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「指」(2006/03/12 (日) 02:12:44) の最新版変更点
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*事後・side荻上 【投稿日 2006/03/06】
**[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]]
薄暗闇の中、ふと目が覚める。
隣に人の気配。それは間違いなく現実のもの。確かな形と熱を持ってそこにいる。
「笹原さん…」
囁きかける。答えは無い。穏やかな寝息だけが聞こえる。
体を少し起こす。素肌に夜気が冷たい。顔を覗き込む。穏やかな寝顔。
自分がそうであるように、かれも生まれたままの姿で、同じシーツに包まっている。
それが嬉しい。
昨夜の事を思い出す。
互いの名を呼び合い、ひたすら求め合った。彼にしがみつき、ねだった。
「笹原さん、もっと、もっとしてください」
夢現の中、そう言ったことを思い出し、赤面する。頬が火照る。
思い切って半身を起こし、夜気にさらす。寒さが心地よい。
もう悪夢は見ない。夢のなかの笹原さんはいつも強気で、悪夢と、弱くてずるい私を倒して、私を救ってくれる。
都合のよい夢だと思う。
結局、わたしは弱くてずるいままで、ただ笹原さんにすがっているだけかもしれない。
笹原さんなら「それでもいい」と笑って受け入れてくれるだろう。
でも、それじゃいやだ。
強くなりたい。傍に居れるように。共に歩めるように。いつか私が笹原さんを助けられるように。
『運命に負けない力を』
どこかで聞いた言葉を思い出す。
運命。もし笹原さんと出会ったことが運命なら、それはいつからだろう?
体が震える。思ったより長い間考え込んでいたようだ。ずいぶん体が冷えてしまった。
笹原さんに抱きつく。それは熱い位で、冷えた私を暖める。
笹原さんも私を抱きしめる。起きてはいないのだろう。息は穏やかなまま。腕にも力は入っていない。
彼の胸に擦り寄る。鼓動が聞こえるような気がする。
彼の鼓動に包まれて、再び眠りに落ちた。
…はじまりは、何だったのだろう。
運命の歯車は、いつ回りだしたのか。
時の流れのはるかな底から
その答えを拾い上げるのは
今となっては不可能に近い…
*指 【投稿日 2006/03/11】
**[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]]
管理人注:前にあったSSとタイトルがかぶってしまったため、管理のため
違うのをつけさせていただきました。何かあればメールください。
笹原と荻上の交際は順調に進んでいる。
今日は荻上の部屋で「笹斑」の鑑賞会だ。
「う~ん、相変わらずすごいねえ」
「そ、そうですか?」
「だって、このシーンなんか…あれ、これ何?」
原稿に挟まった一枚のメモ用紙。
片方は見慣れた強気笹原だが、もう片方は…女性?
大きくてきつい目。小さい体。凹凸少なめ。収まりの悪い髪の毛。
これって…
「あ!!」
荻上が慌てる。
「見ないで下さい見ないで下さい見ないでー!!」
「いてっ」
大慌てで奪い取る。握りつぶしてくずかごへ捨てる。
振り返ると笹原が自身の指先を見ている。血がにじんでいる。奪った時に切ってしまったようだ。
(大変だ笹原さんを傷つけてしまった血が痛そう手当てしないとどこにしまったっけああ血がこぼれるそうだ!)
パク。
笹原の指を咥える。
「おおお、荻上さん!?」
口に広がる血の味。
荻上の心に罪悪感が満ちる。
(ごめんなさいごめんなさい)
心の中で謝罪を続けながら傷口を優しく舐める。
意外と傷が深かったのか舐めた側から新たな血が湧き出る。
血の味のする唾を飲み込み、再び傷口を舐める。
笹原の頭の中は真っ白だ。
荻上さんが指を舐めている。目を伏せて一生懸命に。飲み込むたびに小さく動くのど。手にかかる息。指先に触れる暖かくて柔らかな…
それはさっきまで見ていたあのシーンを思い出させて。
強気スイッチ、オン。
指をゆっくりと引き抜く。まだわずかに血のにじむ指先で唇をなぞる。もう片方の手で荻上の顔を上向かせると、唇を奪う。舌を差し込む。荻上の目が大きく見開かれる。
かすかな血の味を感じながら荻上の口の中を蹂躙する。
右手は服の上から胸を触る。
左手で荻上の背中を支えながらソファに押し倒す。そのまま左手は腰を経て太ももへ。
笹原の唇は荻上のそれから離れ、うなじへと吸い付く。
「だめ、笹原さん…傷の手当てしないと…ん!…だめですって…やん!…だから、だめ、って・・・」
荻上の声を堪能しながら、笹原の手は荻上の服の下へと潜りこみ…
…その瞬間、荻上の中で何かが切れた。
右手で笹原を押し返す。左手を大きく振りかぶる。そして欲望で染まった笹原の横っ面を
ばっちーん!!
思いっきり張り飛ばした。
目をしばたかせる笹原。
その隙に笹原の下から抜け出す。服の乱れを直す。机の引出しからバンソーコーを取り出し、手際よく笹原の指先に巻きつける。
「はい!手当て終り!!」
手の甲を少し強めに叩く。
「まったく笹原さんは…」「ゴメンナサイ」
「まだ日も高いのに…」「ゴメンナサイ」
「ケダモノですね」「ホントーにゴメンナサイ」
平謝りする笹原。それを見ていた荻上は軽く吹き出す。
「もういいですよ」
「よかったー」
心底ほっとした様子の笹原。荻上は右手をあげ人差し指を立てると、胸を張って宣言する。
「えっちなのはいけないと思います!」
「「あはっはははは!」」
二人で笑い転げる。
仲良き事は美しき哉。
その夜。
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「ふふ、指を舐められただけでここをこんなにして…
斑目さんは本当にいやらしいですね」
「そ、そんなこと…」
「おや、じゃあこれは何なんです?」
笹原の手が斑目のものをきつく握り締める。
「ち、違うんだ笹原、あ、あ、ああーーー!!」
斑目は苦痛と歓喜の声を上げる…
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荻上の部屋の明かりは早朝まで消えなかった…