SF百科図鑑

北野勇作『昔、火星のあった場所』徳間デュアル文庫

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
時間: 2006年4月17日(月) 04:15 題名: 北野勇作『昔、火星のあった場所』徳間デュアル文庫 引用返信 記事を編集/削除 この記事を削除する 投稿者のIPアドレスを表示

この作者のデビュー作らしい。
内容はなんとも珍妙なSFとファンタジーのあいのこのようなユーモラスなほら話、海外で言えばテリー・ビッスンに近いとぼけた文体が個性的である。
一見話の脈絡がなく明確な筋がつかみづらいのだが、それは『猿蟹合戦がエスカレートして不確定性原理的な空間の揺らぎが生じた』ためらしい。要するに強固なハードSFアイデアと破綻したプロットが分かちがたく結びついているという次第であるが、むしろ、作者が脈絡なく思いついたイメージや文を書き連ねるのを正当化するために不確定性原理をメインモチーフに選んだのではないかという疑いが濃厚である。
そんなわけでストーリーはデタラメだから、一般的な物語性評価基準に当てはまる話でjはない。
それに代わる美点は、真面目なのか人を食っているのか分からないようなとぼけた作品世界だろう。『面白い』というのではないのだが、<心地よい夢の中>にいるような快適なイマジネーションを味わうことができる。
ラストは一種の夢オチに近い、猿蟹合戦によって生じたゆらぎが語り手の主観の中に収束してしまう。
読む人を選ぶ作風ではあるけど、こんな作家が一人ぐらいいてもいいと思う。
テーマ性 ★★
奇想性 ★★★★★
物語性 ★★
一般性 ★
平均   2.5
文体  ★★★★
意外な結末 ★★
感情移入 ★★
主観評価 ★★★(30/50)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー