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*巫女神楽 【投稿日 2005/12/07】 **[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]] 管理人注:これは「笹荻の帰郷」のサイドストーリーとなります。 そちらを読まれてからのほうが楽しめると思いますよ。 昼近くになった頃、伯父が荻上を呼び止めた。 伯父「お疲れさん、そろそろ交代のバイトが来るはずだからお昼にしなさい」 荻「ええ、わかりました」 伯父「どうだね、千佳、久しぶりにわしに巫女神楽見せてくれんかね?」 荻「えっ、久しぶりだし、自信無いから、嫌です!」 笹「えっ、荻上さん、巫女神楽って舞でしょ!踊れるんだ!すごい!」 荻「むっ昔少し教えてもらっただけです!」 伯父「ケホケホ、めったに帰ってこんのじゃろ?老い先短いわしに酷い仕打 ちじゃの、この先、いつお前の姿を見れるか・・・頼むよ、千佳・・・」 荻「ええ・・・伯父さんがそこまで言うなら・・・」 渋々と荻上は社務所の稽古場ひかえに向かった。 笹「お加減、悪いんですか?」 伯父「いや、全然」 笹「(汗)・・・」 伯父「全然、変わっとらんな!あの調子じゃ、東京でも巧い事丸め込まれて、 高い物買わされたり、騙くらかされてんじゃないのか?」 笹「(汗・・・図星です・・・)」 伯父「そんなことだから・・・ああいや・・・もう知っとるか?」 笹「・・・ええ」 伯父「まあ・・・ゴタゴタあって、親も心配してな、わしが勧めたんじゃ、  神楽舞を。ほれ、出てきた。演目は『三姫舞』の『多紀理姫命(たぎりひ めのみこと)』正式な装束とは違うがな」 三人の巫女の中に荻上がいた。正式には天冠に直垂を着るが、今回は手に榊 (さかき)と鈴を持つだけの簡単なものだった。荻上はゆっくりとした動作 で舞い始めた。最初はぎこちなかったが、しだいに体が覚えていたらしく、 柔らかに舞始めた。 笹「綺麗ですね、でもこんな特技があるなんて初めて聞きました。」 伯父「少しの間だけだったしな。それに勧めたのもわしだが、止めさせたの もわしなんだ」 笹「えっそれは何故・・・」 伯父「あまり熱心に習いすぎて、見てて痛々しすぎたからな。舞は心を表す。  結局、あの事件は大事になって、関係者は逃げる、知らぬ存ぜぬ、心無い   輩は陰口をたたく。謝る相手もどこかに消えた。誰を責めていいかも分か らない。」 笹「・・・・」 伯父「そんな中で、誰を責めるでなくあの子は学校に通いつづけた。それこ そ、休まずにな。自業自得とは言え、登校拒否してもおかしくなかったか ったのにな。意地もあったのかもしれんが、人の心はそんなに強いもんで はない。とても神様に捧げる舞とは言えん」 笹「でも今の舞はそんなふうには見えません」 伯父「それはあんたに捧げる舞だからじゃよ。本来神楽は『生の悦び』を神 に捧げるもんだ!見なさい!あのしなやかに伸びきった手も!足も! あんたに捧げられたもんだ!」 荻上の舞は伯父の言うとおり次第に艶やかさを増していった。 おしろいを薄くぬった透明な白い顔にひかれた口紅が、煌々(こうこう)と 輝く。 楽曲の鳴り響く中、なめらかに舞おどり、その動きに合わせて白衣が波打つ。 肩までおろした黒髪がなびく。 足の運びに合わせて紅い袴がゆらめく。 榊の葉がさらさらと音を立てる。 金色の鈴の音がシャン!シャンと単調なリズムを繰り返す。 漆黒の漆(うるし)のような荻上の大きな瞳が笹原を見つめる。 なめらかな舞の動きの中にあって、その瞳はけっして笹原から離れない。 笹原はその瞳と官能の美しさに激しい動悸(どうき)に襲われる。心臓の鼓 動がドキドキと音を立てる。 やがて、舞の動きは止まり、寒い稽古場の中で、荻上は白い息をふーと吐き、 荻上の薄く透明な白い肌は次第に紅色に上気していく・・・。 笹「・・・素晴らしかった!」 荻「馬鹿ですね・・・」 荻上を含めた三人の巫女が控え室に戻って行くと伯父が再び笹原に話し掛 けた。 伯父「ところで同人誌ってそんなにエロイのかね。今度わしにも見せてくれ」 笹「いや、趣味に合うか分かりませんが・・・(ホントに神職か?)」 伯父「趣味と言えばヤオイってのも分からんな。感受性と想像力が強いのは うちの家系かの。親父はカタブツなのに・・・」 笹「(あとエロイのも間違いなく・・・)」 伯父「なのに何であんなに胸が小さいんだろな、うち多産系なのに。笹原君、まだ間に合う!!君の努力があれば!!」 笹「へっ?いや、それは・・・、はっ!背後に殺気を感じるんですが・・・」 伯父「わしも今それを感じた・・・。」 荻「・・・・・・・・・」
*いくらハンター 【投稿日 2005/12/21】 **[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]] とある金曜の深夜、コンビニにやってきた筆頭の女学生…。 荻上千佳は弁当を買いに来た。 いつもはけっこう自炊だが、今夜はコミフェス等とは無関係に 漫画を書き始めて、気分を少し変えようと思ったのだ。 弁当コーナーの前に来て、まあ安くお結びランチなど買おうとした その時!オレンジ色の透きとおったものが視界の隅に入ってきた。 「いくら丼新発売」の札がかかっている。今の残りはあと一つ。 思わず手に取るが、 「うーん、650円か…私には多いなぁ。それにコンビニの弁当だし  どうせイクラを食べるなら、もっとしっかりした機会に…。」 そう思い、棚に戻す。 鶏そぼろ弁当、洋風幕の内、ミートソーススパ。。。 結局決まらなかった。イクラを振り切ったものの、無意識に 影響を受けていたのだろう。 「はぁ、買い置きのカップ麺にすっかぁ。」 店を出る荻上。すると朽木とすれ違う。 「あ、おぎちんにょー。夜遅くに奇遇だにゃ…」 「ちっ!」 鋭い一瞥を投げつけると、ガン無視で立ち去るのだった。 まあ大学近くに住んでるのでコンビニで会う事も珍しくない。 すっかり朽木のことは忘れて岐路につく荻上だが 「あーやべ、なんか頭がイクラモードだ。他の物を食べる気しね…。」 そう思いつつ数歩歩いたが、やはり引き返しはじめた。 「やっぱり買ってこよう。このままじゃ描けないわ。」 店に入り、一直線に弁当コーナーへ。しかし―――。 棚には既にいくら丼の姿はない。振り返りレジに目を遣ると いくら丼をビニール袋に入れてもらう朽木の姿があった! 「―――な!!」 愕然とする荻上だが、朽木に気付かれないようにすぐ目を逸らし 棚の後ろで朽木が店を出るまでやり過ごすのだった。 「あーもう、ムカツクー!」 いくらを食べないと今夜は描けないとまでになってしまった荻上は 少し遠いが同じ系列の別のコンビニに向かった。 学生の町ではあるが、少し危なくないだろうか…。 しかし確かに、一人で深夜に出歩く女子学生もよく見かける。 そしてコンビニに入ろうとすると、なんたる偶然、今度は笹原に出会った。 「やぁ、荻上さんこんばんは。どうしたの。」 「あ、こんばんは。いえまぁ、別に…。」 その笹原がいくら丼の入った袋を手に持っているのを見て、嫌な予感がした。 「では、失礼シマス。」 急いで店に入り、弁当の棚を探すと、案の定…。 「あーーーっ!!」内心絶叫した。いくら丼は無かった。 もうこれ以上、系列のコンビには歩いていける範囲には無かった。 笹原に頼んでいくら丼を貰うなんて事は出来るわけがない。 諦めて、うなだれながらチキンカツサンドと… 「あ!」 あった!いくらおにぎりが1つだけ有ったのだ。 思わず口元がほころぶ。 すぐにおっと、という感じで冷静な表情に戻る荻上だった。 結局、サンドイッチとおにぎり1つを買って帰路につくことにした。 「や………。」 「あ………。」 店から出ると、笹原が待っていた。 「なんか最近ぶっそうだしね。深夜だし送るよ。」 柄にもないのは笹原自身よくわかっているのか、苦笑いしている。 「そんなに気を遣ってもらわなくても…。」 と、言いつつ笹原と一緒に歩き始める荻上だった。 そっけない感じの会話をかわしつつ二人で並んで歩く。 「気になる…。」 さっきから、ちらちらと笹原の持っているいくら丼に目が行ってしまう。 ラーメンやカレーなら、その食べ物しか受け付けないモードになるのも 解かるが、いくらでここまでとは、荻上自身も驚きだ。 「やべ、これ以上は気付かれる…。」 そう思った時にはもう気付かれてるものだ。 「荻上さん、いくら丼が気になるの(苦笑)?」 「っ!! いえいえ!決してそんなわけじゃ…!」 「いや~、そう言われてもねぇ…。」 みるみる真っ赤になっていく荻上。 「そういえば、寿司ネタでもいくらが好きだったよね。」 「………ぇぇ、まぁ。」 「これ、じゃああげるよ。最期の一個だったもんなぁ(苦笑)。」 たぶん恵子に色々と譲る人生を歩んできたからだろう。 非常に慣れた感じで弁当を荻上に譲ってくる。 「そんな………ご迷惑を………。」 「じゃあさ、荻上さんが買ったのと交換で良いでしょ。」 「どうもすみません。」 顔は真っ赤で、目元が微妙にニヤケそうになるのを我慢しながら 無表情っぽく礼を言う荻上だった。 二人は街灯の道を歩き、遠くなっていく。 笹原が荻上の部屋に上がりこむ事は…無理だろうなぁ。

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