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*朽木君の優雅な日常 【投稿日 2006/03/10】
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朽木の朝は早い。
5時にセットされた目覚ましがなるちょうど一分前、布団から伸びた手が目覚ましを止める。
「フフ、今日も勝った」
呟きながら布団から這い出る。全裸だ。彼は寝る時には何も身に付けない主義なのだ。
「さすがに家でだけだにょー」
うるさい、さっさと服をきろ。野郎の裸なんか見たかねえんだ。
「はいですにょー」
洗いざらしのシャツ。使い古したジーパン。別に彼は好き好んで着ているわけではない。
以前自分の好みで服を選んだら、周りに「やめてくれ」と拝み倒されたからだ。
それ以来彼はずっと同じスタイルでいる。彼は寛容で律儀なのだ。
次に朝食の準備をする。
今日の献立は、ご飯と味噌汁、めざしと焼き海苔だ。
彼はこだわりの人間なのだ。
手際よく準備し、食卓へ向かう。
「いただきます」
手を合わせる。結構礼儀正しい。作法も守っている。
「今はなき祖父母のおかげだにょー」
共に健在だ。勝手に殺すな。
食べ終わるとこれも手際よく片付け、食後の茶をすする。まったり。穏やかな時が流れる。
テレビはめったに付けない。彼は静寂を好むのだ。
茶道具を片付け、昨夜のうちに完璧に用意されたバッグを掴む。
外に出て玄関に鍵をかけ、バッグを背負うと玄関に向かって敬礼する。
「いってまいります!」
やめろ。
教室へむかう。スキップする。影踏みをする。石蹴りをする。歩道のタイルを一枚おきに歩いてみる。
普通に歩けよ。
たっぷりと余裕を持って家を出て、完全に遅刻する。
「すみません先生!遅くなりました!」
大声で乱入。
「朽木か、さっさと席につけ」
呆れ顔で担任が促す。理由など聞かない。以前それをやって授業を丸々つぶされた事があるのだ。
これで成績が悪ければ放り出すのだが、良いからたちが悪い。
真面目に授業を受ける。ふと窓の外を見る。青い空、白い雲。小鳥がさえずり、世はなべて事もなし。あまりの陽気に鼻歌の一つも歌おうとして、
「朽木!!」
止められた。
「すみませんでしたぁ!」
立ち上がって大声で謝罪する。深深とお辞儀。担任のため息。授業再開。
その後は特に何もなく授業が終わる。
「大変だったにょー」
お前が言うな。
昼食は気分で決める。コーヒー一杯で済ませることもあれば、コンビニで弁当を買うこともある。
今日はコンビニの牛丼のようだ。
握り箸でかっこむ。おい、祖父母の教えはどうした。
「TPOというやつだにょー」
ああ、そうかい。
ペットボトルのお茶を飲んでくつろぐ。基本的に食事は一人でとる。そばに誰かいると食べられないのだ。彼もそばにいる人も。
「複数での食事では会話は重要な要素なのですにょー」
食事を邪魔するほど喋ってどうする。
「よう」
「おーう沢崎クン、ひさしぶりー!」
「さっき会ったろが」
朽木の友達は少ない。彼の突拍子もない行動を受け入れられる人は多くないからだ。特に女性は皆無といっていい。それは「女性の前だとあがってしまうからだにょー」
勝手に喋るな。とにかくそんな理由で奇行が三割増になるせいだ。
ちなみに沢崎による彼の評価はというと、
「朽木?付き合い方さえわかれば悪い奴じゃないよ」
だそうだ。
喋る、喋る、喋る。ゲームの話、マンガの話、アニメの話。あっち飛びこっち飛び取り留めなく延々と。
沢崎は適当に相槌を打つ。疲れませんか?
「こういう奴だから」
寛大ですな。
沢崎と別れ、現視研の部室に向かう。鼻歌など歌いながら。ごきげんだね、クッチー。
扉を開けると荻上一人。
「あ、オギチンだ。一人?」
懲りないなお前。
今回は舌打ちはない。代わりに片方の眉が少し動いただけだ。
遠慮なく中に入り、バッグをおき、エロ同人誌に手を伸ばす。あんた漢だよ。
エロ同人誌を読んでいると、荻上の方から何やら怨念じみたものが押し寄せてくる。
気付けよ。察しろ。荻上の眉の角度がだんだんきつくなってるぞ。
朽木がエロ同人誌から顔をあげる。荻上を見る。荻上は微笑んでいる。目は笑ってないが。
荻上は微笑んでいる。
荻上は微笑んでいる。
荻上は微笑んでいる。
「ちょ、ちょっと用事を思い出したので今日は帰りマスネ」
朽木はにげだした。
「なんでかにょー、あのままあそこにいると殺されそうな気がしたにょー」
正解だ。いまごろは笹原とラブラブ空間でも作っている事だろう。
部室を出たはいいが、まだ日は高いので、本屋に向かう。
店員に睨まれながら立ち読みする。ブツブツ言いながら読まないでくれよ…
もっとも彼は本を汚したり傷つけたりはしない。彼は仁義を知っているのだ。
本屋を出て、ゲーセンに入る。相変わらずへたくそだ。
「なんでかにょー?、なんで勝てないかにょー?」
相手の動きを見ろ。自分ばっか見てんじゃねーよ。ほら返された。あ、いまのフィニッシュかっこいいな。
結局さんざんにやられて家路に向かう。
帰宅途中でスーパーに寄る。両手に袋。片方は食材だがもう片方は酒だ。
彼は結構な酒飲みだ。
自宅につくと荷物を降ろし、食材を冷蔵庫にしまう。冷やす必要のある酒も同様に。
一息ついたら明日の授業の準備を念入りにする。
彼は準備を怠らない人間なのだ。準備した事を忘れたとしても。
風呂を沸かす。台所に立ちつまみを作る。
酒を用意してテレビの前に座れば準備完了。
ビデオ鑑賞しながら酒を飲む。飲む。飲む。どんどんテンションが高くなる。
歌い出す。踊りだす。叫びだす。ノリはほとんど原始宗教。
あー、これ以上騒ぐと…ほら、隣の住人が壁を蹴ってる。上の住人もご立腹のようだぞ。すごい足音だ。一応防音なんだけどなこの部屋。
酒が切れると騒ぎがぴたっと収まる。彼はぼんやりとしている。電池でも切れたか?
おもむろに立ち上がると風呂場へ向かう。着物を洗濯機に突っ込むと、頭を洗い体を洗い火傷するほど熱い湯につかって汗を流す。所要時間5分。カラスもビックリだ。
体を拭き、髪を乾かすと裸でふらふらとベッドにもぐりこむ。布団から手だけだして目覚ましをセットすると…寝てしまった。いや、まだだ。もう一度布団から手が出てリモコンのボタンを押す。部屋の明かりが消える。手が引っ込む。
今度こそお休みなさい。
また明日。
…ところで「にょー」というのは何なんです?
「キャラ作りの一環ですにょー」
やめたら?ウザいし。
「やだにょー」