白い日 【投稿日 2006/03/14】

カテゴリー:斑目せつねえ


三月十四日。ホワイトデー。誰が考えたか知らないが、世の男にとってバレンタインにもらったもの
以上をふんだくられる悪夢の日だ。
しかし、現視研では相変わらずのまったりした空気が…いや、ごめん。独り者にはつらい甘い空気が
漂っている。
笹原のお返しは洋菓子のようだ。送る方も照れているがもらう方はもっと照れている。勝手にしろ。
田中のお返しはアクセサリーのようだ。まあそのうちコスプレの小道具になるのだろう。一石二鳥と
いうか、せこいというか。まあ、嬉しそうなので不問にしよう。
高坂のお返しは…映画のチケット?これは意外な…ああそうか、自分の「一日占有券」というわけだ。
ここは「さすが高坂だ」といっておくべきだろう。
さて、一人身にはつらい空気の中、一人元気なバカがいる。そう、我らがクッチーだ。
お菓子の包みらしきものを女性陣に押し付けている。いわく、
「次のバレンタインには朽木に義理でもチョコを!」ということらしい。
気持ちはわかる。義理すらもらえなかった事には同情もしよう。だが、他人のカバンに忍ばせようと
するな!見ろ!明らかに引いてるぞ!
ああ、春日部さんが怒った。胸倉をつかんで怒っている。いきなり殴らないだけ彼女も成長したねえ。
荻上さん。いくら嫌いでも机の上仁放り投げるのはどうかと思います。大野さん。部屋の隅に隠すよう
に捨てるのはひどいです。最低です。せめてくずかごに…。
ああもうめちゃくちゃです。収集がつきません。ここは一つ、斑目さんお願いします!
「あ、あー。ところで、ホワイトデーってなに?」
ザ・ワールド。時が、世界が止まる。
斑目以外の全員がため息をつく。そして一人また一人と部室を出て行く。男性陣はみな斑目の肩を叩いて
から。
残されたのは斑目ひとり。
斑目は自分のカバンをあさると、きれいに包装された箱を取り出す。乱暴に包み紙を破り、中の菓子を
口にする。
「俺だってホワイトデーくらい知ってるさ…」
斑目の言葉が誰もいない部室に響く。
「今年も渡せなかったなあ…」
最終更新:2006年03月16日 00:16