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*30人いる!その15 【投稿日 2007/10/21】 **[[・・・いる!シリーズ]] 「でもそれにしても、これだけケロロ小隊がでかいと、撮り方に工夫が要りますね」 浅田が口を開いた。 恵子「て言うと?」 まだ着ぐるみのマスクを被った状態の3人に、スッと近付いて隣に立つ浅田。 浅田「俺、有吉と身長同じぐらいですけど、この通り小隊の面々とあんまし変わりません」 浅田たちに注目する一同。 確かに身長170センチの浅田とケロン人たちの身長は、あまり変わらないように見える。 恵子「確かにそうだな」 浅田「ケロン人って設定上は人間の3分の1ぐらい(55,555センチ)です。まあそれを実写で完全に再現するのは無理ですけど、少なくとも人間より小さく見えないとまずいです」 恵子「じゃあどうしよう?」 浅田「まず基本的にケロン人と地球人のツーショットはなるべく避けることです」 恵子「でもこの話、そういうシーンばっかだぞ」 浅田「2人の会話シーンなら、2人別々に撮って交互につなぐのをメインにし、ツーショットで撮る時はなるべく短いカットで、2人が並んで立たないようにして撮ります」 恵子「うーん、ちょっと分かりにくいな。具体的な例出して説明してくれよ」 浅田「例えば冬樹とクルルのツーショットで撮る場合ですが、有吉、ちょっとこっち来て」 言われた通り浅田の隣に来る有吉。 浅田「で、そのまま立ってて。スーちゃん、有吉の横に床に腰落として座って」 スー「(子安武人そっくりの声で)了解だぜ~クークックックッ」 言いながら有吉の横に座る、クルルスーツ姿のスー。 浅田が2人から離れ、恵子の隣に立つ。 浅田「有吉、もうちょっとだけスーちゃんから離れて。(有吉動く)よしっそこでいい」 有吉とスーの距離が2メートルほど離れた。 浅田「そこで有吉はスーちゃんの方向いて、スーちゃんは有吉に背を向けるように向き変えて」 有吉「了解」 スー「(向きを変えて座り直しながら子安武人そっくりの声で)オッケーだぜ~」 これで浅田と恵子の位置から見て、スーと有吉が2メートルほど離れて並んでいる図になった。 スーは有吉に背を向けて座ることで、自然にやや猫背で体を丸める格好になる。 一方有吉は、スーを見下ろしつつ、体を丸めたスーの手元を覗き込むような格好になる。 浅田「監督、こうやって2人を見てみて下さい」 浅田は両手の人差し指と親指を互いにくっつけて四角形を作り、それを顔の前に持ってきてカメラを構えるような格好をする。 恵子「(浅田の言う通りにし)こうか?」 浅田「こうすると、スーちゃんが有吉より格段に小さく見えませんか?」 恵子「そう言えばそうだな」 浅田「こういう風に、小さく見せたい被写体に座ってもらえば、身長差があまり無いことは誤魔化せます」 恵子「それだけじゃないだろ、これ?」 浅田「まあ思い付きなんですが、2人の向きを揃え、背を丸めて座ってる方を立ってる方が覗き込むように見下ろす格好にすることで、2人の高さの落差を強調したんです」 有吉「凄いね、浅田君」 スー「(親指を立てて)グッジョブ!」 浅田「あと監督、今度はこちらへ」 浅田はスーの正面に回って座り込み、恵子もそれに従う。 浅田「今度はスーちゃんを手前に置いた格好で、有吉を見上げるような感じで見て下さい」 恵子「(それに従いつつ)あっ大体分かった。つまりこうすれば、さっきよりも有吉がでかく見えるってことだろ?」 浅田「そういうことです。こんな風にアングルやら立ち位置やらをちょっと工夫すれば、何とかケロン人と地球人の身長差を演出出来ます」 恵子「あと他には?」 浅田「簡単な方法としては、ケロン人と地球人が並んでるとこ撮る場合に、地球人の方をセッシュして、腰から上しか撮らないという手もあります」 恵子「せっしゅ?」 浅田「映画の業界用語で役者を台に乗っけることですよ」 恵子「何でセッシュって言うんだ?」 浅田「戦前のハリウッドに、早川雪洲っていう日本人の俳優が居たんです。彼はアメリカ人に比べれば背が低かったので、踏み台を多用してたらしいんです」 恵子「それでセッシュか」 浅田「だから正しくはセッシュウするなんですけど、今ではセッシュするという方が一般的になってますね」 恵子「お前、物知りだね…」 その後も浅田の恵子に対する説明が延々続く中、不意にそれまで黙って見守っていたタママスーツのニャー子が口を開いた。 「あのう、お話中申し訳無いんですが、そろそろ着ぐるみ脱いでいいかニャー?彩ちゃんもまいってるし(言いながら少しふらつく)」 一同が目を向けると、何時の間にかドロロスーツの沢田がしゃがみ込んでいた。 座っているスーも、先ほどより前かがみになって手を付いている。 顔を出してるとは言え、国松と荻上会長も汗まみれで顔は真っ赤だ。 国松「(近くに居た日垣の手を取って腕時計を見て)いけない、もうじき30分経つわ!着替えるから男の子は緊急退避!」 こうして会議は一時中断となった。 「さてと、ようやく昼飯か」 そう呟きつつ、斑目は部室へと向かっていた。 今日は外回りの仕事が長引いて昼飯が遅くなったのだ。 そういう時ぐらいは近場で済ませようかとも思ったが、部室に行くように社長に熱心に勧められた。 どうやら社長は、見合いを世話することの代わりと考えているらしい。 世話好きの社長は、斑目に嫁の世話をしてやりたいと考えていたが、彼の人脈に対オタク用にちょうどいい適齢期の女性は居なかった。 ならば部室に通って後輩の女の子と付き合うのが1番の近道と考え、今では斑目本人以上に部室に行くことに熱心なのだ。 部室前では、男子会員たちが集まって話し込んでいた。 斑目「うぃーす、何かあったの?」 日垣「あっ斑目先輩こんにちは。すいません、今かくかくしかじかな理由で部室には入れないんです。もうじき開くと思いますけど」 斑目「あっそう。(腕時計を見て)開くの待つか」 そこへ国松の声が聞こえた。 「お待たせしました~!」 男子会員たちプラス斑目が部室に入ってみると、ケロロ小隊のコスは部屋の隅に吊るされて干されていた。 頭の方は机の上に置きっ放しだ。 片方の机はケロロ小隊役の面々が、もう片方の机はその他の女子会員たちが囲んでいた。 そしてケロロ小隊役の5人は、全員軽装でへばっていた。 下半身はショートパンツ、上半身はTシャツかタンクトップという、露出の多い格好だ。 それを見て、斑目を筆頭に赤面気味の男性陣。 へばりながらも挨拶する5人と挨拶を交わし、斑目は末席に着いて昼食を始めた。 他のみんなも席に着いたその時、汗でしなびたように倒れていた、荻上会長の筆がピンと立った。 クッチーの方を見てニヤリと笑う荻上会長。 ドキリとするクッチー。 荻上「朽木先輩、今日もスーツ姿ですけど、何か就活関係のご予定でも?」 朽木「まあ、今日は特に就活関係の用事は無いけど、こういう服は毎日身に着けることで様になってくるから、意識的に毎日着るようにしている訳でありますよ」 荻上「朽木先輩って、案外細かいとこに神経使われてるんですね」 そう言いながら荻上会長、ケロロの頭を持ってクッチーに近付く。 荻上「(クッチーの背後に回り)朽木先輩、ちょっとすいません」 スポンッという音と共に、クッチーの視界が一瞬遮られ、やや視界の悪い状態ですぐに回復した。 朽木「にょっ?(立ち上がる)」 次の瞬間、部室中が津波のような大爆笑に包まれた。 一同「どわっはっはっはっはっはっはっ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」 会員全員が腹を抱えて笑っている。 普段無表情なことの多いスーや、そもそも顔を見せない加藤さんまでもが大爆笑だ。 そして事の仕掛け人の荻上会長、もう立っていられないらしく、ギャグ漫画のキャラのように床に寝転がって手足をバタバタさせて、文字通り笑い転げている。 朽木「にょっ?何が起こったのかのう?」 クッチーは自分の顔を触り、何かが被さってることに気付いた。 朽木「こりゃいったい?」 日垣「ここここ、これですよ、くっ朽木せん…ぱ…どわっはっはっはっはっ!!!!」 最後の力を振り絞って、日垣は部室の隅に置いてある等身大の姿見を持って来てくれた。 だがクッチーの前に置いた途端に力尽きて、また腹を抱えて笑い始める。 そして姿見を見たクッチー、やはり大爆笑し始めた。 「にょわっはっはっはっはっはっはっ~~~~~!!!!!!!!!!」 荻上会長と同じ様に、床に寝転がって手足をバタつかせて、文字通りに笑い転げる。 鏡に映っているクッチーの姿、それは首から下はスーツ姿で、首から上はケロロという、ペコポン人スーツバージョンのケロロの姿そのまんまだった。 ペコポン人スーツとは、「ケロロ軍曹」の劇中でケロロ小隊の面々が外で行動する際に、ペコポン人(ケロン星での地球人の呼称)に変装する為のパワードスーツのことだ。 首から下だけのペコポン人そっくりに作られたメカのボディに、体育座りの体勢で体を丸めたケロン人が合体して使う。 当然顔はケロン人のままなのだが、劇中では「変わった覆面の変な人」ぐらいに認識されているのか、何故かバレない。 ちなみに服装違いの別バージョン(女装バージョンもある)の機体が多数あるので、服と本体が一体成型されているのかも知れない。 そしてケロロの1番のお気に入りのペコポン人スーツはスーツ姿のバージョンで、たびたびその格好で買い物に出かけたりしている。 その為、ケロロのペコポン人スーツと言えば、スーツ姿を連想する人が多い。 「ちょっ、ちょっと朽木先輩、すっ、スーツが汚れ…どわっはっはっはっ!!!!」 「おっ、荻チンこそ、てぃ、Tシャツとか汚れ…にょわっはっはっはっ!!!!」 クッチーと荻上会長は、床に尻を着いて座ったまま、肩を組んで笑い続けた。 先に笑いの渦からの脱出に成功したクッチー、立ち上がってこう宣言する。 「こっ、こうなったらこの笑い、ご近所の方々にもお裾分けするにょー。先ずは自治会室へご挨拶だにょー」 入り口に向かうクッチーの腰に、荻上会長がしがみ付いて止めようとする。 「そっ、そればかりは、ごっ、ごっ、ご勘弁を…わははは!!!!!ダメ、力入んないよ。 みっ、みんな、朽木先輩止めて…はははははははは!!!!!」 慌てて会員たちが、クッチーにしがみ付いて止めようとする。 だが会員たちも腹に力が入らないらしく、笑いでアドレナリンや脳内麻薬が分泌したらしいクッチーに引きずられ、共に外へ向かう。 止めるのを諦めて、恵子が他の会員たちに指示する。 「こっ、こっ、こうなったらさあ、このまんま映画の宣伝しちゃ、しちゃおう…プププ…おっ、おい、お前ら残りのマスク持って付いて来い…ププププ、ぷはっはっはっ!!!」 「こっ、こっ、これどうするんで…あはははははは!!!!」 台場がタママとドロロのマスクを掴んで尋ねる。 その横では神田がギロロとクルルを掴んで笑っている。 恵子「おっ、男どもに被せ…ぷははははははは!!!!!!」 台場・神田「りょっ、了解しま…あはははははは!!!!!!!」 こうして会員たちは、全員部室から出て行った。 部室には斑目ただ1人が居残った。 先程の騒ぎに、斑目は見事に乗り遅れた。 食事の為に下を向いた瞬間に大爆笑が起こり、顔を上げた時には部室全体が祭り状態になっていた。 こういう状況で、後からお祭り騒ぎに乗ることは困難だ。 結果斑目は、部室の騒ぎの暴風の圏外から、客観的に騒ぎを傍観する破目になり、気が付けば部室に1人取り残された。 「おいおいおい、仮にもOBに部室の留守番させるか…(腕時計見て)まあいいか、時間はあるし。それに外回りも今日はもう無いから、最悪残業すりゃ何とかなるし」 食事が終わり、何をするでもなく、ふと物思いにふける斑目。 そんな斑目1人きりの部室に来訪者があった。 「こんちわ。あれっ、斑目だけ?」 来客は田中だった。 斑目「よう、今日はどうしたい?」 田中「大野さんの衣装持って来たんだよ」 普段はショルダーバッグで来ることの多い田中だが、今日は珍しくリュックサックを背負っていた。 田中はリュックを降ろすと、中からライダースーツを取り出した。 田中「日向秋ってバイク乗る時、革ジャンにジーパンって格好の場合が多いんだけど、まあ今回は劇場版ってことで、特別に作ったんだよ」 斑目「わざわざ作ったんだ、それ」 田中「買うと高いからね、ライダースーツって」 斑目「でも衣装だったら、日垣君や国松さんが作るんじゃないの?」 田中「そのつもりだったらしいけど、俺が無理に頼んで作らせてもらったんだよ」 斑目「俺は大野さん専用コス職人だ、ってか?」 田中「まあ、そんなとこだ。ところで何で部室、斑目1人だけなんだ?」 斑目「かくかくしかじかな事情で、なし崩し的に俺が留守番になっちまったという次第さ」 田中「そりゃご愁傷様。ん、どした?」 田中は先程からの斑目の様子が変なことに気付いた。 斑目「いや、2年前のことを思い出してたんだよ」 田中「2年前?」 斑目「ほら、荻上さんが初めて部室に来た時のことだよ」 田中「ああ、腕吊って無愛想に『オタクが嫌いな荻上です』って自己紹介してたあれか」 斑目「そうそれ。その荻上さんが、前は部室で2人きりになることすら嫌ってた朽木君に、自分がこれからひと月ぐらいは毎日被るマスクを被せちゃうんだもんな」 田中「そりゃ凄いな」 斑目「その上、いくら部室が祭り状態になった勢いとは言え、肩抱き合って笑うし、朽木君の暴走止める為とは言え、体張ってしがみ付いたりするんだもんな」 田中「それにそもそも、荻上さんの方からウケを狙いに行くなんて、あの頃は考えられなかったしな」 斑目「まあそれで、変われば変わるもんだなって、しみじみしてたって訳さ」 田中「会長になったせいか、笹原と付き合ったせいか、あるいは両方かな」 斑目「まあ何にせよ、いいサークルになったよな、現視研」 田中「そうだな」 しばし沈黙して感慨にふける2人。 2人揃ってしみじみした空気に照れ臭くなったか、斑目は撤収にかかった。 斑目「(腕時計を見て)すまんが田中、あと留守番頼むわ」 田中「仕事に戻るのか?」 斑目「ああ、あいつらによろしくな」 斑目が出て行ってから30分ほど経って、会員たちは戻って来た。 全員汗びっしょりで疲れ果てた顔をしていて、まるで練習が終わって戻って来た運動部員のようだ。 荻上「あれ?こんちわ田中さん」 会員たちも挨拶し、田中も軽く手を上げて応える。 荻上「斑目さんは?」 田中「仕事に戻ったよ。で、たまたま今さっき来た俺が代わりに留守番って次第さ」 荻上「そうですか。すいません、お手数かけて。斑目さんにも後で謝っといた方がいいな」 大野「もう、サークル棟だけで止めとけばよかったのに、朽木君ったら学棟や教授棟にまでケロロのマスク被って挨拶に行くんだもん」 朽木「申し訳無いであります。本当は大学のご近所も回りたかったのですが、それはまた日を改めて」 荻上「いいですよ、もう。また自治会に怒られますから」 恵子「まあまあ、もういいじゃない。とりあえず何処でもウケてたんだから。その怒ってた自治会長さんだって、説教しながら吹いてたし」 田中は改めて斑目が言っていたことを反芻していた。 荻上会長(と大野さん)は、クッチーを咎めてはいるものの、以前のように嫌悪感は無く、本気で怒っている感じではなかった。 荻上会長にクッチーを受け入れる度量があり、クッチーも破目の外し方にある種の節度が加わり、それらが上手く作用していいムードになっている、そういう印象を受けた。 その後田中は前述の訪問理由を話し、大野さんに秋の衣装を渡した。 会員たちは疲れ切っていて、まだミーティングを再開出来る雰囲気ではなく、あちこちでポツポツと雑談をしつつ休憩していた。 ちょうど映画についていろいろ訊きたかった田中は、会員たちの雑談に加わった。 30分ほど雑談をした後、神田が恵子に質問したことをきっかけに、そのままミーティングへと移行し始めた。 神田「ところで監督、そろそろクランクインですけど、最初はどっから撮りましょう?」 恵子「まあさっきまでの話だと、日向家のシーンからだろうな。冬樹の部屋とケロロの部屋以外はミッチーの家でロケさせてもらうとして…」 豪田「問題は冬樹の部屋ですね。ケロロの部屋はほんのワンショットなんで、セットで再現するか、誰かの部屋をカメラアングルで誤魔化して撮るかすればいいんですが…」 恵子「冬樹の部屋ってミッチーの部屋じゃダメなのか?」 浅田「それやろうと思ったら、かなり模様替えしてもらわないといけないんです」 巴「確かにミッチーの部屋だと相当手間ね」 ちなみに神田の部屋には、1年の女子会員は全員行ったことがあった。 男子で入ったことがあるのは、夏コミで同人誌運びを手伝った浅田と岸野だけである。 恵子「あっ、やっぱオタルームなのか?」 岸野「かなり重度のオタルームです」 恵子「でも冬樹って、オカルトオタなんだろ?オタルームなら使えそうな気するけど…」 岸野「また違いますよ、冬樹のとは」 岸野は神田の許可を得て、ロケハンの為に撮影した神田の部屋の映像を部室のテレビで 映した。 テレビに映った神田ルームは、まさしくオタルームであった。 だがそれは、以前笹原に話した程度のレベルでは無かった。 本棚にはぎっしりと漫画本が収納され、周辺には入り切らない分が山積みになっている。 ビデオラックも同様の有様だ。 さらに段ボール箱に収められた漫画本や同人誌やビデオも、部屋の隅に積まれている。 ベッドの布団を包むシーツにもアニメキャラが描かれ、もちろん抱き枕もある。 壁には多数のポスターが貼られ、本棚の上にはフィギュアや縫いぐるみが飾ってある。 机の上にはノートパソコンがあり、もちろんテレビとビデオデッキも完備されている。 ベッドを運び出して代わりにテーブルと椅子を入れれば、そのまま部室に使えそうだ。 そして部屋の隅にはコピー機が置かれていた。 恵子「何で女子大生の部屋ん中にコピー機があるんだ?」 岸野「神田さんの家族は全員同人誌を作る側のオタクなんで、みなさん1人1台ずつ持ってるんですよ」 恵子「マジかよ…」 荻上「話には聞いてたけど、自分の部屋にあるんだ、コピー機」 神田「前は1階にみんなのと一緒に並べてたんですけど、4台いっぺんに同じ部屋で使うと家の電気の配線への負担が大き過ぎるんで、今は各自の部屋に入れてます」 コピー機がとどめになったらしく、恵子は神田の部屋でのロケを断念した。 恵子「まあ何にせよ、ミッチーの部屋だと大変そうだな。冬樹の部屋ってどんなんだっけ?」 国松「ちょっと待って下さい」 国松は「ケロロ軍曹」の単行本をパラパラと開く。 国松「うーん、いざ探すと無いものね、ちょうどいい絵」 他の会員も手伝い始める。 そんな中、神田はスケッチブックを開き、鉛筆を走らせる。 やがて鉛筆を置いて、恵子にスケブを差し出す。 「出来ましたよ、監督」 単行本を検索してる会員たちが、該当のページを発見するより数秒速い。 恵子「これは?」 神田「伊藤君の脚本を基にイメージして描いてみた、大学生になった冬樹の部屋です」 「どれどれ」と近付く会員たち。 原作の冬樹の部屋に比べ本棚が増え、しかも中身はハードカバーのぶ厚い本が増えている。 鉛筆のせいか、やや暗めでシックな感じになっていた。 伊藤「おう、こりゃ僕のイメージ通りだニャー」 国松「(自分の持ってる単行本と見比べ)ほんと、今の冬樹の部屋に比べて、大人になった感じ…」 そんな会員たちの肩越しに神田の絵を見ながら、クッチーは「むむ?」と唸っていた。 神田「どうしたんですか、クッチー先輩?」 朽木「いやねミッチー、何かこの絵の部屋、どっかで見た気がするにょー」 しばし考え込んでいたクッチーだったが、やがて手を叩きつつ「おう!」と声を上げると、携帯を取り出してかける。 一同「?」 朽木「あっ、お久しぶりです。実はかくかくしかじかな事情で…ほんとでありますか?(みんなに)皆の衆、その部屋に似た部屋の持ち主の方に、撮影許可をもらえましたにょー」 恵子「マジかよ、それ?何時なら空いてるか訊いてくれ」 朽木「しばしお待ちを(再び携帯で話し)とりあえず近日では明日がお暇とのことですが、いかが致しましょう監督?」 恵子「よし、その日押さえろ!」 朽木「了解であります!」 恵子「みんな、明日からクランクインだ。いいな!」 一同「はいっ!」 次回予告 終わった、何もかも… って、まだだ、まだ終わらんよ! そんな次第で、まだまだ準備すべき課題は残したものの、いよいよ「30人いる!」次回からクランクイン編に突入します。 果たして撮影初日のロケ地とは? クッチーが依頼した相手とは? 長々と看板に偽り有りで、メインキャラ26人で進行して来たこのシリーズ、遂に次回27人目が登場する! [[30人いる!その16]]に続く

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