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*「幸せになる様に」【投稿日 2007/10/25】 **[[カテゴリー-斑目せつねえ>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/48.html]] 註:やおいです。激しい描写はないですが、苦手な方はご注意を。 俺、斑目晴信は今、笹原完二と二人で、笹原の部屋へと歩いている。 笹原の部屋に遊びに行くのはこれで何度目だろうとふと考えた。数えてみるが分からない。 「どうしたんですか斑目さん?」 ぼーっと考え事をしていた俺に、笹原が聞いてきた。「何でもねぇよ」と返して、又前を見て歩く。 歩きながらの話題は、昨日放送していたアニメの事、最近連載が始まった漫画の事。二人とも好きな事に関してなら何時間でも話していられる。 笹原が、口を動かしている俺を見て嬉しそうな顔をした。何かを噛み締める様な、そんな顔を。 それに気づいた俺は、ふいっと笹原から目を反らす。 自分の顔が赤くなったのが分かって、ますます笹原の方を見れなくなる。 急に黙りこんだ俺に不審そうな顔をした笹原だが、部屋についてしまった為それを追求しようとはしなかった。 笹原は、俺をどう思っているのだろうか? 一ヶ月前、俺は笹原に告白された。 それを、俺はまだはっきりと答えていない。 友人としては好きだと思う、悪い奴ではないし。 何も言わない俺と、告白前と変わらず過ごす笹原は、正直凄いと思う。俺だったら、告白すら出来ないだろうから。 笹原の部屋に入ると、俺はいつも座るテーブルの前に陣取った。笹原は飲み物を用意している。 最近、笹原と居ると、何となくあいつが俺を本当に好きだとゆう事が分かってきた。 態度とか、視線とか、言われなければ分からなかっただろうけど。 何で、俺なんだろう? 何度も繰り返された疑問。 こんなおたくで(笹原もだが)、顔も体も全然女みたいでも無くて……。 男と付き合う何て一度も考えた事が無かったから、最初は笹原がからかってんのかと思ってたけど、そうでもなくて……。 「何難しい顔してるんですか?」 いつの間にか、マグカップを持った笹原が俺の前に立っていた。テーブルにそれを置いて俺の正面に座る。 「笹原……」 理由を聞いてみたいと思った。今まで、俺なんかを誰かが好きになるなんて無かったから。 でも、聞くのは、怖い。 眉を寄せてそれ以上何も言えない俺を見て、笹原がため息をつく。 「すいません」 「えっ?」 笹原の言葉に、俺はまぬけな声を出す。 「俺、あんな事言って、斑目さんに迷惑かけてますよね……」 ついっと伏せられた笹原の目。手はマグカップをきつく握っている。 迷惑……では無い様な気がした。 だから俺は口を開く。 「違う、そうじゃねえ」 笹原が再び俺を見る。 「何で、俺が好きなの?」 意を決して聞く。 「理由が、分からない」 俺が言い終わると、みるみる笹原の顔が赤くなった。 何度か瞬きを繰り返し、笹原はぐっと俺の方へ身を乗り出す。 「全部、です」 「!!」 今度は俺の方が真っ赤になった。カッカと熱い顔から、湯気さえ出ている気がする。 「斑目さんの、気を使って自爆しちゃう所とか可愛いですし……」 カワイイデスカ。 「優しい所や、押しに弱い所も萌えます……」 モエチャウンダ。 「もちろん、キャラ作ってる所も好きですよ?」 …………。 笹原は、デレデレと絞まりの無い顔をしていた。 「俺は……」 心が、冷たくなっていくのが分かる。 「俺は、嫌い」 そう言った瞬間、笹原の肩がビクンと震えたのを、余裕の無い俺は気づかなかった。 「俺は、俺の、そうゆう所、嫌い」 両手を握り締めて、下を向く。 気を使うのは、自分が傷つかない為だ。 自爆するのは、コミュニケーションが下手なせいだ。 優しく見えるのは、臆病だからだ。 そして何より、キャラを作るのは、そんな情けない自分を見られたく無いせいだ。 趣味だけに生きられれば良いとうそぶいていても、趣味以外の事になると何も出来なくなる。 出来ない事は、「おたくだから」と言い訳して、逃げ道を作って見ないふりをした。 「斑目さんが、キャラ作ってるのって、自分が嫌いだからですか?」 笹原の声に、頷く俺。 「それに、楽だから……」 本当は、誰にも言いたく無い、でも、言いたかった言葉。 「キャラを作っておけば、それ以外は見られなくて済むだろ?」 強調された部分を見れば、人はそれだけで俺を判断する。そうすれば、それ以上、誰も入って来ない。 こんな無様な俺を、見られなくて済む。 笹原は何も言わない。 痛い程の沈黙が流れる。 言ってしまった。 きっと呆れられたに違いない。俺だって、こんな滑稽な自分が嫌になる。 ふと、俺の頬に何かが触れた。 顔を上げると、いつの間にか笹原が目の前まで来ていて、ボンヤリと、これはこいつの手なのかと思う。 「俺、好きです」 …………? 「そうやって、斑目さんが隠してる所も」 笹原は、何を言ってるんだろう。 「ねぇ、斑目さん」 オロオロと揺れる俺の瞳を笹原が捕える。 見た事の無い、真剣な表情。 「斑目さんがキャラなんて作らなくても、誰も斑目さんの事を嫌いになんてなりませんよ」 ゆっくりと紡がれる言葉。 「斑目さん、良い所沢山あるじゃないですか!」 そんな言葉が、何故かストンッと、心に落ちた。 「そう……、かな?」 泣き出しそうなのを我慢して、俺はぎこちなく笑う。 スッと笹原が更に近づいて来たと思ったら、背中に腕が回された。 力を込めた笹原の腕が暖かい。 こいつの言う事を、信じてみても良いかな……。 今は素直にそう思う。 でも、もうそろそろ離れてくんないかな。 「あ―――――っ!もう!!」 笹原が耳元で叫んだ。 「何で斑目さんはそんなに萌える事言いますか!?」 声の大きさにキンキン言ってる耳に、何かとんでも無い言葉が聞こえて来る。 「斑目さんが何の為にキャラ作ってるかなんて、多分皆にバレバレですよ?それを悩んでるなんて!」 俺、ヒドイ事言われてねえ?結構コンプレックスなんですケド? って、バレバレ!? バレバレなのか!!? 「でも、それを俺に言っちゃうって事は、フラグですよね?」 は? 硬直している俺の顔を、笹原が覗きこんだ。 半目になり、異様に鼻の穴を膨らませたその顔に、俺は何故か冷や汗が止まらない。 「フラグが立ったって事は、OKって事ですよね?」 「何が?」 OK? OKって? パニックになっている俺の顔に、笹原の顔が近づいて来る。 目を閉じて。 ああ、そうゆう事か……。 ……… ……… ……… ボグウッ!! 俺は思いきり笹原の頭をぶん殴った。 「何すんですか!」 「それはこっちの台詞だっ!」 良い事言ったと思ったらこいつは! 「フラグが足りないんですか?」 それ何てエロゲキャラ? もう一度笹原を殴りながら、俺は盛大にため息をついた。 その後、二人がどうなったかは、神のみぞ知る。 って事にしといてくれ……。 終わり

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