
 それを・・・。挟み撃ち・・・いや、後ろから壊滅させるつもりらしい。」
「なるほど・・・。」
「いま、勢いはこちらにあり、このまま進軍をすれば必ず落とせるでしょう。
 しかし・・・。」
顔を伏せる代表。それを見たコーサカが言葉を続ける。
「後ろからの攻撃を伝えれば勢いが止まる・・・。」
「そういうことです。しかも、情報としても不完全なものです。
 上層部も取り合ってはくれませんでした・・・。」
「勢いを優先させたわけか・・・。全く・・・。」
何かを思い出したのかタナカは呟きながら苦い顔をする。
「そこでいくつかの部隊に、地球圏に置ける基地探しを行ってもらっている。」
「・・・我々もそれを行う、と・・・。」
「それもそうなんだけど、我々はあの兵器とあい対する必要性がある。
 発見しだい、そこへ急行もしなければならない。
 なぜならあの兵器への対応策を思っているのは我々だけなんだ。」
そういうと、大隊長は後ろの大型ディスプレイを見る。
「・・・ササハラ君。あのペンダント、ミノフスキー振動の緩和をする効果があったんだ。」
耳打ちでササハラに地上で言い切れなかったことを伝えるコーサカ。
「ええ!?じゃあ・・・。」
「うん。成分解析が終わってね。僕らのMSにはそれの複製品を取り付けたんだ。」
「我々としては取り返さなければならないものもあるでしょ?」
くるりと後ろを向いてにっこり笑う大隊長。
「・・・はい!」
それにしっかりした口調で答えるササハラ。
「・・・・・・もらった借りは大きいですからね、返さにゃいけませんわ。」
そういってニヤリと笑うマダラメ。
「よっし、気合入れるか!」
そうサキがいうと、皆一斉に頷いた。
その姿にあっけにとられていた代表に、サキが近づく。
「あ・・・。そうだ、これ、キタガワ中尉から預かったんですが・・・。」
「え?ああ・・・。悪いね・・・。あいつ、元気でしたか?」
あいつ、という語感に親しい相手に使う感じがしたサキ。
「?ええ、まあ・・・。」
「そうか・・・。私とあいつは結婚を約束してましてね。
 戦争が終わったら一緒になろうって、ね。」
「!・・・そうだったんですか・・・。」
「私もここに配属されて一ヶ月は比較的安全だったんですがね。
 あいつはシャトル基地・・・。いつ皇国が攻めてくるか分かったものじゃない。
 シャトルが飛ぶたびに来る手紙だけが唯一の安全を確かめる手段だったんですよ。」
そういって手紙をみて幸せそうな、しかし複雑な表情を浮かべる代表。
「・・・早く終わるといいですね。戦争・・・。」
「ええ。早く終わらせるためにも、精一杯、支援させていただきますよ。」
そう、力強い敬礼を向ける代表。
その敬礼に、一同そろって敬礼を返す。
「とりあえず、ササハラ、コーサカ両少尉、タナカくんの三名はMSの所へ。
 マダラメ中尉とカスカベ二等兵は義手があるらしいから研究室へ。
 オーノさんは会わせたい人がいるから第630室のほうへ。
 クチキ一等兵は、残ってくれる?ケーコ君はとりあえず宇宙に慣れなさい。」
大隊長からの命令を、一同が聞き、敬礼を返す。
「「「「了解!!!」」」」

クチキ一等兵は悩んでいた。
(先ほどの指令・・・。納得いきませぬ・・・。)
大隊長からの残留命令で一人部屋に残ったクチキに、ある指令が下った。
『クチキ一等兵、ドライバー、やってくれる?』
『は?ドライバー、でありますか?』
『うん。ここで我々に支給される艦船の、ね。』
『し、しかし、私めは・・・。』
『MSに乗って戦いたいのは分かる。でもね、誰かがやらなきゃいけないんだ。』
『・・・ハア・・・。』
『君が一番適任なんだ。ドライバーとしてならコーサカ君よりもね。』
そこまでいわれてつい頷いてしまったのだが。
(私も・・・。MSで戦いたいであります・・・。)
骨折していた手も大分良くなった。それなら、MSで・・・。
もちろん、自分が一人で全てを解決できると思ってるわけでもない。
しかし、まるで、自分が要らないように感じてしまったのだ。
そう考えながら廊下を移動してると、声をかけられた。
「クチキ!クチキじゃないか!」
「サワザキ君!」
そこには同期で、最初の配属で同じ部隊だったサワザキの姿があった。
「久々だなあ。あの戦い以来か?」
「そうでありますなあ。」
懐かしさと共に、少し前に再会したそのときの部隊の隊長殿を思い出した。
「・・・まだ軍隊に居たんだな。てっきりやめたかと思ってたぜ・・・。」
「サワザキ君は違うでありますか?」
「俺は、あの後早々軍を辞めてここのテストパイロット。
 そうか、この前から試験繰り返してたのはお前らの部隊のか。」
「・・・あの戦いのせいですか・・・。」
「ああ。俺もあの事が堪えてな。戦場に立てなくなっちゃったんだよ。
 でもな、こういう形でもいいから戦争終わらせる役目にたちたくてなあ・・・。」
そういうサワザキは、横のガラス面から見える宇宙を見た。
「そうでありますか。・・・あ、そうです!隊長殿、生きていたんですよ!」
共にいた部隊で共に死んだと思っていたあの人のことを伝える。
「は?・・・本当か!」
「本当の本当でありますよ!この目で、地球で会って来ましたから!」
「・・・そうか・・・。良かった・・・。良かった・・・。
 俺・・・あの事だけがいつも気に掛かってて・・・。
 俺達があんな無茶で・・・、馬鹿なことをしなければって・・・。」
サワザキの目に涙が浮かぶ。
「・・・ええ。本当に・・・。良かったでありますよ・・・。」
久々に会った友の近況と、その涙に、クチキは自分の小ささを知った。
(・・・私、自分の役目を全うするでありますよ!過去は、繰り返しませぬ!)

「アンジェラ!スー!」
オーノが向かった630号室には、彼女の見知った顔が二つあった。
「ハイ!カナコ、久しぶりね。」
「・・・久しぶり・・・。」
いつものテンションで話す二人に、驚きを隠せない。
「なんで・・・。」
「ん?なに、カナコが困ってるって聞いてね。手伝いにでもって。」
「・・・まかせなさい・・・。」
こともなげに話すアンジェラ、Vサインを出すスー。
「だって・・・。あなたたち、自分の部隊は・・・。」
「私たちはしがない傭兵だよ?根無し草に決まった部隊なんてないさ。」
「風に流されふらふらと・・・。」
「でも・・・。」
「あのね、私たちはあの時約束したでしょ?
 困った時は、お互いがお互いを助けるって。あの時・・・お互いが全てを失った時に・・・。」
オーノの顔が曇る。あの時・・・。私たちの町が焼かれた日・・・。
「だから、カナコが困ったら私たちは助けるの。
 だって、前は私たちをカナコが助けてくれたじゃない?」
「お互い様・・・。」
笑みを浮かべ、しっかりした視線を向けるアンジェラ。
相変わらず表情からは感情が読めないスー。
しかし、二人の意思と、強い思いは伝わってきた。
オーノは、自分でも気付かないほど自然に涙を流していた。
「・・・あれ?嬉しいのに・・・。なんで涙が流れてくるのかしら・・・。」
「・・・フフ。相変わらず感情的だね、カナコ。」
「・・・・・・笑えばいいとおもうよ。」
その言葉に、泣きながらも笑うオーノ。
「皆に紹介したいから、来て。この素晴しい私の親友達を。」
「OK。まずはカナコの彼氏からだね。
 MSも用意してくれているらしいし。」
「ちょっと、誰から聞いたのそれ!」
「・・・私は何でも知っている・・・。」
久々に、昔街を三人で歩いていた頃を思い出しながら、オーノは笑った。
(オギウエさんのことで・・・ちょっと気落ちしてたけど・・・。
 大丈夫。この二人がいてくれば、きっと助けられる。)

サキとマダラメは研究室で、義手をつけていた。
「おお!動く、動くぞ!」
機械がはみ出した手を動かしながら、興奮した表情を浮かべるマダラメ。
「騒ぐな!・・・まあ、一日もしたら慣れるでしょ。
 意外と神経とか残ってたから、すぐに前と同じようになるよ。」
「そーか、そーか。すまん、感謝する!」
その言葉に、少し恥ずかしそうな顔をするサキ。
「・・・やることはやったよ。後はあんたの仕事を全うしな。」
サキはすっと立ち上がり、勝手知ったるように引き出しから薬を取り出す。
「これ、痛み止め。幻痛が必ず起こるから、飲んどきなよ。」
マダラメはさっきから気にはなっていた。妙にここに慣れているサキに。
「・・・カスカベ二等兵、ここ、知ってるのか?」
「ん?ああ、ここは前言ってた私の研究室さ。私とコーサカはこのドッグで働いてたんだよ。」
「!・・・そうだったのか。」
嫌な思い出のある所でありながら、表情一つ曇らせず自分の治療を行ったサキ。
その気丈な姿に、胸の鼓動が高鳴る。
「なに、前の嫌な軍人も消えてるみたいだしね。・・・思い出さないっていったら嘘になるけどさ。」
「すまない・・・。」
「だーから、いってるだろ!私は自分の役目を果たしただけだって。
 あんたも、しっかりやんなよ!」
「ああ・・・。」
そういって立ち上がり、研究室から出ようとするマダラメ。
「・・・あ。」
振り返り、何かをいおうと振り返る。
「なに?」
「・・・いや。なんでもない。まあ、期待しててくれよ。」
「?おう、頑張れ!」
サキはきょとんとした顔をしたが、そのまま返事をした。

マダラメは研究室から出た後、考えた。
(いま、何を言おうとした?何を・・・?)
いい加減、自分の感情には気付いていた。
(俺はきっと・・・。いや、そうなんだろうな・・・。)
生まれた感情はいつからだっただろう?
始めは・・・あんなに気に食わない奴だったのに。
「ははっ・・・。そうか・・・。」
何を言おうと思ってたのか分かった。言わなくて良かった。
「俺が君を守る・・・だって?
 コーサカがいるんだ、俺が言ったところで、どうしようもないだろ。」
そこまで呟いた所で、見知った人影がいることに気付いた。
「ヤナ?」
「ん?マダラメか!来てるとは聞いてたが!」
そういってヤナと呼ばれた男はマダラメに近づく。
「久しぶりだな。」
「あー、そうだな。『シティ』以来か?タナカやクガヤマもいるんだろ?」
「タナカはいるが・・・クガヤマはいろいろあってまだ地球だ。」
「そうか~。まあ、よかったよ。」
「?何がだよ?」
そのヤナの言葉に、怪訝な顔を浮かべるマダラメ。
「お前ら、もう宇宙これないかと思ったからさ。
 あの最後別れる時の落ち込んだ顔が結構目に焼きついててさ。」
そういって少し苦笑いするヤナ。
「ああ・・・。まあ、いろいろあってな、やらなきゃならねえ事が出来たのさ。」
その笑いにつられ、同じように苦笑いするマダラメ。
「・・・安心したよ。顔が、生きてる。今のお前なら安心だ。」
「お前に心配されるほどおちぶれちゃいねえよ!」
ヤナの背中を叩きながら大声で笑うマダラメ。
「いてえ!・・・元気そうで良かったよ・・・。」
そこに、声が掛かる。
「タカヤナギ大尉!!準備中ですよ!」
気の強そうな女性兵の声が響く。
「すまんすまん。今行くよ~。」
「お前の部隊か?」
「ああ。気の強い女の子ばっかりでね。気が休まらんよ~。」
「羨ましい様な、微妙な状況だな。」
「はは、全くその通りだよ。・・・あんまり女の子は死なせたく無いしね。」
複雑な表情を作るヤナに、マダラメは思わず笑った。
「何の任務なんだ?」
「地球圏にいまだ隠されてる皇国の基地探しさ。」
「・・・そうか。気をつけろよ。奴さん、結構恐ろしい兵器持ってるからな。」
「・・・ああ、わかってる。話は聞いてるさ。任せとけよ。」
そういって胸を叩き、ヤナは去っていった。

「・・・で、ジムとしては最上級のチューンを行ってるわけです。
 よろしいですかな?」
そういった男は持ってたボールペンで額を掻く。ここはMS格納庫。
「なるほど・・・。で、オノデラさんといいましたっけ?システムのほうは・・・。」
タナカがその話に感心しながら聞いたあと、質問した。
「すでに積んでいます。確認してみますか?」
「ええ。いくぞ、ササハラ。」
「はい。」
そういって二人はジム・・・
と呼ぶには少しフォルムが洗練されてるMS・・・に向かっていった。
「・・・久々じゃないか。」
「ええ。オノデラさんこそ、お元気そうで。」
昔からの顔なじみのように話すコーサカとオノデラ。
「・・・目的の方は?」
「・・・・・・順調です。」
「本当だろうな?」
「もちろんです。ここであなたに嘘をつく理由がない。」
そういって、コーサカは二人の向かった先にあるMSを見ながら寂しげな顔をした。
「・・・それもそうだな。はやく、あの方が目覚めるといい・・・。」
「大丈夫、ササハラ君はうまくやってます。彼しか・・・無理でしょう。」
「ふむ。あと、お前の設計だが・・・。」
オノデラは目の前にある黒いガンダムに目を向けた。
「また、お遊びに走って。もっと洗練したMSを設計できるだろうに。」
「それじゃ使ってて面白くないんですよ。」
コーサカは視線を落として苦笑いした。
「まあ、お前が使うMSだからいいけどな・・・。しっかり作っといたよ。頑張れ。」
「はい、ありがとうございます。」
そこに、オーノが二人を引き連れて現れた。
「あ、コーサカさん、紹介します、今回私たちに加勢してくれる事になった・・・。」
スーとコーサカは見つめ合うと、少し気が特に言ってるように感じられた。
「アンジェラ・バートンと、スザンナ・ホプキンスです・・・。って、スー?」
スーは、コーサカから視線をはずそうとしない。
「・・・アンジェラさんと、スザンナさんですね?」
しかし、コーサカはそういっていつもの笑顔を向けた。
「スー、でいい・・・。」
スーはそういって恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「あなたがコーサカね。ふーん、このガンダムに乗るんだね?」
「ええ。そうです。お二方の話は聞いてますよ。」
そういってガンダムの前にある二機のMSを指差すコーサカ。
ジムが二機・・・。
しかし、カラーリング、フォルム共に少々従来のものとは異なっていた。
「あれがお二方のMS。しっかり調整してますよ、ね、オノデラさん。」
「ん?ああ・・・。あなた方のデータにあわせて機能を追加しているので、
 使いやすいと思いますよ。」
急に話を振られ、オノデラは淡々と話す。
「へえ、ちょっと触ってみてもいい?」
「構いませんよ。」
「OK。いこう、スー。」
「うん・・・。」
「ちょっと、紹介は?」
早々にMSのほうへ行こうとするアンジェラとスーに、オーノは声を上げる。
「えー、だって姿が見えないじゃない。MS弄ってるんでしょ?」
「そうだろうけど・・・。」
「ん、オーノさん、どうした・・・ん?どなた?この人たち。」
丁度そこにやってきたタナカが、オーノに声をかけた。
「あ、タナカさん、丁度いいところに。
 前話したことがあったじゃないですか、私の親友です。」
「あ、アンジェラさんに、スーさん?」
「はい。今は傭兵だったんですけど・・・。加勢に来てくれました。」
「だからか、MSの数が多いなあ、とは思ってたんだけど。」
そういってタナカは頭を掻いた。
「よろしく!じゃあ、挨拶も済んだし行ってるよ!」
「よろしく・・・。」
アンジェラは挨拶もそこそこに、挨拶を言いかけてるスーを引っ張って行ってしまった。
「私、説明して来ますね。」
オノデラが苦笑いしながら後を追った。
「ははは・・・。しかし、大隊長はどこまで考えてたのかね・・・。」
「え?」
タナカの急な言葉に、オーノは驚いた。
「いやね、何もかもがうまく行き過ぎ・・・。といったらおかしいんだけどもね。
 オギウエさんがさらわれた事以外は、全て大隊長の手のひらの上、というかね・・・。」
「・・・そうですね、あの人だけは僕にも読めない・・・。」
そういって苦笑いするコーサカ。
「まあ、悪い様になってないからいいんだけどもね・・・。」
「そうですね、この際、手のひらの上でも頑張るしかないじゃないですか。」
「うん、そうなんだ。あの人を信頼してるしね、俺は。」
ニヤリと笑うタナカ。それにつられて笑みを浮かべる二人。
「お~い、どうよ、MSはよ~。」
そこにマダラメが現れた。
「おー、タナカ、さっきヤナに会ったぜ。これから出撃だとさ。」
「本当か。・・・ずっと宇宙で頑張ってたんだなあ、あいつ。」
「・・・ああ。で、俺のはどれよ?」
その斑目の言葉にニヤリと笑うタナカ。
「あれだ。」
その指の先には、赤い塗装をされた、ザク・・・いや、あれは・・・。
「ゲルググか!!」
「ああ。首尾よく皇国軍から接収できたものを回して貰ったらしい。
 お前の操作に合うように、これから調整するよ。」
「おおー、こいつは・・・。燃えてきたな・・・。」
「ああ。・・・これで、終わりにしたいな。」
タナカのその言葉に、一同頷いた。

『お久しぶりですね・・・。』
ササハラはそのコクピットの中で久々に会長と対話していた。
「ええ・・・。あの時以来ですからね。」
『申し訳ありませんでした・・・。』
「?なにを、言ってるんです?」
急に会長に謝られ、驚きを隠せないササハラ。
『私が・・・もっとしっかりしていれば・・・。』
「それは違いますよ。」
ササハラはその悲しそうな発言を受けて、少し笑みを浮かべた。
『ですが・・・。』
「誰のせいでもない。そう思うようにしたんです。
 しいて言うなら・・・。自分のせいだと。」
視線を少し横にそらし、表情を曇らせる。
『・・・あなたは、頑張っていました。誰よりも・・・。』
「それでも、守れなかったら意味がないんです。」
『・・・・・・私、この一人だった期間に、考えていました。』
「・・・なにを、ですか?」
『自分のことです。自分が何者なのか、なぜここにいるのか。』
そういえば、とササハラは思った。
この人は、ちゃんとした一人の人間が元になっているのだと。
『・・・すこし、ぼんやり見えてきたんです。私にも、大切な仲間がいたことが。
 とても・・・大事に思っている人もいたことが。』
そういうと、イメージの中の会長は目を瞑る。
『だから・・・。私があの中に戻るためにも・・・。
 やるべき事をやらなければならないんです。
 あなたの大切な人、必ず助け出しましょう。』
その強い口調は、ササハラの心の重荷を少し払ってくれていた。
「はい・・・。会長、お願いします・・・。」

「なにぃ?」
窓の外から地球か覗ける位置にある隠れた皇国軍基地にて、荒野の鬼は顔色を変えた。
「あの・・・。『砂漠サソリ』に連絡が付かない・・・と。」
まさか。
その第一報を受け取った時はそう思った。あの歴戦の三勇士がやられるとは・・・。
しかし。その考えも、あのときの戦いを思い出すと消えた。
やられたのだろう。あの三勇士すらも。
「・・・わかった。で、奴らは宇宙に・・・。そうか・・・。」
まずい。
奴らがここに来たら・・・。計画が崩れるかもしれない。
連絡を切ると、すぐさま頭を廻らす。
「ん・・・?奴らが・・・近くにいるな・・・。」
あの連盟軍悪魔の部隊を相手してきた奴ら。なぜこんな所に?
「・・・まあ、いい。うまく使わせてもらおうか、テンプルナイツ。」
そういってニヤリと笑みを浮かべた。



次回予告

宇宙へと艦船を泳がせ、基地の探索を始めた第801小隊。
そこに、独特の形をした艦船が接近する。
それは連盟の奇跡、第100特別部隊と死闘を繰り広げたといわれる部隊であった。
皇国軍第13独立部隊・・・通称テンプルナイツである。

次回、「テンプルナイツ」お楽しみに