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*TRUTH 【投稿日 2007/03/23】 **[[カテゴリー-斑目せつねえ>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/48.html]] 1, 心の奥 斑「次の会長はどうするの?」 恵「え~私まだやるつもりなんだけど。」 笹「そんなんでお前就活どうするんだ?」 恵「まぁ何とかなるんじゃン?」 荻「・・・・こんな適当な人に会長を譲ってよかったのか未だに悩んでます」 荻上の卒業式のげんしけんOBも含めた追い出しコンパで皆はそれぞれ話しをしていた。コーサカと久我山は仕事でいない。 咲「じゃー荻上の卒業と漫画家としての成功を祝ってかんぱーい」 全「かんぱーい!」 皆が乾杯しいざ宴が始まろうとしていたその時 笹「えーちょっといいですか」 咲「ん?」 笹「実はですね・・荻上さんも卒業して連載漫画を一本もって僕も仕事が軌道に乗ってきたこともあり・・・・僕たちこの夏に結婚します!」 全「えー!!」 大「ほ、ホントですか荻上さん?」 荻上は最大級の赤面顔になっていた 荻「・・・ホントです」 大「わーわーどうしましょどうしましょ何のコスプレしましょうか」 咲・荻「しなくていい(です)!」 衝撃の結婚発表から数ヶ月後、結婚式を数日後に控えて笹原と斑目は新宿の同人ショップに来ていた。 結婚したら常時荻上さんが家にいるのだから買い物に行きずらくなるということで、独身最後の買い物兼飲みをしようということで斑目から誘ったのだ 斑「やっぱOVAだけに1万はたけーよな」 笹「普通に2期製作してくれないっすかね」 いつものように他愛もない会話をしているところ、ふと見覚えのある声が耳に入ってきた 咲「なんで!また仕事!?これで4週間も会ってないよ!荻上の卒業式のときも来なかったし、、、、結婚式は来れるんだよね、、、、分かった、、、じゃ」 大きくため息をつく咲を見つけ斑目は躊躇しながらも話しかけた 斑「あれ~春日部さん」 咲「お!笹やんに斑目じゃん!何しに、、っておめ結婚式の直前だってのに何やってんだ!」 二人が抱える紙袋の中には大量のグッズが入っていた 斑「笹原の独身最後の煩悩を手助けしに来たんデスヨ」 咲「ふーん、いささか助けすぎじゃない?あっ、丁度あたし店閉めるところなんだけど飲みに行かない?ホントは高坂が来るはずだったんだけどあの馬鹿エロゲー作りがおわらねーとさ」 いつものように「高坂と」に多少の心苦しさを覚えつつも普段どおりに斑目は振舞っていた 斑「あーいいね、近くに行きつけのお店があるんだけどいってみない?」 咲「よし、決定!ほら笹やんも早く早く」 いきつけといってもたまに会社の人達とたまに来る程度の一軒の飲み屋に入って行く。 今日の咲のペースは早い。いつも早いほうなのだが今日は普段の大野さんを大幅に超えるほどのハイペースで飲んでいる。 おかげで一時間もするとすっかり酔って、高坂への愚痴が始まった 咲「コーサカがさ~エロゲー作りが忙しいって言ってぜんぜん会ってくれないのよ~。やっぱエロゲーで十分なのかな~」 笹「・・・そーゆー答えようのないことを言わんでください」 その後も延々とコーサカへの愚痴が続いていた。しかしその愚痴がだんだんとその形態を変えていった。 最初の愚痴はノロケと紙一重のかわいいものだったが30分もすると真剣なものへとなっていった 咲「笹やんが結婚するっていってさ、あたしもコーサカとの結婚をちょっと意識してみたんだ、でもさ今みたいな何週間も家を空けることがしょっちゅうある上にあの天然の性格でしょ?だから現実的な未来ってものがまったく見えてこないのよね。」 斑目は複雑な気持ちで聞いていた。安心することを諦めたということは同時にわずかながらも期待を心の奥底に持っておくことを意味する。それだけにコーサカへの真剣な愚痴は聞いているのがつらかった。 咲「・・・やっぱ別れるのかな、、そろそろ」 笹・斑「!?」 突然の咲の言葉に二人は激しく動揺した。そう、激しく動揺した。 咲「電話は向こうからかけてこないと大抵つながらないし、おかげで今日まで3週間一言の会話もなし。友達にもさっさと別れればって言われるしさ、、、」 斑目は咲がため息をつくとコップを口につけたまま固まっていた。あわてた笹原が励ましの言葉を発した。 笹「高坂君が春日部さんのことを何よりも大事に思っているのは皆しってますよ。高坂君とは親友だし別れるなんていわないでくださいよ」 笹原の軽い苦笑いを含みつつもきちんとした励ましを受けるにしたがって、咲も段々と元気になっていった。そんな中斑目は笹原とともに励ましつつちびちび酒を飲んでいた。 2,決定 結婚式当日 笹荻の結婚式があと少しで始まる時間まで来ていたが高坂の姿はまだなかった。 咲「おっそいなーもう式始まっちゃうよ」 田「電車かなんかが遅れてるんじゃないかな?」 TRRR・・TRRR・・ ふいに咲の電話がなった 咲「あっ、コーサカだ!はいもしもし、、、、、、、えっ!何言ってるの!?、、、、『今日は』ってのはこっちのセリフよ!、、、、ねぇ待って!」   「ツーツーツー」 咲はうつむいたまま動かなかった。 皆が何が起きたのかを察したが言葉には出さなかった。 特に斑目は5日前の電話越しでの喧嘩を目撃しているだけに気が気ではなかった。 咲「・・グスッ」 全「!?」 咲は泣き出してしまった。皆おろおろしはじめた。斑目には泣いた理由について全て察しが着いてしまった。 コーサカと話すのもあの電話以来だろうし、なにより大した励ましの言葉も見つからずありきたりの励ましばかりでひたすら酒をのんでいた頼れない「オタク星人」 の自分と違って、ついこの間別れようか悩んでいた咲を必死に励まして高坂を「親友」と呼んでくれた笹原の結婚式なのである。 その結婚式を欠席するということで咲の心の堤防がついに崩れたのだろう。 咲「どうして・・・今日だけは・・・」 斑「・・・」 咲「あいつらは・・・親友なのに・・・」 長い沈黙。斑目は何もいわなかった。何を言っても彼の心は茨の道であることを理解していた。 その後大野達によってなんとか咲も落ち着き、結婚式は滞りなく終わった。結婚式の後、げんしけんメンバーのところに笹荻が来た 大「荻上さ~ん笹原さ~んおめでとうございま~す」 笹「相変わらず酔ってますねー大丈夫ですか?」 大「うふふふ・・・だいじょうぶですよ~」 田「悪いな笹原。こんなめでたい席で」 いつものげんしけんメンバーで話をしていた。 『何をいっても茨の道・・か』 斑目が深いため息をついていると 高「おそくなってすいません。笹原君荻上さんおめでとうございます」 咲「あっ・・」 高坂が来たのだ。おそらく急いだのだろう、多少息が荒い。 笹「あっ高坂君、ありがとう。仕事は大丈夫?」 高「うん。ある程度のめどがついたから今日は帰っていいことになったんだ。」 高坂が来て皆が一安心している中、咲は一人悲しそうな-しかし真面目な-顔をしていた。 咲「・・・どうして」 高「ん?」 咲「どうして今日これまでこれなかったの!」 高「それは電話でいったのと・・」 咲「つまり仕事で来れなかったんでしょ!笹原と荻上の結婚式に!」 高「うん」 咲「コーサカこの間電話で結婚式は来るって行ったじゃない」 高「それは」 咲「いい!言い訳ならいいよ!笹原はあんたと別れようか真剣に悩んでたあたしの話を聞いて、あんたの事を『親友』って呼んでくれたのに!」 高「咲ちゃん」 咲「それなのにコーサカは結婚式にこなかった・・」 高「咲ちゃん」 咲「笹原だけじゃない、他の皆だってコーサカが来なかった追い出しコンパとかでも心配してくれてたんだよ!」 高「咲ちゃん!」 咲「それなのに・・それなのにコーサカは・・」 高「咲ちゃん!」 咲「もういい!別れ・・」 高「咲ちゃん結婚しよう」 咲「笹原と荻上には悪い・・・え??」 咲だけでない。皆が驚いている。高坂が来るなり突然プロポーズしたのだから当だ。 もちろん斑目も 『高坂が・・・プロポーズ!?』 高「ホントは昨日までに仕事終わらせたかったんだけどさ。終わらないと今月の給料の前借を許さないって言われちゃって」 「パカッ」という音がすると高坂の手には指輪があった。 高「2ヶ月前から予約はしてあったから5分でもらえたんだ。そのおかげでなんとか今日プロポーズできたよかったよ」 咲「・・2ヶ月も前から?」 高「うん」 斑目の気持ちは深く深く沈んでいった。理由は咲がついにプロポーズされたからだけではないと分かっていた。 『コーサカ・・・こんなにいい意味で純粋に素直に生きている人間・・・』 斑目の頭には自分の行動がどんどん流れ出てきた。部室で初めて二人だけでいたときのこと。現視研が活動停止の時の発言。寿司屋。咲の卒業直前での部室。咲達の追い出しコンパ。それにこの間の居酒屋などなど。そして斑目は感じた 『器が・・・違う』 斑目はその瞬間、悲しみと供に、安心できる、してもいいような気がした。 咲「そ、そんない、いきなり」 高「いきなりかな?自然なことだと思うよ。僕は咲ちゃんが好きです、ずっと一緒に居たいです。咲ちゃんはどうですか?」 咲「・・・・そっか・・・・・ありがと。」 高「ん・・じゃあ」 咲「結婚・・・しようか」 その言葉で周囲は歓喜で溢れそうになった。斑目も、である。 大「おめでとうございます!」 ク「お、おめでとう」 笹「ははっ、主役とられちゃったなぁ」 恵「まぁ主役なんてアニキには似合わなかったんでしょ」 皆が喜んでいる。咲は特別に満面の笑みで喜んでいる。その満面の笑みの中には一粒の涙があった 3,動揺 数ヵ月後の7月、咲と高坂の結婚式の二週間前に現視研メンバーは集まって飲み会を開いていた。 大「結婚生活はどうですか?」 笹「いやあ・・まあ普通ということにしておいてもらえますか?」 荻「・・・別にもう森川さんや安沢さんと飲みに行っても気にしませんよ」 笹「いやだからね、あれはあくまで打ち合わせというか接待というものであって・・」 荻「だから別にいいんです」 斑「ちわーす」 斑目が遅れてきた。最近斑目は仕事に精を出している。以前より会社の人と話すようになったし、昼飯を社の人間と食べることも増えている。 しかし斑目は今日残業したから遅れてきたのではない。一度家に帰ってあるものをとってきたのだ。 そして斑目は今日、ある覚悟を決めていた。 咲「おっ、斑目~遅いじゃん!!どうしたの?」 斑「いや~最近会社の業績も伸びてきて残業も増えましてネ」 咲「ふ~ん。あ、そういえば今日あたしと」 咲は隣の高坂の腕をつかんだ 咲「コーサカの結婚式の招待状送っといたわよ~ん」 そう言うと咲はコーサカの頬に軽くキスをした。その姿を見て斑目はわずかな不安がなくなり100%確信した 『これなら・・笑ってすませられるな』 飲み会は順調に進んでいった。大野と恵子は酔って笹荻にからみ、久我山と田中と朽木と斑目はプシュケの新作のエロゲーについて語り合っていた。そして高坂と咲はくっついて話していた 笹「じゃあ僕達はそろそろ・・」 大「ええ~帰っちゃうんですか?」 笹「ちょっと明日荻上さんの漫画の重大な打ち合わせがありまして。じゃ、先に失礼します」 斑「おう、じゃあ結婚式でな」 笹原と荻上が帰ったので絡み上戸の大野と恵子は手持ち無沙汰になってしまった。 斑「ちょっとトイレ行ってくら」 と、斑目がトイレに行ったので次の標的を斑目に決めた 大「斑目さん・・咲さんの結婚についてどう思ってるんでしょうね~うふふ」 恵「え~別にあんなオタクもとから諦めてんでしょーし大したショックもないんじゃん?」 そんなことを話しながら大野がふと右を見ると斑目のリュックから何かがはみ出ている。 大「あ、あれなんでしょうね~」 大野はどうやらそれを次の絡みネタに使おうと思ったのである。さっそく手に取るとそれは普通の茶封筒であった 大「え・・・」 中を見てみるとそれは例の斑目の『最後の砦』。そう、春日部のコスプレ写真である。 恵「こいつこんなもん持ってたの!?ってかなんでもってきてんだ?」 一瞬の沈黙そして敏感な二人はすぐに察する 恵「あいつやっぱ、、、、、、、、、ってことだよな」 恵子が大野に耳打ちした 大「ええ、それで間違いないと思います」 恵子は立ち上がった。 恵「ちょっとトイレ」 そう言うと恵子はトイレの前まで行った。斑目が出てきた 斑「なんだい?恵子会長」 恵「おまえちょい来い」 斑目を廊下に連れて行った恵子の目は厳しい目をしていた 恵「何を考えてる?」 斑「へっ?いや別に何も・・」 恵「うそつけ!じゃあなんなんだこれは!」 バサッ、という音と供に出されたのは斑目の最後の砦であった。 斑「えっ!???いや・・・・・・・べつに・・・・・そんな・・・」 斑目は動揺した。咲のコスプレ写真を手に持って怒りの表情を浮かべている。そんな事をする理由は― 恵「お前・・今日告白するつもりだったろ」 斑「・・・・」 その通りだった。今日決めてきた「覚悟」とは咲に好き「だった」と言うことだった。今の状態なら言っても悪い関係にはならないと判断したからだ。そして「安心」しようと思っていた。 『ばれた・・・・のか。どうする?説得するか?この何年かの自分の苦しみ、後悔を説明すればわかってくれるんじゃないか?』 『そろそろ俺も安心していいじゃないか。そうすれば俺も次に進めるじゃないか・・・・。』 斑目の頭がスナネズミになっているなか、恵子が思いもよらぬ言葉を発した 恵「お前・・いま春日部ねーさんがどんな状態か知ってるのか」 斑「えっ・・」 恵「ねーさんはな、今でもコーサカさんと中々会えなくて、このまま結婚してもいずれ別れちゃうんじゃないかって不安でいっぱいなんだぞ!」 斑「!?」 『そんなばかな・・・あんなに・・・』 斑目の心はグラグラと揺らいだ。ここ二ヶ月限りなく0に近ずいていた期待が0に近いままではあるが以前の何倍にも膨れ上がるのを感じた。そしてそんな自分に-これはここ最近で二度目だが―ひどい嫌悪感を持った 恵「お前が覚悟ができてないからずるずると気持ちをひきずってるのなんか知らないがお前が今告白して春日部ねーさんを動揺させてあの二人の幸せを邪魔するのだけはゆるさねぇからな!」 そう言うと恵子は斑目に封筒を押し付け何事もなかったかのように戻って行った。 斑目はただひたすらそこに立ち尽くしていた。 斑目は皆にあいさつもせずに飲み屋を後にした。そして家に着くと斑目はベッドにうつぶせになった。 『俺にはあの場で告白する本当の覚悟ができていなかった・・・・本当に覚悟ができていたのならあそこであんなに動揺しないはずだ・・・』 その後、斑目はゆっくりと立ち上がり、ポストに向かい、中から一通の封筒を取り出し、その中にある紙に書いてある『欠席』に丸を書いた。 高坂と咲の結婚式の前日、斑目はパソコンをいじりながら考え事をしていた。 『あれで・・・よかったのかな』 数日前、二人の結婚式の招待状に「欠席」の返事を送った。飲み会で恵子に言われたことが原因じゃないといえば嘘になるがけっしてそれで気まずくなったからというわけではなかった。 『あいつらがうまくいってないってわかって二度も馬鹿みたいなこと思った人間が結婚式にはいけねーよな』 あの飲み会以来何度も考えた。咲と高坂の結婚式に行かず現視研メンバーと疎遠になってしまえば本当に仲のよい友人はいなくなる。 会社の人間も一応あの二ヶ月間によって親しくはなったものの自分のオタク趣味を公開できた人間は一人もいない。 『・・大した仲間もできずにこのまましがない人生過ごして終わりかな』 そんな事を考えていたところ不意に斑目の携帯が鳴った。 斑「笹原・・?」 携帯の画面には笹原の名前が映っていた。 斑「なんだろう・・・もしもし」 声「あ・・斑目?」 『!?』 笹原の携帯でかけてきたのは恵子だった 4,同類 斑「あ・・うんそうだけど」 恵「あんた・・明日の結婚式来ないんだって?」 斑「・・・」 斑目は何も言わなかった。あの飲み会の日のことが頭に浮かんできた。 恵「・・気にするな」 『気にするなって・・』 斑目はまだ無言だ。 恵「あんたの気持ちはわかるけどさ」 斑「・・・」 斑目は恵子のいつものテンションにだんだんと腹がたってきた。自分が悪いのは十分分かっている。だがそれでも放っておいてほしい時にこれはきつかった。 恵「ねーさんもあんたが来ないの寂しがってるからさ」 斑「・・・何でわかる?」 恵「え?」 斑「何で俺の気持ちが分かるって簡単に言えるんだ!」 斑目は気がつかないうちに大声を出していた 斑「俺は春日部さんと高坂がうまくいってないって聞いて・・素直に悲しめなかったんだ!しかも2度も!そんな人間が・・結婚式に行っていいわけないだろう!」 恵「、、、、同じじゃん」 斑「え?」 恵「あたしと同じじゃん、って言ったの」 斑目は訳が分からなかった。なんだかんだで現視研メンバーでなにかと自分と一番かけ離れているのは恵子だと思っていた。 斑「・・どこが同じなんだよ」 恵「今の境遇がね」 斑「だからどこがだよ」 恵「・・・・・コーサカさんも・・・・」 斑「!?」 恵「結婚するのは・・春日部ねーさんだけじゃ・・ないんだよ」 『あっ・・』 斑目はすっかり忘れていた。恵子が現視研に入りびたるようになったのは高坂に近ずくためだったことを。そしてひょっとしたら恵子も― 恵「あたしもあんたにあんな感じで怒っちゃったけどさ・・実は人のこと言えなかったんだよね」 やっぱり―斑目の予想はあたった。恵子も高坂のことで自分の中にあってほしくない気持ちがあったことに気がついたのだろう。 恵「あたし・・・・告白しようとしたんだ。アニキの結婚式の日に。もう耐えられなくて、もちろんねーさんに断りを入れて相談してからのつもりだったけどね。 そんでその日に覚悟決めたつもりで行ったらアニキに言われたんだ。『お前・・告白する気だろ』って。ははっ、まさかアニキにこんなこといわれるとはね・・あたしもオタクくさくなったもんだよ。」 斑「・・・」 恵「そんであたしは怒られたり怒鳴られたりするのかと思って構えてたらさ、あのアニキはこう言ったよ、『おまえ現視研好きだろ』って」 『現視研・・仲間・・?』 恵「これを言われちゃーな、なんも出来ねーっつーに。なぁ?」 『そうか・・現視研が好きか・・・か。さすがだなぁ笹原・・。が、それならば・・・・・敢えて言おう!』 斑「ありがとう恵子ちゃん。俺は結婚式に行く。そして・・恵子ちゃんは反対するかもしれないけどちゃんと自分の気持ちを告白する」 恵「は!?えっいや、ちょ」 斑「もう決めた。おれも覚悟を決めたんだ。じゃ」 恵「え!ちょっと・・」 ツーツーツー 電話はきれた。      斑目は笑顔だった。 5,告白 恵「まだ来ない」 結婚式当日、恵子はあの後何度も電話をかけたがでない斑目に尋常じゃない覚悟を感じ、他の人にばれないように斑目の告白を止めようとしていた。 笹「どうした恵子、もう式始まるぞ」 恵「ん?いやちょっと・・トイレにね」 笹「ふーん・・。じゃあさっさと戻って来いよ。ところで斑目さん知らないか?」 恵「ええ!ん、ああ、まだ来てないよ」 笹「ちょっと電車が遅れてるって言ってたからなあ、、見たら席教えとけよ」 恵「う、、うん」 しかしその後も斑目は来ない。式まであと2、3分しかない。仕方がなく恵子は席に着いた。そして式がまさにはじまろうとして咲が部屋から出てきた。 咲「ふ~さすがに緊張するな」 斑「やーあ春日部さん」 咲が振り返るとそこには汗をかいて息が少しあがっている斑目がいた。 咲「あんた来てくれたの?え、でも招待状には欠席って・・」 斑「いや・・まぁ・・急に用事が消えてね。それでまぁ・・きたって訳ですよ」 咲「ふーん、ま、来てくれてありがとね。じゃあ中にあっちの出入り口から入っといて。もう式始まっちゃうから」 斑「あの・・春日部さん」 咲「ン?」 ガタン、という音が静かだっただけに若干響いてドアが開くとそこには恵子が立っていた。 最後の確認にきたのだろう。恵子の顔がみるみる青ざめていった。そして怒りの言葉が発せらられそうなそのとき、斑目は静かに言った 斑「春日部さん・・・おめでとう」 恵子は驚いた。口からでそうになっていたセリフは体の奥へ消えていった。 咲「え・・あぁうん、ありがと。なんか改まって言われると恥ずかしいね」 斑「いやいやなんつーかね、うん・・まぁおめでとうって事だ。こんな席に仕事くらいでこねーのはやっぱりとおもって来ちゃったよ。」 咲「うん・・・・ほんとにありがと。式もう始まるから恵子と中入っといてね。んじゃ、あとでね!」 ガチャリ 唖然としている恵子を斑目がドアを開け中に入れる 斑「早く行かないと・・・もう今にも式が始まるんだから」 そのまま恵子を引き連れて斑目は席に座った。そして一息ついて斑目は思った 『これで・・本当に終わりだ。  今度は嘘じゃない  』 大「いやー咲さんきれいでしたねー本当に感動しました!」 久「こ、これで現視研内で3組目だね」 式は無事終わり、各々が話している。大野は感動で少し泣いているようだ。恵子以外のみんなが満面の笑みを浮かべている。特に斑目が。 恵「斑目・・ちょっと・・」 斑「ん?なんだい?」 恵子は斑目を連れ出し、そして問いただした 恵「おまえ・・告白するんじゃなかったのか?」 『やっぱりそうか・・そりゃそうだよな・・』 斑目は今日は恵子と話さなければならないだろうと覚悟していたのでこうなることは予測済みだった 斑「したよ・・あれが告白だ。あれが今の俺の気持ち、正直な気持ちだ」 恵「・・・・なんでだよ」 斑「え!?」 恵「なんでそんな風に簡単に割り切れるんだよ!!」 『え?・・・まさか実は恵子ちゃん・・・まだ俺と同じなのか?』 恵「あたしは・・・あんたに電話もしたし説教もしたのに・・・今日のあんたの告白を全力を出してとめられなかったよ!」 『やっぱりそうか・・・・・・ってそりゃそうか俺より4つも年下なんだからな。』 恵「あんたに電話したのだって大野が言ってきたからだし今日だってもっといろんな方法が・・」 斑「恵子ちゃん・・」 恵「みんなすげーんだよ・・あんたも・・ねーさんも・・」 斑「いや違う」 恵「違わねーよ」 斑「いや違うんだよ。恵子ちゃんも言ったじゃん状況が同じだって。おれだってまだ電話のあった時と大して変わっちゃいないよ」 恵「・・・・変わって無くてあんな・・あんなことできるのかよ」 斑「できるさ、『気がつけば』ね」 恵子は訳が分からない、とでも言いたげな顔をしていた 斑「笹原は言ったじゃないか『現視研が好きだろ』って。現視研の仲間のほうが今の俺にとっては何百倍も大事なだけだよ」 恵「そうやって割り切れるところがすげーって言ってんだよ!ちくしょう・・なんでだよ・・前までは今までの関係でよかったのに・・・それ以上を全く望んでもいないのに・・なんなんだよ・・・どうすればいいんだよ」 斑目の心は穏やかだった。目の前で異常なまでに悩んでる女子がいる状況とは思えない落ち着きようだ。不思議と斑目は自分がどんな事を言えばいいのか理解していた。 斑「んー、これはセリフの受け売りなんだけどね。『忘れたい物ほど心には重く重く残ります。でもそれを忘れようとはねつけてはいけない。どうするかというと、想い出にするのです 想い出にすればそれは現実ではなくなる。そして想い出がよみがえった時に人はそれを糧に先に進むことができる』ってゆーね。要は多少期待したりするのは仕方が無い 大事なのは変わっていくことを現実にひきずるか想い出にするかどうかってことさ。そしてそれにさえ気がついてれば次に進める。それに・・これはオリジナルだけど・・・・皆が望んでいるものは変わらないんだよ。」 斑目は長いセリフを言い終えてふと、思った 『漫画って人生の役に立つな・・・まぁいいか、事実だし』 恵子はしばらく黙ってうつむいたままだった。やがて顔をそらしつぶやいた 恵「ふん・・そんな事まで漫画頼みかよ・・・ほ、ホントにオタクだな・・・あ、あんたは・・。」 斑「まぁ・・それでいいんじゃない?なんたって俺の前世は蛇だからな!!」 恵「はぁ!?なんだよそれ?オ、オタとか以前にい、意味わかんねーし」 斑「ははっ・・・・。じゃ、行こうか?みんな待ってるし」 恵「先行ってていいよ・・・トイレ行ってくるから・・・」 『泣き顔は見せられない・・ってとこかな・・・・まぁいっか』 斑「ん・・・・じゃあ先に行ってるよ。」 斑目は向きを変え二次会の会場へ歩いていった。 『あー・・・・・夏コミ楽しみだなー・・・ひぐらしはもうないのが残念だけど。』 笹「あっ斑目さんどこ行ってたんすか。今今度の夏コミどうしようか話してたとこですよ」 咲「おいおいあんたらあたしの結婚式でまでオタトークかよ。ったく、よく飽きねーな。」 斑目はコーサカと供に居る咲を見た。 『まぁ・・・・いい恋だったんじゃないかナ?』 斑「初日はともかく2日目は始発で行かなきゃな。スーや新入会員は?」 荻「あ、現役の人たちは漫画喫茶で待機するらしいですからたぶん別行動になっちゃいますよ」 咲の言葉があってもオタク最大の祭りコミフェスについての話題をやめない現視研メンバー。そしてそれに辟易とした風ながらも話の輪にいる咲。 恵「どーも、現役はまだまだ元気なんでね!」 そこに「トイレ」から戻った恵子が加わる。そしてまた話は続く。       変わっていったことを想い出にして 本当に大切なものは変わらずに――――

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