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*彼女は私のもの 【投稿日 2006/03/07】 **[[カテゴリー-その他>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/52.html]] 私は荻上のことなら何でも知っている。 彼女が好きなことも、嫌いなことも全て。 だから、私は彼女を思うようにできる。 それは当然の権利。 なぜなら私は荻上を愛しているから。 私が荻上と出会ったのは、中学に上がってすぐ、部活動を選んでいた時だった。 (私の中学では強制的に部活動を強いられるのだ) 自慢じゃないが私は勉強も、運動神経も良く、先生からの受けも良かったので、かえって選択に迷っていた。 結局決めかねて教室に戻ってくると、彼女がいた。 彼女は回りのことなど気にもかけずに、ノートになにやら書き込んでいる。 分厚いメガネ。ぼさぼさの髪。制服の着方だって校則通りで、むしろだらしなくさえ感じる。 ガリ勉クンかな、とも思ったが、机の上にあるのは教科書ではなく、マンガ。 純粋に好奇心から声を掛けてみた。(クラスメートの名前と顔くらいとっくに全部把握していた) 「荻上さん、何書いてるの?」 彼女は固まってしまった。仕方ないので隙間から覗き込むと、どうもマンガを写していたらしい。 マンガの誌名をみると…ああ、知ってる。一応少女漫画だが、妙にホモの多い奴だ。 「ふーん」 わざとらしく聞こえるように言ってやる。 すると彼女はますます小さくなっていく。その様は小動物が身を守ろうとするように見えて、私の保護欲を誘った。 (気に入った。彼女を『飼おう』。優等生を演じるのはそれなりにストレスだし) 当時の私の荻上の認識はその程度でしかなかった。 早速行動に移す。荻上の希望する部活をそれとなく聞き出し、誘導し、二人揃って文芸部に入部した。 やる気のない先生。能力の無い先輩。だらけきった空気。私が好き勝手やるにはもってこいの環境だ。(一応、過去の出版物を読んだ上での評価だ。少なくとも私の目にかなう作品などなかった) 彼女を『飼う』のは楽しかった。最初は頑ななのに、一線を越えると急に親密になり、基本的にうっかりさんで、不意に弱く、リアクションが大きいのだ。 おだてるとのぼせて、しかるとうなだれて、冷たくすると必死にすがってきて、優しくすると赤子のように信頼してくれる。からかうとむきになって怒り、誉めると真っ赤になって照れる。 しばらくすると、私は彼女を手放せなくなっていた。 私がその手の『ホモ』小説を書き出したのは、彼女がきっかけだった。 彼女になぜホモにこだわるのか聞いたら、生意気にも「書けばわかります」などと言われたからだ。 私はマンガを書く気は無かったので、必然的に小説になった。(挿絵を彼女に書かせよう、という思いもあったが) 参考図書は家には山ほどあった。(私の父が文字通りの『読書家』で、文字があればマンガから辞書まで、純文学からエロ小説まで見境なしに読み集め、しかも整理が下手なので、多少借りたところで気も付かないという人物だったせいだ) とりあえず、彼女の好きなマンガの人物の名前を借りて、そこらの本から換骨奪胎して適当にでっち上げると、彼女に読ませた。 酷評だった。こうも辛らつな言葉が彼女の口から発せられるとは思わなかった。 「…書きたくないなら書かないで下さい」 そう締めくくられた時、私は決意した。この身の程知らずなペットに教えてやると。自分が一体誰に口を利いているのかと。 それからしばらくは蜜月と言っていい日々が続いた。 私の小説を彼女が批評し、彼女のマンガを私が批評し、時には協力して挿絵付きホモ小説を書いた。 いつの間にか、私たちの作品のファンだ、とかいう人間まで集まってきた。 だけど私には彼女らなど眼中に無かった。 いや、彼女以外に私の興味を引くものなど無くなっていたのだ。 そして、当時の私は今が永遠に続くと信じていた。 そんなものなど無いと誰よりも知っていたはずなのに。 その日は彼女の様子が変だった。 妙に落ち着きが無く、話し掛けても上の空で、いつもなら私だけを見ているはずの彼女の目は何も見ていない。 そしてその日、彼女は初めて部活を休んだ。 どうでもいい人間と、どうでもいい会話をしながら、退屈をもてあそぶ。 ついに耐え切れなくなり、早々に帰った。 そして見た。神社から出てくる彼女を。その笑顔が自分以外に向けられている事を。 その時は不思議と何の感情も無かった。 彼女とあれは別々の家路に向かう。 私は彼女の後をついて行く。彼女は一度も振り返らず、私に気付くことなく玄関をくぐっていった。 その後は良く覚えていない。 気が付いたら朝だった。 私は制服のままで、枕もとが濡れていた。 昨日、今日と彼女がよそよそしくなっていく。声を掛けても返事が返ってこなくなる。声を掛けようとするといなくなってしまう。 私の彼女がいなくなってしまう。 私のものなのに。 そして決定的な出来事。 「荻上が巻田とつきあってるんだって」 うそだ。そんなはずはない。かのじょはわたしのものだ。なぜ。わたしはきいてない。うらぎりもの。 私は策を練る。彼女を『あまり』傷つけず(多少は罰のうちだ)、あの男を徹底的に叩き潰して、彼女を取り戻すのだ。 そうだ、あの男を『受け』にしたイラストを彼女に描かせ、見せつけてやろう。 あの男には到底受け入れられないようなハードな奴を。 付き合ってる彼女が自分がヤラれるイラストで興奮していた、と知ったらあの男なら耐えられまい。 彼女を捨てて逃げ出すに決まってる。 そうしたら私は彼女に言うのだ。 「男なんてあんなものよ。大丈夫。私はあなたの全てを肯定して受け入れてあげる」 その時の彼女を思うだけでしびれるような快感を感じる。 さあ、渾身の力をこめてあの男の『受け』小説を書こう。 荻上が二の句を継げないような、彼女の創作欲を刺激するような奴を。 そして彼女を取り戻すのだ。 彼女は私のものだ。 彼女は私だけのものだ。 私は彼女を愛している。 ならば 彼女が愛していいのは私だけだ。
*彼女は私のもの 【投稿日 2006/03/07】 **[[カテゴリー-荻ちゅ関連>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/284.html]] 私は荻上のことなら何でも知っている。 彼女が好きなことも、嫌いなことも全て。 だから、私は彼女を思うようにできる。 それは当然の権利。 なぜなら私は荻上を愛しているから。 私が荻上と出会ったのは、中学に上がってすぐ、部活動を選んでいた時だった。 (私の中学では強制的に部活動を強いられるのだ) 自慢じゃないが私は勉強も、運動神経も良く、先生からの受けも良かったので、かえって選択に迷っていた。 結局決めかねて教室に戻ってくると、彼女がいた。 彼女は回りのことなど気にもかけずに、ノートになにやら書き込んでいる。 分厚いメガネ。ぼさぼさの髪。制服の着方だって校則通りで、むしろだらしなくさえ感じる。 ガリ勉クンかな、とも思ったが、机の上にあるのは教科書ではなく、マンガ。 純粋に好奇心から声を掛けてみた。(クラスメートの名前と顔くらいとっくに全部把握していた) 「荻上さん、何書いてるの?」 彼女は固まってしまった。仕方ないので隙間から覗き込むと、どうもマンガを写していたらしい。 マンガの誌名をみると…ああ、知ってる。一応少女漫画だが、妙にホモの多い奴だ。 「ふーん」 わざとらしく聞こえるように言ってやる。 すると彼女はますます小さくなっていく。その様は小動物が身を守ろうとするように見えて、私の保護欲を誘った。 (気に入った。彼女を『飼おう』。優等生を演じるのはそれなりにストレスだし) 当時の私の荻上の認識はその程度でしかなかった。 早速行動に移す。荻上の希望する部活をそれとなく聞き出し、誘導し、二人揃って文芸部に入部した。 やる気のない先生。能力の無い先輩。だらけきった空気。私が好き勝手やるにはもってこいの環境だ。(一応、過去の出版物を読んだ上での評価だ。少なくとも私の目にかなう作品などなかった) 彼女を『飼う』のは楽しかった。最初は頑ななのに、一線を越えると急に親密になり、基本的にうっかりさんで、不意に弱く、リアクションが大きいのだ。 おだてるとのぼせて、しかるとうなだれて、冷たくすると必死にすがってきて、優しくすると赤子のように信頼してくれる。からかうとむきになって怒り、誉めると真っ赤になって照れる。 しばらくすると、私は彼女を手放せなくなっていた。 私がその手の『ホモ』小説を書き出したのは、彼女がきっかけだった。 彼女になぜホモにこだわるのか聞いたら、生意気にも「書けばわかります」などと言われたからだ。 私はマンガを書く気は無かったので、必然的に小説になった。(挿絵を彼女に書かせよう、という思いもあったが) 参考図書は家には山ほどあった。(私の父が文字通りの『読書家』で、文字があればマンガから辞書まで、純文学からエロ小説まで見境なしに読み集め、しかも整理が下手なので、多少借りたところで気も付かないという人物だったせいだ) とりあえず、彼女の好きなマンガの人物の名前を借りて、そこらの本から換骨奪胎して適当にでっち上げると、彼女に読ませた。 酷評だった。こうも辛らつな言葉が彼女の口から発せられるとは思わなかった。 「…書きたくないなら書かないで下さい」 そう締めくくられた時、私は決意した。この身の程知らずなペットに教えてやると。自分が一体誰に口を利いているのかと。 それからしばらくは蜜月と言っていい日々が続いた。 私の小説を彼女が批評し、彼女のマンガを私が批評し、時には協力して挿絵付きホモ小説を書いた。 いつの間にか、私たちの作品のファンだ、とかいう人間まで集まってきた。 だけど私には彼女らなど眼中に無かった。 いや、彼女以外に私の興味を引くものなど無くなっていたのだ。 そして、当時の私は今が永遠に続くと信じていた。 そんなものなど無いと誰よりも知っていたはずなのに。 その日は彼女の様子が変だった。 妙に落ち着きが無く、話し掛けても上の空で、いつもなら私だけを見ているはずの彼女の目は何も見ていない。 そしてその日、彼女は初めて部活を休んだ。 どうでもいい人間と、どうでもいい会話をしながら、退屈をもてあそぶ。 ついに耐え切れなくなり、早々に帰った。 そして見た。神社から出てくる彼女を。その笑顔が自分以外に向けられている事を。 その時は不思議と何の感情も無かった。 彼女とあれは別々の家路に向かう。 私は彼女の後をついて行く。彼女は一度も振り返らず、私に気付くことなく玄関をくぐっていった。 その後は良く覚えていない。 気が付いたら朝だった。 私は制服のままで、枕もとが濡れていた。 昨日、今日と彼女がよそよそしくなっていく。声を掛けても返事が返ってこなくなる。声を掛けようとするといなくなってしまう。 私の彼女がいなくなってしまう。 私のものなのに。 そして決定的な出来事。 「荻上が巻田とつきあってるんだって」 うそだ。そんなはずはない。かのじょはわたしのものだ。なぜ。わたしはきいてない。うらぎりもの。 私は策を練る。彼女を『あまり』傷つけず(多少は罰のうちだ)、あの男を徹底的に叩き潰して、彼女を取り戻すのだ。 そうだ、あの男を『受け』にしたイラストを彼女に描かせ、見せつけてやろう。 あの男には到底受け入れられないようなハードな奴を。 付き合ってる彼女が自分がヤラれるイラストで興奮していた、と知ったらあの男なら耐えられまい。 彼女を捨てて逃げ出すに決まってる。 そうしたら私は彼女に言うのだ。 「男なんてあんなものよ。大丈夫。私はあなたの全てを肯定して受け入れてあげる」 その時の彼女を思うだけでしびれるような快感を感じる。 さあ、渾身の力をこめてあの男の『受け』小説を書こう。 荻上が二の句を継げないような、彼女の創作欲を刺激するような奴を。 そして彼女を取り戻すのだ。 彼女は私のものだ。 彼女は私だけのものだ。 私は彼女を愛している。 ならば 彼女が愛していいのは私だけだ。

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