SF百科図鑑 フィリップ・K・ディック『ドクター・ブラッドマネー~博士の血の贖い』創元SF文庫


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January 27, 2005

フィリップ・K・ディック『ドクター・ブラッドマネー~博士の血の贖い』創元SF文庫

ブラッドマネー博士プリングル100冊面倒なのでまとめてアップ。出たばかりの再販本。ディックのポストホロコースト小説。サンリオで出たときはブラッドマネー博士の題だった。
silvering at 12:07 │Comments(4)TrackBack(0)読書

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この記事へのコメント

1. Posted by slg   February 03, 2005 20:46
156ページ。

冒頭50ページぐらいまでは、純文学の出来損ないみたいな登場人物の平板な紹介が続き、「駄目かなこりゃ&&」と眉をひそめながら読み続けていたら、いきなり核戦争が起こり亜米利加崩壊、生き残った人々が分断された孤独な状況下で悲惨な生活を送るというディック節になってきた。
はっきりいってこの作家、キャラクターの描きわけが可哀想なぐらいに下手糞で、大半の初期作品においては、どいつもこいつも金太郎飴のパルプSF的没個性キャラになってしまうのだが、本作も例外ではない。にもかかわらずSF内外で熱狂的なファンを持つのは、「悪夢にさいなまれる孤独な状況の中での救い」を求めようと絶望的な努力をする悲惨な人間たちを描こうとする尋常でない熱情ゆえである。パッションが強烈過ぎて技法の下手糞さとアンバランスであるがゆえに、その悲壮さがかえって強烈に伝わるという次第だ。状況設定はキングの「ザ・スタンド」やマキャモンの「スワンソング」とほとんど同じなのだが、その後の展開が「連帯して悪と戦う」のではなく、「孤立して悪夢にさいなまれる」となりそうなところが、いかにもディックらしい。衛星から放送を続ける男が、後期のヴァリス的信仰対象になったりして。
さて、この後どうなるか。
2. Posted by slg   February 04, 2005 10:04
200ページ。
イマイチ面白くない。地球上の生き残りの人々のちまちました生活描写が続く。事件がおこらない。絶望した人間の心理描写のところだけ迫力があるが、それ以外は&&。さああここからどれだけ巻き返せるか。
3. Posted by slg   February 04, 2005 12:20
234ページ。
面白い。事件が起こってきた。車椅子の予知能力の青年が超能力を発揮する。核戦争時に不倫で生まれた少女の腹腔内に宿る〈弟〉は、死んだはずの青年の雇い主の精神をテレパシーで伝えてくる。衛星から放送をし人々の希望の象徴となった男は病気で死にかけている&&。破滅ものという枠組ながら、ヴァリス/アルベマスものとも通ずる展開になってきた。
4. Posted by slg   February 05, 2005 02:18
読了。
尻上がりに盛り上がった。
表面的にはホロコーストものSFなのだが、オカルト要素がかなり入っているのが個性的。特に、少女の腹に宿る「弟」が死者と交信し、他の動物に乗り移るなど、SFというよりホラーそのものの設定なのがユニークだ。この弟と、超能力で他人を支配しようとする不具者の対決という終盤に向けて、一気に物語が加速してゆく。
ディックには珍しく、破綻せずにラストまでかっちりまとまった作品である。ただし、キャラクターが無駄に多くて必ずしもすべてのキャラクターが活用されていないなど、完成度が高いとはとても呼べない。題名の由来であるマッドサイエンティストなど、意味ありげに途中まで生きながらえていながら、わけもなく作品の途中で殺されてしまうし。

テーマ性 ★★★
奇想性  ★★★(オカルト要素の部分につき)
物語性  ★★
一般性  ★
平均   2.25点
文体   ★
意外な結末★★
感情移入力★★
主観評価 ★★(21/50点)