SF百科図鑑 コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』ハヤカワ文庫SF


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January 27, 2005

コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』ハヤカワ文庫SF

ノーストリリアプリングル100冊。人類補完機構シリーズの長編。短編をちょこっとしか読んでなくて何がいいのかよくわからん作家、マニアには絶大な人気を誇るのだが、果たして本作が理解の助けになるか。
silvering at 12:21 │Comments(2)TrackBack(0)読書

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この記事へのコメント

1. Posted by slg   February 02, 2005 01:04
半分ほど読んだ。
今ちょっと仕事が押しているが、今週中には読み終わる予定。
独特の雰囲気のある未来社会、特別奇抜なアイデアはなく、既存のガジェット・ギミックの組み合わせでありながらも、不思議な詩情がある。それが人気の秘密か。
基本的には、ある少年が自分の命を狙う男から逃れるために、コンピュータを使って地球を破産させて買い取り、そこに逃げ込むという話(前半部分)。下級民と呼ばれる動物人間が面白い。主人公は猫娘のル・クメルとパートナーを組まされる。
作者はバリバリのお偉いさんだったらしいが、作品発表時は素性を隠していた。その経歴からは想像もつかないようなリリカルな作風、でもその詩情の中にしっかりした文明観、人間観がある気がする。
あまり私の好みのタイプというわけではないんだが(ストーリー展開も合理性よりも詩的イマジネーションを重視してるような感じだし)、人気があるのは分らんでもない。後半の展開にそれなりに期待。
2. Posted by slg   February 03, 2005 02:11
読了。
作風をもの凄く馬鹿な言い方で単純化すると、「ニヒルなシマック」って感じか。牧歌的でリリカルな文体やイマジネーションはシマックとかぶるが、滅亡に向かって行く人類文明の暗いヴィジョンを当たり前のことのように描き出している点や、随所に挿入される詩や哲学的議論の内容などをみると、作者が思想的には相当なペシミストであることが看取される。こういった美しさと暗さの融合が独特のオリジナルな世界を形作っている。
この作者、長編は本作だけらしい。かなり変わった構成の作品である。冒頭で物語の概略を語ってしまっているばかりか、自ら「少年は逃げのびた。ぶじに逃げのびた。さあ、それがお話だ。さあ、これで読まなくてもいい。」などと書いてしまっている。ふと、ディックの『虚空の眼』に関する友人の評文を思い出して、微笑を禁じえなかった。物語の結末という読者に先を読ませる動機付けの要の部分のネタを割ってしまっているわけである。推理小説で言えば冒頭で犯人を明かしているに等しい。そんな物が物語として成り立つのか、成り立つのだ、と挑戦状を「自覚的に」叩き付けているわけである。唯一の長編でそんな大それたこと、よほどの自信がなければ出来まい。
このとおりネタが冒頭で明かされていることによって、以後の読者の興味は「先がどうなるか知りたい」というよりも、どういうディテールでそういうことになったのか、を知ることに興味が向かう。というのもネタが割られているとはいえ、その内容が、「少年が地球を買い取った」だの「百万人の女を買い取った」だの、一読しただけでは信じ難い内容だからだ。
で、読者の視点が上記の方向に向かうため、その興味を持続するためには相当に魅力的なディテール構築をする必要がある。逆に言うと、作者はディテールの詩的イマジネーションや暗い洞察のインパクトや魅力をよりよく読者に伝えるために、あえて冒頭で梗概を晒してしまい、梗概に対する興味によって自慢のイマジネーションを堪能することへの障害を取り去ることを意図したのではないかとも思える。
で、なるほど作者が自信満々に奇をてらった構成をとってアピールする通り、その作品世界のディテールは相当程度に個性的であり、一読忘れ難いインパクトがあるのは間違いない(好き嫌いはともかく)。読者としてはストーリーの先が読め物語的興味が薄れる反面、安心してそのイマジネーションの魅力に浸れるわけだ(むろんこのイマジネーションが好みと外れる読者にとっては苦痛以外の何物でもなかろう。ディックの『虚空の眼』と同様かも知れない)。
また結末が分かっているとはいっても、冒頭で明かされなかった様々な対立図式が、結構複雑に投入されている。そういう意味で物語的興味がないわけでもないばかりか、むしろ、かなり面白く読める。主人公対連邦政府(人口制限法)、主人公の命を狙うオンセックの存在、短命人対正常人、ノーストリリア対地球、真人対下級民、主人公と猫娘の禁じられた恋、補完機構の存在といった様々な要素が輻輳して物語に奥行きと振幅を与えている。
そして本作は、冒頭の作者が明かした梗概の通り395ページでいちおうの予定通りの結末を迎える。
ここで作者は最後に、各登場人物の