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*17人いる! 【投稿日 2006/08/14】 **[[カテゴリー-現視研の日常>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/49.html]] 注:データ量の関係でニ分割しています 前作「[[11人いる!]]」のオリジナル設定等のまとめ ①今年の新1年生は、男子5人女子6人の計11人です  (しかも9月にはスー&アンジェラも合流する予定) ②諸々の事情で卒業生たちは以前より顔を出すようになり、それもあって部室が手狭になったので、サークル棟の屋上にプレハブ製の部室を新設しました          ③斑目は相変わらず部室に昼飯食いに来てますが、4月以降は外回りの仕事も手伝っている(その為に普通免許取りました)ので、昼休み以外の時間帯にも時々部室に来ます ④作業着姿でガリガリでメガネで甲高い声でテンションの高い喋り方なので、斑目は1年生女子からシゲさんと呼ばれています ⑤クッチーは去年の秋頃から空手を習っています ⑥諸々の事情で、クッチーは児童文学研究会にも掛け持ちで入会してます  児文研会長(いろいろあって、クッチーは「お師匠様」と崇拝してます)の勧めにより、普段は大人しくなりましたが、イベントになると必要以上に大騒ぎします   ⑦荻上会長は巷談社主催の春夏秋冬賞という漫画コンクールに応募して審査員特別賞を獲得し、それがきっかけで今年の秋に「月刊デイアフター」で新連載開始の予定です  (ちなみに当初新部室を建てる資金には、この賞の賞金を充てる積りでしたが、いろいろあって初代会長が出してくれました) 神田美智子  キャラクターモデル 「かってに改蔵」の神崎美智子 元隠れオタ。 高校時代は周囲にはオタ趣味を隠し、オタであることがバレそうになると走って逃げていた、 言わば初期型笹原と初期型荻上さんの合体キャラ。 両親と兄1人の4人家族だが、家族全員がオタ (しかも全員同人誌を作る側のオタで、1人1台ずつコピー機を所有している)なので、 幼少の頃よりコミフェスに参加していた。 中学時代からは売る方でも参加している。 ノーマルなカップリング中心だが、最近ヤオイも始める。       入学当初は普通の大学生活をする積もりだったが、 オタスメルに引き寄せられてついフラフラと現視研の部室に乱入してしまい (たまたま鍵を閉め忘れたまま、全員席を外していた)本能的にエロ同人誌を発見。 ついつい読み耽っているところ、トイレから戻った荻上会長とファーストコンタクト。 「違います!私オタクじゃありません!コーディネイターが遺伝子操作された新人類だなんて、全く知りません!」 訊かれもしてないのにオタ知識を披露するセルフ語るに落ちる状態&赤面で逃走するセルフドッキリ状態となる。 そのことがきっかけとなって、荻上会長に説得されて入会する。 国松千里   キャラクターモデル 「究極超人あーる」の国枝千里 元々は特撮オタで、それも50年代から70年代にかけての、東宝・円谷プロのミニチュア・着ぐるみ・光学合成主体の非CG特撮命の遅れてきた世代。 (でも今の特撮も、文句言いつつもちゃんと見ている) 将来は脚本家志望だが、その前に特撮撮影現場でスタッフとして働きたいと思っている。 高校からアニメにも興味を持ち始めてアニオタ道に入る。 だがいかんせん積み重ねが無いので、アニオタにとっての一般教養がところどころ足りない修行中の身。 垂れ目ながら大きな瞳のロリ顔美少女。 身長も150センチと小柄なので、見た目は中学生ぐらいに見える。 豪田蛇衣子  キャラクターモデル 「ドラえもん」の剛田ジャイ子 腐女子四天王(クッチーが命名した、新1年生の腐女子4人組の通称)のリーダー格。 小学生の頃から少女漫画を描いていて、投稿作品が何度か賞を取っている。 大柄で肥満体のゴッグのような体格。 だがその体格に似合わず、描く漫画は王子様や貴族が活躍する、少々古臭いが乙女チックな作風。 多少レズっ気があり、荻上会長を時と場所を選ばずハグする。 腐女子四天王は、某巨大掲示板の801板のオフ会で知り合って結成された。 (出身校は全員バラバラ) 彼女たちが高校3年の時、当時2年生の荻上会長は笹原の勧めで春夏秋冬賞に応募して審査員特別賞を獲得し、受賞作品は「月刊デイアフター」に掲載された。 中学の時の「あの一件」を元に描かれたその作品は、一部の腐女子の間で熱狂的に支持された。 四天王のメンバーもまた、その作品がきっかけで荻上会長を崇拝するようになり、彼女を追って椎応に入学した。 なおこの4人は、荻上会長を「荻様」と呼称する。        沢田彩    キャラクターモデル 「彼氏彼女の事情」の沢田亜弥 四天王の1人。 元々はジュニア小説を書いていた、ショートカットで色白の文芸少女。 ある時友だちにBL小説を見せられてヤオイに目覚め、ヤオイラノベ道に踏み入る。 元ネタを知る為に漫画も読み出し(それ以前はあまり漫画は読んでなかった)自分で絵も描きたくなってヤオイ漫画道に入る。 絵は初心者レベルだが、ストーリーの構成力や台詞回しに秀でる。 元々書いていた小説にはSF系のものが多く、そのせいかロボットアニメやファンタジー系アニメを題材に選ぶことが多い。 自室でしか吸わないが、実は1年生唯一の愛煙家。 台場晴海   キャラクターモデル 「さよなら絶望先生」の藤吉晴美 腐女子属性はむしろリーダーより濃い、四天王の参謀格。 男子が何か咥えていると、たちまちワープする。 イケメン君は彼女の前では、うっかりコーラも飲めない。 見た目秀才っぽい、スレンダーなメガネっ子。 巴マリア   キャラクターモデル 「おおきく振りかぶって」の百枝まりあ 四天王の1人。 元ソフトボール部の体育会系腐女子。 部活の傍らヤオイを描いていた変り種。 高校球児フェチで、男臭く汗臭いスポーツ漫画や格闘漫画をネタにすることが多い。 蛇衣子ほどの上背は無いが、肩幅が広く大野さん並みの巨乳。 顔も目鼻立ちのはっきりしたなかなかの美人で、長い黒髪を三つ編みにしてることが多い。 やはり少しレズっ気があり、荻ハグ常習犯。 夏ミカンを握り潰せるほどの握力の持ち主。 日垣剛    キャラクターモデル 「究極超人あーる」の曲垣剛 元野球少年でポジションは投手。 と言っても、毎年予選一回戦で帰ってくる弱小校で、彼自身もさほどの戦跡は残していない。 (まあそれでも、素人には打てない程度の剛速球と変化球は投げられるが) 肩を壊して休んでいた時にアニメや漫画の面白さに目覚め、オタ道に入る。  身長185センチの、クッチーの後継ぎ的肉体派オタ。 でも気は弱く、温厚で大人しい性格はむしろ初期笹原に近い。 実家は華道の家元で、本人も華道有段者。 有吉一郎   キャラクターモデル 「究極超人あーる」の有島 高校時代は漫研。 腕より理論が先行するタイプ(もちろんそれなりに絵は描けるが)なので既存の漫研には馴染めないと考えて、初心者や非生産型のオタの集う現視研を選んだ、言わば絵心のある斑目的キャラ。 いかにも理屈先行型オタという感じの、細面のメガネ君。 人前でアジ演説風に喋るのが好きで、会長不在時のミーティングでは議長的役割をすることが多い。 伊藤とは同じ高校出身でよく一緒にいるので、それを腐女子四天王にネタにされている。 伊藤勝典   キャラクターモデル 「究極超人あーる」の伊東 高校時代は文芸部。 脚本家志望で、もともとはアニメも実写ドラマも区別なく見る、一般人とオタクの境界線上のポジションに居たが、アニメの方が自由度が高いと考えて次第にアニメ中心にシフトしていく。 猫顔で、動作も猫に似ていて、喋る時も語尾に「ニャー」と付ける。 浅田寿克   キャラクターモデル 「究極超人あーる」の浅野 高校時代は写真部。 神経質そうなメガネ君。  1年生会員たちの会話ではツッコミ役になりがち。 岸野と一緒にいることが多い為、有吉×伊藤同様、腐女子四天王にネタにされている。 岸野有洋   キャラクターモデル 「究極超人あーる」の岸田 浅田と同じ高校出身で、部活も写真部だった。 リーゼント風のひさしの目立つ髪型以外に取り立てて特徴が無く、あまり目立たない。 ↓ここから本編↓ 「なすてわたすはここに居る!」 荻上会長の雄叫びが轟く。 筆頭のまま被れるせいか、ソンブレロのような大きな麦藁帽子を被っている。 服装の方はと見れば、地味なワンピースの水着の上からパーカーを羽織っている。 「それ今日7回目ですよ」 すかさずにこやかにツッコミを入れる大野さん。 大野さんもまた同様の格好だ。 そして2人の眼前には、水平線が広がっていた。 夏休みに入ったばかりのある日、現視研の一行は海水浴にやって来た。 場所は3年前に訪れた、あの海水浴場であった。 参加者は新1年生11人、荻上会長、大野さん、クッチー、恵子、そして斑目と田中というメンバーだった。 この日は運悪く、担当している原稿の〆切日だったので、笹原は来れなかった。 春日部さんも店が開店したばかりで忙しいし、高坂と久我山は相変わらず忙しいので、今回は参加出来なかった。 ちなみに大野さんはある旅行代理店に就職が決まり、クッチーは未定であった。 大丈夫か、クッチー? 朽木「就職活動にも合間に息抜きが必要だにょー」 荻上「朽木先輩の場合、息抜きの合間に就職活動やってません?」 朽木「荻チンナイスツッコミだにょー」 荻上「皮肉が通じねえ…」 503 :「17人いる!」 その2 :2006/08/14(月) 01:47:30 ID:??? 今年の夏コミで、現視研は久々にサークル参加に当選した。 ちなみに今回荻上会長は、現視研の作品にはタッチしない積りだ。 秋から「月刊デイアフター」で新連載を開始して本格的に漫画家デビューするので、この時期は他の原稿にまで手を出す余裕は無い。 幸い今年の1年生には絵描きが6人も居るから、全面的に任せることにした。 描き手は有吉以外女子ばかりなので、当然のごとく内容は女性向けとなった。 だがそこからが問題だった。 腐女子にとって同人誌創作の1番のキモは、題材よりもむしろカップリングだ。 カップルの構成メンバーが同じでも、A×BとB×Aでは内容が全然違ってくる。 腐女子にとってヤオイのカップリングとは、己の全人格を賭けた大問題なのだ。 それゆえ1度こじれ出すと互いに一歩も引かず、泥沼の膠着状態となる。 現視研でもそれは例外では無かった。 7月に入ってからの部室は、毎日がケンケンガクガクの議論の連続だった。 恵子「お前らさあ、とりあえず海水浴でも行って頭冷やせよ」 いい加減ヤオイカップリング論争にウンザリした恵子がこう切り出し、議論が膠着して煮詰まっていた会員たちも一時休戦とばかりにそれに賛成した。 いつの間にか恵子は、某ラノベ原作のアニメのイベント好きのヒロインのように、現視研をイベントに導くポジションになっていた。 恵子「いいでしょ、姉さん?」 会長という立場を考慮してか、恵子はこの頃には荻上会長のことを「お姉ちゃん」ではなく「姉さん」と呼ぶようになっていた。 ここ数日間の部室内の、険悪な空気を憂慮していた荻上会長は、この案に乗ることにした。 荻上「いい気分転換になりそうだし、行きましょうか」 実は荻上会長は、後述する「ある理由」の為に海水浴には乗り気では無かったのだが、今の彼女はそんな個人的な理由で反対するほど子供では無かった。 (ちなみに冒頭の叫びは、斑目に「会長はこれ言うのがお約束だから」と唆されたから) 即座に日取りと場所が決まり、続いて「第2回海水浴に何持って行く会議」が開かれた。 前述のラノベヒロインの影響か、今年の1年生たちは意外とイベント好きで、様々な提案が出た。 「やっぱスイカ割りでしょう」 「うち、ビーチバレーの道具一式あるけど」 「お前確か、ゴムボート持ってたよな?」 「あそこの海水浴場って、バーベキューできましたっけ?」 「夏はやっぱり花火でしょう」等々。 結局その殆どが採用された。 (不採用になったのは、「それをやるような時間までは居ない」ということで花火とキャンプファイヤー、そして「運転する人だけが飲めないのも気の毒」ということで酒類ぐらいだ) 書記として「持って行くもの」をホワイトボードに書き出していた神田が呟いた。 「これ全部持って電車乗るんですか?」 ボードいっぱいに書かれたグッズの数々をよく見ると、確かに凄い荷物になりそうだ。 そこで誰か車を出せるかという話になった。 現役会員は恵子を入れて13人、4年生とOBが何人か来ることを考慮すると、出来れば4台欲しい。 荻上会長の知る限りでは、現視研で普通免許を持ってるのは全員OBだ。 恵子「試しに訊いてみようよ。誰か免許持ってる?」 意外なことに新1年生たちには、入学して4ヶ月足らずのこの時期に、普通免許を取得している者が6人も居た。 彼らは皆、大学合格の直後から自動車学校に通っていたそうだ。 彼らの親は皆、むしろ本人以上に免許取得に積極的だった。 大学に入ってからは、いろいろ資格取る為の勉強するだろうから、普通免許ぐらいは早目に取っておけということらしい。 就職難の時代ならではの現象である。 6人とも実家に車があって多分貸し出せると言う。 では誰の車で行くかという話になり、先ず伊藤が名乗りを上げた。 「僕は泳げないから泳がないニャー。だから疲れないから帰りも安全運転だニャー」 彼の発言によって免許持ちで泳げない人を募った結果、先ず有吉、沢田、そして伊藤の3人が車を出すことになった。 残りの1台を提供したのは、傍らで昼飯を食っていた斑目だった。 「俺も泳げないし、その日は休みだから行くわ。それにこういう時にでも使わないと、車もったないしな」 斑目の車は、社長からもらった中古の軽だった。 何でも今期はボーナスが無かったので、その代わりということらしい。 もらったはいいが、彼は日々の生活に車を使う機会は少なかった。 相変わらず徒歩で通勤していたし、仕事中使う車は会社のものだ。 (最初は人手不足で外回りの仕事を手伝っていたが、今では外回りの仕事の方がメインになりつつあった) 車が要るような大規模な買い物は滅多にしないし、助手席に乗せる彼女もいない。 かと言って売ってしまうのも悪い気がする上に、どのみち古過ぎて売れそうになかった。 こうして今回現視研の面々は、4台の車に分乗してやって来た。 駐車場に車を停め、男子会員が中心になって場所取りと荷物の運び出しが始まった。 先ずビニールシートで場所を確保する。 よく見るとそれは、大きな一枚のブルーシートだった。 それを畳んで横に細長い形に陣取る。 普通のビニールシートを3枚ぐらい並べた程度の面積だ。 斑目「まるで殺人事件の現場だな」 次にシートの中央部が日陰になるように、アウトドア用の屋根だけのテントを設置する。 続いてシートの端にパラソルを広げる。 そして荷物の大半をテント下に運び入れる。 パラソルの反対側の、シートの端っこから3分の1程度のスペースは、日焼け用にわざと日陰から外してある。 妙に手馴れたセッティングぶりだ。 後で聞いたところによると、場所取り関連のグッズは浅田と岸野が高校の写真部から借りてきたそうだ。 その写真部は年に何度か撮影旅行や合宿を行なっていて、この手のグッズには事欠かないし、2人もその取り扱いに熟練しているのだという。 運び終わった荷物の数々を見て、荻上会長は慄然とする。 『これ全部、今日1日でやるの?』 表で見た時にはピンと来なかったが、改めて並べてみると凄い量だ。 スイカ、金属バット(スイカ割りの棒代わりだそうだ)、ビーチバレーのボールとネット、浮き輪、ゴムボート、エアマット、アウトドア用の大型コンロ、クーラーボックスに入った食材、その他の調理器具、そして十数個のサッカーボール、等々… 『なしてサッカーボールが?』 不意に肩を叩かれて顔を上げる。 大野「どうしたんですか、荻上さん?笹原さん来なくて寂しいんですか?」 荻上「(赤面)そっ、そんなんじゃねっす!」 本音を言えば寂しいことは寂しい。 だが笹原の盆休みと夏コミの日程が重なり、少なくとも夏コミでは一緒だから我慢出来る。 それに平日休みの笹原と、何とか時間をやりくりして会う生活を繰り返す内に、何日か会えないシチュエーションにも耐性が付いてきた。 それに今の自分は、会員たちを監督し見守る立場だ。 (とは言っても、こんな遊びの場であれこれ指図する積もりは無いが) 上に立っている者が、下ほったらかしでイチャイチャしてる訳には行かない。 こういうことに関しては、相変わらず荻上会長は生真面目だった。 大野「(笑って)分かってますよ。(荷物を見て)それにしても凄い荷物ですね」 荻上「今日じゅうにこれ全部やれっかなあ…」 大野「大丈夫ですよ。まだお昼には時間あるし」 荷物が運び終わり、1度全員集合する。 恵子が新調したビキニを1年生たちに見せびらかしている。 恵子「いいっしょ、これ?春日部姉さんの店でもらったんだ!」 本当にもらったのか、春日部さんの方はあくまでもツケで売った積もりなのかは定かではない。 あとの女子会員たちは全員無難なワンピースだ。 「荻様かわいい~!!」 例によって巴と豪田が荻ハグすべくダブルで突進して来る。 だがさすがに慣れたらしく、軽やかなフットワークでかわす荻上会長。 結果巴と豪田は誤爆して、互いにハグしあう破目になる。 すぐに離れるかと思われたが、2人とも体がきしむ音がしそうなほど強く抱き合っている。 巴・豪田「こっ、これはこれで、なかなか…」 恵子「やめんか!」 2人をどついて止める恵子。 一方男子会員たちは、少し赤くなりつつも女子会員たちを見つめていた。 だが巴に視線を向けた彼らの目には、軽い失望の色があった。 その空気に気付いた豪田がツッコむ。 豪田「なあに、そんなにあたしのビキニが見たかったの?」 男子一同『んなわけねえだろ!』 まあ確かに、水中用モビルスーツみたいな豪田がビキニを着ても、ボンレスハムみたいになるだけだ。 スレンダーな台場、神田、国松、沢田はともかく、巴の巨乳はぜひビキニで拝みたかった、というのが男子たちの本音であった。 地味な競泳用の水着の巴は妙にソリッドな感じがして、巨乳というより大胸筋が丸く盛り上がっているみたいで、あまり色気は感じられなかった。 もっとも巴に比べれば貧弱な体格の1年女子たちも、みんなそれなりに顔立ちは整っていて全体的にスレンダーなので、出るべきとこが不足気味でもなかなか目の保養になる。 一方もう1人の巨乳、大野さんも相変わらず無難なワンピースの上、上に羽織ったシャツを脱ごうともしない。 荻上「コスプレの時は、あんなに露出してるのに…」 コスプレイヤーとしての大野さんと、個人としての大野さんとには、羞恥心にえらく差があることは長年の付き合いで分かっている。 だがそれにしても、大柄で巨乳の大野さんが1年生たちよりも恥ずかしそうにしてる図は、何とも違和感があった。 昼食と帰りの集合時間を決め、後は自由行動として解散する。 結局ブルーシートには、荻上会長、大野さん、田中、沢田、伊藤、有吉が残った。 他のメンバーはさっそく泳ぎに出かける。 伊藤と有吉は互いの背中にオイルを塗り合い、さっそくシートの日なたの部分で寝転ぶ。 荻上会長と沢田は、そんな2人を見て一瞬軽くワープしつつも、テント下で自分の体に日焼け止めを塗っていた。 大野「荻上さんは泳がないんですか?」 荻上「私、皮膚が紫外線に弱くて、軽く焼いてもすぐ真っ赤っかになっちゃうんで、こういうとこではあまり長いこと日なたに出れないんです」 それは本当だった。 荻上会長は3歳の時、家族で海水浴に行ったことがあった。 他の地方に比べて日差しの弱い東北地方の海水浴場で、家族と一緒に普通に海水浴しただけなのに、その日の晩の風呂や布団の中でのたうち回り、その後何日か皮膚科に通う破目になった。 それ以来今日まで、海水浴というものに行ったことが無かった。 家族のレジャーのメニューからは自然消滅し、友だちに誘われても断った。 プールでの水泳の授業すら、念の為に日差しの強い日には見学する徹底ぶりだ。 ちなみに医師の診断によると、どうも皮膚が神経過敏気味で極端に敏感らしいとのことだった。 だから笹原との初めての時も、そりゃあもう… 話を海水浴場に戻そう。 沢田「荻様も太陽ダメなんですか?」 荻上「沢田さんもそうなの?」 沢田「私の場合は、あまり長いこと日に当たってると立ちくらみするんです。ここ数年、夏休みはずっと部屋にこもって原稿書いてましたから」 田中「まるでドラキュラだな」 大野「それにしても…」 ブルーシートの上と海の方を交互に見る大野さん。 大野「3年前ここに来た時って、まともに泳いでたの3人ぐらいでしたよね」 田中「ああ、確か春日部さんと高坂君、それに恵子ちゃんか。あと、笹原が最後にちょっとだけ泳いでたかな」 荻上「で、あとの方は何をなさってたんですか?」 田中「パラソルの下でガンダムしりとりやって、ちょっとだけ水浴び。俺と大野さんは砂の城作り」 荻上・沢田「海水浴場でガンダムしりとり…(汗)」 田中「それに比べて、今年の1年たちは元気だな、8人も泳ぎに出てるんだから。(大野さんに)今回はどうしよ?」 大野「昼バーベキューやるから、先に準備しときましょう」 結局大野・田中コンビは昼御飯の用意を始める。 沢田が手伝おうとしたが荻上会長はそれを止め、2人に軽く会釈しつつ見送った。 荻上「あのお2人が何かやってらっしゃる時は、頼まれない限り手伝わない方がいいわよ」 楽しそうに笑う2人を見て納得する沢田。 沢田「そうですね、何かお邪魔しちゃ悪いみたいですもんね」 荻上会長を見る沢田の目付きが、不意に妖しいものに変わった。 沢田「ところで荻様、(日焼け止めを持って)お背中の方は私に塗らせて下さい。ささ、うつぶせになって下さい」 荻上「あっそう…そんじゃお願い」 とまどいつつも、うつぶせになる荻上会長。 その白い背中を、沢田の手が妖しく這い回る。 日焼け止めを塗るというより、愛撫しているような手付きだ。 荻上「ちょっ、ちょっと沢田さん!手付きが変!」 沢田「荻様って肌きれい。素敵!」 いつの間にか紅潮して息が荒くなっている沢田、思わず覆い被さる。 荻上「(最大赤面)ひへっ!?」 沢田「荻様~!」 不意に荻上会長の背中から負荷が消えた。 恵子が沢田の耳をつまんで引っ張り上げたのだ。 沢田「痛たたたたたたた…」 恵子「(耳から手を放し)ったく、レズっ気あるのは蛇衣子とマリアだけだと思ってたのに、お前もかよ!」 沢田「申し訳ありません。荻様肌きれいだからつい…」 恵子「頭冷やしがてら、ジュースでも買って来い!」 沢田「はーい」 麦藁帽子を被って、沢田はテントから出て歩き出した。 恵子「ったく。(シートに腰下ろして寝転び)あー疲れた、もう泳ぐのはいいわ」 荻上「もうそんなに泳いだんですか?」 みんなで海に入って行ってから、まだ30分も経ってない。 恵子「あいつらのペースでやってたら死んじゃうよ。ノンストップでガンガン泳いで沖まで行っちまうんだもん。これは水泳の授業かっつうの」 荻上「へえ、そんなに…」 恵子「オタクなんて運動音痴ばっかしと思ってたのに…」 どうやら泳ぎ出すまで、野球出身の日垣と、ソフト出身の巴を忘れていたようだ。 荻上「11人も居るんですよ、1年生。そりゃいろんな人が居ますよ」 恵子「そりゃそうだわな。さて、あたしも焼くか」 日なたに出てる方のシートに移動し、伊藤の隣に寝転ぶ恵子。 たじろぐ伊藤。 トイレにでも行ったのか、有吉は席を外していた。 恵子「伊藤くーん」 伊藤「ニャッ?何でしょう?」 恵子「(うつぶせになってビキニの紐を外し)オイル塗って」 伊藤「(赤面し)ニャニャニャ?!」 恵子「つべこべ言わずに塗る!」 伊藤「かしこまりましたニャー」 女性の背中にオイルを塗るのは初めてらしく、赤面しつつ怖々した手付きで塗る伊藤。 恵子「ちょっと、くすぐったい(笑)」 そこへ戻ってきた有吉、2人の様子を見て硬直している。 有吉「伊藤君…前々から怪しいとは思ってたけど…」 こける一同。 荻上・沢田「(ハモって)怪しいんだ…」 実はこれ以前から、恵子は何かと伊藤をこき使うことが多かった。 もちろん恵子は特別彼を意識している訳ではなく、居れば1年生なら誰でも(いや厳密にはクッチーや斑目すら平気で)こき使っていたが、恵子と目が合うとビクッとする猫的な動作ゆえか、伊藤が頼まれる確率は高かった。 伊藤「ごっ、誤解だニャ!」 恵子「ちっ、ちげーよ!そういうんじゃねえから!」 有吉「邪魔しちゃ悪いから、僕は席外すね」 立ち去りかける有吉。 伊藤「待って有吉君、誤解だって!」 追いかけて引き止める伊藤。 恵子「お前らなあ…」 立ち上がりかける恵子、うっかりブラの紐を解いたままなのを忘れて一瞬ポロリ。 恵子「おっといけねえ!(ブラを直す)ん?」 2人はポロリを見てしまって、赤面したまま気絶していた。 恵子「あーあ、しょーがねーなー。童貞君にはチト刺激が強過ぎたか」 その時ふと背後に嫌な視線を感じ、恵子は振り返る。 そこにはジュースを買って帰ってきた沢田が、これまた赤面していた。 沢田「有吉君が、伊藤君を恵子先輩に盗られたと嫉妬して…ハアハア」 恵子「違うっつーの!彩、落ち着け!姉さん、こいつ何とかして!」 だが恵子の呼びかけも空しく、荻上会長の意識もまた何光年か彼方に向かって、亜空間を超光速で移動中だった。 恵子「あちゃー姉さんもワープ中かよ…(近付いて筆毛を激しくシビビビし)こら筆!目を覚ませ!戻って来い!」 荻上「はっ!ここは誰?わたすはどこ?」 恵子「ったく、腐女子ってやつぁ面倒見切れねえなあ…」 いつの間にか恵子は、かつての春日部さんのように、現視研のオタ常識と一般常識との橋渡し的な役割を引き受ける破目になっていた。 正気を取り直した荻上会長は、テントを離れて各人の動向を見に出かけることにした。 冒頭のシーンで被っていた、大きな麦藁帽子を被り、パーカーを羽織る。 とりあえず有吉の誤解は解け、恵子たちは再び日光浴に精を出し、沢田もパラソルの下で寝ていた。 そこへ浅田、岸野、日垣、国松、神田、台場の6人が戻って来た。 全員えらく疲れてる様子だ。 [[17人いる!(後編)]]
*げんしけんオープンキャンパス 【投稿日 2006/08/14】 **[[カテゴリー-現視研の日常>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/49.html]] 就職活動といえど、毎日あるわけではない。 つまりは毎日スーツを着なくても良いわけであって、 今日は笹ヤンにとってはそんな日であった。 「あー、暑いっすねえ…」 「朝のニュースでは最高気温35度だとさ」 相手はスーツを着ているが、これは社会人なのでむしろ当然。 正直、社会人がなぜ大学に居るのかの方が問題なのだが、 まあそこは流せ。 …流してあげよう。 「前期は結構深夜アニメ、豊作だったな」 「ええ、まさかあの漫画があそこまで映像として再現できるとは思っていませんでしたよ」 「『兜蟲氏』…か。悪い目の付け所ではないが、まだオタクとしては覚悟が足りんな」 「ええー、そうですか~?結構俺、ああ言うのが好きなんですよ」 「おまえはどうせ『工学機動隊SWAT』とかが好きなクチだろう」 「ええ、まあ」 「そこが足りんと言うのだ。オタクたるもの、萌えを意識せずしてどうする!」 「ええ!でも、俺結構、アレの中ではマチコマ萌え~って感じですが」 「うむ、動作に声もあいまって、確かにマチコマは萌える。だが、オタクはもう少し踏み込むべきだ」 「幼女…とかですか?外見だけで言ったら、そもそもマチコマ萌えは成立しませんよ」 「まあそれだけではないがな。萌えは正直難しい」 「んー…でもあんまりあからさまに『萌え』に特化してると、逆に『引き』ませんか?」 「ふーむ、確かに。…俺を論破するとは、お前も成長したもんだな」 「ええ…おかげさまで」 …成長しているというより、むしろダメ曲線をスパイラル落下しているように思うのは自分だけだろうか。 「暑いな」 「…ええ。ここまで来ると、もう『熱い』っすね」 「今度アキバで扇風機でも買うか」 「そうしましょう」 すると、ドアの外から人の気配がしてきた。 「…から、…なさい」 「…って、…待てよ」 どうやら、声の調子からして男女の高校生らしい。 …待ち人来たらず…だな、斑目よ。まあ今日は雨降りでもいつの日にか。 「誰か来ましたね」 「ああ」 すると、そのドアが「ばーん」という効果音付きで…のような気がして開いた。 ショートカットの美少女と、そのお供。 笹ヤンの第一印象としてはこんなところだった。 ただしショートカットの方の雰囲気に、なんとなく荻上を思い出したのは、他には言えない秘密だ。 しかし、そのショートカットの女の子(以下ショートと略す)は引いていた。 そりゃそうだろう。これだけアニメのポスターやら販促物やらフィギュアが満ち溢れていたら、 普通の人間は引く。…つーか入り口のポスターは見なかったのだろうか。 「お、見学か?」 それを察したのかそうでないのか、斑目は軽~く、フレンドリーに声をかけた。 やはり斑目はこの4年間で、相当に進化している様だ。 「い、いえ…何ていうか…」 しかしながら、その心遣いが届くはずも無く、ショートは引きまくっていた。 あたかも「やわらか○車」の様に。退却開始だ。 すると、そのお供が、意外にも男らしく、前に出て聞いてきた。 「ここって何をしてるところなんですか?」 …案外このカップルの主導権を握っているのは、こっちの方なのかもしれない。 そう笹ヤンは思った。コーサカと咲を見てきた経験則もあるのかもしれないが。 さっきは気が付かなかったが、胸に「見学章」とデカデカと書いてある。 そういえば、今この学校はオープンキャンパスの日だ。 なるほど、で見学に来たというわけか。 ならば先輩としての威厳を見せろ、我らが笹ヤン! 「えーと…何ていうのかな…オタク?の集まるところだよ」 …ダメじゃん。 「そ、そうですか…で、では失礼します」 まだ呆然としているショートの手を引っ張ると、お供はドアを開けて、連れて行った。 ラブラブだな。今のこの二人には目の毒だぞ。 …まあ笹ヤンはこの後直ぐ報われるんだがな。 「いやー…」 「なんか、『飛び出せ青春』って感じでしたね…」 「…やっぱ、もう少し掃除しとくか?」 「でも、『お盆の一大イベント』が終わったら、また元の木阿弥ですよ」 「…そうだな」 「…ですね」 …ジーワジーワ… 蝉の声が外から響く。 そして強くなった照り返しがやたら明るく部屋の中の『それ』を映し出す。 「じゃあ、俺そろそろ会社行くわ。就職活動、頑張れな」 「ええ、それじゃあ、また」 「うぃ」 それにしても、今日は荻上さん来ないのかなあ…そう思う笹ヤンの午後であった。 終わり。

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