笹原 12:00  【投稿日 2006/01/02】

げんしけん24


なんだかんだいっても、行くところはひとつしかなく。
「はあ。誰かいるかな?」
サークル棟に入ろうと向かっていると、妙な視線を感じた。
「ん?」
とはいえ、どの方向からあるかは分からない。
「気のせいかな?」
気にせずそのまま進む。部室の前まで行くと、喧騒が聞こえてきた。


なんと、荻上がコスプレをしていた。色々あった後。
「も やめます!着替えますから 笹原さん出ててください!!」
「はいはい」

外に出てさっき荻上を見た男たちの視線が集まる。
「あはは・・・。」
苦笑いでそれをスルーする。
しかし思い出すのはあの姿。
「・・・。」
ああもかわいい姿を見たことがなかった。
いや、かわいい後輩ではあったはずだろ?
でもあの姿を見たら・・・。
「このふくよかな おしりのラインも・・・」
「だから! さわらないでください 変態ですか!」
「失礼ですね! 触んなきゃ手伝えないじゃないですか はいブラジャー 」
聞こえてくる会話がさらに妄想を掻き立てる。
(うはあ・・・。)
悶々としながら時がたつのを待つ。

「もういいですよー 笹原さん お待たせしましたー」
「・・・・・・」
「じゃ 入るよー」
「あれー 顔赤いですよー 」
「いや はは (聞く気はなかったけど 声筒抜け・・・)」
「表の運動部の人たちはもう行きましたか? 帰りに顔あわせるのイヤです・・・」
「うん 廊下に俺いたけど 執行部の手伝い終わったら 行っちゃったよ もともと
 部室の棟違うしね 」
「・・・そうですか・・・よかった」

そわそわしている自分がわかる。顔もまともに見られない。
(俺・・・。もしかして・・・。)
その考えは、今まで思っても見なかったことだった。
しかし、思えば今までもそういう感情がなかったと言い切れるだろうか?
(そういうことなのかな・・・。)
考えがまとまらない。いてもたってもいられなかった。

「またやりましょうね!!」
「い・や・で・す!!」
「俺 ごめん 用事思い出した」
「あら? そうですか 」

部室から出ると、咲とすれ違う。
「あ、春日部さん。」
「・・・笹原?なにかあった?」
「い、いや?」
「・・・そう?」
咲はそのまま部室に向かう。
「おう、笹原。忙しそうだな。」
次に斑目が現れた。
「あはは。そうですね。」
「まあ、0じ売りはまた今度な。」
「ええ、暇があれば。」
「おう。じゃな。」
咲には微妙に気付かれたようだが、斑目にはばれなかったようだ。

一人で構内を進む。特に目的があるわけじゃない。
少し、頭を冷やしたかった。
この感情が本当かどうか。ただの下心なのか。
考えるためには一人の時間が欲しかった。
「はあ・・・・。」
最終更新:2006年01月08日 01:00