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*第一話・出会い 【投稿日 2006/02/04】 **[[第801小隊シリーズ]] マダ「あー、こりゃ酷いな」 ササ「ザク…じゃないですよねコレ」 クチ「ジオンの新型ですかにょ~?」 基地から20分ほどビークルで走った谷間にその鉄屑の山はあった。 所々から煙や火花が出ているモビルスーツであっただろうその塊。 上空から落ち、いや、かなりの高速で飛行中に山にぶち当たり、この河原まで落ちてきた事は 山腹からここまで大きくえぐられた山肌と、それに沿って散らばった無数の部品が教えてくれた。 マダ「どーだ、使えそうなモンあるか?」 ササ「なに言ってんすか!生存者捜索が先でしょ?」 マダ「はぁ?この落ち方じゃ助からんだろうフツー。それに落ちて2時間はたって…」 ササ「クッチー、頭部見てきて。コクピットそっちかも」 クチ「イエッサー!あのフデっぽいの付いてるのが頭ですにゃ?うわ、まだ熱いですにょ~」 ササ「気をつけてね。…くそ、大型工具いるな」 マダ「そんなもん持ってきてネーヨ。大体俺たちの任務は調査団が来るまでの監視…」 ササハラは聞こえないのか無視しているのか、ガレキのあちこちを引き剥がす作業をやめない。 まあ持って来ようにも、連邦から見捨てられたような部隊に本格的な救命工具があるはずもなく、 使えそうな物と言えば墜落した輸送機の部品を改造したタナカ特製ジャッキくらいだ。 マダ「…しょーがねぇなぁ…ほれ、ササハラ!エアジャッキ」 ササ「あ、ありがとうございます!」 マダ「気ぃつけろよ。変なとこ開けて放射線漏れなんてシャレにならんからな」 ササ「…やっぱここが一番怪しいっすね。削れてるけどこれ、強制排出ボルトっぽいし」 マダ「よし、どいてろ。いくぞ」 マダラメはタナカ特製スーパーマトック(どう見てもツルハシです)を力任せに振り下ろした。 ガキーン!ガキッ!ゴリッ! ササ「あ、そんな乱暴にやったら」 マダ「バーカ、このハッチっぽいやつだけで100キロ以上あるだろ。くそ、クガヤマ連れて来るんだった…」 ササ「あ、動いた。そこです隊長!」 マダ「それに助けるんなら1秒でも…ほれ、ジャッキ挟め!早く」 ササ「あ、はい」 マダ「いっせーの!」 ササ「セイ!」 どうしようもなく堅く閉ざされたハッチが、少しずつ開いていく。 どうにか頭ひとつ入る隙間に飛び込もうとするササハラ。 マダラメはその襟首をつかんで引き戻す。 次の瞬間、金属がちぎれる不快な音と共にハッチは5メートル下の谷川に落ちていった。 マダ「危ねぇ…頑丈なようで結構脆い…」 ササ「誰かいるかー!助けに来たぞ!」 真っ暗なコクピットからヒヤっとする冷気が流れ出す。 安っぽい懐中電灯の照射範囲の狭さに毒づきながらササハラとマダラメは 45度に傾き、配線とパイプが散乱する瓦礫の中に潜り込んだ。 マダ「…返事ねーな…どうだ?何か見えるか?」 ササ「なんで薄目なんですか?」 マダ「俺スプラッタはちょっと苦手なんでナ」 資料で見たザクの内部とは違い、球形に近いその部屋には あるはずの操縦席はなく、川に水没はしていないだろうにもかかわらず ハッチより下の部分は水、いや何かの液体が溜まっていた。 なぜかそれを「涙だ」と思ったササハラが視線を上に向ける。 そこにいた。まるで磔られたように宙に浮かんだパイロットが。 ササ「……あ、あれ…こ、子供!?」 マダ「なに?子供!?ちょっとライト貸せ!」 ササ「どうですか?」 マダ「…んー、子供っつーか…女?女の子?女性?」 ササ「え?」 オギ「……ん…」 ササ「生きてます!おい、今助けるからな!しっかりしろ!」 マダ「マジか?ノーマルスーツのおかげかな?奇跡的だな」 ササ「この壊れ方ですからね…」 マダ「ジオンの驚異だな。あ、動かすな。応急処置できそうならしとけ。増援と衛生兵呼んで来る」 一人残されたササハラは、瓦礫を積み上げてパイロットに近付いた。 無残に拘束されているように見えたが、球の中心にフレームでパイロットが固定される、 そういう構造のコクピットのようだ。 脈を診ようと思ったが、配線がからまった分厚いグローブがそれを断念させ、 ササハラはパイロットの胸に耳を当てた。 ササ「うわ…たしかに…女の子だ…」 多分耳まで真っ赤になっているだろう自分を卑下しつつひたる その感触の余韻は、少女のうめき声によって遮られた。 オギ「…う…うう…」 ササ「しっかりして。助けに来たよ」 オギ「…誰?」 ササ「もう大丈夫だ。すぐ出してあげるからね」 オギ「…また…死にそこねた」 ササ「え?」 オギ「邪魔するなぁ!!!」 ササ「うぐ!?…」 すごい勢いで少女の手がササハラの首に伸びる。 正確に気道を捉えたそれは、多分彼女が正常な状態ならば ササハラの親族は、彼の遺品と2階級特進の書状を受け取っていただろう。 オギ「お前が…お前みたいなのがいるからぁ!」 ササ「…ははっ…それだけ力が…あるのなら大丈夫だ…よかった」 オギ「…え?……よかった?…」 ササ「うん」 殺されかけているのに、ササハラは嬉しかった。 なんのために戦争をしているのかわからなかった彼に、ただなんとなく毎日を送っていた彼に訪れた何か。 それが何かわからなかったが、ササハラは今、確かに充実感を、そして生きている実感を味わっていた。 オギ「………なんでそんなに嬉しそう…なん…」 ササ「ゲホっ…あれ…君?君っ!…」 再び深淵の中に落ちた少女に、ササハラは呼びかけ続けた。 少女は担架に乗せられ、赤十字のついたトラックに運び込まれていく。 衛生班のオーノはそれを見送りながら、しつこく容態を聞くササハラに 少し意地悪したくなった。 オー「今夜がヤマだ」 ササ「え?えーっ?ちょ、オーノさん、なんとかしてください!そうだ、今度の休暇譲りますから!」 オー「2日」 ササ「え?」 オー「休み2日くれたら考えないでもないです」 ササ「わ、わかりました。隊長!俺の次の休暇いつですっけ?」 マダ「ササやん…必死だな」 オー「ほんと…なんか私、かなり後悔シテマス。からかったの」 ササ「え?ええー?」 オー「クスクス、心配しないでいいですよ。頭部、脊椎にも特に損傷はないようですし」 ササ「よかったー。じゃ、大丈夫なんすね?」 オー「精密検査は必要ですけどね。でもまあ腕一本で済んだなんて」 ササ「信じられないっすよねー」 マダ「よっぽど落ち慣れてんだな」 ササ「…はは」 オー「じゃ、じゃあ搬送しますよ。あとはよろしくです」 マダ「…ん、まああれだ、ササハラ、お前も乗ってけ」 ササ「え?俺?」 マダ「お前が助けたんだから最後まで看取って…いや責任取れ」 ササ「ええー?」 マダ「報告書も書いとけよ。ヒヒヒ」 夕日に向かって走り去るトラックを見送ったマダラメは、ササハラに言った事を少し後悔した。 マダ「ジオンの未確認モビルスーツとそのパイロットか…ウチらには荷が重過ぎるわな。すぐに移送され…」 クチ「たいちょー!こっちにはコクピットナッスィーン!でありますにょ~!」 マダ「…ふぅ…クッチー!そのまま本隊調査団がくるまで待機!……長い夜になりそうだわ」 次回予告 連盟軍・第801小隊は今までにない事件に遭遇した。 今までにない緊張感。新たなる人員、MSの追加。 そして、謎のシステム・・・。 出撃のときが迫る。 次回、第二話「最前線」 お楽しみに
*第二話・最前線 【投稿日 2006/02/05】 **[[第801小隊シリーズ]] 「なに?墜落だと?」 ここは第801小隊の防衛拠点に一番近い皇国軍の基地である。 「ええ・・・。パイロットの生存も確認できません。」 「くそ!よりにもよって連盟軍のエリアに墜落するとは・・・。」 場所を確認するための大型ディスプレイを見ながら苦い表情をする女指令。 「ナカジマ大佐・・・。どうしましょうか・・・。」 「どうするもこうするもない!回収せねばならないだろう!」 「しかし、それでは連盟との衝突は免れませんが・・・。」 その提言に対してナカジマはにらみながら怒鳴る。 「そんなことはわかっている!しかし、アレを回収されるわけにはいかん!」 「ようやくきやがったか・・・。」 マダラメがそう呟くと、空には一機の輸送船。 「ようやくですな。」 クチキも苦い表情をして空を見上げる。 「・・・あの大きさじゃ持っていけんだろうに・・・。」 目の前にある大物を見つめながら、輸送船にコレを運ぶ許容量がないことを悟るマダラメ。 「とりあえず監視員を派遣してきたと読みますがいかがでしょ~?」 「まあ、そんなところか。あの報告じゃどんな大きさかわからんものな。」 そんな会話をしているうちに、船が近くに着陸する。 キィィィィィ・・・・・ン。 プシュー。 出入り口に当たる扉が開く。 「ゲ・・・。よりにもよって・・・。」 そこにいたのは恰幅のいい一人の将官。それとともに兵士が4名ほど降りてきた。 「よ~。マダラメ中尉。久しぶりだな。」 「・・・お元気そうで何よりです。ハラグチ少将。」 そういいながら敬礼をするマダラメ。ともにクチキも敬礼した。 「ん、ははは。そうしゃっちょこばるなって。」 「いえ・・・。」 「こいつか。報告のものは。」 ハラグチはその問題の物を舐めるように見る。 「ええ。」 「そうか。夜通しの番ご苦労だった。基地へ帰り、休め。  ここはわれらが監視することにする。」 「は、了解しました。いくぞ。」 そういわれて、マダラメはクチキとともにビーグルへと向かった。 「まだ、気付かないのかな?」 「ええ。でも、心配はありませんよ。」 ササハラは医務室にて、オギウエの状態を確認しにきていた。 「うん・・・。」 オギウエの顔を見るササハラ。 なぜ、この子はあの新型機に乗っていたのだろうか。 なぜ、死にそこねたと呟いたのだろうか。 初めて触れる敵軍の兵士であるこの女性は謎の塊であった。 「気付いたら教えてくださいね・・・。」 「ええ。もちろんですよ。」 オーノに任せて、自分の仕事へと戻るササハラ。 「あ、ササハラ君、いい所に。」 ビクッ! 「え、ああ、大隊長ですか。いつの間に近くに・・・。」 ササハラがその声に振り向くと後ろにはヒョロっとした男が一人。 このボロ基地の指令である。 「ん?さっきだよ?」 「はあ・・・。そうですか・・・。」 (この人いつも存在感なさすぎなんだよな・・・。) 「えっとね。あの事件のせいで、この付近も物騒になりそうだからって、  新しい補充パイロットと新型MSが到着してるんだよ。」 「え。さっき少将が立ち寄っていたときですか?」 ハラグチは現場に向かう前にここに寄っていたのである。 「うん。みなに紹介しようと思ったんだけど、  タナカ君とクガヤマ君は新型の整備、オーノさんはあの子看てるでしょう?  なんで、先にササハラ君だけでもと。」 「はあ。そういうことなら。」 司令室に招かれたササハラは驚くこととなった。 「コ、コーサカ君じゃない!」 「久しぶりだね、ササハラ君。」 久々の再会に当たるらしい、二人は喜んだ。 「え、知り合いなの?」 「ええ、仕官学校時代の同級生です。」 「まさか、ササハラ君がいるとは思わなかったよ。」 「あはは・・・。で・・・、こちらの方は?」 もう一人いた女性のほうに目を向けるササハラ。 「カスカベ二等兵。通信をおもに担当してもらう。  MS数が増えるからね。連携を保つためにも。」 「ども。よろしく。」 無愛想な顔で、挨拶をするカスカベ二等兵。 「サキちゃん、だめじゃない、しっかりと挨拶しなきゃ。」 「・・・あのね、コーサカ?納得したわけじゃないんだよ?」 「・・・その話は後でね。」 妙な会話をするコーサカとサキ。 「あ、まあ、大丈夫ですよ。これからよろしくお願いします。」 そういって場をなだめつつ、敬礼をするササハラ。 「「よろしく。」」 二人もまた敬礼をかえす。 「では、ササハラ君、二人に基地を案内してあげてください。」 「あ、はい。」 「まー、そんな大した広さじゃないから、すぐ覚えられるよ。」 大体の場所を回り終えたササハラたちは最後にMS整備場へと移動していた。 「はー、ボロっちいねえ。なんだよここ。ほんとに基地?」 「まあ、前線って言うのはこんなもんだからね。」 サキのぼやきにコーサカは苦笑い。 「で、ここがMS整備場・・・・ってうわ!」 ササハラが驚くのも無理はない。見慣れているはずの整備場に、見慣れないMS。 「ああ、コレが僕が乗るMS。」 「うわー。コレって・・・ガンダム?」 「そうそう。あの有名なのとは違う実験機なんだけどね。」 そこにはまごうことなくガンダムと呼ばれる機種があった。 「おー、ササハラ!見にきたのか!」 ひょっこりとそのMSから顔を出してきたのは整備員タナカ。 「あ、タナカさん!この方々が新しい仲間です。」 「おおー、よろしくなー。いいもん持ってきてくれて感謝してるよー。」 遠いためか大きな声を出し敬礼を送るタナカ。 それに答え、敬礼を返すコーサカとサキ。 「新型は一機なんだね。あとは、パーツかな?」 「うん。  あと実験的な補助システム持ってきたっていってたけど、あのジムにでも載せるのかな。」 「ええ!あれ俺が乗ることが多いMS・・・。」 新型の影でひっそりとしている大分ガタのきつつあるジム。 ササハラとしてはかなり愛着があるジムなのだが。 「でも、さっきから気になってたけど、実験的なものが中心なんだね。」 その言葉に少し反応するコーサカとサキ。 「・・・まあ、安心してよ。使えないわけじゃないから。」 「そ、そう?ま、まあ、あとは自由にしてて。俺、行きたいところあるから。」 「うん。わかった。」 そういって、踵を返して基地内部へと戻るササハラ。 基地入り口にやってきた一台のビーグル。 「ふい~。ようやく戻ってこれたな。」 マダラメはぼやきながらビーグルをMS整備場に近づける。 「ん、なあ~~!!?」 「な、なんですにょ~~~!!?」 整備場にあった新型機に驚くマダラメとクチキ。 「も、もどってきたな。」 「おう、クガヤマ!なんだよこのMS!すげえな!」 「し、新入り用のらしいよ。じ、実験機らしいし。」 「はーん。新入りに実験機か。なるほどね・・・。」 その流れで大体のことが読めたマダラメ。 「な、何がわかったんでございますか?」 「ま、気にすんな。」 そういいながらマダラメはビーグルから降り、田中のいるほうへと向かう。 「おーい、タナカ!俺のザクのほうどうだー!」 「ん、おー、帰ってきたか!ザクのほうはパーツ組み換えで調子よくなりそうだ!」 「おー、マジかー。ペイントのほうはー?」 「それもきたからあとで言われたとおりやっとくよ!  味方に撃たれたらしゃれにならんもんな!」 「そりゃしゃれにならん!よろしく頼むぞー!」 笑いながらその会話を終え、マダラメは報告のために司令室へと向かう。 「ただいま帰還しました!」 「ん、ごくろうさま。大変だったでしょ?」 大隊長に向かって敬礼するマダラメ。 「まあ、あの方がくるとは思いませんでしたが・・・。」 「はは。まあ、そういわないでよ。彼も一応任務で来てる訳だし。」 マダラメのほうとは逆に向いたまま、ぼんやりと目の前の地図を見る大隊長。 「あの・・・、少し気になったんですが。」 「やってきた実験機のことでしょ?今は何も言わないでくれるかな。」 「は、はあ。」 「アレについては、詳細がいえるようになったら伝えるよ。」 「・・・了解しました。」 納得はいかないものの、軍人としてはこれ以上突っ込めはしない。 「大丈夫。悪いようにはならないから。」 「・・・はい。では、失礼いたします。」 そういって部屋から出るマダラメ。 そこでばったりとサキと遭遇する。 「・・・だれだお前?」 「・・・先に自分から名乗るもんじゃないの?」 「はあ?お前、二等兵だろ?俺は中尉。どっちから普通名乗るもんよ?」 「はあ、いやだいやだ、こういう軍人。」 「なにいってんだ!?お前も軍人だろ!?」 「別になりたくてなったわけじゃないの!」 にらみを効かせ合う二人。一触即発。 そこに現れるコーサカ。さっと二人の間に入る。 「すいません。私、このたび配属されたマコト・コーサカ少尉です。  この子はサキ・カスカベ二等兵です。」 言いながら敬礼をするコーサカ。 「・・・ん、ああ、お前らか、新入りは。俺はハルノブ・マダラメ中尉。よろしく。」 コーサカの笑顔に押され、マダラメは少し戸惑ってから挨拶を返す。 「小隊長さんですよね。ササハラ君から話は聞いています。」 「ああ。ササハラとはもう会ってるんだな。」 「ええ、それに私は仕官学校時代にササハラ君とは同級で。」 「ほーん。まあ、よろしく頼む。その女の管理もな。」 そういってサキを睨むとマダラメは足早に立ち去る。 「なに、あいつ!」 「今のはサキちゃんが悪いよ。」 「ああいう軍人ってことで偉そうにしてるやつ嫌いだよ。」 「・・・気をつけてよ。目をつけられたくない。僕らの任務はまた別にもあるんだから。」 「・・・だから・・・。」 「納得いかないのは重々承知してる。でも、そうするしか道はないから。」 「まだ、起きてませんよ?」 「はあ、そうですか。」 ササハラが向かっていたのはやはり医務室。 「ちょっと長いかなとは思うんですけどね・・・。」 あまりに長い睡眠時間に、オーノも心配顔だ。 「でも、気長に待ちましょう。」 「そうだね・・・。」 そう入ったもののササハラの心配顔は変わらない。 「ササハラさん、まだ看てますか?」 「いや、今日はこのあと新型システムの指導受けるんだよね・・・。」 そういって苦笑いするササハラ。 「へー、大変ですねえ。」 「まあねえ。どんなものなのか気になるよ。」 そういいながらササハラは医務室をあとにした。 次の日の早朝。 けたたましい警報音とともにみな起こされる。 『みんな、例のポイントにて皇国軍が攻めてきたらしい。  おそらくあの試験機の回収が目的のようだよ。  至急、監視の人たちの援護に向かってください。』 大隊長の気の抜けたような緊急放送。 「ったく、そんな重要なことのんびり言わんでほしいわい!」 マダラメがぼやきながらMS整備場へと向かう。 マダラメがつくころにはすでに全員がそろっていた。 「よし。全員いるな。MSに搭乗するのは俺、ササハラ、コーサカだ。  そのほかの人員はホバートラックに乗り込んで情報処理を!」 「「「了解!」」」 「新入りもいて、昨日の研修ぐらいしかまだこの体制で活動していない。  十分に気をつけろよ!絶対に死ぬな!生きて帰るぞ!」 「へえ・・・。」 サキは少し感心したようにマダラメの言葉を聞いた。 「いいこというじゃん。」 「いつもの決まり台詞なんだよ。隊長、人死ぬのは嫌いだから。」 ササハラがマダラメの言った言葉を解説する。 全員が持ち場につき始める。 「ふー・・・ん。」 「よし、全員OKだな!では、出撃!」 新生第801小隊が出撃した。 次回予告 最前線に落ちた一つの兵器をめぐり、 連盟軍と皇国軍は衝突を始める。 今まで触ったこともない新型のシステムに動揺するササハラ。 その隙を突き、皇国軍のMSが迫る。 次回、第三話「迷子の兵士」 お楽しみに。

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