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*キミハイキノコルコトガデキルカ 【投稿日 2005/12/02】 **[[カテゴリー-現視研の日常>URL]] 「こ、これで終わり?」 土曜日のマッタリとした夕方、 テレビ画面に向かって唖然とした表情を向けたのは荻上。 「え、え。もうちょっとフォローとかないの? シンにしろルナマリアにしろまだほら・・・。」 そうはいってもTV画面の映像はエンディングが映っていた。 テレビ欄にも、しっかりと終、のマークがついていた。 「な、な、納得いがねーーー!!」 「やっぱり種死、ひどかったすねー。」 「まあ、トミノ以外のガンガル自体駄目なんだよ。」 斑目と笹原は相変わらずのんびり会話している。 「そういえば。おまえ、就活大丈夫なのか?」 「先輩には言われたくないっすねー。」 就職しても来る斑目。就活中の笹原。 「む・・・。まあ、頑張れや。」 「はは、ありがとうございます。」 「まー、種死、長かっただけにがっくりだわな。」 種死、すなわちガンガルSEED・DESTENYのことである。 SEED=種、DES=死というところから種死という愛称がつけられた。 「途中から作画は使いまわしだし、総集編も何回やるんだって感じでしたね。」 「やっぱ脚本が駄目駄目だったっていうか、遅れまくってたんだろ?」 「らしいっすねー。しかも遅れたわりに面白くなってない。」 「そりゃ問題だ。主人公も途中から誰やら・・・。」 「シンじゃなくてキラになっちゃいましたもんね。」 種死は、当初シン、というキャラだった。 だが、途中から前作種の主人公キラがクローズアップされた。 「とうとう新しいエンディングスタッフロールでも名前は三番目。 話の中でも悪役。可哀想なことこの上ないな、シン、ってキャラは。」 「脚本家が大のキラ好きらしくて・・・。」 「ふーん。まあ、やっぱトミノ以外は駄目だな。」 「この前のZの映画、好評だったみたいですね。」 Zの映画、というのは、昔テレビシリーズで放映された「Zガンガル」という作品を、 ガンガルの生みの親、トミノ監督自身が再構成、三部作として作り直したものだ。 その第一部が先日公開された。 「ふふん。だからいったろ?トミノに外れはねえって。」 「でも、俺Z苦手なんすよね・・・。」 「なんでだよ。傑作じゃねえか。」 「人死にすぎっすよ・・・。」 「それが戦争じゃねえか!わかってねえなあ。」 「でも、エンディング数話でほとんどの主要メンバーが死ぬっていうのも・・・。」 「むう。確かにあれはやりすぎだったかもな。」 「ZZはどうなんすか?」 ZZとは、Zの続編。エンディング一ヵ月後が舞台だ。 「プルとプル2がいるからよし。」 「そこっすか。」 プルとプル2というのは、 ZZに出てくるロリ、つるぺたキャラで、かつ実験で生み出された強化人間で、双子。 これ以上無いほどの萌記号の集合体であり、当時アニメ雑誌はこのキャラ一色だった。 「内容は、まあ、置いとけ。」 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。外れはねえ、っていってたじゃないすか。」 苦笑いを浮かべる笹原。 「う・・・。まあ、それも込みでな!」 「意味わかんねっすよ。」 斑目のごまかしに笑うしかない笹原。 「じゃあ、なによ。お前はどれが好きなんだ?」 「えー?そこまでガンガル自体は良く見てないんすけど・・・。」 「素直に言え。」 「クロスボーンガンガル、とかいったら怒りますか?」 「おいおいおいおいおい。」 クロスボーンガンガルとは漫画誌で連載された、 映画ガンガルF91の続きとして描かれた作品。 「あれはガンガルかー?」 「ええー。素直に言えっていったじゃないすか。」 斑目は怪訝そうな顔をした。 「だってよー。あれ一応トミノ原作だけどよ、漫画家の補正入りまくりじゃねえか。」 「でも、少年漫画チックで面白かったすよ。」 「むう・・・。そういう見解もあるのか。」 「それとか、Gとかも好きでしたよ。」 「熱いけどなあ。あれはガンガルじゃないと思ってみる分には面白かったな。」 機動武道伝ガンガルG。熱血アニメを地で行ったこれは、通常のガンガルとは一線を画す物だった。 「そうすね、宇宙世紀があんまり好きじゃないのかもですね。」 「おいおい。ガンガルそのものを否定する発言じゃねえか。」 「あはは・・・。すいません・・・。」 ガチャ。 「こんにちは。」 「あ、こんにちはー。」 「こんちは」 そのタイミングで入ってきたのは荻上。 「斑目先輩、よくいますね。」 「ははは・・・。ツッコマナイデ。」 「そうだ、荻上さん。種死最終回見た?」 待ってましたとばかりに話しかける笹原。 「見ましたよ・・・。本当、納得いきません・・・。」 「あはは・・・。荻上さんから見てもやっぱりそう?」 「そりゃそうですよ!いくらキャラに魅力があってもあれはないです。」 そう断言する荻上は、いまだ消えない怒りを込めていった。 「ステラのあたりまでは面白かったのにね・・・。」 ステラ、とはシンが好意を寄せることになるキャラだが、敵側のパイロット。 実験で強化が行われており、精神が不安定になったり、記憶操作が行われたりした。 そういうキャラのガンガル的定めというか、途中で死んでしまうわけだが。 「そうだなー。ステラあたりまでの評価は高いよな。」 「あの辺が良かったから、見るのやめるわけにもいかねし・・・。」 少しすねた表情になる荻上。 「まあね・・・。俺も同感。」 「一回見始めたらよっぽど悪くないと見ちゃうもんだからなあ。」 種死、確かに脚本は評判が悪いが、作画陣が奮闘し、映像は良いものであった。 「キラ強すぎなんですよ!まったく無傷で勝つなんて面白くもなんともない・・・。」 「まあねー。キラは強すぎだったよね。」 「戦闘におけるカタルシスがないよな、あの展開じゃ。」 うんうん、と頷く三人。 「話的にも無理ありすぎですし・・・。本当、納得いきません!」 「まあまあ。数話前から予想できたことでもあったじゃない。」 「そういえば、そうでしたね。前々回の話のとき・・・。」 そういって二人で話を始められてしまい、入れなくなってしまった斑目。 一応全話見てるので、入れないはずもないのだが。 笹原と荻上の会話が違う日にこの二人が話した内容を踏まえてのことなので、 そのときに会話に参加してなかった斑目は入りずらくなってしまった。 (なんか、いずれえな。むう。) 少し思い当たることがあった。笹原はガンガルがめちゃくちゃ好き、というわけではない。 普通の人よりかは確実に造詣が深いとは思われるが、信者ではないのである。 前作種は一応見たようだが、それもそこまで高い評価していたわけでもなかった。 その笹原が、ここ数ヶ月種死をしっかりと見てるのである。 (なるほどな。) 笹原が荻上さんとの共通話題として種死を見ているとすれば。 先ほど笹原が、荻上が来たとたんに話を振っていたこともわかる気がした。 (ふーん。会話、すごく自然じゃねえか。) 斑目が大学にいた頃に比べて、荻上は良く話すようになっていた。 表情は相変わらずだが、その話し方には当初の棘がなくなっていた。 (笹原、荻上さんと率先して話すようにしてるんだな・・・。) もちろん、見たくないものを無理やり見てるのではない。 前は眺めるようにみていたものをしっかりと見るようにしたのである。 二人の会話に耳を傾けると。 「そういえば、あいかわらずアスランが好きなんだよね。」 「そうですね・・・。一番、魅力的だと思いますよ。」 アスランは前作種でキラの親友、種死でシンの上司といった形で登場した。 キャラの行動がぶっ壊れかけていた種死において、一番筋の通っていたキャラなのかもしれない。 「そういえばさ。どっちとくっついたんだろ。」 「カガリですよ。メイリンはありえません。」 カガリは前作のラストでアスランとくっついたキャラ。 メイリンは、シンが所属する部隊からアスランが脱走するとき共に逃げたキャラ。 アスランに好意を寄せていたようだ。 「へえ。なんで?」 「そりゃ・・・。前作からそういうカップルだったわけですから。」 「そっか。でも、メイリンと二人のシーンとか見ると・・・。」 「でも、アスランはカガリを裏切ったりしませんから!」 この発言は、ある意味、彼女の願望が表れているようにも思えた。 「だね。そうだと、俺も思うよ。」 そういって、にっこり笹原は笑う。実際、その方がいいと、笹原も思っていた。 「あ・・・。いや、別に・・・。ちょっと熱くなりすぎました。」 自分の発言の恥ずかしさで顔を少し赤くする荻上。 「あはは・・・。」 ガチャ。 「こんにちはー。」 そこに登場するは大野。 「あ、こんにちは。」 「こんにちは。」 「うーす。」 「皆さん、種死見ました?本当ありえませんでしたねえ。」 「あはは・・・。やっぱそう思うんだ。」 大野の口から出た話題も種死のことであった。 「荻上さんも、そう思いましたよね?」 「そうですね。そう思いました。」 「そうですよねー。いくらキャラがいいっていってもあのストーリーは無いですよね。」 荻上とまったく同じことを言う大野。 「さっき、荻上さんも同じこと言ってたよ。」 すこし、笑いながら、笹原はいった。 「やっぱりそうですか。」 「まあ、そうですね。」 この二人の会話も、少し自然になってきた。 「あ、そうだ。荻上さん、この前約束してたもの、もって来ましたよー。」 その言葉にビクッと体を震わす荻上。 「ちょ、ちょっと待ってくださ・・・!」 いうより早く、取り出されたのは数冊の同人誌。 当然、その内容は、推して計らずもかな、である。 「やっぱり私とは受け攻めの趣味が逆ですねえ。」 そう、ヤオイ本である。 「でも、約束どおり、この前のオンリーで出てた新刊、買っておきましたよ。」 「うあ・・・。」 うめき声を上げる荻上。その光景に苦笑いするしかない笹原と斑目。 「そうそう、これはいい出来ですね!「アスラン総攻め本」! 私としてはアスランは受けなんですが、これは良かったですよ! 流石、いいサークル選んでますねえ。」 大野は荻上の同人誌を選ぶ上での目の確かさを評価していた。 「では、どうぞ。」 満面の笑顔で大野にその束を渡され、言葉も出ない荻上。何とか言葉を搾り出す。 「・・・あ、ありがとうございました・・・。」 「いーえ。また何かあったらいってくださいねー。」 笑顔で話す大野、顔がすでに真っ赤で冷や汗だらだらの荻上。 「あはは・・・。でも、来週からもう無いと思うと少し寂しいね。」 「それもそうですね。毎週良くも悪くも話題になる作品てそうは無いですからね。」 「まーな。ガンガルの名前を冠してるだけあって、話題性は抜群だったもんな。」 「そうですね・・・。」 そういって、荻上には少し不安がよぎった。 (今度から何話せばいいのかな・・・。) 話題となっていた種死も、もはや無い。すぐに話題は消えていくだろう。 「今度はなんですかね?エウレカですか?」 「いやー、ローゼンメイデンだろー。」 「色々在りますよねー。でも、いい男が中々出てこなくて・・・。」 「大野さん的にはそうだろうな。」 「荻上さんは?何か注目してるのある?」 話を振られて、少しドキッとする。 しかし、今まで笹原や大野たちと話してきて、分かった事があった。 (別に話題を決めて話さなくてもいいんだ。 種死で始まる会話だったけど、その後色々違うこと話してるもんな・・・。) そう、アニメだけじゃなく、漫画、ゲーム、なんでもいい。 そのとき気になってるものを話してみればいい。 全てを受け入れる許容量が、この現視研にはある。 「そうですね。私は・・・。」 もうすぐ夏が始まりそうな陽気、今日も現視研は賑やかです。 部室の外、廊下にて 「なんで皆の前でわたすんですか!」 「ええ?何か問題ありました?」 「大有りも大有りでしょう!」 「だって、皆さんあなたの趣味知ってますよ?」 「で、でも、それでも・・・!」 「誰に見られたくなかったんですか?」 「いや、別に、誰ってわけじゃなくて・・・!」 「だって、今更じゃないですか。」 「まあ、それはそうなんですけども・・・。」 「じゃ、笹原さんがいなければいいんですね?」 「誰もそんなこといってないじゃないですか!」 「全く・・・。我侭ですねえ・・・。」 「どっちがですか!」
*キミハイキノコルコトガデキルカ 【投稿日 2005/12/02】 **[[カテゴリー-現視研の日常>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/49.html]] 「こ、これで終わり?」 土曜日のマッタリとした夕方、 テレビ画面に向かって唖然とした表情を向けたのは荻上。 「え、え。もうちょっとフォローとかないの? シンにしろルナマリアにしろまだほら・・・。」 そうはいってもTV画面の映像はエンディングが映っていた。 テレビ欄にも、しっかりと終、のマークがついていた。 「な、な、納得いがねーーー!!」 「やっぱり種死、ひどかったすねー。」 「まあ、トミノ以外のガンガル自体駄目なんだよ。」 斑目と笹原は相変わらずのんびり会話している。 「そういえば。おまえ、就活大丈夫なのか?」 「先輩には言われたくないっすねー。」 就職しても来る斑目。就活中の笹原。 「む・・・。まあ、頑張れや。」 「はは、ありがとうございます。」 「まー、種死、長かっただけにがっくりだわな。」 種死、すなわちガンガルSEED・DESTENYのことである。 SEED=種、DES=死というところから種死という愛称がつけられた。 「途中から作画は使いまわしだし、総集編も何回やるんだって感じでしたね。」 「やっぱ脚本が駄目駄目だったっていうか、遅れまくってたんだろ?」 「らしいっすねー。しかも遅れたわりに面白くなってない。」 「そりゃ問題だ。主人公も途中から誰やら・・・。」 「シンじゃなくてキラになっちゃいましたもんね。」 種死は、当初シン、というキャラだった。 だが、途中から前作種の主人公キラがクローズアップされた。 「とうとう新しいエンディングスタッフロールでも名前は三番目。 話の中でも悪役。可哀想なことこの上ないな、シン、ってキャラは。」 「脚本家が大のキラ好きらしくて・・・。」 「ふーん。まあ、やっぱトミノ以外は駄目だな。」 「この前のZの映画、好評だったみたいですね。」 Zの映画、というのは、昔テレビシリーズで放映された「Zガンガル」という作品を、 ガンガルの生みの親、トミノ監督自身が再構成、三部作として作り直したものだ。 その第一部が先日公開された。 「ふふん。だからいったろ?トミノに外れはねえって。」 「でも、俺Z苦手なんすよね・・・。」 「なんでだよ。傑作じゃねえか。」 「人死にすぎっすよ・・・。」 「それが戦争じゃねえか!わかってねえなあ。」 「でも、エンディング数話でほとんどの主要メンバーが死ぬっていうのも・・・。」 「むう。確かにあれはやりすぎだったかもな。」 「ZZはどうなんすか?」 ZZとは、Zの続編。エンディング一ヵ月後が舞台だ。 「プルとプル2がいるからよし。」 「そこっすか。」 プルとプル2というのは、 ZZに出てくるロリ、つるぺたキャラで、かつ実験で生み出された強化人間で、双子。 これ以上無いほどの萌記号の集合体であり、当時アニメ雑誌はこのキャラ一色だった。 「内容は、まあ、置いとけ。」 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。外れはねえ、っていってたじゃないすか。」 苦笑いを浮かべる笹原。 「う・・・。まあ、それも込みでな!」 「意味わかんねっすよ。」 斑目のごまかしに笑うしかない笹原。 「じゃあ、なによ。お前はどれが好きなんだ?」 「えー?そこまでガンガル自体は良く見てないんすけど・・・。」 「素直に言え。」 「クロスボーンガンガル、とかいったら怒りますか?」 「おいおいおいおいおい。」 クロスボーンガンガルとは漫画誌で連載された、 映画ガンガルF91の続きとして描かれた作品。 「あれはガンガルかー?」 「ええー。素直に言えっていったじゃないすか。」 斑目は怪訝そうな顔をした。 「だってよー。あれ一応トミノ原作だけどよ、漫画家の補正入りまくりじゃねえか。」 「でも、少年漫画チックで面白かったすよ。」 「むう・・・。そういう見解もあるのか。」 「それとか、Gとかも好きでしたよ。」 「熱いけどなあ。あれはガンガルじゃないと思ってみる分には面白かったな。」 機動武道伝ガンガルG。熱血アニメを地で行ったこれは、通常のガンガルとは一線を画す物だった。 「そうすね、宇宙世紀があんまり好きじゃないのかもですね。」 「おいおい。ガンガルそのものを否定する発言じゃねえか。」 「あはは・・・。すいません・・・。」 ガチャ。 「こんにちは。」 「あ、こんにちはー。」 「こんちは」 そのタイミングで入ってきたのは荻上。 「斑目先輩、よくいますね。」 「ははは・・・。ツッコマナイデ。」 「そうだ、荻上さん。種死最終回見た?」 待ってましたとばかりに話しかける笹原。 「見ましたよ・・・。本当、納得いきません・・・。」 「あはは・・・。荻上さんから見てもやっぱりそう?」 「そりゃそうですよ!いくらキャラに魅力があってもあれはないです。」 そう断言する荻上は、いまだ消えない怒りを込めていった。 「ステラのあたりまでは面白かったのにね・・・。」 ステラ、とはシンが好意を寄せることになるキャラだが、敵側のパイロット。 実験で強化が行われており、精神が不安定になったり、記憶操作が行われたりした。 そういうキャラのガンガル的定めというか、途中で死んでしまうわけだが。 「そうだなー。ステラあたりまでの評価は高いよな。」 「あの辺が良かったから、見るのやめるわけにもいかねし・・・。」 少しすねた表情になる荻上。 「まあね・・・。俺も同感。」 「一回見始めたらよっぽど悪くないと見ちゃうもんだからなあ。」 種死、確かに脚本は評判が悪いが、作画陣が奮闘し、映像は良いものであった。 「キラ強すぎなんですよ!まったく無傷で勝つなんて面白くもなんともない・・・。」 「まあねー。キラは強すぎだったよね。」 「戦闘におけるカタルシスがないよな、あの展開じゃ。」 うんうん、と頷く三人。 「話的にも無理ありすぎですし・・・。本当、納得いきません!」 「まあまあ。数話前から予想できたことでもあったじゃない。」 「そういえば、そうでしたね。前々回の話のとき・・・。」 そういって二人で話を始められてしまい、入れなくなってしまった斑目。 一応全話見てるので、入れないはずもないのだが。 笹原と荻上の会話が違う日にこの二人が話した内容を踏まえてのことなので、 そのときに会話に参加してなかった斑目は入りずらくなってしまった。 (なんか、いずれえな。むう。) 少し思い当たることがあった。笹原はガンガルがめちゃくちゃ好き、というわけではない。 普通の人よりかは確実に造詣が深いとは思われるが、信者ではないのである。 前作種は一応見たようだが、それもそこまで高い評価していたわけでもなかった。 その笹原が、ここ数ヶ月種死をしっかりと見てるのである。 (なるほどな。) 笹原が荻上さんとの共通話題として種死を見ているとすれば。 先ほど笹原が、荻上が来たとたんに話を振っていたこともわかる気がした。 (ふーん。会話、すごく自然じゃねえか。) 斑目が大学にいた頃に比べて、荻上は良く話すようになっていた。 表情は相変わらずだが、その話し方には当初の棘がなくなっていた。 (笹原、荻上さんと率先して話すようにしてるんだな・・・。) もちろん、見たくないものを無理やり見てるのではない。 前は眺めるようにみていたものをしっかりと見るようにしたのである。 二人の会話に耳を傾けると。 「そういえば、あいかわらずアスランが好きなんだよね。」 「そうですね・・・。一番、魅力的だと思いますよ。」 アスランは前作種でキラの親友、種死でシンの上司といった形で登場した。 キャラの行動がぶっ壊れかけていた種死において、一番筋の通っていたキャラなのかもしれない。 「そういえばさ。どっちとくっついたんだろ。」 「カガリですよ。メイリンはありえません。」 カガリは前作のラストでアスランとくっついたキャラ。 メイリンは、シンが所属する部隊からアスランが脱走するとき共に逃げたキャラ。 アスランに好意を寄せていたようだ。 「へえ。なんで?」 「そりゃ・・・。前作からそういうカップルだったわけですから。」 「そっか。でも、メイリンと二人のシーンとか見ると・・・。」 「でも、アスランはカガリを裏切ったりしませんから!」 この発言は、ある意味、彼女の願望が表れているようにも思えた。 「だね。そうだと、俺も思うよ。」 そういって、にっこり笹原は笑う。実際、その方がいいと、笹原も思っていた。 「あ・・・。いや、別に・・・。ちょっと熱くなりすぎました。」 自分の発言の恥ずかしさで顔を少し赤くする荻上。 「あはは・・・。」 ガチャ。 「こんにちはー。」 そこに登場するは大野。 「あ、こんにちは。」 「こんにちは。」 「うーす。」 「皆さん、種死見ました?本当ありえませんでしたねえ。」 「あはは・・・。やっぱそう思うんだ。」 大野の口から出た話題も種死のことであった。 「荻上さんも、そう思いましたよね?」 「そうですね。そう思いました。」 「そうですよねー。いくらキャラがいいっていってもあのストーリーは無いですよね。」 荻上とまったく同じことを言う大野。 「さっき、荻上さんも同じこと言ってたよ。」 すこし、笑いながら、笹原はいった。 「やっぱりそうですか。」 「まあ、そうですね。」 この二人の会話も、少し自然になってきた。 「あ、そうだ。荻上さん、この前約束してたもの、もって来ましたよー。」 その言葉にビクッと体を震わす荻上。 「ちょ、ちょっと待ってくださ・・・!」 いうより早く、取り出されたのは数冊の同人誌。 当然、その内容は、推して計らずもかな、である。 「やっぱり私とは受け攻めの趣味が逆ですねえ。」 そう、ヤオイ本である。 「でも、約束どおり、この前のオンリーで出てた新刊、買っておきましたよ。」 「うあ・・・。」 うめき声を上げる荻上。その光景に苦笑いするしかない笹原と斑目。 「そうそう、これはいい出来ですね!「アスラン総攻め本」! 私としてはアスランは受けなんですが、これは良かったですよ! 流石、いいサークル選んでますねえ。」 大野は荻上の同人誌を選ぶ上での目の確かさを評価していた。 「では、どうぞ。」 満面の笑顔で大野にその束を渡され、言葉も出ない荻上。何とか言葉を搾り出す。 「・・・あ、ありがとうございました・・・。」 「いーえ。また何かあったらいってくださいねー。」 笑顔で話す大野、顔がすでに真っ赤で冷や汗だらだらの荻上。 「あはは・・・。でも、来週からもう無いと思うと少し寂しいね。」 「それもそうですね。毎週良くも悪くも話題になる作品てそうは無いですからね。」 「まーな。ガンガルの名前を冠してるだけあって、話題性は抜群だったもんな。」 「そうですね・・・。」 そういって、荻上には少し不安がよぎった。 (今度から何話せばいいのかな・・・。) 話題となっていた種死も、もはや無い。すぐに話題は消えていくだろう。 「今度はなんですかね?エウレカですか?」 「いやー、ローゼンメイデンだろー。」 「色々在りますよねー。でも、いい男が中々出てこなくて・・・。」 「大野さん的にはそうだろうな。」 「荻上さんは?何か注目してるのある?」 話を振られて、少しドキッとする。 しかし、今まで笹原や大野たちと話してきて、分かった事があった。 (別に話題を決めて話さなくてもいいんだ。 種死で始まる会話だったけど、その後色々違うこと話してるもんな・・・。) そう、アニメだけじゃなく、漫画、ゲーム、なんでもいい。 そのとき気になってるものを話してみればいい。 全てを受け入れる許容量が、この現視研にはある。 「そうですね。私は・・・。」 もうすぐ夏が始まりそうな陽気、今日も現視研は賑やかです。 部室の外、廊下にて 「なんで皆の前でわたすんですか!」 「ええ?何か問題ありました?」 「大有りも大有りでしょう!」 「だって、皆さんあなたの趣味知ってますよ?」 「で、でも、それでも・・・!」 「誰に見られたくなかったんですか?」 「いや、別に、誰ってわけじゃなくて・・・!」 「だって、今更じゃないですか。」 「まあ、それはそうなんですけども・・・。」 「じゃ、笹原さんがいなければいいんですね?」 「誰もそんなこといってないじゃないですか!」 「全く・・・。我侭ですねえ・・・。」 「どっちがですか!」

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