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厚生年金:転記作業で派遣の中国人ら大量ミス(毎日新聞/2008/01/31)

 コンピューターに未入力の古い厚生年金記録1430万件などの手書き台帳からの書き写し作業で、昨年12月に派遣会社から派遣された中国籍などの外国人約50人がミスを連発し、社保庁が途中で全員の作業を打ち切ったことが分かった。  

 30日の民主党の会合で社保庁が説明した。この作業のため、社保庁は派遣社員ら約1300人を集め作業を開始。人材派遣大手「フルキャスト」(東京都)は外国人約50人を12月10日から派遣した。
 だが、田中昭という名前を「田」「中昭」と書き写すなど、姓と名の区分がつかないミスが多発。社保庁は全員日本人にするよう要望し、1月末までだった派遣は12月20日で打ち切った。誤記された記録は修正したという。
 社保庁は「ミスのあった記録件数は分からない。派遣会社からは、テストした優秀な人を選んだと説明があった」と釈明。フルキャスト広報室は「全員、日本国内の定住者か留学生で、漢字の読み書きはできた。このような結果になり申し訳ない」と話している。

インドネシア人看護師・介護士、受け入れ人数が予定の2割(読売新聞/2009/04/14)

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20090414-OYT8T00325.htm
日本語教育 施設の「壁」に
 日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づき、日本の病院や施設が希望している今年度のインドネシア人看護師・介護士の受け入れ人数が、受け入れ予定(計約800人)の約5分の1にとどまっていることが分かった。
 日本語教育にコストがかかることなどが敬遠の理由と見られる。あっせん機関の国際厚生事業団は、今月3日までだった募集期間を延期し、病院や施設に個別に打診するなど、受け入れ先の確保に躍起になっている。
 インドネシア人看護師・介護士は2年で計1000人を上限に受け入れることになっている。第1弾の昨夏の来日は準備不足もあって計約200人にとどまったため、2年目の今年度は看護師約300人、介護士約500人を受け入れる予定。インドネシア側の希望者は数千人に上り、同国政府の書類審査を通過した約960人が今月下旬、ジャカルタ市内などで合同説明会に臨むことになっていた。
 しかし、日本側の受け入れ希望は今月1日現在、看護師が29病院・65人、介護士が45施設・104人の計169人。このため、同事業団では募集締め切りを今月3日から同20日に、合同説明会も来月に延期した。

 受け入れ希望が少ない背景には、EPAで来日する外国人看護師は3年、介護士は4年以内に日本語で国家試験に合格しなければ帰国を余儀なくされるという高いハードルがある。日本人と同等の給与を保証する一方で、日本語教育や試験勉強の時間を確保する必要があり、「コストに見合うだけの受け入れメリットがない」との声がある。
 東京都内の特別養護老人ホームの施設長は「日本語も仕事も専門の指導担当が必要で、人手不足の中では余裕がない」と昨年度に続いて受け入れを見送った理由を語る。一方、昨年度、インドネシア人看護師2人を受け入れ、今年度も希望している永生病院(東京)の宮沢美代子相談役は「今は病院の負担ばかり大きいが、介護、看護専門学校への入学者が減る中、長い目で見て優秀な人材を確保する必要があり、そのための先行投資だ」と話す。
 厚生労働省は、受け入れ負担が大きいとの指摘について「人材育成という制度の趣旨をまじめに考えて頂いた結果」(担当者)とするが、日本側の事情で「2年で上限1000人」の枠を大きく下回る事態は避けたいのも事実。「出来る限り受け入れ枠に近づけたい」(経済連携協定受入対策室)と、同事業団と協力して病院や施設に働きかけている。
 5月には、フィリピンからも来日する予定だが、看護師200人、介護士250人の受け入れ予定に対し、日本側の受け入れ希望はそれぞれ145人と301人。こちらも看護師では、受け入れ病院が不足している。
(2009年4月14日 読売新聞)

フィリピン人看護師・介護士、派遣人数は予定の約6割(朝日新聞/2009/05/08)

http://www.asahi.com/international/update/0508/TKY200905080348.html
【マニラ=松井健、ジャカルタ=矢野英基】
 日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)に基づき、初めて日本に派遣されるフィリピン人看護師・介護福祉士候補の壮行会が8日、マニラで開かれた。現時点で派遣が決まったのは看護師92人、介護福祉士188人の計280人。希望者が5千人を超えていたにもかかわらず、最終的には派遣枠450人を大幅に下回った。
 外国人看護師・介護福祉士をめぐっては、2年目となるインドネシアでも、日本側の求人数がインドネシアが希望する派遣数の半数にも満たないなど、関係国の思惑のすれ違いが早くも浮き彫りになっている。
 フィリピンの候補者のうち、日本語研修を免除される10人を除く270人は10日、日本に向けて出国する。
 フィリピンで派遣枠を満たせなかった背景には(1)応募が殺到し、原則先着順にしたものの、絞り込みすぎた(2)候補者の選考基準を事前に決めておらず、日本での実習経験や日本語学習経験が考慮されなかった(3)候補者の日本語教育を任されるため、受け入れ施設が求人を絞った、など制度面での問題があった。また急速な景気後退で、給与水準が原則日本人並みで、日本語教育の負担がかかる外国人看護師・介護福祉士を敬遠する動きにも拍車がかかった。
 インドネシアも同じような事情を抱える。同国の派遣の上限は2年間で千人。昨年は国内での周知不足などのため208人の派遣にとどまった。今年は千人以上の応募があり、試験などで約950人に絞り込んだ。今月14~20日の面接を経て上限いっぱいの792人を日本に送り出す予定だったが、日本からの求人が370人にしか満たず、インドネシア側は困惑している。
2009年5月8日22時42分

インドネシア人介護士候補 仕事慣れたが…言葉の壁を実感(東京新聞/2009/07/08)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2009070802000073.html
 介護福祉士・看護師を目指し来日したインドネシアの青年約二百人の現場研修が、まもなく半年を迎える。職場で懸命に溶け込んでいるが、国家資格試験に必要な日本語の勉強がままならない。言葉の壁の厚さを実感している。 (飯田克志)
 「痛くないですか。大丈夫ですか」。ルクマン・ハキームさん(26)が高齢者に優しく日本語で声を掛けながら、足指のつめを専用ニッパーで切っていた。別室ではスウォトさん(26)も「お風呂ですよ。車いすに移りますよ」と高齢者の耳元で話し掛けていた。
 介護福祉士候補の二人は一月末から、千葉県香取市の特別養護老人ホーム「杜(もり)の家」で研修中だ。それぞれ入所者約二十人を同僚と担当。食事、入浴の介助、洗濯、掃除など、仕事内容は同僚たちと変わらない。「仕事は慣れて問題ない」と口をそろえ、同僚も「最初はほかの職員の見よう見まねだったけれど、今はほぼパーフェクト。会話も大丈夫」と評価する。
 同僚たちとバレーボールに参加し、一緒に食事や外出もする。通勤は自転車で約三キロ離れた一戸建ての借家から。サツマイモなどをおすそ分けしてくれる隣人もできた。
 疲れていないときには日本語を自宅で一、二時間勉強しているが、「漢字が難しくて、仕事の申し送りをうまく書けないことが悔しい」。

■予算抑えて
 上野興治施設長は「伝えたいこと、伝えるべきことを伝え切れていない可能性があり、こちらも確認し切れない面がある」と不安を口にする。だが「検討していた語学研修は二人で年百五十万円かかることがわかった。そこまでは負担できない」と六月下旬から予算を抑え週一回、講師を招いて日本語研修を始めた。
 看護師候補者二人が勤務する東京都八王子市の永生病院。平日午前は日本語学校、土曜午後は外部講師による試験勉強を続ける。
 支援は手厚いが、宮沢美代子相談役は「言葉の習得などに差が出てきている。『頑張る』と言ってくれるけれど、何が分からないのかも分からず、困っている面もある」と明かす。ボランティアもサポートしていて、宮沢さんは「ボランティアの協力がなければ、もっと大変だった」と話す。
 同郷の仲間たちと気軽に会えない地方では、インターネットとテレビ会議システムを使って日本語研修を実施する施設もあり、受験に必要な語学力をどうつけてもらうか、研修に苦心している。

■現場頼み
 介護福祉士資格試験は、在留期間四年間に一度しか受けられない。試験問題を理解するには語学習得が欠かせないが、国は費用を含め支援のほとんどを現場に“丸投げ”している。受け入れ側も、研修内容がばらばらで配属先によって習得に差がでかねない。
 候補者たちを支援するため六月に設立されたNPO「ガルーダ・サポーターズ」の設立集会でも、候補者、施設側とも日本語に関して悩んでいるアンケート結果が報告された。
 国の委託で受け入れ事業を実施している国際厚生事業団(東京都)は教材配布を予定し、八月から全国の施設を巡回訪問する。「日本語研修などの課題を聞き取り、どんな支援方法があるか検討したい」(担当者)と言うが、研修体制が整わないまま、インドネシア人の第二陣が今秋には来日する。
 同NPOの宮崎和加子事務局長は「候補者にとっても、受け入れ施設にとっても非常に無理がある制度だ」と改善を訴えている。

2009年7月8日

インドネシアからの看護師・介護福祉士候補者 日本語習得が壁に(西日本新聞/2009/07/08)

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/topics/20090709/20090709_0001.shtml
 経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアから看護師・介護福祉士候補者208人が来日してもうすぐ1年がたつ。今年5月にフィリピンからも283人が来日、11月にはインドネシアからの第2陣も到着するが、3年以内(介護福祉士は4年以内)に日本の国家試験に合格しなければ帰国という条件がある。今年2月の看護師試験の合格者はゼロ。「言葉の壁が高く、このままでは1人も受からないのでは」との声も出始めている。 (下崎千加)

 ●3年内の国家試験合格条件 研修は施設任せ
 福岡県久留米市の田主丸中央病院(360床)は2月、院内の活性化を目的にインドネシア人看護師候補者2人を受け入れた。
 日本人看護師の指導を受けながら電子カルテを入力するフタペア・アシアナさん(中央) 「お顔をふきますよ」。レフィアナ・エファさん(26)がお年寄りの耳元でささやき、蒸した布を丁寧に顔に当ててふき始めた。ナースステーションでは、フタペア・アシアナさん(30)が同僚の指導を受けながら、患者の朝の容体を電子カルテに入力している。「血圧118と76、腹痛なし…」
 2人はインドネシアで看護師としてそれぞれ3年、5年の現場経験を積んで来日した。日本では無資格の看護助手扱いとなるため、注射や点滴などはできない。「同僚が忙しそうにしているとき、手伝えないのがつらいです。本当はできるのに」と母国では看護主任を務めていたアシアナさんはつぶやいた。

    ◆   ◆
 2人はほかのインドネシア人候補者とともに昨年8月に来日。神戸で半年間、日本語研修を受けた後、同病院に配属された。
 午前8時半-午後12時半が病棟で仕事。午後1時半-同5時が日本語や国家試験対策の座学。給与は1日7・5時間分が日本人に準じて支払われ、一部を実家に仕送りしている。「一緒に来た仲間の中で、私たちは恵まれているほう」と2人は口をそろえる。
 日本語、特に漢字の読み書きに苦労している。2月の国家試験はともに4割の出来。合格には例年9割前後の得点が必要だ。2人の研修を受け持つ看護師の濱崎ヨシ子さん(61)は「2人とも敬老精神にあふれ、性格、技術とも申し分ない。試験では、せめて『臥位(がい)』などの難解な用語だけにでも英訳を入れてほしい」と語る。

    ◆   ◆
 「英語での国家試験受験を認めて」「施設によって研修にばらつきがある」
 5月末、福岡市で開かれたシンポジウム「インドネシア人ケアワーカーを日本に迎えて」(九州大アジア総合政策センター主催)では、候補者や研究者から、国家試験への不安や、受け入れ施設での研修の限界について指摘が相次いだ。同センターには「8時間働いて、勉強する暇がない」という相談も寄せられている。
 同センターの今年1月の調査では、介護福祉士候補者の97%が来日理由に「先進的な技術を身につけるため」を挙げたが、資格の関係で高度な仕事はできない。受け入れ施設は渡航費や研修費など1人100万円近くを負担するが、候補者が国家試験に合格する保障はない。こうした現状があるためか、日本側あっせん機関の国際厚生事業団(東京)によると、フィリピンもインドネシア第2陣も受け入れ施設が少なく、当初予定の6割ほどの来日にとどまった(インドネシアは予定)。国は、タイやベトナムからも看護師・介護福祉士候補者を受け入れる予定で、EPA交渉を続けている。

 ●政府の支援不可欠
 大野俊・九州大アジア総合政策センター長に聞く

 日本人の労働条件改善が先決として、看護・介護業界の抵抗感が強い中で、政府は協定を結んだ。候補者や施設、両国外交にとっても不幸な結末とならないよう政府が支援するべきだ。
 まずは、受け入れ施設任せとなっている日本語研修も含めた国家試験対策を、政府主導で進めること。試験で難解な漢字にルビをふったり、滞在年限を延ばすことも一案だ。賃金トラブルを避けるため、施設も候補者に労働条件を事前に細かく説明する責任がある。
 海外から看護師や介護士を大勢受け入れているサウジアラビアは英語での国家試験を認め、カナダやオーストラリアは定住促進策を講じている。世界的な人材争奪戦が起きかねない中、日本の政策は見劣りがする。

=2009/07/09付 西日本新聞朝刊=
2009年07月09日 15:01

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最終更新:2009年08月27日 14:56
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