「現聴研・第五話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

現聴研・第五話」(2006/04/20 (木) 04:11:35) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*現聴研・第四話 【投稿日 2006/04/16】 **[[現聴研]] 笹原「荻上さん、ギター弾けるんだね」 荻上「ええ、まあ…」 荻上さんが路上での弾き語りまで出来ることが部員に知れ渡って数日後。 現聴研部室では、皆でその腕前を堪能しようということになり、お馴染みの会議が開催された。 -議題- 「第123回荻上さんに演奏してもらいたい曲を決めよう会議」 しかし…。 大野「流行りのアレンジレンジの“鼻”とかどうで…」 荻上「あんなチャラチャラしたバンドは却下です。前にも言ったハズですが、私硬派なんで、ラブソングや流行歌なんか歌いませんから」 それを聞いて大野は憮然としている。 咲「なかなか頑固だな荻上~、かえってイタイよそれ」 ツッコまれた荻上も憮然としている。 頑な荻上の態度に、会議はなかなか進まなかった。 部室の雰囲気が険悪になってきた時、斑目がパンパンと手を打った。 「はいはいはい~!せっかくのギタリスト降臨なんだからここは一つ議題を絞ってね、ロックで行こうよロックで!」 -改題- 「第124回荻上さんに演奏してもらいたいロッカーを決めよう会議」 笹原「ロッカー…ですか?」 大野「曲じゃなくて?」 斑目「そうそう、そーよ。どんなバンドでも恋愛ソングは一つ二つあるもんだ。ここは硬派に“ロッカー”と縛りを入れることで、荻上さんも同意しやすいんじゃないかな、と?」 荻上は「まあ、いいですけど…」とやや及び腰だが、皆はかまわず議題を進めた。 咲「あー、私はロックとか趣味じゃないし、しいて言うなら“ジョルノグラフティ”くらいかなあ…」 田中「“伊エ門”はどうかな。吉井カズ哉は日本人離れした感じで、和製ネックジャガーっつうか…」 久我山「あ、い、“忌野喜代志郎”は…」 高坂「アニソンだけど、“Gクリップ”って知らないかなあ。一応ロックなんだけど、いい詩だよ」 斑目「うーん、キミたちはメジャーで順当すぎてイマイチかなあ~。高坂は逆にマニアック過ぎるな」 斑目は勝手に仕切りはじめた。 大野「モービィなんかどうですか?」 斑目「ありゃちょっとアレンジ難しいよな」 田中は大野の隣で、(モービィか…、ハゲだからだな…)と分析した。 笹原「メジャーどころではあるけど、ホテイさんのギターは好きですよ。“ボフイ”“コンピレックス”とか、ソロで一貫して硬派というか…」 斑目「笹原お前、最近までウォンタウンバンドとやらの“アイノウタ”を着メロにしてたろーがよ。ここぞとばかり硬派ぶるなよ~」 荻上さんにもジト目で睨まれて焦る笹原。 笹原「うわ、まだそのコト憶えてたんだ…」 斑目「俺は気に入らないものは何時までも憶えてるぜぇ。しつこいぜ、前世がヘビだからな!」 朽木「ハイハーイ!ボクは“UNDER-13”がいいと思いマース!」 斑目「…朽木君は廊下で議題を100回復唱してから入室してください(汗」 斑目は、ゴホンと一つ咳き込むと、「…どいつもこいつも、真剣にロックというものを論議せずに結果だけを追い求めておる」と大上段に語りはじめた。 笹原「いや、弾き語ってもらうロッカーを決めようって言ったの斑目さんだし…」 久我山「し、しょーもないオチに行き着くのを、だ、黙って見ているのが吉」 斑目「ロックというものはな、孤独なものなんだよ。誰にも理解されなくても、自分の信念をロックンロールに乗せて世の中にシャウトするものなんだよ!」 咲「聴くだけの音楽オタがよくまあエラソーに…」 斑目「うるさい、商業音楽に魂を引かれた心貧しき地球人よ」 斑目はイスを蹴飛ばすように立ち上がると、グッと拳に力を入れて語る。思わず一同も固唾を飲んで見守った。 「本当のロッカーとはなあ…、本当の…ロッカーとは……“ラ・ムゥー”のボーカリストォ、菊血ぃぃぃ桃子さんだァ!」 一同「(菊血桃子ォ………ッ!?)」 斑目「笹原ァ貴様見習ってるか桃子さんを!?」 笹原「…はぁ?」 斑目「愛はココロの仕事だ馬鹿者!」 田中「思いっきり恋愛ソングじゃねーか」 久我山「あ、こ、これ大月ケンヂのネタだよ…」 咲は、「ホント馬鹿ばっかでしょこのサークル…」と傍らの荻上に語りかけた。 「はぁ……」荻上も言葉が見つからない。しかし、彼女がラ・ムゥーも弾けることは秘密だ。 こうして部室内では、会議で挙がったアーティストの曲で、荻上さんが演奏可能な曲を弾き語りし、時には皆で歌て楽しいひとときを過ごした。 一方、斑目は廊下に立たされ、議題を100回唱える朽木の隣で、ラ・ムゥーの「愛はココロの仕事です」20回歌唱するはめになったのであった。
*現聴研・第五話 【投稿日 2006/04/18】 **[[現聴研]] 6月下旬某日、笹原宅に、夏の野外音楽フェスティバル 当選通知が届いた。 地元の自治体での祭りの一環で、野外ホールでのアマチュアバンド による演奏フェスティバルに応募していたのだ。 斑目「うおっ、マジか!?」 笹原「ええ、受かってますよ。」 斑目「うわ~~~~。」 部室で驚く斑目と、実感が沸いてきて焦る笹原。 斑目「出演順は?………あー、まぁ真ん中ぐらいか。無難だなぁ。」 要綱のパンフレットに目を通す斑目。 その頃、笹原は自分のPCを立ち上げている。 斑目「久我山にはもう言った?」 笹原「ええ、『これでマジに奏らなきゃな』って。」 斑目「あははは。」     「まあ、お前もDTMとかMTRいじくってた甲斐が有ったよな。」 笹原「俺のMTR、トラック数少ないから買い直さないといけないですかねぇ。」 斑目「そんなに音数要るかね。」 笹原「DABAZAKコピーとかならプログレだから多いですよねぇ。」 斑目「うーん、アルバム『3人組』のアレンジならいけるんじゃね?」 そう言いながら、応募の際にデモに送った曲を再生する。 PCに刺したヘッドフォンを二人で聴く笹原と斑目。 曲はUNDER-13による「きらめきサイリューム」。通称「くじゲー」という人気アニメのED。 斑目「送ったデモ、俺のボーカルなんだよなぁ(大汗)。」 げんなりした表情で斑目が言うと 笹原「コーラス俺ですよ……。」 顔に縦線が入っている笹原。 斑目「でもなんか、久我山のドラム気合入ってねぇ?」 笹原「UNDERー13というかウメーイが好きだからじゃないっすか。」 斑目「………歌ったのは俺だけどな。」 ガチャリ。そこへ入ってくる荻上。 あわてて再生停止ボタンを押す笹原だった。 荻上「え?夏に野外でライブ出演ですか?」 笹原「うん、だからバンド出演するから、荻上さんも是非ギター弾いてね。」 荻上「良いんですか?」 笹原「バッキング頼むつもりだけど、リード弾いてもらう部分有るかもまた相談だねぇ。」 そう言ってから、斑目と相談し始める笹原だった。 担いできていたソフトケース開けて今日はエレキギターを取り出す荻上。 携帯用の小さな電池式のアンプを机の上に出しておいて、まずはチューナーに ギターを繋いで調音をしている。 笹原「まずは選曲ですかねぇ。」 斑目「なんていって募集したんだ?」 笹原「隠れた名曲を紹介する為に生まれたマイナーコピーバンド、って…。」 斑目「くじシーEDがマイナーか?まあ審査のおっさんは知らんだろうけど。」 と、やおら荻上がややオーバードライブ気味にギターを響かせ始める。 DABAZAKのインストロメンタル曲「チェコスロバキア」だ。 ギターやヴァイオリン、リコーダー、が入り混じる豪華な編成で 哀愁味とスピード感のある、初期からの名曲である。 それをベースとリズムをキープしつつ主旋律をギターで追い続ける荻上。 掛け声のところで思わず 「ハッ!」 と合いの手を入れる笹原と斑目に、荻上の少し口元がニヤっとしたように見えた。 さらに曲は佳境に入り、最後は 「アーーー(アーーーーー)」 とコーラスでハモる。 ラストのリコーダーは、荻上自身の口笛でカバーしながら素早く アンプのエフェクトを切り、シンプルな伴奏でしんみりと終わった。 笹原「こないだは弾き語りでストロークメインだったけど、リード弾きっぱなしも       出来るんだねぇ。ま、まあ俺も色々音は作るけど、弾ける限り弾いてもらえるかな。」 荻上「あ、大丈夫です、弾けマス。」 笹原「荻上さんが出来る曲に決まったら、好きなだけ弾いてもらうけど       そうじゃなかったら、俺がDTMで作るから。」 荻上「いえ、大丈夫です、コピーしますよ。」 改めて荻上の技量に冷や汗浮かべつつ、心強い笹原と斑目だった。 斑目「選曲も良いけど、スタジオどこ使う?」 笹原「んー、とりあえず安い所とか融通効く所とか、高柳さんに聞きにいってみます。」 現聴研にとっても初参加だが、荻上にとってもステージは初体験。 荻上『すんご………やっぱす大学のサークル、本格的だぁ。』 期待に胸膨らむ1日だった。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: