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If I ever hear you knocking on my door」(2006/01/14 (土) 06:29:00) の最新版変更点

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*五月雨(さみだれ) 【投稿日 2006/01/13】 **[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]] 梅雨入りの長雨に笹原と荻上の二人はどこにも出かけられず、せっかくの休 日なのに荻上のアパートで、何をする事無く過していた。 シトシトと霧雨のような雨が降っていた。雨だれがアパートの雨どいをつた って、ピチャリ、ピチャリと音を立てている。荻上はぼんやりと机に座って、 窓から見える滴り落ちる雨だれを眺めていた。 荻「さっぱりやんでくれませんねー。笹原さん・・・」 荻上は描きかけの漫画の原稿の下書きの上に、エンピツを遊ばせながらつぶ やいた。 笹「んー、そうね」 笹原はテーブルで漫画を読みながら答えた。 荻「これじゃあ、洗濯もできないし・・・どこにも行けないし・・・、滅入 ってきます・・・」 笹「・・・原稿・・・進まないの?」 荻「はあ、まあ・・・」 笹「気分転換にゲームでもする?」 荻「でも古いのしかないですよ。最近新しいの買ってないですし・・・」 笹「俺もだよ、えーと、プレステ2だよね。あっこの格ゲー懐かしい!」 荻「あー、それ・・・買ったもののあんまりやってないんですよね、得意じ ゃないし・・・」 笹「いいよ、教えてあげる」 荻「・・・そうですね、ヒマだし・・・」 二人はテレビの前に並んで、格ゲーを始めた。 荻「・・・で・・・やっぱり巨乳女性キャラなわけですね(怒)」 笹「いや(汗)、習慣で・・・はは(汗)」 荻「あれ・・・、こうか!」 笹「そうそう、このコンポはそのボタンで!」 小1時間が過ぎる・・・ 荻「やった!また勝った!笹原さん?初心者だからって手をそんなに抜かな くても・・・」 笹「はは、そうね!でも上達早いよ(強え・・・)」 荻「そろそろ、お昼近いですね、食べるもの何も無いですね。買い物に行き ましょうか?」 笹「そうだね」 荻「この前食べたタンドリーチキン美味しかったですよね」 笹「うん、でもあそこ今日は定休日だしなあ」 荻「じゃあ、足りない食材だけ買い足して、簡単にすませますか?」 笹「そうだね、スーパー行ってから決めようか?」 アパートの外は雨足は穏やかであったが、長雨で湿った空気が包んでいた。 荻「やみそうもないですね。しばらく・・・」 笹「梅雨だしね・・・」 二人は五月雨がシトシトと降りつづける中を、近くのスーパーまで、一緒の 傘で歩いていった。アスファルトが濡れ、むせかえる雨の匂いが二人を包ん でいる。 荻「ナスとタマネギとひき肉買い足せば、買い置きのトマトピューレとコン ソメで、ミートソースとオニオンスープ作れますね」 笹「でも、二人だと野菜余っちゃわない?」 荻「大丈夫デス。使い足せますから」 笹「そうそう、ついでにレンタルでDVD借りていこうよ」 帰り道、公園のそばの紫陽花に目が止まった。 荻「ああ、綺麗ですね!わたしアパート決めるときに、近くに紫陽花のある 事を理由に決めたんですよ!故郷にも紫陽花が綺麗なところがありました から・・・」 笹「そうなんだ・・・」 荻「雨に打たれながらも、深いあざやかな藍色の色をたたえて耐え忍ぶ姿が けなげで儚げ(はかなげ)で好きなんです。」 笹「・・・・うん、俺も好きなんだ・・・」 アパートに着くと、二人で台所に立ち、料理を始めた。 笹「俺、何すればいいかな・・・」 荻「うーん、そうですね、じゃあ、水につけたタマネギを切ってもらえます か?その後でスパゲティー茹でてもらえます?」 笹「んー、分かった!スパゲティーはアル・・なんだっけ?」 荻「アルデンテですね、芯が残るくらいがちょうどいいですよ」 料理が出来上がると、二人は一緒にテレビを見ながら、ミートソーススパゲ ティーとオニオンスープを食べ始めた。 笹「どんなもん?うまく茹でれたでしょ?」 荻「そうですね!初めてとは思えませんね」 笹「いやだなあ、料理くらい(インスタントラーメンとか・・・)」 笹原は荻上がスパゲティーをその小さい口に運ぶしぐさをぼんやりと眺め ていた。 荻「どうかしました?」 笹「・・・いや、なんでもない。ところで洗濯物どうしてる?俺はもうまと めてコインランドリーに持ってくよ」 荻「わたしもですね。こんなんじゃ洗濯できません。家の中になんか干せま せんし、梅雨は嫌ですね」 笹「気にしなくていいよ・・・俺も淡いブルーは好きなんだ・・・」 荻「なっ何の話してるんですか!いやらしいですね!」 笹「えっ!いや、紫陽花の話!(うっかり口がすべった・・・)」 食後、二人は荻上がレンタルで借りてきた『スクラムダンク』のDVDを一 緒に観た。 笹「最終回の話だよね」 荻「ええ、そうです」 笹「やっぱり主人公のライバルがお気に入りなわけ?」 荻「わたしはそれほど・・・その・・・どちらかと言えば副キャプテンの・・・」 笹「ああ(汗)大野さんはやっぱりキャプテンだろうね」 荻「そうなんですよ!しかもわたしにキャプテンと副キャプテンの話描け描 けって・・・やっぱ趣味合いませんね!あっいやその・・・」 笹「まっまあ、そういうこともあるよね!」 荻「おっお茶入れますね」 笹「うっうん!」 荻上は中国茶の道具を用意し始めた。 笹「へえ、本格的だね」 荻「そんな本格的って言うほどじゃないですよ。・・・酒はコリゴリなんで・・・こういうのに少し興味が出ただけで・・・」 笹「ああ(汗)」 荻上の動作によどみは無かった。言動は相変わらずだったが、以前に比べて、 荻上のしぐさに険しさは無かった。ゆっくりとした手つきでお湯を茶壷に注 ぐ姿にはむしろ穏やかささえ感じさせた。あたりにお茶の芳香が溢れかえる。 笹「ああ、いい香り!」 荻「キンモクセイの花の香りがするお茶なんだそうです」 笹「こういうのもいいよね、空気がゆるりとした雰囲気かもし出してるよ」 荻「・・・そうですね。スクラムダンクの最終回ですけどね・・・」 笹「うん」 荻「主人公って、最初は好きな子の為にバスケ始めるじゃありませんか。」 お茶を入れながら荻上は話続ける・・・。 笹「そうだったよね」 荻「でもバスケが出来なくなって初めて自分にとってバスケが大事なものだ って気付くんですよね。」 笹「・・・うん、そうだね」 笹原は荻上に入れてもらったお茶をすすりながら話を聞いていた。 荻「大好きで、大好きで・・・そのシーン好きなんですよね・・・」 笹「・・・うん」 笹原は荻上の目が少し潤んだような気がしたが、黙って気付かないふりをし た。 笹「スクラムダンク見終わったら、また漫画の原稿始めようか!」 荻「そうですね」 と荻上はそう言って、にこりと笑った。 窓から見える雨はやむ事無く降り続け、遠くの景色をかすませていた。
*If I ever hear you knocking on my door 【投稿日 2006/01/13】 **[[カテゴリー-笹荻>http://www7.atwiki.jp/genshikenss/pages/47.html]] 「さいんぷりーず。」 見られた。一番見られたくない人に見られた。 「い、いや、俺は平気だよ・・・。見ちゃいけないと思って・・・。」 そうは言っても、どう思っているのか。 それを考えるだけで、心が痛む。 If I ever hear you knocking on my door 「・・・。」 誰もいない部室。最近はこういうことも多い。 少しため息をつくものの、どうしようもないことも知っている。 9月に入って、人が集まりにくくなっていた。 高坂先輩はすでに働いていて、缶詰だって言うし、 春日部先輩はあっちこっちで人脈作り。 大野先輩はコスプレのためにいろいろしなきゃならないし・・・。 まあ、そこまでいないっていうわけでもないんだけど・・・。 朽木先輩は知らないし・・・。普段何してんだろ?あまり興味もないけど。 そう、笹原先輩も・・・。 ガチャ。 ビクッ! 「こんにちは、荻上さん。」 大野先輩だ。 「こんちは。」 笹原さんのことを考えてたせいか、彼が来たのではないかと思った。 正直、違ってて良かった。二人きりには耐えられない。 「合宿の話聞きました?」 「・・・ええ、まあ。」 恵子さんがいってたのは知ってたけど、まあ兄のことも良く考えない人だな。 「笹原さんが早く決まるといいんですけどねえ。」 「・・・そうですね。」 今現状としては笹原さん待ちのような状況らしい。 「でも、それで無理して決めても意味がありませんし・・・。  笹原さんがいるときはこの話題は無しで・・・。」 「・・・はあ。」 とはいっても、コミフェス以降、まともに話してない。 だって・・・。 特にすることも無い私は、そのまま買ってきていたコミックを読むことにした。 デスブック。最近ジャプンでネームの深さと美麗な絵によって人気の漫画。 私も好きなんだけど・・・。惜しくらむはメガネがメインであまり出てこないこと。 まあ・・・。それだけで漫画読んでるわけじゃないからいいんだけど・・・。 しかし、読めば読むほどどう締めるのかが気になる。 これ誰もが納得いくエンドにするのって大変そうだ。 Kとロウの話で最後まで突き抜けたらすごいんだけど。 本誌の連載じゃそうはなってないらしい・・・。って笹原さんが話してた。 笹原さん・・・。あれ以来話してないけど・・・。 やっぱり、引いたよなあ・・・。あれはなあ・・・。 ・・・それでいいじゃない・・・。そうは思う。 このまま離れられれば私は・・・。諦められる。 諦める?何を?私は・・・。そういうことを考えちゃいけないはずなのに。 でも、そうなったらいいなって考えてた自分は否定できない。 だからかな・・・。本心が見えてしまいそうで・・・。 話しかけられない・・・。 ガチャ。 ビクッ! 「よ~~。あっついなあ・・・。」 入ってきたのは春日部先輩。Tシャツ一枚というあまり見ないラフな格好。 「・・・こんちは。」 またも笹原さんのことを考えてたときに扉の開く音。 何でこうも驚かなきゃいけないの・・・。 「こんにちは~~、どうですか、調子のほうは。」 「そうね~、まあまあかなあ。もう少しってところ。」 「そうですか~。」 私には良く分からないけど、店を開くっていうのは大変なんだろう。 あんなに大変そうにしててもいまだにもう少しってぐらいにしかならないのか。 二人はそのまま会話を始めてしまった。 漫画を読み続けながらも私の思考は別のことに向かってしまっていた。 それでもなるべく平静を装うためにも手放すことはできなかった。 でも、何でああも笹原さんは私の面倒を見てくれるんだろう。 それはサークルの後輩だからなんだろう。優しい人だから。 それ以上は無い。・・・無い。 だから、私が離れておけば、きっと問題は無い。そう、無い。 私が、これ以上そうなりたいって思わなければ・・・。 優しい人だから、私の気持ちを知れば付き合ってくれるのかもしれない。 でも・・・。それは違うんだ。私はそうなっちゃいけないんだ。 結論は出た。これ以上近寄らないこと。 まあ、就職活動で忙しそうだし・・・。このまま卒業してくれれば・・・。 卒業?そうか、あと半年で卒業なんだ・・・。 ガチャ。 ビクッ! 「やあ・・・。」 「おー、笹やんじゃーん。」 「お久しぶりです~。」 ついに現れてしまった。どうしたらいいのか分からない。 「・・・こん・・・。」 挨拶ぐらいしっかりしなきゃ逆にやばいだろって! そうは思っても声が出ない。どうしよう・・・。 「えーっとですねえ・・・。決まりました・・・。」 「えっ?」 彼の口から出たのは思いも寄らない言葉。 視線は顔の方に持っていけない。 「ウン・・・。内定・・・でましたよ。」 内容のわりに気弱な声が、彼らしいと思った。 「えー!すごーい!おめでとうございますー!」 「へー、おめでと。」 あ、そうか、こういうときにはおめでとうか。 「どこ?」 「お・・・。」 「編集プロダクションっていってね・・・。」 「おめ・・・。」 やっぱり声が出ない・・・。うう・・・。 何やかんや話をしたあと。 どうも大野さんのあの友達二人に前作った本を送るらしい。 ビクッ! しまってあるロッカーが私の隣なんだからしょうがないんだけれど。 笹原さんが私の横に移動してきた。 顔はやはり向けれない。 顔が、赤くなっているのが分かる。 逆に、普通にできなくなっている。 「これ・・・、二人に送ってあげてくれる?」 懐かしい表紙を見て、思い出すのはあの数日の出来事。 私がはじめて現視研の一人だなって思えたあの日々。 完成した本を売っていた先輩たちの・・・。 いや、笹原さんの顔はすごくうれしそうだった。 だから、私もやりたくなったんだ。 あれだけ突き放してたことを、いまさらやろうなんて思ったのは。 その後の冬コミでも色々あったしなあ・・・。 と、ここまで考えているうちに、違う話題になっていた。 「じゃあ、すぐに企画たてれそうだね、合宿。」 「ああ・・・。一応あいつにもメールしといたんだけどね。  まあ、おめでとうも無しにいきなり合宿いつにする?  だもんな・・・。」 「あはは・・・。お兄ちゃんはあいかわらずだねえ。」 「まあね・・・。」 「荻上も行けるんでしょ?」 ビクッ! いきなり話が振られて驚いてしまった。 「え?ええ、ま、まあ・・・。」 「?ま、わかった。でも、高坂行けるのかな・・・。」 「マスターアップがもう少しらしいから・・・。何とかなるんじゃない?」 「え、何で知ってるのそんなこと?」 「メールが来てね、マスターアップが今日から数日後で  締め切りやばいみたいなことが書いてあったんだよ。」 「あ、似たようなの来てた。そういう意味だったんだ・・・。」 「うん、その日までにあげなきゃどっちにしろ出せないから終わりだよね。」 「そっか、なら大丈夫かな。」 「多分ね。」 そんな会話を聞き流していたんだけど、視線がたまにこっちに向いてるのがわかる。 ずっと俯いたままなのはいつものことなのに、何を気にしてるんだろう。 「じゃあ、俺はいったん帰ります・・・。」 「え、早いじゃん。」 「ちょっとやらなきゃいけないこともあるしね・・・。」 「ふーん、おつかれさん。ま、よかったじゃん。」 「あはは。そうね・・・。」 「おつかれさまです~。」 「おつ・・・。」 ああ、また声が出ない・・・。 「それじゃあね・・・。」 そのまま扉を開けて出て行ってしまった。 二人とも私のほうを見てる・・・。やっぱり不自然だったかな・・・。 それでも何もできず、私は漫画を見てるフリを続けるだけだった。 でも・・・。もし、もしかしてだけど・・・。 笹原さんが私のこと好きだっていってきたらどうする? 考えたことが無かったけど・・・。絶対ありえないから。 あれを見てまでそういってくれるなら・・・。 いや、それでもきっとだめなんだ。 でも、もしそうなったらどうなってしまうんだろう、私は。 考えても結論は出ず。 どうしようもないので、考えるのをやめた。 ~帰り道の笹原~ はあ・・・。 荻上さん何も話してくれなかったよ・・・。 やっぱり本見たのが原因か? あれは事故だしなあ・・・。 でもあれ以来だし・・・。 嫌われてたら嫌だなあ・・・。 こっちからは声かけずらいしなあ・・・。 合宿で何かできるといいんだけど・・・。 なんか考えてることがゲームの主人公っぽくなってるなあ・・・。 はあ・・・。

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