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社説:「女性差別禁止―議定書批准に動くときだ」(朝日新聞/2009/03/13)

「女性差別禁止―議定書批准に動くときだ」
 戦後、世界各国で女性をめぐる状況は大きく前進した。日本もそうだ。男女雇用機会均等法が制定されたおかげで女性の職場が広がった。
 教育でも大きな変化があった。女性の進学率は大きく上がった。高校では男女ともに家庭科を学び、男は仕事、女は家事育児という役割分業の意識も薄らいでいる。
 このような社会の変化を後押ししたのが女性差別撤廃条約だ。女性の地位や人権の向上を願って、79年の国連総会で採択された。日本も85年に批准した。条約の締約国は185カ国にのぼる。女性たちはこの条約を味方に差別とたたかい、力をつけてきた。
 99年には条約をいっそう役立つものにする「選択議定書」も採択された。
 議定書の一つの柱は、人権侵害を受けた個人やグループが国連の女性差別撤廃委員会に直接、通報ができる制度。もう一つは、重大で組織的な権利侵害があるという情報が委員会に寄せられたとき、その国の協力を得て調査に乗り出せる仕組みである。
 条約と議定書。この二つがセットではたらくことで条約は生きる。条約が前輪なら、議定書は後輪だ。
 ところが日本は「選択議定書」を批准していない。女性差別撤廃条約の締約国185カ国のうち、96カ国が批准している。先進国で批准していないのはアメリカと日本の2カ国だけだ。
 独自の道を歩み、干渉を嫌う米国は、本体の条約さえ批准していない。しかし、オバマ大統領は条約の批准を選挙の公約に掲げた。日本だけが取り残されるのではないかと心配だ。
 全国の女性団体がまとまって、毎年のように議定書の批准を求めて国会に請願を繰り返してきた。なにをためらっているのだろう。
 議定書の制度は、実際に使おうとするとハードルが高い。たとえば日本から通報ができるのは、最高裁でも救済がかなわなかった場合など、国内で手だてを尽くしてのちのことだ。
 この10年で制度が利用された例は、本人の十分な了解を得ずに不妊手術をされた事例など、各国合わせて20件にも満たない。
 国際司法裁判所や国際刑事裁判所、女性差別撤廃委員会など、人権を守る国際機関に日本政府はすすんで人材を送り出している。なのに選択議定書を批准していないばっかりに、女性の人権に取り組む気がないと思われるのは、あまりに残念だ。
 批准に新たな法律の整備がいるわけではない。国会が決議をするだけでいい。女性団体は、いまの国会へもはたらきかけている。与党も今回は耳を傾けているようだ。
 女性差別撤廃条約の採択から30年がたった。節目の今年こそ誤解を解く好機ではないか。

ひどい女性差別ある?ない? 自民部会で激論(朝日新聞/2009/04/21)

http://www.asahi.com/politics/update/0421/TKY200904210285.html
 自民党の外交関係の合同会議で21日、女性差別撤廃条約の「選択議定書」をめぐって白熱した議論があった。批准を求める意見の一方で、「国連に助けを求めるほどの女性差別は今はない」「堕胎、離婚促進法だ」などの反対意見が続出。党内の合意形成は難しい情勢だ。
 選択議定書は、人権侵害を受けた個人や団体が国連の女性差別撤廃委員会に通報できる制度などを盛り込んでいる。99年の国連総会で採択され、今年3月までに英仏独ロ韓など96カ国が批准したが、日本は批准していない。合同会議では、党政務調査会の「女性に関する特別委員会」(南野知恵子委員長)が批准を求めてまとめた提言が取り上げられた。
 ある女性議員が「我が国には伝統文化に根ざした法制度がある」と慎重論を唱え、男性議員からは「(批准を)後ろで支援しているのは左翼だ。日本の家庭崩壊の危機は、人権など西洋的な考え方を教えて日本の伝統教育がないからだ」という反対論も出た。
 松浪健四郎外交部会長は会議後、「取り上げてもらっただけでもありがたいと思わなくちゃ」と記者団に述べて、党としての意思決定は行わない考えを示した。
2009年4月21日19時2分

女子条約選択議定書の批准を=公明・浜四津氏が首相に(時事通信/2009/06/04)

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009060400724
 公明党の浜四津敏子代表代行らは4日午後、首相官邸で麻生太郎首相に会い、国連の女子差別撤廃委員会に差別を受けた被害者が通報できる制度を定めた「女子差別撤廃条約選択議定書」を批准するよう申し入れた。これに対し、首相は「即座にどうすべきだとはなかなか難しい」と慎重に検討する考えを示した。
 浜四津氏はこの後、河村建夫官房長官とも会談。温室効果ガスの2020年までの削減目標(中期目標)について、1990年比「7%減」以上の削減を目指すよう求めた。(2009/06/04-17:47)

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最終更新:2009年06月04日 22:49
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