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*現聴研・第五話 【投稿日 2006/04/18】 **[[現聴研]] 6月下旬某日、笹原宅に、夏の野外音楽フェスティバル 当選通知が届いた。 地元の自治体での祭りの一環で、野外ホールでのアマチュアバンド による演奏フェスティバルに応募していたのだ。 斑目「うおっ、マジか!?」 笹原「ええ、受かってますよ。」 斑目「うわ~~~~。」 部室で驚く斑目と、実感が沸いてきて焦る笹原。 斑目「出演順は?………あー、まぁ真ん中ぐらいか。無難だなぁ。」 要綱のパンフレットに目を通す斑目。 その頃、笹原は自分のPCを立ち上げている。 斑目「久我山にはもう言った?」 笹原「ええ、『これでマジに奏らなきゃな』って。」 斑目「あははは。」     「まあ、お前もDTMとかMTRいじくってた甲斐が有ったよな。」 笹原「俺のMTR、トラック数少ないから買い直さないといけないですかねぇ。」 斑目「そんなに音数要るかね。」 笹原「DABAZAKコピーとかならプログレだから多いですよねぇ。」 斑目「うーん、アルバム『3人組』のアレンジならいけるんじゃね?」 そう言いながら、応募の際にデモに送った曲を再生する。 PCに刺したヘッドフォンを二人で聴く笹原と斑目。 曲はUNDER-13による「きらめきサイリューム」。通称「くじゲー」という人気アニメのED。 斑目「送ったデモ、俺のボーカルなんだよなぁ(大汗)。」 げんなりした表情で斑目が言うと 笹原「コーラス俺ですよ……。」 顔に縦線が入っている笹原。 斑目「でもなんか、久我山のドラム気合入ってねぇ?」 笹原「UNDERー13というかウメーイが好きだからじゃないっすか。」 斑目「………歌ったのは俺だけどな。」 ガチャリ。そこへ入ってくる荻上。 あわてて再生停止ボタンを押す笹原だった。 荻上「え?夏に野外でライブ出演ですか?」 笹原「うん、だからバンド出演するから、荻上さんも是非ギター弾いてね。」 荻上「良いんですか?」 笹原「バッキング頼むつもりだけど、リード弾いてもらう部分有るかもまた相談だねぇ。」 そう言ってから、斑目と相談し始める笹原だった。 担いできていたソフトケース開けて今日はエレキギターを取り出す荻上。 携帯用の小さな電池式のアンプを机の上に出しておいて、まずはチューナーに ギターを繋いで調音をしている。 笹原「まずは選曲ですかねぇ。」 斑目「なんていって募集したんだ?」 笹原「隠れた名曲を紹介する為に生まれたマイナーコピーバンド、って…。」 斑目「くじシーEDがマイナーか?まあ審査のおっさんは知らんだろうけど。」 と、やおら荻上がややオーバードライブ気味にギターを響かせ始める。 DABAZAKのインストロメンタル曲「チェコスロバキア」だ。 ギターやヴァイオリン、リコーダー、が入り混じる豪華な編成で 哀愁味とスピード感のある、初期からの名曲である。 それをベースとリズムをキープしつつ主旋律をギターで追い続ける荻上。 掛け声のところで思わず 「ハッ!」 と合いの手を入れる笹原と斑目に、荻上の少し口元がニヤっとしたように見えた。 さらに曲は佳境に入り、最後は 「アーーー(アーーーーー)」 とコーラスでハモる。 ラストのリコーダーは、荻上自身の口笛でカバーしながら素早く アンプのエフェクトを切り、シンプルな伴奏でしんみりと終わった。 笹原「こないだは弾き語りでストロークメインだったけど、リード弾きっぱなしも       出来るんだねぇ。ま、まあ俺も色々音は作るけど、弾ける限り弾いてもらえるかな。」 荻上「あ、大丈夫です、弾けマス。」 笹原「荻上さんが出来る曲に決まったら、好きなだけ弾いてもらうけど       そうじゃなかったら、俺がDTMで作るから。」 荻上「いえ、大丈夫です、コピーしますよ。」 改めて荻上の技量に冷や汗浮かべつつ、心強い笹原と斑目だった。 斑目「選曲も良いけど、スタジオどこ使う?」 笹原「んー、とりあえず安い所とか融通効く所とか、高柳さんに聞きにいってみます。」 現聴研にとっても初参加だが、荻上にとってもステージは初体験。 荻上『すんご………やっぱす大学のサークル、本格的だぁ。』 期待に胸膨らむ1日だった。
*現聴研・第六話 【投稿日 2006/04/20】 **[[現聴研]] 笹原「何人編成にしましょうねぇ。」 斑目「スコアの無い曲ばっかりだと、バンドの負担でかくないか?」 笹原「しかしメジャーな曲にすると存在意義が無くなりますよ。」 現聴研の部室では、夏のフェスティバルに向けて会議の真っ只中。 田中「そもそもウチの割り当て時間は?」 笹原「まあ…入れ替えも含めて30分ぐらいって事です。」 朽木「準備と片づけで5分ずつだとして、残り20分。     1曲4分でMC無しで5曲が限界ですな!」 笹原「うーん、余裕が無いと本番でパニック起こしそうだなぁ。」 大野「キーボード弾けますけど、ステージ衣装に凝りたいですね!田中さん!」 そう、田中と大野は普段はコスプレでライブに出かけて振り付けも バッチリな傍目にちょっと痛い、いや深いファンだったりする。 そしてコスプレ衣装は田中の自作という脅威の特技。 大野「咲さんはドレスでヴァイオリン出演ですよね!」 咲 「勝手に決め付けるな!」 話は無軌道に盛り上がっている。 咲 「むしろオギッペ着ろよ。」 荻上「やですよ!普通の服でいいじゃないですか―――。」 そこへ 原口「よう~~~~ 夏のフェスティバル受かったって?」 満面の笑みで原口が登場した。 全員『うわっ・・・・・・。』 冷や汗をかいてうつむいてしまう、現聴研の面々だった。 斑目「あれ、原口さん卒業してましたよね?」 原口「あぁ、今でもちょくちょく顔出しててね。     いや、ちょっと良い話があるんだよ。」 そこで椅子を譲る高坂と、机に就いてしまう原口。 原口「有名インディーズバンドのメンバーいっぱい紹介してあげるから     その人たちのコラボでバンド組まない?」 笹原「は?………。それってどういう意味ですか?」 原口「いや、1曲ごとにボーカルと面子も換えて10人以上参加でね。      例えば老舗コピバンのウッドメモリーとか、シュリックとか知ってる?      オリジナルの所ではポリネシアWARとかさ。あとはね―――。」 原口「まあ詰めれば7,8曲はいけるでしょ。久我山とかもボンゴか      タンバリンで参加してりゃいいじゃない。」 少し神妙な面持ちで原口が続ける。 原口「まあ会場で各バンドのCD売れるからマージン貰えるし、      スタジオ録音と本番の録音の音源をあとからネット販売すれば      このネームバリューなら宣伝うまくやりゃ、1,000円のが3000枚は売れる。      単純計算で、売り上げ300万!」 一同、沈黙・・・・・・・・・。 だが、笹原が口を開く 笹原「あの、原口さん、俺たち初めてだし自分らでやりたいんですけど…。」 原口「マイナー曲だし素人って、それじゃ受けないよ~~~。      受けないのは悲しいよぉ。静まり返って冷える会場。司会の人のフォローが      また逆に痛いのね!一般のイベントだし子供が泣き出したりすんのね―――。」 笹原「あの、原口さん。はっきり言ってやりたい曲を演奏出来りゃ良いんですよ。」 原口「それは オ ナ ニ ー だよ。観客論の否定かい?それじゃ脳内で      やってりゃいいじゃん。もう童貞捨てなきゃ!捨てていこうよ!」 笹原「…や、もう童貞ですから!いいじゃないですか!」 原口「おや逆ギレかい?アハハ。」 笹原「やー、もうマジ俺らだけでやらしてください!童貞ぐらい自力で      捨てさせてくださいよ、お願いします―――。」 原口「んーーー、そう?でもさっきのメンバー、もう了承得てるんだよな。」 一同『なんてことしやがるっ!!』 笹原「じゃあ、俺が断りますから連絡先教えてください。」 へこへこしていた笹原が、真剣に申し出た。静まり返る部室。 原口「―――斑目、それでいいんだな?」 斑目「ま、現会長がそう言ってるんで、勘弁してやってください。」 原口「………わかった、じゃあ連絡先はあとで教えるから。ほんじゃバイバイ。」 バタン。 そいうって、あっさりと帰っていく原口だった。 溜息をつく、現聴研の面々だった。 咲 「笹やん、頑張ったんじゃない?さすが会長ってとこだね。」 笹原「やー、もういっぱいいっぱいだよ。全くあの人はさぁ――。」 荻上「ああいうタイプの人、ほんとに居るんですね。初めて見ましたけど嫌いです。」 咲 「じゃ、笹やんの今日の活躍に愛の歌でも捧げない?」 荻上「は?なんでそうなるんですか?そんなの歌いませんし恋愛否定派の硬派ですって。」 咲 「えー面白くないなぁ。」 荻上「何を言ってるんですか!?もう!」 咲 「まぁしょうがないか、笹やんやっぱり経験無かったし~。」 荻上「そういう冗談はもっと嫌いです!」 そして赤面する笹原と、慰める田中だった。 笹原『く~~~ッ!田中さん嫌味ですか!』 しかしその後、無事に他バンドの方々に断りの連絡を取り、感謝される笹原だった。

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