霊切丸

生徒会室にて、目の前に並べられた幾つかの武器を前に、二人の男がうーむと首を捻っている。いま彼らが問題にしているのは、目の前に置かれた一振りの刀であった。

「なあ、オイ、お前、これ使えよ」
「い、いやだよ、こんなん見るからにヤバそうじゃねえか、お前が使えよ」
「バ、バカ! オレだってイヤだよ! でも、なぁ……、これ、絶対強力な武器だよな……」
「ああ……、それは間違いない。生徒会全体のことを考えるなら、これは絶対使った方がいいよな……、オレは絶対イヤだけど」
「……なあ、土田のヤツに持たせないか? あいつなら殺しても死なないだろ」
「いや、アイツは一番ヤバそうな包丁持ってイの一番に出ていったよ……」
「そ、そうか……。じゃあ、立川はどうだ?」
「アイツはアイツで見るからに爆発しそうなやべえバイクに乗っていってたぜ」
「かがみは?」
「アイツはゆとりガス作ってもらって敵陣に特攻してったよ」
「フジカタ会長……、あ、聞くだけ無駄だな」
「ああ、あの人は、ちょっと、アレだからな……」
「だな……」
「ちょっと、あんたたち、まだこんなトコいたの? 何やってンのよー」
「うわっ! はっ、範馬! お、お前こそ、なんでこんなトコにいるんだよ!」
「向こうで戦ってたんだけど、武器の残弾切れちゃってさー。ねー、なんか、強い武器ない? とびっきり強力なやつ」
「とびっきり……?」
「強力……?」
「そう、とびっきりのね!」
「な、なあ、オイ。こ、これ、どうだ……?」
「刀……? ふーん……。いいじゃない、よく切れそうだし。決めた、あたし、これにするわ!」
「えっ……! お、お前、ホントに、それでいいのか……!?」
「なによー、いまさら返せったって返さないからね」
「い、いや……。なあ……、お前、あんま、ムチャすんじゃねえぞ?」
「そ、そうだぞ……。ヤバくなったら、そんなん捨ててスグに帰って来いよ……」
「分ぁーかってるわよ、ウチにはまだ小っちゃい弟がいるんだから! で、あんたたち、まだ自分の武器が決めれないの!? あたしがパッパと決めちゃうよ。ハイ、あんた、コレ。忍者なんだから手裏剣くらい投げれるでしょ! あんたは核。あんたそういうキャラでしょ? よし、じゃあ、あたし、突っ込むから! 後方支援よろしくね!」
「あ、ああ……、任せてくれ」
「い、行ってらっしゃい……」
「……………………」
「……………………」
「な、なぁ……」
「お、おう……」
「アイツ、ホントに気付かなかったのかな?」
「た、たぶん、な……?」
「なぁ……、オレたち、アイツに酷いことしちゃったんじゃねえか?」
「か、かもな。……でも、行っちまったモンは仕方ねえ。後は、オレたちにできることを、オレたちが命がけでやるだけだ……!」
「だよな、ホン……!」
「ああ、服部。オレたちもやろうぜ! 範馬のやつを完璧にサポートしてやんなきゃあよ!」
「チクショウ! 生きて帰って来いよ、範馬ッ!」

 ――ホントはみんな分かってたよ。オオツキの作る武器だもん。タダで済むわけないじゃない。でも、仕方ないよね。慎ちゃんが来るまでに、この学園を魔人の手から取り返さないと。……ホン、服部、後のことは、あんたらに任せたからね!

「目標、白金光留、補足! 範馬マキ、行きます!」


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