「国籍法3条1項」改正案関連の資料
戸籍法関連の資料
改正国籍法に関する通達
「国籍法の一部を改正する法律の概要」秋山実法務省民事局民事第一課長
いわゆる「3300号通達」(改正法に関するもの)
いわゆる「3302号通達」(戸籍法に関するもの)
3300号通達によると、施行規則1条5項5号の「その他実親子関係を認めるに足りる資料」について各事案ごとに判断されるものであるが、以下のものが例として掲げられている
ア 外国の方式による認知証明書
イ 本人の父の日本における居住歴を証する書面
(母が本人を懐胎した時期からのもの)
ウ 本人及びその母の外国人登録原票に登録された事項に関する証明書
(登録時からの居住歴が記載されたもの)
エ 本人とその父母の3人が写った写真
「法務局等においては、…警察や入国管理局との緊密な連携による情報交換や、これらの添付書類を基に関係者からの聞取調査を実施するなどの慎重な審査を通じて、偽装の認知等による不正な国籍取得の届出の防止を図ることになる。」
「虚偽の認知を前提に虚偽の国籍取得の届出がされ、仮に法務局において誤って受理されても、国籍取得の実体的要件を充たしていないから法的には国籍取得の効果が生じるものではない」
最高裁判決(国籍法3条1項違憲訴訟)
国籍法3条1項違憲訴訟(Wikipedia)
「簡易帰化や仮装認知のおそれとの関係」に関する判断
確かに、日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し、父から出生後に認知された子についても、国籍法8条1号所定の簡易帰化により日本国籍を取得するみちが開かれている。しかしながら、帰化は法務大臣の裁量行為であり、同号所定の条件を満たす者であっても当然に日本国籍を取得するわけではないから、これを届出による日本国籍の取得に代わるものとみることにより、本件区別が前記立法目的との間の合理的関連性を欠くものでないということはできない。
なお、日本国民である父の認知によって準正を待たずに日本国籍の取得を認めた場合に,国籍取得のための仮装認知がされるおそれがあるから、このような仮装行為による国籍取得を防止する必要があるということも、本件区別が設けられた理由の一つであると解される。しかし、そのようなおそれがあるとしても、父母の婚姻により子が嫡出子たる身分を取得することを日本国籍取得の要件とすることが、仮装行為による国籍取得の防止の要請との間において必ずしも合理的関連性を有するものとはいい難く、上記オの結論を覆す理由とすることは困難である。
過去の違憲判決への対応
①尊属殺人重罰規定:1973年4月4日
→通達を出し、刑法200条の死文化(条文を削除しなくても死分化で対応可の状況)。
1995年5月12日の刑法全面改正で刑法200条を削除。
②薬事法距離制限規定:1975年4月30日
→同年6月の薬事法改正。
③衆議院議員定数配分規定:1976年4月14日
→1975年の定数20増で格差はすでに解消していたため、改正はなし。
④衆議院議員定数配分規定 その2:1985年7月17日
→1986年に8増7減の定数是正を行う。
⑤森林法共有林分割制限規定:1987年4月22日
→1987年、同規定などを削除する法改正を行う。
⑥郵便法免責規定:2002年9月11日
→2002年に郵便法の改正を行う。
⑦在外邦人の選挙権制限:2005年9月14日
→2006年公職選挙法の改正。2007年6月1日施行。
⑧非嫡出子の国籍取得制限:2008年6月4日
→2008年12月5日に国籍法改正案成立。
在留特別許可
出入国管理及び難民認定法
(法務大臣の裁決の特例)
第50条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。
一 永住許可を受けているとき。
二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。
三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。
四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26SE319.html
在留特別許可に係るガイドライン
在留特別許可に係る基本的な考え方
在留特別許可の許否に当たっては,個々の事案ごとに,在留を希望する理由,家族状況,生活状況,素行,内外の諸情勢,人道的な配慮の必要性,更には我が国における不法滞在者に与える影響等,諸般の事情を総合的に勘案して判断することとしている。
在留特別許可の許否判断に係る考慮事項
積極要素
(2)当該外国人が,日本人又は特別永住者との間に出生した実子(嫡出子又は父から認知を受けた非嫡出子)を扶養している場合であって,次のいずれにも該当すること。
養育費の支払い義務
国籍法改正の付帯決議(衆議院)
自民・民主・公明・社民共同提案附帯決議
政府は,本法の施行にあたり,次の事項について格段の配慮をすべきである。
1 日本国民から認知された外国人の子が届出により我が国の国籍を取得することができることになることにかんがみ、国外に居住している者に対しても、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。
2 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われるおそれがあることを踏まえ、国籍取得の届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、
その認知が真正なものであることを十分に確認するため、調査の方法を通達で定めること等により出入国記録の調査を行う等万全な措置を講ずるよう努めるとともに、本法の施行後の状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討すること。
3 ブローカー等が介在し組織的に虚偽の認知の届出を行うことによって日本国籍を取得する事案が発生するおそれがあることを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努めるとともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。
4 本改正により重国籍者が増加することにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、我が国における在り方について検討を行うこと。
国籍法改正の附帯決議(参議院)
国籍法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
1 本法の施行により、生後認知された子も胎児認知された子と同様、届出のみで我が国の国籍を取得することができることとなることにかんがみ、本法の趣旨について十分な周知徹底に努めること。
2 我が国の国籍を取得することを目的とする虚偽の認知が行われることがあってはならないことを踏まえ、国籍取得の届出に疑義がある場合に調査を行うに当たっては、その認知が真正なものであることを十分に確認するため、認知した父親に対する聞取調査をできる限り実施すること、当該父親と認知された子が一緒に写った写真の提出をできる限り求めること、出入国記録の調査を的確に行うこと等につき、調査の方法を通達で定めること等により、調査のための万全な措置を講ずるよう努めること。
3 本法の施行後、改正後の国籍法の施行状況について、当分の間半年ごとに当委員会に対し報告するとともに、その施行状況を踏まえ、父子関係の科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討する等、虚偽の届出を防止するために必要な措置を講ずること。
4 ブローカー等が介在して組織的に行われる虚偽の認知による不法な国籍取得の動きが生じてはならないことを踏まえ、入国管理局、警察等関係当局が緊密に連携し、情報収集体制の構築に努めるとともに、適切な捜査を行い、虚偽の届出を行った者に対する制裁が実効的なものとなるよう努めること。
5 本改正により、重国籍となる子供が増加する事態が起こり得ることにかんがみ、重国籍に関する諸外国の動向を注視するとともに、我が国における在り方について検討を行うこと。
右決議する。
最終更新:2009年03月31日 00:22