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*30人いる!その8 【投稿日 2007/09/02】 **[[・・・いる!シリーズ]] 恵子「そんじゃあ配役決めようか?」 伊藤「着ぐるみの人以外は、冬樹、夏美、それにモアちゃんだニャー」 男性会員たちを見渡す恵子。 恵子「うーん、お前ら不細工じゃないけど、イケメンや美形もいねえな。うーんと…」 その時、豪田の頭の中でピンッという音が鳴った。 そしてズンズンと有吉に近付く。 有吉「えっ?」 豪田は有吉から眼鏡を外した。 有吉「ちょっ、ちょっと、返してよ」 有吉を凝視する一同。 イケメンや美形とまでは行かないが、割と知的で整った顔立ちだった。 沢田「こ、これは?」 巴「行ける!」 恵子「おしっ、有吉、お前冬樹やれ!」 有吉「ぼっ、僕ですか?」 巴「監督命令となれば、しょうがないわね」 有吉「(マジ顔で)分かりました、監督。(情けない顔に戻り)それより豪田さん、眼鏡返してよー」 豪田を追う有吉、荻上会長の肩を掴んだ。 荻上「えっ?」 有吉「あれっ?豪田さん、えらく小さくなったね?それに華奢だし、(筆握り)頭に筆があるし、何か会長みたい…」 神田「いや有吉君、あなた掴んでるの会長だし…」 豪田「ほら眼鏡」 言いながら豪田、有吉の眼鏡をかけてやる。 有吉「わっ、会長?しっ、失礼しました!」 慌てて荻上会長から離れる。 荻上「まっ、まあ見えなかったんだからしょうがないわよ。気にしないで」 豪田「ネタでやってるのか、それとも本当に見えないのか…」 沢田「どうもマジでやってるみたいよ」 恵子「まあ冬樹って動かんキャラだから、何とかなんだろう。よし、次は夏美だな」 一同「うーん…」 台場「夏美ってさ、数年後だったらやっぱり、秋ママみたいな体型になってるんだろうな」 神田「クルルの銃で大人になった夏美って、確かにナイスバディだったわね」 有吉「ナイスバディでスポーツ万能と言えば…」 会員たちの視線が巴に集中した。 巴「(自分を指差し)わっ、私?」 恵子「まあ髪は染めればいいか。よしマリア、お前夏美やれ!」 有吉「監督命令なら、しょうがないね」 巴「…分かりました、やります」 伊藤「あとはモアちゃんだニャー」 豪田「アンジェラでいいんでねの?ちと胸デカ過ぎだけど」 台場「うーん…金髪はいいとして、青い目はどうだろう?」 荻上「その点なら心配無いわよ」 台場「どゆことです?」 荻上「アンジェラの瞳の色は、光の加減によって褐色や黒にも変わるのよ」 浅田「なるほど、それなら照明やカメラアングルで上手く誤魔化せるかも知れませんね」 台場「それならいいですね」 恵子「よっしゃ、モアはアンジェラで行こう!ミッチー、連絡してやれや」 神田「はーい。千里、ちょっとパソコン借りるわよ」 神田は国松の部屋のパソコンで、アンジェラにメールを送った。 (アンジェラは日本語の読み書きは何とか出来るので日本語で送った) 向こうは夜のはずだったが、アンジェラは起きていたらしく、すぐにメールが返って来た。 神田「アンジェラからの返信メールです。えーと何々…日垣君、コスよろしく…快諾してくれたようですね」 日垣「コスっていうと、ハルマゲドンの時のあの格好のことかな?」 伊藤「うーん、予定ではその格好するシーンは無いんだがニャー」 恵子「無いなら追加してやれよ」 伊藤「うーんと、それじゃあ…そうだ!ベム出てきたとこで、モアちゃんが例の格好でベムどついてクルル時空に叩き込むってのはどうでしょうかニャー?」 恵子「いいんじゃねえか。それで行けや」 伊藤「かしこまりましたニャー」 日垣「夏コミの時はアンジェラのコス、ほとんど田中先輩1人で作ってたから、サイズが分かんないな。神田さん、メールで訊いといてくれる?」 国松「サイズなら分かってるわよ」 日垣「国松さん採寸手伝ったの?」 国松「この間夏コミの時に、アンジェラのコス姿見たから、大体分かるわよ」 しばし時間が凍結した。 荻上「国松さん、見ただけでサイズ分かるの?」 国松「ええ、田中先輩に服の上から見てサイズを目測するコツをお聞きしたんです。そんで試してみたら、ほぼ当たりました」 1年女子一同『そう言えば夏コミで絶望先生コスやる時、制服のサイズなんて既製品なのに、千里しつこくサイズ聞いてたな。あれがそうだったのか…』 1年男子一同『国松さん恐るべし!』 「あと着ぐるみ組の配役だけど、日垣君、僕チンがベム演るから君アル演ってくんない?」 1年生たちの発言が活発で切り込みにくかったせいか、それまで意外に大人しくしていたクッチーが突如口を開いた。 日垣「俺ですか、アル?でもこのプロットだと、どっちかと言えばアルの方が攻め込んでますから、俺じゃ無理じゃないですか?」 朽木「その点は大丈夫。このプロットのアルって、ジャイアントロボみたいなロボットムーブの方が合いそうだから、練習すればすぐ出来るにょー」 日垣「まあそれなら動きは何とか。でもベムの方がカット数多そうだし、大丈夫ですか、就職活動の方は?」 朽木「さっきも言ったように、僕チンは警官の試験受けるから、試験日当日以外は目いっぱい撮影に付き合えるにょー」 日垣「いいんですか?」 朽木「いいんです。それにこの話だとアルよりベムの方が打たれ強さ要りそうだし。体力は日垣君の方がありそうだけど、打たれ強さなら僕チンでしょ」 恵子の了承を得て、結局アルが日垣、ベムがクッチーということで落ち着いた。 一方女子の着ぐるみ班も配役の相談を進めていた。 沢田「まあクルルがスーちゃんで、軍曹さんが会長は決まりとして…」 荻上「決まりなんだ…」 国松「スーちゃんはそもそもクルル希望ですし、何と言っても会長も軍曹さんもリーダーですから、やっぱリーダーの立ち位置でないと」 荻上「まあ、それはいいけど、残るはタママとギロロとドロロかあ…」 国松「それなんですけどニャー子さん、タママお願いしていいですか?」 沢田「なるほど、タママなら声可愛いし、適役かも」 国松「それにタママって、格闘技やってる割には肉弾戦よりタママインパクトばっかしだから、動きは意外と少ないでしょ」 荻上「一応他所から招いたお客さんってことで配慮した訳ね」 国松「そうです。どう、ニャー子さん?」 ニャー子「タママなら声作れますニャー。(可愛い高音で)ハーイモモッチー!(ドスの効いた低音で)うだるぞぬしゃー!」 一同「おー!」 沢田「これなら吹き替えは要らなさそうね」 ニャー子「でも私、タママインパクトは出来ませんニャー」 こける一同。 国松「その点は大丈夫ですよ。タママの顔は通常のものと別に、タママインパクト発射用の顔も作りますから。ニャー子さんはポーズしてくれるだけでいいです」 ニャー子「光線はどうするのかニャー?」 国松「シネカリでフィルムに直接描き込みます」 ニャー子「しねかり?」 国松「8ミリ特撮の技法で、フィルムに針みたいなもので軽く傷を付けて、光線っぽい絵を作る方法です」 沢田「でもそれ、8ミリのフィルムにそれって…」 国松「もちろんかなり手間で根気の要る作業だけどね。何しろ虫眼鏡でフィルム見ながら、ひとコマひとコマに描き込んで行くんだから」 「そういうのなら、私にまかせなさい!」 台場が話に割り込んだ。 国松「晴海、やったことあるの?」 台場「(笑って)無い無い。でもその代わり、私米に字書けるわよ」 室内にザワッという音が轟く。 国松「米に字って、例えばどんな?」 台場「まあさすがに2文字までが限度だけどね。画数的にも、薔薇とか憂鬱とかぐらいが限度ね」 一同『どうやればそんな複雑な字が米に書けるんだ…』 国松は台場の右手を両手で力強く握った。 国松「お願いするわ、光学合成担当!」 一同『それは光学合成と言うのか?』 沢田「あと残るはドロロとギロロかあ…」 国松「それなんだけど彩、あなたドロロでいい?」 沢田「ちょ、ちょっと待って!私、運動神経無いんだから、あんな動き無理!」 国松「(笑って)あんな動き、誰も出来ないって。大丈夫よ、何も生であの動きやれっていう訳じゃないから」 沢田「そんじゃあどうするの?」 国松「カメラワーク駆使するのよ」 沢田「カメラワーク?」 国松「例えば軽く走ってるとこをカメラ低速で撮影して、再生時は標準で回して早回し状態にして、凄く速く走ってる図の出来上がりとか」 沢田「なるほど、あと他には?」 国松「えーとね…例えば飛び上がるポーズをしたとこを撮り、続いて同じ背景をドロロ無しで撮り、それをつなげば消えるように高速でジャンプする図の出来上がりとか」 沢田「それなら私でも出来るかも。分かった、私ドロロ演るわ」 荻上「ということは、国松さんギロロ演るつもりなの?」 国松「まあギロロだけは実際に武器持って動かなきゃならないし、そんなキツイの人様には押し付けられませんから、言い出しっぺが責任取りますよ」 荻上「国松さん…」 国松「大丈夫ですよ、会長。これでも私、多分ケロロ小隊役の5人の中で、1番体力あると思いますから」 こうして着ぐるみ班の配役が決まり、神田はホワイトボードにそれを書き込んだ。 恵子「さてと、配役も無事決まったことだし、次はスタッフの役割分担を決めるか。先ずは千里、とりあえず特撮関係はお前が全部仕切れや」 国松「はいっ!」 「ということは、こうですね?」 そう言いながら、神田はホワイトボードに「特技監督 国松」と書き込んだ。 国松「そうじゃないわよ、ミッチー」 国松はホワイトボードに近付き、特技監督を消して「特殊技術」と書き直した。 神田「とくしゅぎじゅつ?」 国松「本来特技監督ってのは、特撮班と本編班の2班体制で撮影する場合の名称なのよ。 うちの場合は全部ひっくるめて総監督だから、その名称は不向きよ。それに…」 恵子「それに?」 国松「本来特技監督を名乗っていい人物は1人だけなんです」 恵子「誰?」 国松「円谷英二です」 国松によれば、円谷英二の直弟子の特技監督は、円谷プロの初期の作品では自らを特殊技術と称していたという。 これは彼らにとっての特技監督とは円谷英二ただ1人であり、自分ごときが特技監督を名乗るのはおこがましいという考え方の為だ。 国松「だから私も、それに倣おうと思います」 恵子「わあった、そんじゃ千里それで行けや」 「さてと特技監督、じゃなくて特殊技術が決まったとこで、あと助監督なんだけど…」 恵子は一同を見渡し、伊藤と眼が合ったところでピタリと止まった。 オドオドする伊藤。 恵子「お前さあ、脚本書いた後はヒマだろう?」 伊藤「まっ、まあそうですニャー」 恵子「そんじゃお前、チーフ助監督やれや」 伊藤「ぼっ、僕がチーフですかニャー?」 恵子「まあ助監督は原則手の空いたもん全員だけど、通しでやる奴が1人は要るだろ?」 有吉「なるほど、伊藤君なら脚本の隅から隅まで把握してるから、全体を見ながら現場を仕切るのには適役かも知れないな」 国松「それに普段のパシリっぷりから見て、助監督の必要最低条件のフットワークの軽さもあるしね」 恵子は普段から、手の空いてる者は誰彼構わず命令したりこき使ったりしているのだが、眼が合うとオドオドする習性のあるせいか、伊藤が命じられる確率は高かった。 恵子「つう訳で、いいな伊藤?」 伊藤「かしこまりましたニャー」 『何のかんの言っても恵子さん、監督らしくなってきたわね』 そんな様子を見て、荻上会長は内心感心していた。 みんなが役割分担について話し合っている傍らで、豪田はプロットを読みながら、まるで北島マヤが台詞を覚えてる時のように、1人片隅で何やらブツブツとつぶやいていた。 荻上「どしたの?」 豪田「あっ、荻様。今この映画に必要なセットを考えてたんです」 荻上「セット?」 豪田「先ずケロロ小隊の作戦司令室とクルルズラボが要りますね。日向家内部の各部屋とクルル時空は、どっかでロケするとして、あとは最後のボロボロになった日向家ですね」 立て板に水の如くスラスラと撮影場所について述べる豪田に、沈黙する荻上会長。 豪田「まあ作戦司令室とクルルズラボは、ベニヤ板でそれらしいのが作れると思います。日向家は適当にガラクタ並べるか、解体中の家探して交渉するか。あとは…」 荻上「あとは?」 豪田「ベム1号とケロロ小隊が戦うシーンで、ケロロたちが吹っ飛ばされるでしょ?女の子が入った着ぐるみを地べたにモロにぶつける訳には行かないじゃないですか」 荻上「(改めてプロットを読んで青ざめ)確かにそうね…何かいい方法があるの?」 豪田「ウレタンか綿を布で包んで岩みたいな感じに塗装して、岩型のクッションをいくつか作って、クルル時空になる原っぱなり野原なりに配置すればいいと思うんです」 荻上「いい考えだと思うけど、そんなこと出来るの?」 豪田「その点はお任せ下さい。この豪田蛇衣子、伊達に8年も舞台美術やってませんから」 一同「8年?!」 豪田「小学5年生の時の学芸会以来、何故か私のクラスって劇に縁があってね、中3までずっと文化祭やら何やらで、毎年1回は舞台セット作ってたのよ」 荻上「でも8年って言ってたよね?高校では?」 豪田「高校では同じ中学から来た子が私の噂広げちゃって、学祭で劇やる他所のクラスや演劇部からお誘いがあったんですよ」 台場「て言うことは、蛇衣子の作った舞台セット、好評だったってことね」 巴「凄いわね」 豪田「まあ最初は、単に昔からこの通りの体型だったから、舞台でやれる役が無いから回ってきただけだったんだけど、これでも図画工作や美術はいつも成績5だったからね」 恵子「よっしゃ蛇衣子、お前美術担当な」 豪田「はいっ!あと照明も私でいいですか?ライトやレフ板持つ人は出来るだけ統一した方がいいと思うんですけど」 岸野「確かにライティングはカメラとワンセットなポジションだから、なるべく統一した方がいいね」 浅田「もしかして豪田さん、照明もキャリア8年とか?」 豪田「さすがにそんなにはやってないわよ。舞台の方動かしたりするの、私が現場仕切ってやること多かったからね。せいぜい3~4回ってとこかしら」 巴「十分やってるじゃん…」 恵子「よっしゃ、ほんじゃ照明もお前に頼むわ」 豪田「はいっ!」 台場「あの、あと私、渉外関係の仕事一括して受け持っていいですか?」 恵子「しょうがい?」 台場「平たく言えば、外回りの仕事ってことですよ」 恵子「どんなことやるんだ?」 台場「まず予算まだ増やしたいですから、スポンサー集め続けようと思います。そのついでに、関係官庁への行ったり、著作権関係のことやったり」 一同「著作権?」 台場「そりゃそうでしょ。現在放送中のアニメの実写版映画作って、学祭とは言え木戸銭取って客に見せるんだから。いろいろ手続きは要るはずよ」 荻上「なるほど、そこまでは考えてなかったわね。関係官庁ってのは?」 台場「この手の撮影には、いろいろ許認可が絡んでくるはずです。特にうちは爆発シーンなんてやるんですから」 荻上「確かに外回りの仕事関係、一括して担当した方が効率良さそうね」 恵子「よっしゃ、晴海それやれ!」 神田はホワイトボードに「プロデューサー 台場」と書いた。 神田「ということですね、監督」 台場「プロデューサーなんだ、私…」 岸野「あと監督、俺たちシネハン担当していいですか?」 恵子「何それ、シネハンって?」 岸野「ロケハンとも言いますが、撮影に使える場所を探して回る仕事です」 浅田「カメラテストも兼ねたいので、俺たち2人で回ろうと思うんですが」 恵子「わあった、お前らに任す」 「あと私、内勤系の事務やらせて下さい」 ホワイトボードを背に、唐突に神田が進言する。 恵子「ないきんけい?何やるつもりだ?」 神田「これだけのシーン数のある映画作る以上、記録係要りますよね?」 国松「確かに要りそうね」 神田「それにスケジュール管理も要ると思うんです」 恵子「と言うと?」 神田「このシーン数から考えて、効率良く撮れるように撮影の順番考えなきゃいけないし、それにクッチー先輩の試験のスケジュールも考慮しなきゃいけないし」 朽木「すまんねミッチー」 神田「あと他のOBの方々にも小まめに連絡しなきゃいけませんから」 荻上「まあ確かに、部室に来られる方多いからね」 神田「特にシゲさんは、撮影中はほぼ毎日連絡しなきゃいけませんしね」 恵子「わあった。じゃあその辺りの仕事、よろしくな」 神田はホワイトボードに「シネハン 浅田・岸野」「記録 神田」「スケジュール管理 神田」と書き加えた。 神田「千里、私特撮のことは全然分かんないから、特殊技術担当としてのアドバイス、よろしくね」 千里「うん」 いよいよ役割分担も決まり、本格的に始動した映画制作プロジェクト。 このまま一気にクランクインと思いきや、下準備作業はまだまだ続く。 そしてこのプロジェクトに次々と乱入者が… [[30人いる!その9]]に続く

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