外国人政策 > カルデロン一家問題


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各種の整理

基本的な構図

「在留特別許可」というのは、入管法50条1項にある法律上の制度です。
法務大臣には広範な裁量権が与えられており、在留特別許可を与えても与えなくても、どちらでもいいというものです。
在留特別許可は、2005年の実績だと、退去強制手続きにのった外国人の人数が57,172人で、在留許可者総数は10,834人(不法入国:2,077人、不法残留:8,483人)になります。

入管実務では「在留特別許可」を認めるための細かい内部基準がありますが、一家全員在留資格のない外国人家族のケースだと、以下のような基準を満たしている必要があります。
(1)おおむね10年以上の日本での在留年数
(2)日本で生まれたか、幼少の頃に来日した子供がいる
(3)その子供(長子)が中学生以上である
(4)素行が善良である

カルデロン一家の場合、
不許可裁決が出た時点→子供が小学5年生((3)の条件を満たしていない)
今現在→子供が中学1年生((3)の条件を含め、全ての条件を満たしている)
不許可裁決が出た時点で子供が小学5年生だから不許可になったのであって、「今現在」の子供が中学生1年生の時点で裁決を出した場合は一家全員に在留資格が認められていたであろうケースになります。

最高裁まで負けた場合は許可事例はありませんが、「在留特別許可」という制度は、元々法務大臣に広範な裁量権が与えられているので、カルデロン一家を許可する方に振り向けても法律の枠内であり、法律的には特に問題になるような事は起きません。
そのため、今現在の条件で再度判断して欲しいと要望している支援弁護士側と、当時の条件で判断するとしている入管側での交渉が続いています。

追記)
2009/03/13 入管側の対応は変わらず、子供は日本残留・両親は帰国という事になったようです。
フィリピン人中学生、ひとりで日本残留 両親は4月帰国へ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090313/trd0903131454011-n1.htm

関連項目

参考サイト

カルデロン一家がいったん帰国→正規のルートでの再入国をせずに「在留特別許可」にこだわる理由

結論からいえば、在留特別許可が降りない場合、カルデロン夫妻は日本での就労資格を得られず、家族が一緒に暮らす事もできなくなるからです。
日本は基本的に単純労働分野での外国人労働者を受け入れていませんので、外国人の日本での就労資格には色々な制限があります。
おおざっぱな外国人の就労資格は、以下の通りです。
①日本人と結婚、日本人の子供→「日本人の配偶者等」で単純労働分野まで含めて就労可能
②日系人、難民認定者→「定住者」で単純労働分野まで含めて就労可能
③特殊な技能をもっている外国人→当該カテゴリの職種で就労可能

普通の外国人は単純労働分野まで含めた就労可能な「定住者」の在留資格は取得できませんので、カルデロン一家のような場合は、在留特別許可で「定住者」を取得するしか単純労働分野での就労を続ける方法はありません。
法務省が出すといっている 上陸特別許可で認められるのは、行政先例をみる限り、せいぜい親族訪問を理由とした短期滞在(いわゆる観光ビザ)にとどまります。就労はできません。
そのため、一旦帰国して上陸特別許可を得て正規の手段で入ってきても観光ビザなので家族が一緒に暮らせる訳ではありませんし、就労もできないので、高校以降の子供の学費は払えないと思います。

子供の学費・生活費に関しては
①「在留特別許可」を得て両親が払う
②親戚のおじさん、おばさんに全部任せる
③「のりこ基金」からカバーする
のどれかになると思います。
「のりこ基金」の募集を開始したのは、状況から考えて在留特別許可を得るのは難しいという判断があるのだと思います。

追記)
将来的に子供が日本に帰化した場合でも、現行の法運用だと両親を呼び寄せて定住系の在留資格をもらう事は極めて難しいです。
将来的にのり子さんが日本に帰化した場合、両親を日本に呼び寄せる事も可能になるのではないでしょうか?

カルデロン一家の支援弁護士の法律的な主張の補足

カルデロン一家への支援のお願い - カルデロン・アラン・クルズ一家に在留特別許可を!
http://blog.goo.ne.jp/izumibashilaw/e/79205ba093cc070798b5e603c4b39c49

まず、 当たり前の事ですが、支援弁護士の主張は法律の枠内での事です。
その主張を受け入れるか受け入れないかは別として、法律的に間違っている主張をしている訳ではありません。

主張を要約すると、以下のようになります。
①裁判の際に、 当該外国人を退去させる事で得られる公益と当該外国人の受ける不利益を比較考量する「比例原則」を採用するウェイトを高めてほしい。 そうすれば違った判断になった可能性が高い。
立法府が定めた入管法50条1項という法律にある「在留特別許可」という制度は法務大臣が広範な裁量権を有しているので、そういった事情を考慮すれば違った判断も法律の枠内で出せるので、それをお願いしたい。

Q&Aなど

客観的にみて、カルデロン一家に在留特別許可を認めた方がよかったんでしょうか?

基本的には、どちらでもいいというのが答えです。
この問題に関しては色々な要素がありますので、どの点を重視するかによって結論は変わってきます。
カルデロン一家の条件と事情を考慮して、認めた方がいいと思えば認めればいいし、認めない方がいいと思えば認めなければ良いという事になります。
これは今でも変わりありませんので、まだ報道されたり交渉したりしています。

最近では、国連人権理事会等からも注目されてるみたいですが、法的拘束力や義務はありませんし、(人権意識には欠けるものの)行政府の判断には落ち度はありませんので、国内事情とカルデロン一家の個別事情に合わせて決めれば良いと思います。

日本は法治国家なので、最高裁まで負けた場合はそれに従うべきではないでしょうか?

裁判で争ったのは退去強制処分という「行政処分」の違法性で、 裁判所の判断はカルデロン一家に「退去強制令書を執行せよ」と命じているわけではありません。
法律にある在留特別許可という制度は、 最高裁で負けた段階での一家に在留資格を与えても与えなくても法律の枠内です。

関連項目

不法入国はオーバーステイよりも罪が重いので恩赦は難しいのではないでしょうか?

カルデロン夫妻の不法入国の経緯等は、下記の支援弁護士の記事を読んで下さい。
ノリコちゃんの家族の保護のために - カルデロン・アラン・クルズ一家に在留特別許可を!
http://blog.goo.ne.jp/izumibashilaw/e/496d731d04425028c0cbba4a5822fc99

まず、入管側の原則的な対応としては、不法入国でもオーバーステイでも、摘発した場合は強制送還を行う事には変わりありません。
その上で問題になってくるのが、「在留特別許可との関係」はどうなってくるのかという点です。

入管内部の在留特別許可に関する基準ではどの程度の違いがあるのかは分かりませんが、「在留特別許可という制度」では両者は分けられておらず、近年では不法入国者でも毎年1,000~2,000人程度の在留特別許可取得者が出ています。
不法入国もオーバーステイもどちらも犯罪である事には変わりありませんが、法律上の扱いとしては、1999年の入管法改正以前は不法上陸(不法入国)後の滞在は不可罰的事後行為で、継続犯であるオーバーステイが滞在し続ける限りずっと処罰可能なのに対し、不法上陸の方は時効にかかっていました。現在は、時効該当の不法上陸ケースは、改正入管法70条2項の不法残留罪でカバーされていますが、ついこの前までは時効がある分オーバーステイよりも法律上は軽く扱われていたようなので、「在留特別許可との関係」という点では、そんなに違いがないのではないのではないかと思います。

関連項目

カルデロン一家に在留特別許可を与えてしまうと、後に続く不法滞在者に影響を与えてしまうのではないでしょうか?

詳しくは関連項目に記載しましたが、余り影響はありません。
入管は裁判で敗訴が確定したケースでは送還に拘るので、そういった内部の論理に基づいて送還に拘っているといわれています。
一審敗訴後のケースだと複数の許可事例がありますが、一、二審まで敗訴したケースの「一家全員残留」の許可事例は1990年の入管法改正以降は1件だけで、最高裁まで敗訴したケースの「一家全員残留」の許可事例は今回も含めて1件もありません。

関連項目

カルデロン一家に在留特別許可を与えた場合、長期的には日本の治安の悪化の原因になるのではないでしょうか?

日本の場合、入管の裁量範囲が広く外国人の退去強制へのハードルは低く、在留特別許可の条件にも「(4)素行が善良である」というものがあるので、イメージされているような治安悪化の原因になるような「不法滞在者」は人知れずに強制送還されています。

在留特別許可には権利性も認められておらず、問題になった場合には法務省の裁量で基準を変更する事もできますので、話題になるのは、カルデロン一家のように「(4)素行が善良である」という条件を満たした上で日本社会への適合能力もあるケースをどう扱うかといった範囲に留まると思います。

関連項目

法務省も上陸許可は出すと言っているので、罪を認めて再入国した方がいいのではないでしょうか?


子供の養育のためというのは立派な理由なので、帰国して再入国なら温情が与えられるのではないでしょうか?

「子供の養育のため」というのは、日本人の実子を育てる場合は通例として「在留特別許可」が降りたり就労可能な在留資格が取得できますが、外国人同士の子供の養育の場合は、就労可能な在留資格取得の理由にはなりません。

情状酌量の余地を認め、在留特別許可は認めるけど他の罰則を課すという対応はできないのでしょうか?

情状酌量に関しては、在留は認めるけど他の罰を科す~となると、法律にない事をやってしまうのではないかと思います。
入管側が譲歩しようにもそれに合わせた法律の枠組みが無く、法律にない事ができたらそれこそ「法治国家」ではなくなってしまいますので、在留特別許可という法律にある枠組みの中で認めるか認めないかが争点になっています。

メディアで取り上げられたことで注目が集まってしまったため、日本政府も甘い判断はできない状況になってしまったのではないでしょうか?

メディアに取り上げられなければ、人知れずに強制送還になります。
最近はフォーブス等の雑誌や国連人権理事会にも取り上げられて、注目度があがっているようですが、それによって甘い判断が出来なくなったという事はないと思います。

フィリピン政府からのカルデロン一家の統合支援の申し出があったようですが?

フィリピン外務省 カルデロン一家帰国後の支援を表明
http://www.mb.com.ph/node/198570
The assistance, the source said, includes services provided by the Department of Social Welfare and Development (DSWD) to help the child adjust in her new home, he said.
(フィリピン)外務省情報筋によると提供される支援には社会保障開発省による子供(のりこ)への同化支援も含まれる。
http://www.gmanews.tv/story/152403/DFA-to-help-Pinoy-family-facing-Japan-deportation
“The DFA and other concerned agencies are ready to extend humanitarian and other (forms of) assistance to the Calderon family,
including their re-integration into Philippine society, contingent on the results of the proceedings under way
in Japan with respect to that country’s implementation of its laws," said DFA undersecretary for migrant workers affairs >Esteban Conejos Jr. in a statement on Thursday.
「日本国法令の適用に関連して同国で実施される手続きに沿って、外務省および関係機関はカルデロン一家にフィリピン社会への再同化支援を含む、人道的、そのほかの援助を行う用意がある。」とエステバン・コネホス・ジュニア・フィリピン外務省移民労働担当次官は木曜日に声明の中で述べた。
ソースは上記のようですが、フィリピン政府からのカルデロン一家への支援表明もあったようです。
このニュースが流れた翌日の2009/03/13にカルデロン夫妻はフィリピン帰国を決めたようですので、カルデロン夫妻や日本の入管に与えた影響はあったのではないかと思います。

関連項目

外国の事例や過去の日本の事例はどうなっているのでしょうか?

労働力不足の時代のフランスでは、不法滞在者が警察署に申請するだけで在留資格がもらえた時代もありました。
イギリスだと7年以上の違法滞在者で子どもがいる場合、家族全員に永住権を与えるという制度もあります。
ポルトガルの場合、子供がポルトガルの義務教育を受けていると、親も正規の在留資格がもらえるようです。
スペインは、2005年に条件を満たした不法滞在者の一斉合法化をやりましたが、これは失敗に終わったので次はなさそうです。
2008年の欧州共通移民政策以降は厳しくなったので、イギリスやポルトガルの制度がまだ残っているのかはわかりません。

日本においても、昔は人情が重視されていたため、同情すべき事情も考慮して人道的配慮もしますと国会で答弁されていた時代もあります。
1999年から不法滞在者の合法化を求める運動は本格化していますが、当時は世論のサポートを得て行政を動かしました。

1981年5月15日第94回国会衆議院法務委員会議事録
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/094/0080/09405150080014a.html
奥野誠亮法務大臣
「不法に入国して多年にわたっている方々の心情、それに深い同情を寄せられて今日の横山さんの発言になっているのじゃないかなということ、私にもよく理解できるような気持ちがいたします。同時に、形式的には不法でございましても、人それぞれによりまして同情すべき事情がいろいろあろうかと思います。そういう事情につきましては、あろう限り人道的な配慮をしていかなければならないとも考えておるわけでございます。
 ただ、御提案になりました、この際一定の条件にはまる者はみんな届けさせるということになりますと、ある者は在留を認め、ある者は退去を命ずるというわけにはいかない、御指摘になったとおりだと思うのであります。ということになりますと、一種の徳政を行うかあるいは時効の観念を持ち込むかということになるのじゃないだろうかなと思います。徳政の観念を持ち込みますと、これも御指摘になりましたように、一度したことはまた次の機会にも行われるのだということになりかねませんし、また、時効の観念を持ち込むということになりますと、許可を要するものについて一体時効の観念がなじむのだろうかということになろうかと思うわけでございます。
 卑近な例で申し上げますと、公訴権の提起などについては時効の措置がございますけれども、医師免許を要する者が免許なしに医療行為を多年にわたってやっておったということで、もう多年医療行為をやっているのだから医師として認めるというわけにいかない、これも御理解いただけるのだと思うのでございます。
 入国に当たりまして承認を要する、そういうようなことにつきまして、多年にわたって在留してきているのだから承認あったものと認めるということにはちょっと即しない性格のものじゃないだろうかな、こう思います。したがいまして、せっかくの御提案でございますけれども、そのままには私たちとしては受け取れない。しかしながら、 人それぞれによって同情すべき事情はいろいろあろうと思いますので、個々に具体の事情をよく調べまして、あとう限り人道的な配慮をしていくということではなかろうか、それが横山さんの提案に対する私のお答えであり、またとるべき措置ではないだろうかな、こう思っております

大鷹弘法務省入国管理局長
「個々の事案につきましては、その不法入国者の居住歴、家族状況等、諸般の事情を慎重に検討して、人道的配慮を要する場合には特にその在留を認めているわけでございます。したがいまして、不法入国者が摘発されまして強制退去の手続がとられた後でも、法務大臣の在留特別許可がこういう場合には出るということになります。
それでは、その居住歴というのは何年ぐらいかということは、現在はっきり何年と申し上げることはできません。個々のいろいろなケースの中身によるわけでございますから。しかし、十年以上は居住歴があるということが必要でございましょうし、それから家族状況の場合でも、日本人と結婚しているとかあるいは日本にすでに生活の本拠を築いてしまった、こういう場合が想定されております。」
「潜在不法入国者のうちには、子供がいよいよ学齢に達したとか、そういう事情からみずから名のり出て、先生のおっしゃいましたいわゆる自主申告をする人がおります。こういう場合には、私どもといたしましては、当然、情状を考慮するに当たりましてプラスの材料と考えております。
 なお、先ほど居住歴とかいうことで申し上げましたけれども、相当長い居住歴がないとだめなのでございます。したがって、相当古い不法入国者であるとか、あるいはただいまおっしゃいましたように、身分関係からいって相当その理由がある者、こういう者を対象として私どもは特別在留許可の適用をしておりますので、その辺は先生の方でも御理解いただきたいと思います。」

関連項目

「児童の権利条約」における親子分離の規定はどう評価すればいいのでしょうか?

国際条約は様々な観点から各種の条約が締結されているため、各国政府は他の条約や国内法との整合性を図る必要があります。
そのため、個別の条約に関しては、規定内容の一字一句に縛られなければならないというものではなく、国内法規との整合性から「このように解釈し、運用します」という解釈宣言を行うことが各国政府に認められています。
子供の退去強制との関係で論点になってくるのは、「児童の権利条約」の9条1項と10条1項になりますが、日本政府は出入国管理体制への影響を排除する事を目的に、この2つの規定について解釈宣言を行い、「同条約は入管が外国人の在留に関して有する裁量権の行使には影響を与えず、第3条1項に規定する「児童の最善の利益」については、在留制度の枠内において主として考慮されるもの」という見解を採用しています。
http://www.mofa.go.jp/Mofaj/gaiko/jido/zenbun.html
児童の権利条約 第9条
1 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。

http://jfba-www1.nichibenren.jp/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/child_ratification.html
日本政府の解釈宣言
1.日本国政府は,児童の権利に関する条約第9条1は,出入国管理法に基づく退去強制の結果として児童が父母から分離される場合に適用されるものではないと解釈するものであることを宣言する。
2.日本国政府は,更に,児童の権利に関する条約第10条1に規定される家族の再統合を目的とする締約国への入国又は締約国からの出国の申請を「積極的,人道的かつ迅速な方法」で取り扱うとの義務はそのような申請の結果に影響を与えるものではないと解釈するものであることを宣言する。
この見解は、「在留させるか否かの枠の決定については、児童の権利条約は考慮されない。枠の外に出た子どもについては「最善の利益」も考慮しない」というもので、「児童の権利条約」によって個別の退去強制は制約されないという立場です。
これに対し、「児童の権利委員会」は、「外国人の児童に関して「いかなる種類の差別もなしに」条約に掲げられた権利を確保しなければならない」「児童の「最善の利益」の原則が外国人の子どもの在留に関する処分にも適用される」という見解を表明し、日本政府の見解に反対しています。
「どちらが正当な解釈か」という点ではほぼ決まっていますが、どちらの解釈を採用すべきかは日本政府の裁量に任せられています。

追記)
教科書的な解釈宣言(interpretative declaration)の概念としては、「条約の特定の規定・事項の適用について複数の解釈が許されるときに、自国の了解を示したり、一つの解釈に従うという意思表示のための一方的意思表示」をいいます。この問題に関しては、政府側の解釈宣言の内容が「解釈」としては苦しく、児童の権利委員会の見解も「正当な解釈をするべきだ」という範囲に留まっているため、上記のような単純化した説明になりました。

関連項目

国連人権理事会から質問書が来たようですが、これはどう受け止めればいいのでしょうか?

国連人権理事会もそうですが、児童の権利委員会なども、よく日本の入管に文句をいっています。
日本政府は、児童の権利条約の親子分離の規定も解釈宣言を出していますので、いつも通りの対応をしても、「人権後進国」といわれる位で終わりますので、この点は「人権先進国・人権後進国」という評価に対してどのように考えるかによって違ってきます。

ただ、日本政府は国連及び各種人権団体の難民問題及び死刑制度廃止の要望もスルーしていますので、最近では日本の人権感覚というのは疑問視される傾向にあるようです。

関連項目

カルデロンのり子さんは不法滞在ですが、学校に通えたのは何故なのでしょうか?

児童の権利条約は、締約国に在留資格に関わらずにすべての子に無償で初等教育を行うよう義務づけているので、文部科学省は不法滞在者や外国人登録がない子供でも公立学校への入学を認めています。
外国人登録も在留資格とは別個のものですので、不法滞在者であっても登録義務があるというのが判例です。

関連項目

子供がタガログ語を話せるのに嘘をついていたのは問題なのではないでしょうか?

この件に関しては報道でしか知らないので、確実な事はいえませんが、子供がタガログ語を話せるというのも2ちゃんねるの出所不明の情報だけだったと思います。確認されたのは「共同通信が日本語しか話せないという事の裏取りをしていない」という事だけであって、「タガログ語を話せる・話せない」は両方とも憶測なので、憶測を「真実」と断定し、それを前提に問題を論じるのはやめておいた方が無難だと思います。

支援団体の「政治的意図」が気になるのですが?

不法滞在者の合法化問題というのは、 従軍慰安婦問題とは違い、裁判で勝つか世論のサポートを得て在留特別許可を得たとしても当該外国人の日本在留資格が得られるだけであり、日本政府から補償金が受け取れる訳ではありません。

訴訟に関しても、出入国管理関係の訴訟はまず勝てません。
2006年度の実績では、出入国管理関連の行政訴訟は252件ですが、このうち国の敗訴が確定して在留資格を付与した事例は、法務省への質問に対する回答によると2件と、1%以下の割合になります。
http://www.geocities.jp/kumustaka85/gaikokuzinngennkokkugatukaeruhannrei.htm

「日本在住の外国人労働者」の支援や弁護というのは基本的に持ち出しであり、当該外国人が退去強制処分を受けた場合は弁護料はもらえない事も多々あります。
1999年からこういった活動は本格化していますが、赤字確定の事業で政府から補償金を取れる可能性がなく、勝訴した場合でもその影響は当該外国人の在留資格の範囲に留まるので、「政治的意図」について論ずる際の根拠は弱いのではないでしょうか?

関連項目

直接の関係はないけれども、勘違いしやすい箇所のQ&Aなど

カルデロン一家に在特を与えた場合、日本は不法入国しても子供を作れば国籍をもらえる国として認識されるのではないでしょうか?

在留特別許可は在留資格を与えるだけで、日本国籍がもらえる訳ではありません。
子供には、外国人用の在留資格の中から該当しそうなものが与えられます。

なお、不法入国であっても子供が生まれた場合、その子供が国籍をもらえる国に関しては、「出生地主義」の国籍法をとっている米国などがあります。

外国人側から見ると、日本の国籍取得は厳しいのでしょうか?

日本は「血統主義」の国籍法をとっていますので、各種の閉鎖的な施策と合わせて国籍は強く守られている傾向にあります。
外国人の帰化の許可率は、名目上の数字だけは高いですが、実際には色々な所でハードルが設けられており、法務省も帰化に権利性を与える気はないようです。

関連項目

移民を受け入れた場合、移民にも日本国籍を与えなくてはいけないのですか?

移民=定住系の在留資格をもった外国人なので、移民を受け入れたとしても国籍を与える必要はありません。
但し、日本でのフルセットの法的権利=日本国籍取得なので、定住する移民の日本国籍取得のための条件をどうするかは、今後の政策課題になると思います。

将来的にのり子さんが日本に帰化した場合、両親を日本に呼び寄せる事も可能になるのではないでしょうか?

「移民・外国人の家族呼び寄せ」ですが、日本の場合、外国人の家族呼び寄せは尊属(両親・祖父母)は原則として対象にはなりません。
外国人が日本に帰化して「日本人」になった場合でも、その両親や兄弟は「外国人」のままですので、両親や兄弟の呼び寄せが可能になる訳ではありません。 南米出身の日系人が両親を呼び寄せているケースもありますが、あれは呼び寄せる両親自体に日本人との血の繋がりによる在留資格があるから可能になっています。
カルデロン一家のような普通の外国人の場合、子供が日本に帰化しても両親や兄弟の呼び寄せはできません。

正確には、両親が70歳以上・本国に身寄りがない・病気で面倒を見てくれる人がいないなどの事実のコンビネーションで「特定活動」の在留資格が認められる事はありますが、カルデロンのり子さんが日本に帰化した場合でも、法改正されない限りは両親を呼び寄せるのはかなり難しいと思います。

関連項目

詳しい解説など

カルデロン一家への「在留特別許可」が降りた場合、日本の入管行政に何か影響があるのでしょうか?

第3版:2009/03/04訂正(→第1版

カルデロン一家に「在留特別許可」を出した場合、それが呼び水となって日本に不法滞在者が大量にやってくるという「懸念」があるようですが、「在留特別許可」制度は、社会政策的な視点が入る余地の大きい一般アムネスティではなく、あくまでも入国管理システムの一部です。
「在留特別許可」に関しては、家族の結合・子どもの教育・長期滞在などの個別の事情に基づいてされているものであり、その影響範囲は、広くとった場合でも日本在留の不法滞在者への「在留特別許可の基準」の変更に留まり、通常は個別のケースに応じた入管の特別審理官と外国人当人・弁護士の間に留まります。
2005年度の「在留特別許可」の運用実績としては、退去強制手続き数が55,351人、在留特別許可が認められた人数が13,239人(不法入国:2,188人、不法残留:10,697人)というものであり、カルデロン一家のような不法滞在者が「在留特別許可」を得て13,239人の側に入るためには、細かい内部基準に合致していなくてはなりません。

現在の「在留特別許可の基準」では、カルデロン一家のケースにように 「一家全員在留資格がない」という条件で「一家全員の在留特別許可」が認められるためには、「長子が(原則)中学生以上」という条件を満たさなければなりません。
カルデロン一家の場合、 不許可採決の時点で長子が中学生以上だった場合には「在留特別許可」が認められていた可能性が高いですが 、当時は長子が小学5年生だったので「在留特別許可」は認められず、退去強制の行政処分の取消しを求めて争っていた裁判でも敗訴が確定しましたので、以下のような条件に該当します。
①最高裁で敗訴した
②一家全員在留資格がない
③「長子が(原則)中学生以上」という一家全員の在留が認められる基準を、不許可裁決の時点では満たしていない(当時小学5年生)

「在留特別許可」の過去の運用としては、 「裁判で敗訴が確定」という条件を満たした場合には認められない傾向にあり 、具体的なケース分岐は以下のようになります。
1.最高裁まで敗訴した場合、「在留特別許可」の許可事例はありません
2.一、二審まで敗訴した場合、「在留特別許可」の許可事例は1990年の入管法改正以降は1件だけです(キンマウンラ一家の事例)
3.一審敗訴後の「在留特別許可」は、複数の許可事例があります
カルデロン一家のケースと類似の事例としては、一審、二審敗訴で上告中で「在留特別許可」が出た2004年3月のキンマウンラ一家の事例(父親:ビルマ民主活動家、母親:フィリピン人妻、娘:9才と6歳の2人)がありますが、こちらは父親がビルマ民主活動家で、難民認定されない方がおかしかったという例外の事例であり、カルデロン一家の場合は、家族の職業・経歴にキンマウンラ一家のように特別な所はありません。

そのため、カルデロン一家に「在留特別許可」を出すためには、入管側は以下のいずれかの対応を行う必要があります。
(1)「在留特別許可の基準」の変更を行わずに「在留特別許可」を出す
(2)「③長子が(原則)中学生以上」という基準を、最高裁判決の時点ではなく、現時点のもので判断して「在留特別許可」を出す
(3)「在留特別許可の基準(最低条件)」の変更を行う
「在留特別許可」という制度は法務大臣に広範な裁量権が与えられており、 入管側は公式には「在留特別許可の基準」の存在自体を否定していますので、仮に今回「在留特別許可」を出すとしても、「(1)「在留特別許可の基準」の変更を行わずに「在留特別許可」を出す」という処理で済ませる事ができるため、「在留特別許可」を認めた場合でもこの対応が採用される可能性が高く、その場合の影響は冒頭に述べた通りにカルデロン一家という個別のケースに応じた入管の特別審理官と外国人当人・弁護士の間に留まり、それ以上には波及しません。

仮に「(3)「在留特別許可の基準(最低条件)の変更を行う」といった場合でも、この基準は、当初は日本人と結婚するか日本人との間に子供が出来ない限りは認められていなかったものですが、1999年には「外国人同士の子供でも日本で生まれた子供が中学生以上」ならば認められる可能性が出るようになり、 今度は、カルデロン一家に「在留特別許可」を出して、現在の基準である「長子が(原則)中学生以上」を、それ以下に下げることが適当か?という点が論点になります。

「在留特別許可の基準」の変更がされた場合の影響力に関しても、行政レベルでは「最低条件」が変更されて「可能性」が開けるだけであり、司法レベルでも「在留特別許可の基準(「在留特別許可」に関するガイドライン)」に関しては、裁判規範性は一部の下級審例を除いて認められていません。
そのため、「在留特別許可の基準(「在留特別許可」に関するガイドライン)」が変更されたとしても、個別具体的なケースに関しては、入管側の特別審理官と弁護士の間の綱引きの範囲に留まると思いますし、それと合わせて担当する裁判官の認識によって裁判の結果は変わります。
一般的にイメージされている、「日本社会に適合できず、社会問題を起こす可能性がある外国人」に関しては、(「在留特別許可」の判断には「素行が善良なもの」という要素が大きいので)弁護士がついていても退去強制処分が下って退去強制になります。

関連項目

参考サイト

関連記事・資料

関連映像

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関連新聞報道

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