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*事後・side荻上 【投稿日 2006/03/06】 **[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]] 薄暗闇の中、ふと目が覚める。 隣に人の気配。それは間違いなく現実のもの。確かな形と熱を持ってそこにいる。 「笹原さん…」 囁きかける。答えは無い。穏やかな寝息だけが聞こえる。 体を少し起こす。素肌に夜気が冷たい。顔を覗き込む。穏やかな寝顔。 自分がそうであるように、かれも生まれたままの姿で、同じシーツに包まっている。 それが嬉しい。 昨夜の事を思い出す。 互いの名を呼び合い、ひたすら求め合った。彼にしがみつき、ねだった。 「笹原さん、もっと、もっとしてください」 夢現の中、そう言ったことを思い出し、赤面する。頬が火照る。 思い切って半身を起こし、夜気にさらす。寒さが心地よい。 もう悪夢は見ない。夢のなかの笹原さんはいつも強気で、悪夢と、弱くてずるい私を倒して、私を救ってくれる。 都合のよい夢だと思う。 結局、わたしは弱くてずるいままで、ただ笹原さんにすがっているだけかもしれない。 笹原さんなら「それでもいい」と笑って受け入れてくれるだろう。 でも、それじゃいやだ。 強くなりたい。傍に居れるように。共に歩めるように。いつか私が笹原さんを助けられるように。 『運命に負けない力を』 どこかで聞いた言葉を思い出す。 運命。もし笹原さんと出会ったことが運命なら、それはいつからだろう? 体が震える。思ったより長い間考え込んでいたようだ。ずいぶん体が冷えてしまった。 笹原さんに抱きつく。それは熱い位で、冷えた私を暖める。 笹原さんも私を抱きしめる。起きてはいないのだろう。息は穏やかなまま。腕にも力は入っていない。 彼の胸に擦り寄る。鼓動が聞こえるような気がする。 彼の鼓動に包まれて、再び眠りに落ちた。 …はじまりは、何だったのだろう。 運命の歯車は、いつ回りだしたのか。 時の流れのはるかな底から その答えを拾い上げるのは 今となっては不可能に近い…

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