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あなたに会いたくて 【投稿日 2006/04/02】

カテゴリー-笹荻


「…ただいま」
言いながら玄関の扉に鍵を掛け、部屋の明かりをつける
バッグとコンビニの袋をテーブルの上に置く
自分以外誰も居ない、静まり返った部屋
今までは平気だった
むしろ好きだった
喧騒が嫌いで、他人が嫌いで、自分が嫌いで、
そんな自分を見られたくなくて

でも今はこんなに寂しい

テレビをつける
溢れ出す人の声
笑い声が虚ろに響く

コンビニの袋に手を伸ばす
中に入った弁当を見つめる
そのまま冷蔵庫にしまう
今は何も食べる気になれない
一人での食事の味気なさに気付いてしまったから

さみしいです、笹原さん
会いたいです、笹原さん
声が聞きたいです、笹原さん
想いを声にする
声が想いに木霊する
響き合った想いが涙に変わり溢れ出す

不意に携帯にメールの着信音

飛びつくように確認する
『まだ仕事中です。会いたいです。でも今日は、おやすみ』
短い、飾り気のないメール

それでも自分の想いが届いたような気がして、
少し微笑んだ

翌日

部室でノートに向かう
ノートの中で、
攻めの男性は受けの男性に愛を囁き、
受けの男性は攻めの男性に応える
愛し合う二人
いつも
どこでも
いつまでも
一緒に

自嘲する
視界が滲む

部室の扉が開く
そこには待ち望んでいた人の姿があって、
駆け寄って抱きついた
彼が抱きしめ返す

その匂いに
そのぬくもりに
心が癒されて
私は
久しぶりの安らかな
眠りを得た