国会質疑 > 児童ポルノ法 > 1999-04

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衆議院・法務委員会(1999/05/12)/枝野幸男議員(民主党所属)

としまえんのプールでの水着姿が「児童ポルノ」に当たるか?

○枝野委員 それから、これは多分衣服の一部をつけないというようなところにも絡んでくるのかなというふうに思うのですけれども、これも先ほどの対償とか性交類似行為とかと一緒で、具体的な個々案件を明確に全部特定しないと、一件一件違うといえば違う部分はあると思うのですけれども、まさにいわゆる常識の範囲の問題として、いわゆる通常の、普通の、としまえんのプールあたりでみんなが着ているような水着を着ているようなものは、児童ポルノには一般的には当たらないと考えていいのだろうというふうに思うのですが、よろしいでしょうか。
○大森参議院議員 としまえんのプールの水着ですか。(枝野委員「などで着ているような」と呼ぶ)ならないと思います。
○枝野委員 ここからあたりが若干悩ましい範囲のところだというふうに思うのですけれども、これまた、もちろんそれが映されているシチュエーションにもよるのだろうと思うのですけれども、いわゆる通常の下着姿、例えばドラマなんかで、着がえのシーンで、背中のところでちょっと下着部分、肩のところが映っているとかということはあり得るのだろうというふうに思いますし、あるいは逆に、非常に低年齢の子供たちの例えばおふろのコマーシャルなどで、下着姿でパンツ一枚になってというような話というのは今でも実際に流れていたりすると思うのですけれども、こういった通常のシチュエーションにおける通常の下着姿というようなケースというのはポルノに当たらないというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○大森参議院議員 このような問題にお答えするのは非常に困難なのですが、通常の下着、通常のシチュエーションというのは、多分枝野委員と私の頭の中で描いているものが異なるかもしれません。そういったことで、こういう事案につきましては、具体的な口頭で言われたことについて、その場合はということはなかなか言いにくいものがございます。
 こういう判断につきましては、あるものが児童ポルノに当たるか否かについては、あくまで個別具体的な事例に基づきまして、この法案の要件に該当するか否か総合的に判断されるべきものでありまして、最終的には裁判所の認定によることになります。したがって、確定的にお答えすることは困難であるということをまず御理解いただきたいと思います。
 それから、通常のおふろのシーンといいますと、これは衣服はつけていない子供になると思いますけれども、三号ポルノにつきましては、その要件といたしまして「性欲を興奮させ又は刺激する」、こういうような要件がついております。子供がおふろに入っている姿を見て通常、一般人は性欲を興奮させ、刺激するというところまで至らないと思いますので、そういうところから当たらない場合が多いのではないかというふうにお答えできると思います。

絵や芸術は「児童ポルノ」に当たるか?

○枝野委員 それから、これが、もちろん今のようなお答えになるのをわかった上でお尋ねをしておりますので、例えば実在の子供をモデルにした絵だとか、あるいは芸術、何が芸術かというのは、芸術じゃない作品をつくっていらっしゃる方でも御自分では芸術とおっしゃるわけなので、これも主観的なものが入るのですが、まさに一般的に、美術館などに描かれている、例えばヨーロッパの方の教会なんかの壁画みたいなところを見れば、例えば子供の裸の姿とかいうものの絵があります。あれが実在の子供を描写したものかどうかわかりませんけれども、ああいったような芸術作品のようなものは、やはり今のお話の「性欲を興奮させ」などの解釈のところで問題ないということになるケースも多々あるのではないかなというふうに思うのですが、そういった理解でよろしいでしょうか。
○大森参議院議員 今枝野委員、教会の壁画などの裸の絵とおっしゃったのでしょうか。それはまず、実在する児童かどうかということも問題になってくると思います。
 それから、芸術作品ですとか、あるいは芸術作品とかに出てくる場面についてどう判断するかということについても、例えば芸術作品が何か、どうかということも非常に難しいのではないかと思います。したがって、この法律の関係につきましては、あくまで当該描写に係る児童の姿態が第二条第三項の第三号の要件を、もちろん二号もあるかもしれませんが、この要件を満たすものであるか否かによって、同号に言う児童ポルノに該当するか否かが判断されることになります。
○枝野委員 では、ちょっと逆のところから聞いていきましょう。
 この三号のところ、「衣服の全部又は一部を着けない児童」という文言がありまして、これはもしかすると誤解があってはいけないなというふうに私は勉強会の中からもずっと申し上げておったのですが、衣服の「一部を着けない」という日本語を普通に理解しますと、例えば上着を着ていて、上着をぱっと脱いだらタンクトップ姿とかというのも、一部を脱いでいるわけですから、「一部を着けない」ということに日本語としてはなるわけですけれども、こういったケースだったらたくさんあります。これは児童ポルノでないだろうというふうに思うのですが、まさにこの「一部を着けない」ということの意味、つまり、何か着ているものを一枚脱ぎますよということではなくてという趣旨でいいのだろうと思うのですが、よろしゅうございますか。
○大森参議院議員 枝野委員のおっしゃるとおりでよろしいと思います。
 要するに、「着けない」というのは、衣服の全部または一部をつけていないという状態をいうものでありまして、行為をいうものではないと考えますので、今の枝野委員の御理解でよろしいと思います。
○枝野委員 今の点は大事なところなので、法務省さん、それから警察庁さん、よろしゅうございますね。
○松尾政府委員 これまでも、例えば刑法にはわいせつ物の頒布等を処罰する規定がございます。その場合に、わいせつ物と芸術性との問題とか、さまざまな観点から議論をされてきたところでございまして、今回の児童ポルノにつきましても、今委員お尋ねのような、例えば芸術性とポルノ性との両立はあり得るのかとか、そういうような議論だろうと思いますが、考え方といたしまして、従来、判例等で累積されている、積み重なっている判断というものは、今発議者の御答弁をいただいた内容に沿うものだというふうに私は理解しております。
○枝野委員 その前段の方ではなくて、一番最後の、「一部を着けない」が一部を脱いだものという意味ではないというところの方をお答えいただきたいのです。
○松尾政府委員 法案の条文を拝見しますと「着けない」という文言になっておりますので、その解釈としては、今発議者が御答弁された内容というふうに私も考えております。
○小林(奉)政府委員 第二条第三項第三号に書いてございます文言のとおり、状態というふうに私ども理解しております。これは発議者の答弁されたとおりだと思います。そのとおり運用してまいりたいと思います。
○枝野委員 これはどういう聞き方をした方がいいのかなと迷いながらお尋ねしますが、この衣服の「一部を着けない」というところについての参議院での大森先生の御答弁の中で、「具体的な例としましては、全裸または半裸の児童に扇情的なポーズをとらせた姿態」というお答えをしておられます。この「全裸または半裸」の「半裸」ということの意味が、これまた人によって受けとめ方が全然違う可能性もあるなということもありますので、念のためにお尋ねしておきたいのです。
 私の理解では、この全裸または半裸というのは勉強会の中でも何度か出てまいりまして、そのときに多分警察庁からお配りになられたのかなと思いますけれども、全裸または半裸という言葉を公的なところで使っておりますのは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈基準というのが私のところにも配られておりまして、この中に「「衣服を脱いだ人の姿態」とは、全裸又は半裸等社会通念上公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいう。」ということで、全裸または半裸という言葉が出てくる。まあ大体こんなものだということをその勉強会の中でお聞きをしたというふうな記憶が残っております。
 この全裸または半裸というのが出てくるのは、ストリップ劇場等の規制のところについて、全裸または半裸、ストリップはだめですよと。そうすると、ストリップで規制をされているようなものはだめですよということであるならば、「半裸」の意味として理解をしやすいというふうに思っているのですが、こんな理解でよろしいでしょうか。
○大森参議院議員 私が使った言葉だったわけですね。
 「半裸」という言葉につきましては、法律及び政令では用いられていないものと承知しておりますが、法務委員会の答弁では、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」というので具体的な例を挙げる際に、「全裸または半裸」という形で用いたものであります。
 それで、この用語につきましては、今枝野先生がおっしゃったように、いわゆる風営法の第二条第六項第三号「衣服を脱いだ人の姿態」という言葉について、警察庁の解釈基準で「全裸又は半裸等社会通念上」「人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいう。」とされていることもありまして、これを念頭に置いて答弁したものでございます。
○枝野委員 今の風営法との関係、特に警察庁さん、よろしいですね。
○小林(奉)政府委員 議員指摘の解釈基準におきまして、「「衣服を脱いだ人の姿態」とは、」ということで、定義というかその内容を説明した部分がございます。そこでは、「全裸又は半裸等社会通念上公衆の面前で人が着用しているべき衣服を脱いだ人の姿態をいう。」こういうふうなことで書いてございまして、先ほど発議者の説明したとおりである、このように私ども理解しております。

「性欲を興奮させ又は刺激する」というのは、誰が基準になっているのか?

○枝野委員 ありがとうございます。そういったことで運用していただければ、変な拡大とか間違った運用ということはないかなというふうに理解をしたいと思います。
 それから、先ほどもここで出てきていますが、「性欲を興奮させ又は刺激する」というのが要件になっているわけですけれども、この「性欲を興奮させ又は刺激する」ということについての判断者はだれであるのか、あるいは、だれの性欲を興奮させ刺激するということであるのか、これについてお答えをいただければと思います。
○大森参議院議員 「性欲を興奮させ又は刺激する」、この構成要件につきまして、だれの性欲をという御質問でございますけれども、通常、構成要件に規定してありますことは、一般通常人というものを基準としております。
 最終的にそれをだれが判断するのかということになりますと、犯罪構成要件に該当するか否かの最終的な判断は、刑事事件におきましては裁判所がすることになります。
○枝野委員 それで、一般人の性欲を刺激するかどうかということになりますと、逆に言えば、ごく一部の人たちしか性的な刺激を受けないというケースについてはここには含まれないという理解でよろしゅうございますね。
○大森参議院議員 今申し上げましたように、構成要件該当性の判断というのは一般人を基準といたしますので、一般通常人より特に性的に過敏に反応する方とかを御想定なさっているのかと思いますが、今申し上げたように一般人を基準にいたしますので、枝野委員がおっしゃったような場合は、児童ポルノには当たらないことになると思います。
○枝野委員 それで、先ほど途中でちょっと切りかえてしまったのですけれども、先ほどおふろのコマーシャルみたいな例を申し上げましたが、一般的に言えば、これも、人によって子供も成長程度が違いますし、シチュエーション、映し方によって全部違うとは思いますが、普通には、三歳とか四歳の子供たちが例えば裸で水遊びをしている、それがニュースの映像とかで流れたりすることがありますね、いよいよ暑くなりましたなんというニュース。それから、温泉地で普通に温泉に、おふろに入っている子供、それも少なくとも二歳とか三歳の子供。
 これは、何歳からかということをここで議論しようと思うと、これはまさにケース・バイ・ケースなのでそういうことは申しませんが、そういったケースみたいなところは、これは一般人の性欲を刺激するとは普通には言えないということで大体解釈されるだろうなという理解でよろしいでしょうか。
○大森参議院議員 そのように理解していいと思います。
 ただ、低年齢、三歳とかとおっしゃったのでしょうか、その裸であれば絶対該当しないかということは必ずしも言えません。性的に未熟な女の子、女児の陰部等を描写したものと認める写真についても刑法上のわいせつ図画に当たるとした判例がございます。
 そういったことから、常に否定されるわけではないと考えますけれども、今おっしゃったような事例につきましては、それが通常一般人から見て「性欲を興奮させ又は刺激するもの」と言えるかどうかという、この基準によって判断していただければ妥当な結論が出ると思います。

ジャニーズJrの半裸姿は「児童ポルノ」に当たるか?

○枝野委員 この部分ではここが最後なのですが、このケースというのは非常に難しいなと思っているので、ここでもちろん議論するあれではないですし、議事録に少しこういったところに問題意識を持ったんだと残しておく趣旨であえてお尋ねするのです。
 これは多分、興奮、刺激というのはどの程度要るのかということにかかわるのだと思うのです。例えば、十五、六歳の男の子のアイドルなんかのケースというのを想定したいのですけれども、これは多分、女の子のアイドルで胸を露出したような写真とかというのはこれに当たるんだろうな、一般的な、普通のケースで言えば当たるんだろうなと大体想像がつくと思うのですが、最近はやっているジャニーズJrみたいな十五、六歳の男の子のアイドルがパンツ一枚、胸を、乳首を出して舞台の上で踊ったりしていることに対して、多分あれは、あのファンの女の子たちは、ある意味では性的な一定の刺激を受けているのではないかな。だからこそみんなキャーキャー騒いで集まってくるのであると思うのですが、これが児童ポルノになるのかならないのかというところの判断というのは、まさに刺激とか興奮の程度にもかかわるのかなと思うのですけれども、どんなふうに考えたらいいのか、お答えいただければと思います。
○大森参議院議員 今おっしゃったようなジャニーズJrのようなアイドルの男の子の姿態についてはどうかということですが、これも、同じ答弁になりますが、その姿態が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であるかどうかというこの判断基準によることになります。ある程度セクシーとかそれを売り物にする場合もあるかもしれませんし、それによってファンの子が多少性的興奮といいますか、することは否定できないかもしれません。
 実は、児童ポルノの、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」、これは、自社さ案では「性的好奇心をそそる」、こういう文言がありましたけれども、実は勉強会で枝野委員のそういう御指摘もございまして、あいまいな表現を避けてもっと明確な基準にしようということで、この法案のような表現になったものです。
○枝野委員 勉強会でいろいろな議論があったわけですし、今も繰り返し私が申し上げているしお答えにもあるとおり、もちろんケース・バイ・ケースで、ここがこうだからこうとは、全部言えるケースはあり得ないと思うのですが、若干危惧されているところがあるとすれば、今の、少なくとも、日本のいわゆる全国ネットをしているようなテレビとか、あるいは一般の書店でという言い方をしていいのかどうかわからないのですけれども、普通に売られている、普通の流通ルートに乗っているような部分というのは自己規制がある程度されていて、例えば十八歳未満は週刊何とかのグラビアなんかでも少なくとも胸を出したりとかしていなかったりしていますし、テレビなんかはかなり自己規制している。
 こういうところでたまたま、温泉場で映っているとか、まさにアイドルの男の子が上半身裸だったとかというようなケースは、つまり、従来普通に行われているケースはこれで処罰の対象になるということは、一般的には、普通にはあり得ないという理解で大丈夫だろうなと私自身は理解をして、それだったら、本当にそれ以外のおかしなところは処罰しなければならないということでやるべきだという結論になったわけです。これは、お答えまたややこしいと思いますので、そういう理解であるということでお話をさせていただいたということで、議事録にとどめていただくということでいいかなというふうにとめておこうと思います。
 それから、ちょっと細かいところになりますが、七条で、児童ポルノの頒布等というのが処罰の対象になっております。頒布、販売、業として貸与または公然陳列。確認になりますが、個人的な複製というものは犯罪として処罰する対象にはなっていないという理解でよろしゅうございますでしょうか。
○大森参議院議員 七条では、児童ポルノを頒布、販売し、業として貸与し、または公然と陳列する目的のある場合を除いて、製造、所持、運搬または輸出入等は処罰されなくなっております。このような目的がない個人的な複製行為については、頒布等の目的での製造には該当しないというふうに考えます。目的によると思います。
○枝野委員 最後に、附則との関係をお尋ねしたいと思っておるのですけれども、附則の二条のところで、条例との関係、従来いわゆる淫行条例と言われていたものとの関係が書いてあります。端的に申し上げれば、従来の条例におけるいわゆる淫行規定というものはこの法律ができたことによって廃止をされるという理解でよろしいのでありましょうか。
○堂本参議院議員 お答えいたします。
 今までほとんどの都道府県に制定されているいわゆる青少年保護条例、淫行条例とも言ってきましたけれども、これは法律がなかったためにこれらの行為を地方自治体が処罰が必要だと認めた上で処罰してきたものと考えています。
 これからは、法律で処罰される行為については条例で重ねて処罰することは認められないわけですから、附則の第二条に明らかにしているように、今までの淫行あるいは青少年条例というのは要らなくなってくるわけだと理解しております。
 ただ、この法律の制定の趣旨を踏まえて、この法律以外の行為で各地方自治体が判断して必要だと思うようなことがあれば、またそれは別途地方自治体の判断によるものと思います。
○枝野委員 今の附則二条の解釈について、法務省さん、こういったことでよろしいでしょうか。
○松尾政府委員 今発議者の御答弁のとおりだろうと思います。
○枝野委員 ちょっと法律論的な話なので法務省さんにお伺いするのが一番いいと思うのですが、この附則二条に言う「この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分」というのは、どこまでが入るのかというのがちょっと一般的にはよくわかりにくいところがあるのです。つまり、買春そのものはこれで一緒に重なっていますが、例えばいわゆる淫行ということで処罰をされていた部分というのはこちらでは淫行という言葉を使っていませんね。そういった意味では、重なるのか重ならないのかという解釈はややこしいのだろうと思うのですが、この辺についてどういうふうに解釈したらいいのか教えてください。
○松尾政府委員 具体例で申し上げますと、今回の児童買春の法案では対価の支払いあるいは約束というのが要件になっておりますが、今条例の中には無償の場合も含めましてこれをその対象としているものもございます。したがいまして、この法案が対象としている対価を伴うものはこれで含まれるということになると思うのですが、無償の場合、これはこの対象外になっておりますので、ただいま発議者の御答弁にもありましたけれども、児童買春以外の行為の処罰につきましては、その必要性、合理性等を踏まえまして各地方公共団体で判断していただく範囲の話というふうに我々は理解しております。
○枝野委員 最後に、これは御質問というよりも、ここで議論を始めると、最後まで勉強会のところでもめた案件でありますので、こういった考え方も大事にしていただかないとということで申し上げるにとどめて、議事録にとどめておくということにした方がいいかなというふうに思っているのですが、検討条項が附則の中に入っております。
 先ほど私がこの質疑の中でも申し上げました、成績を上げるから性交に応じろとかいうケースをどうしたらいいのだろう。実際にこれを法規制しようと思ったら相当難しいというふうに直感的にも思っています。
 それから、実は、今答弁をいただいた、無償の場合の淫行行為を各自治体で規制している話というのをどう考えたらいいのか。この手の制度というのは、この法律もそうですけれども、全国一律で国が責任を持って本来やらなければならないものでありますし、何県だったらオーケーで、隣の県境を越えたらだめだとかということのあるケースというのは本来僕は違うと思いますので、そういったところも実はこれから考えていかなければならない。
 あるいは、対象年齢のところも考えていかなければならないというようなことで、まさにここに、法律で挙げておりますとおり、検討条項をしっかりつけておきまして、三年目途でしっかりとさらに見直しをしていくことが、つくるのにかかわってきた人間の責任でもあろうかなというふうに思っております。
 ただ、実は参議院の御答弁の中で、単純所持の禁止の議論というものがこの中に入っている。もちろん議論することを否定するつもりは全然ありませんけれども、余りこのことだけが強調されますと、単純所持がいい悪いという話ではなくて、実は従来まで少なくとも単純所持については否定をされてこなかった、法律上禁止をされてこなかった。つまり、違法でなかった。違法でなく入手をしてきて所持をしている人間が世の中たくさんいるわけです。
 所持していることによって新たな法益侵害が生じていないという中で、これからは新しく持ってはいけないですよ、新しく手に入れてはいけないですよということが、この法律が通ったら施行されるとしても、それから持っていた人たちに、三年間で持っていたものを全部探し出して捨てなさいということを国家として強要できるのかといえば、やはりそこはちょっと違うのではないかというようなことを今回の単純所持の議論の中で私は申し上げたつもりでおります。
 そういったことを考えると、三年ということが単純所持についての見直しをするのに果たしてふさわしい期間かどうかということになる。この法律がある程度行き渡っていって、こういったものをつくったり買ったりしちゃいけないんだなということが、この法律で初めてなるわけですから、ポルノについて。それが認知をされた段階であるならば、それはあり得ることは否定をしないつもりでおるのですけれども、それが三年というので余り早急にやった場合には、まさに国家が、持っているだけで新たな法益侵害を生じないことについて、無理やり捨てなさいということを強要することになるというのはちょっと無理があるのじゃないのかなというようなことについての危惧を最後に申し上げまして、重ねて、本当にいろいろ細かいことを聞いて、また答えにくいということは十分わかった上でお尋ねをさせていただきましたので、大変御答弁に御苦労されたということについても、おわびといいますかお礼を申し上げまして、時間が切れましたので終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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最終更新:2008年12月05日 05:21
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