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*神社 【投稿日 2006/02/02】 **[[カテゴリー-その他>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/52.html]] 先生「・・・んだら、これ、おめが描いたんだな・・・」 荻「・・は・・・い・・、文芸部の活動で・・・」 荻上の視線は校長室のテーブルのイラストから離れない。先生の声も虚ろな 表情で聞いている。 先生「・・・んー、したら、おめここで待ってろ。文芸部の連中にも事情聞 いてみっがら」 担任は困った表情で校長室を出る。荻上は校長室に立ちすくみ、巻田の母親 の冷ややかな視線を感じて、顔面蒼白になっていた。 文芸部のみんなが校長室に入る。皆も緊張し、表情は青ざめている。 先生「別室で一人一人事情聞いでみっがら・・・校長先生、隣の会議室借り ます・・・」 文芸部のみんなは一人一人呼ばれて、先生の質問を受けている。荻上は最後 だった。部屋越しに途切れ途切れ会話が聞こえる・・・。 「んだから・・・小説が多すぎて・・・先にイラストから試作で作っぺって・・・」 「・・・いつも・・・荻上には文芸部の作品の挿絵書いてもらってますよ・・・」 「・・・んだから・・・あたしも・・・分がんねです!なして・・・」 「・・・試作したのは一部だけで・・・誰がコピーしたのか・・・」 最後に荻上が呼ばれて質問を受けたが、イラストが自分の描いたものである こと、中島に手渡してからは、その経緯は分からないとだけしか答えられな かった。 先生「大体、事情は分かった。この絵は荻上ので間違いは無いんだな」 中島を始めとして、文芸部のみんなは黙りこくり、小さく頷いた。 先生「・・・巻田・・・部屋から出てこねんだと・・・お前らはもう良いか ら、教室さ戻れ。荻上・・・おめはもう少しここさいろ・・・」 荻「はい・・・」 その後の事は荻上もよく覚えていなかった。巻田の母親は散々荻上をなじり、 とうとう荻上の親まで呼ばれる事になった。荻上の両親は深々と巻田の母親 に頭を下げ、謝罪した。その姿がさらに荻上の胸を痛めた。 荻「・・・あの・・・巻田君さ・・・謝りてえんですけど・・・」 小さい声で荻上はそう言ったが、まわりの声にかき消された。 その日は荻上も下校してよい事になり、両親と校長室から出た。学校から出 る時、中島ら文芸部のみんなが心配そうに声をかけた。 中「・・・荻上・・・大丈夫?」 荻「・・・ん・・・心配しねで・・・おがしな事になったなあ・・」 荻上は精一杯笑って見せた。 親「したら、あたしたちは巻田さんちさ行って、改めて謝罪してくっから・・・ あんた先に帰りなさい」 荻「あたしも・・・」 親「あんたはいいから・・・もう表に立たなくていいから・・・」 荻「・・・ん・・・」 荻上は自転車で家路についた。 自転車をこぐペダルが段々早くなる。 (あの場所にいる・・・いてくれる・・・あの場所に・・・) 荻上は息を切らせて「あの場所」についた。 荻「いねえ・・・」 荻上はへたり込み、崩れ去るように後ろに倒れこみ空を眺めた。 両目から涙が溢れ出し、止めることができなかった。目がかすみ何も見えな かった。手で覆っても涙は止まらなかった。 荻「――ごめんなさい―――ごめんなさい―――ごめんなさい――」 静寂が包む「その場所」に荻上の声だけが響いていた。
*神社 【投稿日 2006/02/02】 **[[カテゴリー-荻ちゅ関連>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/284.html]] 先生「・・・んだら、これ、おめが描いたんだな・・・」 荻「・・は・・・い・・、文芸部の活動で・・・」 荻上の視線は校長室のテーブルのイラストから離れない。先生の声も虚ろな 表情で聞いている。 先生「・・・んー、したら、おめここで待ってろ。文芸部の連中にも事情聞 いてみっがら」 担任は困った表情で校長室を出る。荻上は校長室に立ちすくみ、巻田の母親 の冷ややかな視線を感じて、顔面蒼白になっていた。 文芸部のみんなが校長室に入る。皆も緊張し、表情は青ざめている。 先生「別室で一人一人事情聞いでみっがら・・・校長先生、隣の会議室借り ます・・・」 文芸部のみんなは一人一人呼ばれて、先生の質問を受けている。荻上は最後 だった。部屋越しに途切れ途切れ会話が聞こえる・・・。 「んだから・・・小説が多すぎて・・・先にイラストから試作で作っぺって・・・」 「・・・いつも・・・荻上には文芸部の作品の挿絵書いてもらってますよ・・・」 「・・・んだから・・・あたしも・・・分がんねです!なして・・・」 「・・・試作したのは一部だけで・・・誰がコピーしたのか・・・」 最後に荻上が呼ばれて質問を受けたが、イラストが自分の描いたものである こと、中島に手渡してからは、その経緯は分からないとだけしか答えられな かった。 先生「大体、事情は分かった。この絵は荻上ので間違いは無いんだな」 中島を始めとして、文芸部のみんなは黙りこくり、小さく頷いた。 先生「・・・巻田・・・部屋から出てこねんだと・・・お前らはもう良いか ら、教室さ戻れ。荻上・・・おめはもう少しここさいろ・・・」 荻「はい・・・」 その後の事は荻上もよく覚えていなかった。巻田の母親は散々荻上をなじり、 とうとう荻上の親まで呼ばれる事になった。荻上の両親は深々と巻田の母親 に頭を下げ、謝罪した。その姿がさらに荻上の胸を痛めた。 荻「・・・あの・・・巻田君さ・・・謝りてえんですけど・・・」 小さい声で荻上はそう言ったが、まわりの声にかき消された。 その日は荻上も下校してよい事になり、両親と校長室から出た。学校から出 る時、中島ら文芸部のみんなが心配そうに声をかけた。 中「・・・荻上・・・大丈夫?」 荻「・・・ん・・・心配しねで・・・おがしな事になったなあ・・」 荻上は精一杯笑って見せた。 親「したら、あたしたちは巻田さんちさ行って、改めて謝罪してくっから・・・ あんた先に帰りなさい」 荻「あたしも・・・」 親「あんたはいいから・・・もう表に立たなくていいから・・・」 荻「・・・ん・・・」 荻上は自転車で家路についた。 自転車をこぐペダルが段々早くなる。 (あの場所にいる・・・いてくれる・・・あの場所に・・・) 荻上は息を切らせて「あの場所」についた。 荻「いねえ・・・」 荻上はへたり込み、崩れ去るように後ろに倒れこみ空を眺めた。 両目から涙が溢れ出し、止めることができなかった。目がかすみ何も見えな かった。手で覆っても涙は止まらなかった。 荻「――ごめんなさい―――ごめんなさい―――ごめんなさい――」 静寂が包む「その場所」に荻上の声だけが響いていた。

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