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夢であるように 【投稿日 2006/01/05】

カテゴリー-笹荻


それはどこかにありそうな、でも決して手の届かない心地よい夢の物語。

荻上さんがげんしけんに入ったその日から――


中島「ほら、荻上ぇ。おめも何か言ってやれ。」
荻上「え?んと、そんのぉ…」
荻上「何でこんなにホモさ好きなんですかね?」
大野「ホモが嫌いな女子なんかいません!」
春日部「…それは私も入ってるの?」
「「「「当然です!!」」」」

荻上たちは中学からずっと一緒の仲良し5人組。
大学受験も、みんな一丸となってやりとげました。
中島が皆をまとめ、成績のいい中島と荻上が教え役となって、
なんとか皆一緒に、同じ大学に受かる事ができました。
荻上さんはもっと上の大学も目指せると先生に言われましたが、
人生でもっとも大切なものはすでに持っていたので、それは丁重に断りました。

中島「んで、荻上よ。巻田はどうなってんのよ?」
荻上「あら駄目だぁ。一緒にコミフェスさ行ぐべっつったら、荻上さオタグだったのがー、て…」
中島「…泣ぐな荻上ぇ!巻田なんがよりいーい男さいっぺーいるべ!なんつっても東京の大学だがらな!」
荻上「東京の大学だな…私らホントに東京の大学さ来たんだよな…」
中島「んだんだ!私らん先には茫洋たる未来さ広がってるだぁ~!」
荻上「やな未来だな…」


東北の田舎娘も、一年も経てば立派な都会人。
要領のいい中島は男をとっかえひっかえ、よろしくやっているようです。
彼女なりに気を遣い、荻上を合コンに誘ってくれたりもしたのですが、
荻上がそのような席が嫌いな事を察知すると、別の角度からアプローチしてくるようになりました…

中島「荻上~、おめ笹原さんのこどさ好きなんだべぇ~?」
荻上「ん、んなごと…そんな。」
中島「隠し事は無しだべ~荻上~?」
荻上「そんなごた…ちった…あるがもすんね…」
中島「くはー、荻上はまんずめんこいなー!こんなん男が見たら一発KOだべー?」
「んだんだ、こんなんでアタックさすたらもーまつがいなぐメロメロだあ、ずすんもってげ?」

そして。笹原をどこぞの裏庭に呼び出し、荻上をけしかける――
まるで中高生のような恋愛舞台を設定した中島たちは、
影から二人を見守って…いや、ニヤニヤしながら最高の娯楽を楽しむ事にしました。


荻上「あ…笹原さん…」
笹原「え、何?あらたまって…」
荻上「さ、笹原さん…私…」
笹原「え?え?」
荻上「す、好きなんです!」
笹原「えええええ?」
荻上「……」
荻上の思いもかけない告白に、固まったまま動かない笹原。
(…駄目なんだべか…)
無言のままの笹原に、荻上が諦めかけたその時。
笹原「そっ!そうなんだ…嬉しいよ、荻上さん。俺なんかを好きになってくれるなんて…」
荻上「え…じゃあ…」
笹原「うん…俺も、好きだよ。」
笹原は――優しい笑顔を浮かべながら、荻上を抱き寄せ――
そのまま何をするでもなく、ただ、荻上をずっと包み込んでいた。

「よがったなー」
「んだなあ、やっど荻上に彼氏さできて…」
「おーいおいおい」
「泣ぐな!ささ、あどは若え二人さまがせて…」
中島「んだな…さーって、部室でスマブラでもやるべー」
「とりあえずナカジはアイスクライマー禁止つー方向でな~」
「んだんだ。」
中島「えー?んでも私他の使えねー」
「やりすぎたのだよ…誰もが思うだろう、君のようになりたいと!」
「はは、皆勝てねーがらしょーがねえべ。」
中島「んー…じゃ一から出直しだぁ」

夕暮れの迫るキャンパスで。
中島たちが立ち去った後も、笹原と荻上はずっと、ずっと、抱き合って――


笹原「荻上さん…どうしたの?」
笹原が心配そうに荻上を抱き寄せる。
泣きはらした荻上の顔が、笹原の素肌に直接触れて。
(そうだ…昨日、私は…笹原さんと。)
荻上は一気に顔を赤くするが、笹原の胸に触れるのが心地よくて、あったかくて。
自分でも信じられないくらい素直に、心を語りだす。
荻上「夢を…見ていました。」
荻上「中学の…仲間が。中島も…。げんしけんに入って…皆、楽しそうで…」
思わずこぼれる涙。そう、これは夢。げんしけんも、中学の仲間も…本当は、大好きで。
失いたくなんかなくて。でも、現実には…ありえない夢となってしまったので。

荻上「とても…いい夢を――見ていました。」
笹原「…だったら、良かったよね。」
荻上「はい…しばらく、このままでいいですか…」
笹原「うん…」

これが現実。もう戻れないけど、でも、新しい何かを創り上げたなら――
未来を夢見て、荻上は再び笹原の胸の中で眠る。