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参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会(2007/11/07)

○会長(田名部匡省君) 少子高齢化・共生社会に関する調査を議題とし、コミュニティーの再生について、内閣府、総務省、法務省、文部科学省及び厚生労働省から順次説明を聴取し、その後、質疑を行うことといたします。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、説明、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 まず、内閣府より説明を聴取いたします。中川内閣府副大臣。

参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会(2007/11/07)/中川義雄内閣府副大臣(自民党所属)

○副大臣(中川義雄君) 内閣府で国民生活、少子化対策、男女共同参画を担当しております副大臣の中川義雄です。内閣府の取組について御説明申し上げます。
 初めに、コミュニティーの再生について申し上げます。

地域コミュニティの再生(家族、地域のきずなを再生する国民運動)

 最近では、虐待される子供、犯罪に巻き込まれる子供など、社会の中で子供を安心して産み育てる環境が損なわれつつあります。家族や地域のきずなが弱まっていると言われる今こそ、改めて家族の大切さや地域の触れ合いの大切さが顧みられるようになってきています。こうしたきずなの再生を求める国民の声にもしっかりと耳を傾け、自立と共生の理念に基づき、二十一世紀の少子高齢化社会にふさわしい家族、地域のきずなの再生に取り組んでまいります。
 内閣府としては、本年度から、家族、地域のきずなを再生する国民運動を展開することとし、毎年十一月の第三日曜日を家族の日、また、この日を挟んだ前後各一週間を家族の週間と定め、これらの期間を中心として、関係機関、団体との連携の下、子育てを支える家族、地域のきずなの重要性について国民一人一人の理解を促進のため、大会の開催や広報啓発活動等の国民運動を推進してまいります。
 また、生活時間の多様化、単独世帯の増加等とも相まって、家族等と楽しく食卓を囲む機会が少なくなりつつあります。食を通じたコミュニケーションは、食の楽しさを実感させ、人々に精神的な豊かさをもたらすものと考えられることから、家族一緒に楽しく食卓を囲むなど、食育を、家庭、学校、地域等を中心に国民的な広がりを持つ運動として積極的に推進してまいります。
 次に、地域コミュニティーの再生については、多様化する地域のニーズや課題にきめ細かく機動的に対応するため、地域の担い手である特定非営利活動法人などの市民活動団体と多様な主体とが連携、協働して取り組むことがますます重要になっております。
 このため、内閣府としては、地域の担い手の育成や地域の担い手相互のネットワーク形成の充実を図る観点から、平成十七年度以降、特定非営利活動法人などの市民活動体と地域の多様な主体との協働事業について、各地の先駆的な事業を選定し、地域再生計画と連動して支援を行っております。
 また、地域おこし、町づくりは、自らの生活の場である地域を基盤とした活動であり、女性の一層の活動が期待される分野の一つであることから、第二次男女共同参画基本計画において新たな取組を必要とする分野として掲げられました。
 内閣府では、女性が中心となって活動する身近な地域づくりのモデルとなり得る事業についてアドバイザー等を派遣するなど、専門的見地から支援するとともに、その成果について全国に情報を発信しています。今後とも、女性が中心となって活動する身近な地域づくりについて積極的に支援してまいります。

若者への就職支援について

 次に、若者への支援は、ハローワーク、ジョブカフェ、地域若者サポートステーション等、様々なチャンネルを通じて行っておりますが、地域における関係機関間の連携等が課題となっております。
 そこで、若者への支援を地域全体で支える観点から、支援拠点としての地域若者サポートステーションの拡充等、政府一体となって取組を進めてまいります。
 また、地域への人の流れに対する支援として、大都市と地方との二地域居住やUJIターン等の暮らしの複線化に関する施策を取りまとめております。これにより、地方における交流の人口の拡大をもたらし、地方の過疎、都市の過密という人口分布のゆがみの解消や地域の活性化にも貢献することが期待されております。

少子化対策・高齢社会対策について

 続いて、少子化対策、高齢社会対策について説明いたします。
 今後も、少子化、高齢化が一層進むとの厳しい見通しが示される状況の中で、少子化対策については、国民の結婚や出産に関する希望を実現するには何が必要であるかに焦点を絞って、効果的な対策の再構築、実行を図るため、本年末を目途に、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略を打ち立てます。
 特に、最優先課題である働き方の改革については、少子化対策のみならず、男女共同参画や労働力確保等を通じた我が国社会経済の長期的安定の実現の観点からも重要です。国民一人一人がライフステージに応じた自らの希望する生き方を手にすることができる、多様性に富んだ活力ある社会づくりに向け、ワーク・ライフ・バランスの実現に本格的に取り組んでまいります。そのための憲章及び行動指針を年内を目途に策定してまいります。
 高齢社会対策については、高齢社会対策基本法に基づき高齢社会対策大綱を取りまとめ、就業、所得、健康、福祉などの各分野における施策を総合的に推進しております。
 現行の高齢社会対策大綱は策定から五年が経過しており、その後の経済社会情勢の変化を踏まえ、世界で最も高齢化が進んだ我が国における今後の中長期的な課題と高齢社会対策の方向性等について検討を進め、必要な見直しを行ってまいります。
 以上、内閣府の取組について御説明いたしました。

参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会(2007/11/07)/谷口隆義総務副大臣(自民党所属)

○会長(田名部匡省君) 次に、谷口総務副大臣。

○副大臣(谷口隆義君) 総務副大臣の谷口でございます。

地域コミュニティの再生について

 私の方から、まず、コミュニティーの再生について御説明をいたします。
 少子高齢化、農山村地域の過疎化等が進展をしておる中、地域の共生の力や地域のきずなの脆弱性が進行しており、コミュニティーによるセーフティーネットの強化の必要性等が増大をいたしております。また、地方分権が進む中にありまして、団体自治ばかりではなく、住民自治を一層重視しなくてはならなくなっております。
 こうした問題意識を踏まえまして、総務省といたしましては、お配りをいたしております資料の一ページにございますとおり、本年二月にコミュニティ研究会を発足し、集中的に議論を行ってきたところでございます。本年六月には中間取りまとめが提出をされました。
 その第一は、資料の二ページにありますとおり、様々な活動主体が連携協力する場の有用性でございます。この場はプラットフォームとも言っておるわけでありますけれども、このような場の有用性でございます。コミュニティーの再生のためには、様々な主体がばらばらに活動するのではなくて、それぞれの地域に応じた連携協力の場を通じて活動が相乗的に行われるようにする必要があります。例えば、長野県飯田市におきましては、自治会、町内会、社会福祉協議会、青少年育成関連団体、防犯・防災関連団体等の幅広い関係団体の連携協力の場としてまちづくり委員会が設置されており、地域内の各種行事が活性化され、地域の一体感が生まれておるわけであります。
 このため、総務省といたしましては、優れた事例の調査を行いながら、全国的に情報提供を行うことといたしております。
 また、第二は、資料の三ページでございますが、そこにありますとおり、ICTの活用の有用性でございます。私自身も先日、徳島県上勝町における彩り農業の取組を視察をしてきたところでございますが、光ファイバー網を活用した経営システムによりまして御高齢の方が生き生きと仕事をされておられ、地域の活性化、コミュニティーの活性化が図られておったわけであります。

自然体験学習について

 第三は、資料の四ページにありますが、都市の子供に農山漁村での自然体験等をさせるという都市、農山漁村の教育交流の推進についても提言がなされたわけであります。
 都市、農山漁村の教育交流は、力強い子供の成長を支える教育上の高い効果が期待できます。同時に、受け入れる農山漁村においてもコミュニティーの再生を含めた地域活性化の効果も期待できるのであります。また、受入れ周辺地域のコミュニティーを含め、人材の活用の機会の創造や、さらには団塊の世代の受皿として期待されておるところであります。
 総務省といたしましては、資料の五ページにございますとおり、文部科学省、農林水産省と連携をし、子ども農山漁村交流プロジェクトとして強力に推進することといたしております。このプロジェクトは、一年間に全国の小学生一学年百二十万人が約一週間の農山漁村体験を行うことを目指し、今後五年間で受入れ体制の整備や国民各層を通じた機運の醸成等を図るものであります。仮に全国で百二十万人の子供を五百地区で受け入れるといたしますと、一地区に二千四百人の子供が交流するということになり、受入れ地域のコミュニティーにも大きなインパクトを与えるということになります。
 しかしながら、この取組につきましては、どうやって子供の安全を確保するのかとか、どうやって保護者の理解を広げていくか等の課題がございます。このような課題に対応するためには、モデル事業実施等を通じましてそれぞれの地域において取組を重ねるとともに、その成果を全国的に共有することが重要であります。
 この取組につきましては、既に東京都の武蔵野市において市内全小学校の小学校五年生を対象に六泊七日以上、兵庫県におきましても県内全小学校の小学校五年生を対象にしまして五泊六日の自然体験活動を実施をいたしております。
 総務省といたしましては、このような事例を地域別のセミナー等を通じて全国の都道府県や市町村等に紹介する等の支援を行うとともに、農山漁村、都市を通じた国民各層の機運醸成等を図ることといたしております。また、国のモデル事業のみならず、自治体独自の取組も積極的に支援することといたしております。

外国人との共生について

 続いて、外国人との共生について御説明をいたします。資料の六ページでございます。
 平成二年の出入国管理法改正によりまして入国が容易になった南米からの日系人を始めとして、近年、日本に在留する外国人の数は急速に増加をするとともに、日本国内に定住する傾向が見受けられます。日本における外国人登録者数は、平成十八年末現在で二百八万人を超え、この十年間で約一・五倍となっております。今後のグローバル化の進展及び人口減少傾向を勘案をいたしますと、外国人住民の更なる増加が予想されておるところであります。
 しかし、その一方で、日本語によるコミュニケーションが十分できないという言葉の問題や、医療、教育の問題等、課題は山積をいたしており、その対応が地方公共団体における喫緊の課題となっております。このような中、各地方公共団体において、国籍や民族などの異なる人々が互いに文化的差異を認め合い、対等な関係を築いていこうとしながら、地域社会の構成員としてともに生きていくという多文化共生の地域づくりの取組が活発に行われております。
 総務省におきましても、平成十七年度及び十八年度に多文化共生の推進に関する研究会を開催をいたしまして、その報告書を公表しておるところでございます。また、平成十八年三月には、資料七ページにございますが、地域における多文化共生推進プランを策定をいたしまして、全国の地方公共団体に対し通知をいたしました。このプランを参考として、現在、地方公共団体において、多文化共生施策の推進に関する指針、計画の策定に取り組んでいただいております。
 なお、地方公共団体における具体的な取組事例といたしましては、例えば資料の八ページにございますとおり、愛知県、群馬県など六県一市においては、各県内の市町村における英語、ポルトガル語など多言語による行政情報や相談窓口をホームページ上に検索可能な形で集約をいたしております。
 また、資料九ページにございますとおり、静岡県浜松市では、外国人学習サポート教室、カナリーニョと言いますけれども、これを設置し、不就学の子供たちへの就学支援や、就学している児童生徒への日本語とポルトガル語を使った学習指導などを行っております。
 その他、災害や医療への対応を始めとして様々な取組を行われているところでございます。
 総務省といたしましては、引き続き地方公共団体におけるこのような多文化共生の取組を支援してまいります。
 以上でございます。

参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会(2007/11/07)/河井克行法務副大臣(自民党所属)

○会長(田名部匡省君) 次に、河井法務副大臣。

○副大臣(河井克行君) 法務副大臣、河井克行です。

単純労働者の受入れについて

 初めに、いわゆる単純労働者の受入れについて説明をいたします。
 まず、議論の前提として、我が国における外国人入国者の状況について御説明いたします。資料一をごらんください。棒グラフが階段状になっております。この資料一のとおり、我が国への外国人入国者数は年々増加傾向にあり、平成十八年における外国人入国者総数は史上最高の約八百十一万人となっており、さらに本年の入国者数もこれまでのところ昨年を上回る勢いで推移しております。
 入国者を国籍、出身地別に見ますと、資料二をごらんください、一位韓国、約二百三十七万人、二位台湾、約百三十五万人、三位中国、約九十八万人の順に多くなっており、地域別ではアジアが全体の七一・九%を占め、次いで北米が一二・八%、ヨーロッパが一〇・六%の順になっております。なお、参考までに、南米は全体の一・四%、約十二万人であります。
 また、平成十八年中の外国人入国者総数約八百十一万人のうち一七%に当たる約百三十七万人は、日本に長期間在留、滞在される方が再入国許可を得て入国されたものであり、これらの再入国許可による入国者数を控除した約六百七十三万人が、平成十八年中に新たな目的を持って入国された外国人の方となります。
 この約六百七十三万人の外国人の方を入国目的別に見ますと、資料三をごらんください、のとおり、約六百四十一万人、およそ九五%の方が観光、商用、国際会議、親族訪問などの短期滞在という在留資格に該当する方々であり、次いで研修、興行、定住者、留学の順になっております。なお、資料四のとおり、日本で働くことのできる在留資格の入国者数は約八万一千人であり、さらに、資料五のとおり、日系人に代表されるように日本で働くことに制限のない在留資格、すなわち日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、そして定住者の三つの在留資格でありますが、これの入国者数は約五万五千人となっております。
 一方で、賃金格差等を背景に、近隣諸国から我が国での不法就労を企図して入国する外国人は依然として後を絶たず、資料六のとおり、不法残留者数は近年確実に減少を続けているものの、本年一月一日現在で約十七万一千人といまだ高水準で推移しております。また、平成十八年中には入管法違反として約五万六千人の外国人を退去強制しておりますが、資料七のとおり、このうち実におよそ八〇%に当たる約四万六千人が工員や建設作業員、ホステス等として不法就労に従事していたことが判明しております。
 平成十五年十二月に犯罪対策閣僚会議が策定した犯罪に強い社会の実現のための行動計画では、不法滞在者を今後五年間で半減することを目標としており、法務省としては残された一年余りの期間において、これまで以上に不法滞在者削減のため施策を強力に進めていく所存であります。
 このような現状をかんがみますと、少子高齢化時代を迎えた我が国においては、外国人の受入れの在り方に係る議論は重要なものと認識しておりますが、不法滞在者が依然として相当数存在する現状においては、いわゆる単純労働者の受入れは慎重に検討すべきであると考えております。いずれにしても、外国人労働者の受入れにつきましては、現在の我が国の社会状況や社会の要請の中で、外国の方々をいかに治安や産業、国民生活に問題を与えない形で我が国に受け入れていくのかということが重要であると考えております。

外国人登録制度について

 次に、外国人登録制度について説明いたします。
 日本に入国する外国人の数が年々増加し、過去最高の約八百十一万人を更新するに伴い、日本に在留する外国人の数も増加の一途をたどっており、資料八のとおり、平成十八年末現在の外国人登録者数は約二百八万人と、二百万人を初めて突破した平成十七年末に引き続き過去最高を更新しており、さらに、本年度の登録者数が平成十八年末を上回ることは確実となっております。
 平成十八年末の登録者数約二百八万人を国籍、出身地別に見ますと、資料九のとおり、一、韓国・朝鮮、二、中国、三、ブラジルの順になっており、近年は韓国・朝鮮の比率が低下し、中国及びブラジルの登録者数の増加が目立っております。
 また、資料十において、都道府県別の人口に占める外国人登録者の割合を見ると、全国では一・六%であるのに対し、東京都二・八八%、愛知県二・八五%、岐阜県二・五九%、静岡県二・五八%と、これらの都道府県が上位となっております。さらに、資料十一において、外国人集住都市会議別の人口に占める外国人登録者数の割合を見ると、最高は群馬県の大泉町の一六・一%であり、次いで岐阜県美濃加茂市の一〇・二%、静岡県菊川市の八・三%と続いており、都道府県別、都市別で外国人の占める割合に差が見られますが、これらの都市においては、特にニューカマーと呼ばれる南米日系人を中心とする外国人住民が多数居住しています。
 こうした現状を受けて、各種行政においては、外国人の入国や在留状況を正確に把握することの重要性が増しているところです。
 現在、外国人の入国、在留状況については、入管法に基づく入国審査や在留資格の変更、在留期間の更新などの在留審査と外登法に基づく外国人登録制度において把握しております。しかし、現行制度に対しては、外国人の在留状況の把握と管理が入管法と外登法により二元的に処理され、行政の非効率や外国人の負担が生じているのではないか、在留外国人の居住状況や就労の実態が必ずしも十分に把握されていないのではないかといった指摘がなされています。
 このような中、政府では、平成十七年七月、犯罪対策閣僚会議の下に外国人の在留管理に関するワーキングチームを設置し、同チームにおいて、法務省を含む関係省庁が、外国人の在留情報の把握や在留管理の在り方につき検討を行っております。本年七月には、資料十二のとおり、犯罪対策閣僚会議に外国人の在留管理に関するワーキングチームにおける検討結果が報告され、法務大臣による在留情報の一元的把握、所属機関の協力、行政機関の情報の相互照会、提供、正確な在留情報に基づく的確な在留管理といった方向性が示されました。
 また、資料十三のとおり、本年六月に閣議決定された規制改革の推進のための三か年計画においては、在留外国人の入国後におけるチェック体制の強化として、外国人登録制度の見直し、外国人の在留に係る情報の相互照会、提供等がうたわれ、遅くとも平成二十一年通常国会までに関係法案を提出することとされました。
 こうした政府での検討結果や閣議決定を踏まえて、法務省においても、資料十四のとおり、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会の下に在留管理専門部会を設置し、在留外国人と関係がある各種団体、個人から幅広く意見を聴取しつつ、今年度末に法務大臣への報告を行うべく検討を重ねているところであります。

参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会(2007/11/07)/池坊保子文部科学副大臣(自民党所属)

○会長(田名部匡省君) 次に、池坊文部科学副大臣。

○副大臣(池坊保子君) 文部科学副大臣の池坊保子でございます。
 文部科学省に関連いたします諸問題について御説明いたします。

コミュニティの再生(家族教育支援)

 まず初めに、お手元の資料一をごらんいただきたいと思います。家族のきずなを強めるための方策について御説明いたします。
 コミュニティーを再生するためには、コミュニティーの基礎となる家族、家庭のきずなを強めることが大切です。家庭は、子供が親や家族との愛情によるきずなを形成し、人に対する基本的な信頼感や倫理観、自立心などを身に付けていく場です。学校教育や地域社会など、様々な社会とのかかわりの中で子育ての楽しさを実感し、自らの生命を次代に伝えはぐくんでいくことや、家庭を築くことの大切さについて理解を深めていくことが求められております。
 このような認識の下、文部科学省においては、学校における指導や家庭教育支援の充実などを通じ、家族のきずなを強めるための取組を推進しております。
 学校における指導とは、家庭科等において、家族の大切さに気付き、家族の一員としての役割を果たし、家庭を築くことの重要性や子供を産み育てることの意義等について指導しており、今後、学習指導要領を改訂することなどにより、更なる指導の充実を図ることとしております。
 また、家庭教育支援の取組としては、親に対する子育てに関する情報や学習機会の提供などを行う家庭教育支援総合推進事業や、子供の望ましい基本的生活習慣を形成するための子どもの生活リズム向上プロジェクトに取り組んでおります。
 さらに、平成二十年度概算要求においては、地域における家庭教育支援基盤の形成を促進するための経費を新たに要求しており、今後とも、家族のきずなを強めるため、引き続き取組の推進を図ってまいります。

コミュニティの再生(地域の教育力再生)

 地域のきずなを強めるための方策についてお話しいたします。
 昨今、少子化や都市化に伴う人間関係の希薄化などにより地域の教育力が低下していると指摘されており、そのことが教育をめぐる様々な問題の重要な要因であると考えられます。地域の教育力を高めるためには、地域のきずなを強め、コミュニティーを再生することが不可欠です。このため、文部科学省では、地域における子供の居場所づくりやボランティア活動、スポーツ、文化の体験活動など、地域に根差した多様な活動を通じて地域のきずなを深めるため、様々な取組を推進しております。
 具体的には、厚生労働省と連携し、地域の多様な方々の参画を得て、子供たちの安全、安心な居場所づくりを支援する放課後子ども教室推進事業、放課後子どもプランに取り組んでおります。
 また、ボランティア活動を始めとする様々な活動や、地域が直面する様々な課題を住民同士で解決する取組などを通し、地域や家族のきずなを深め、住民が学び合い、支え合う地域づくりを推進する「学びあい、支えあい」地域活性化推進事業に取り組んでいるところでございます。
 さらに、平成二十年度概算要求においては、学校と地域の連携体制を構築し、地域全体で学校教育を支援する体制づくりを推進する学校支援地域本部、これは仮称でございますが、事業などに要する経費を新たに要求しております。
 今後とも、これらの取組の推進を図り、地域の教育力の向上に努めてまいりたいと思っております。

外国人の子供の教育について

 次に、外国人との共生を図るための方策については資料二をごらんいただけたらと思います。
 御存じのように、我が国に在留する外国人は年々増加しております。こうした中にあって、コミュニティーを活性化するためには、外国人の住民が地域社会で孤立することなく生活し、コミュニティーに参画できる環境を整えていくことが重要であると考えております。このような観点から、文部科学省では、地域に居住する外国人に日本語教育を行っている地域のボランティア団体等に対する支援事業を実施しております。
 また、外国人の子供の学校への早期の適応や円滑な受入れのために、外国人児童生徒に対して日本語指導を行う教員を配置するほか、外国人児童生徒の教育に携わる教員や校長、教頭などの管理職を対象に日本語指導法を主な内容とした実践的な講習会を実施いたしております。
 また、公立義務教育諸学校への就学の機会を逸することのないよう、日本の教育制度や就学手続などについてまとめた就学ガイドブックをポルトガル語、中国語等七言語で作成し、教育委員会等に配付し、活用していただいております。
 さらに、外国人の日本社会での生活環境適応の実現、加速を図るため、外国人の生活環境適応加速プログラムを実施する中で、日本語指導の初期指導から教科学習につながる段階を支援する学校教育におけるJSL、第二言語としての日本語カリキュラムの普及促進を図るとともに、バイリンガル相談員等の活用による外国人の子供に対する就学支援などを行っております。
 さらに、日系人等を活用した日本語教室、日本語能力を有する外国人等を対象とした指導者の養成、ボランティアの長期研修、実践的なカリキュラムの研究開発等を行うとともに、日本語教育ハンドブックを作成しております。
 また、外国人児童生徒の母国政府との協議会を継続的に実施し、外国人の子供の教育の問題に関する情報交換や協力の促進を図っております。
 平成二十年度概算要求において、新たに、日本語指導の補助や学級担任と保護者との連絡調整などを行うため、小中高等学校に外国語の分かる人材を派遣する事業、二つ目に、就学前の外国人児童生徒を対象とした初期指導教室、プレクラスの実施など、地域、学校でのより良い受入れ体制の整備を行う実践研究、三つ目には、外国人の子供が日本の習慣や基本的な生活ルールを身に付けることを促進する事業を行うための経費を計上しており、今後とも、外国人児童生徒の教育の充実を始め、外国人の住民との共生のため、関係施策の一層の充実に努めてまいります。

少子化社会対策について

 次に、少子化社会対策について、配付資料三に基づいて御説明したいと存じます。
 少子化の進行は、子供たちが切磋琢磨する機会の減少や親の過保護、過干渉を招きやすくするなど、子育てや教育面へも大きな影響を及ぼすおそれがあります。このため、文部科学省では様々な取組を実施しておりますが、特に安心して子供を産み育てることができる社会づくりの観点からは、一つ目に、家庭の教育費負担の軽減策として、幼児教育段階における保育料等の保護者負担の軽減や奨学金事業の充実、二点目は、家庭教育に関する学習機会や情報提供、相談体制の充実等、きめ細やかな家庭教育支援、三つ目に、放課後子ども教室推進事業、放課後子どもプランの推進、学校内外における子供の安全確保のための取組等の安全、安心な地域づくりなどに取り組んでいるところでございます。
 また、仕事と家庭の両立を図れるよう、妊娠、出産後も安心して働き続けられる環境の整備や再就職などの支援に努めております。
 さらに、少子化時代にあってもたくましい子供を育成し、若者の自立を促す観点から、若者の就労支援の充実や奨学金事業の充実、体験活動を通じた豊かな人間性の育成などに努めております。
 今後とも、内閣府、厚生労働省等の関係府省とも緊密に連携協力し、少子化対策の一層の推進に努めてまいりたいと思っております。
 最後に、文部科学省における高齢化社会対策については、配付資料四をごらんいただけたらと思います。
 高齢化社会では、学習活動を通じ、心の豊かさや生きがいを充足させる機会が極めて重要です。また、生涯現役社会と言われる中にあって、経済社会の変化に対応し、絶えず新たな知識や技能を習得する機会が必要です。このため、文部科学省では、高齢社会対策大綱に基づき、高齢者が社会の重要な一員として生きがいを持って活躍できる条件整備を図るため様々な取組を実施しております。
 具体的には、一つ目には、都道府県の生涯学習推進体制の整備を図るとともに、二点目は、社会人特別選抜や夜間大学院等による高齢者を含む多様な社会人学生の大学への受入れの促進や、放送大学における多様なメディアを活用した大学教育の機会の提供、また三つ目には、高齢者や団塊世代が職業や学習を通じて培った経験を生かして学校や地域社会で活躍できるよう、全国規模での教育サポーター制度の創設に向けた検討などに取り組んでいるところであり、今後とも、高齢者が生きがいを持って活躍できる活力ある社会の実現に向けて関係施策の充実に努めてまいります。
 以上をもちまして、文部科学省からの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

参議院 少子高齢化・共生社会に関する調査会(2007/11/07)/岸宏一厚生労働副大臣(自民党所属)

○会長(田名部匡省君) 次に、岸厚生労働副大臣。

○副大臣(岸宏一君) 厚生労働副大臣の岸宏一でございます。
 お手元にございます厚生労働省説明資料に基づきまして御説明申し上げます。

日本の人口と家族構成の変化

 資料をお開きいただきまして、第一ページでございますが、我が国の家族の在り方の変化の前提として、我が国の人口の変化がございます。出生率の低下等により急速な少子高齢化が進展しており、二〇五五年には高齢化率が四〇%を超える見込みでございます。
 また、資料の二ページでございますが、家族の構成を見ましても、三世代世帯等の割合が減少し、単独世帯と夫婦のみ世帯が増加しております。
 資料の三ページにお示ししておりますとおり、特に高齢者の独り暮らし世帯が急増し、二〇二五年には高齢者の独り暮らしが約六百八十万人に達する見込みです。
 次に、四ページになりますが、こうした独り暮らし高齢者の増大や、地域から孤立した高齢者の死亡が社会問題となっている状況を踏まえ、高齢者の孤立死防止について御説明いたします。
 今年度から孤立死ゼロ・プロジェクトを立ち上げました。具体的な取組としては、従来の緊急通報装置の給付に対する支援などに加え、孤立死ゼロに向けた取組の普及などを目指して、高齢者が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議を設置いたしましたほか、孤立死防止ネットワークづくりのモデル事業を開始いたしました。
 また、五ページにお示ししておりますとおり、地域のつながりの希薄化や核家族化等を背景に、子育てについての負担感や育児不安が高まっております。非常に多くの方が子育てについて社会が無関心であるとか、子育ての悩みを相談する人がいないといった意識を持っております。
 こうした状況を踏まえた子育て支援につき御説明いたしますと、六ページでございますが、生後四か月までの全戸訪問事業を本年度より実施しております。保健師等が各家庭を訪問し、母親の相談に応じつつ、養育環境の把握を行っており、本年度中約七割の市町村において実施を見込んでおります。
 次に、七ページでございますが、児童虐待を地域全体で防止するため、児童相談所を中心として関係機関が連携した要保護児童対策地域協議会等のネットワークづくりが進められており、現在八四%の市町村でこうしたネットワークが設置されているところです。
 次は、八ページでございますが、子育て中の親の育児不安を解消するため、地域において子育て親子が気軽に集まり、交流や子育ての相談などができる地域子育て支援拠点事業を推進しており、平成十九年度には六千百三十八か所の設置を目指しております。
 今後とも、こうした取組を推進し、地域での子育て支援を推進してまいります。

母子家庭の支援について

 次に、母子家庭の支援について御説明申し上げます。
 九ページでございますが、平成十四年の母子及び寡婦福祉法等を改正し、児童扶養手当中心の支援から就業、自立に向けた総合的な支援へと転換し、就業支援、養育の場の確保及び経済的支援という四本柱の施策で母子家庭等の自立支援を進めております。
 なお、十ページでございますが、少子化対策全体については、政府として、子供と家庭を応援する日本重点戦略検討会議において検討を進めており、本年末には重点戦略の全体像を取りまとめる予定であります。この会議では、地域・家族の再生分科会などを設けるなど、地域における家族の子育て支援体制についても検討を行っているところです。
 このほか、地域福祉施策として、十一ページにございますとおり、自治体による地域福祉計画の策定や民生委員による相談、支援等が行われています。これらについては、十二ページにございますが、現在、地域住民のつながりを再構築し、支え合う体制を実現するための方策を検討することを目的として、これからの地域福祉のあり方に関する研究会を開催しており、こうした既存施策の在り方を含めた検討を行っているところです。
 厚生労働省としましては、こうした施策の推進を通じて、十三ページにございますとおり、働きたい方が働くことができる全員参加型社会を実現し、ワーク・ライフ・バランスが確保され、家族が地域に参加することができ、また地域が家族を支える、地域、職場、家族の新しい支え合いの循環づくりを支援していきたいと考えています。

外国人の就労について

 続きまして、外国人との共生についてでございます。
 まず、外国人の受入れについてでございますが、産業高度化、経済社会の活性化等の観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の就業促進を積極的に推進しており、資料十四ページにございますように、専門的、技術的分野の外国人労働者はこの十年間で十万人から十八万人に増加しております。また、その他の分野も含めた外国人労働者全体では、この十年間で約三十七万人から七十五万五千人に増加しているところです。
 なお、単純労働者の受入れや外国人労働者の受入れ範囲の拡大については、若者、女性等の雇用機会を妨げ、労働市場の二重化等の悪影響が生ずる等の懸念もあると言われておりますが、慎重に対応する必要があると考えております。
 また、南米日系人労働者についてでございますが、資料十五ページにございますように、関東、中部地方に集中しており、その就労状況を見ますと、十六ページにございますが、雇用が不安定なこと等の問題があるところです。厚生労働省としては、資料十七ページにございますように、職業ガイダンスの実施等による日系人の子弟の不就労の解消促進や、不安定就労にある日系人に対する個別支援を行っているところです。
 また、外国人は日本の生活習慣や雇用慣行に不慣れな面もあることから、事業主の外国人労働者に対する配慮が必要なところでございます。厚生労働省としては、資料十八ページにございます外国人の雇用管理改善に関する指針を策定し、事業主の方々へ助言、指導等を効果的に行っているところであります。
 次に、資料十九ページ目でございますが、外国人に対する社会保障の適用についてでございます。
 社会保障制度については、原則として、国籍にかかわらず外国籍の方についても日本人と同様にひとしく適用することとしており、保険事故が起きた場合には必要な保障を行っているところであり、社会保険庁や市町村、公共職業安定所等において適正な適用に努めているところです。
 以上で厚生労働省の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○会長(田名部匡省君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑はおおむね午後三時をめどに終了させていただきます。
 なお、質疑者及び答弁者に申し上げます。質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。
 また、一回の質問時間は答弁及び追加質問を含めまして最大十分として、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 木俣佳丈君。

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最終更新:2009年08月06日 16:09
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