SF百科図鑑 サミュエル・ディレイニー『ノヴァ』ハヤカワ文庫SF


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January 27, 2005

サミュエル・ディレイニー『ノヴァ』ハヤカワ文庫SF

ノヴァプリングル100冊怒涛の連発、ディレイニーの代表作。これを未読というのはちょっと恥ずかしいが。
silvering at 12:04 │Comments(2)TrackBack(0)読書

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この記事へのコメント

1. Posted by slg   January 27, 2005 12:30
少し読んだ、ディレイニーお得意のコミカルなキャラクターが登場するカラフルなスペオペ。神林長平の「敵は海賊」シリーズは明らかにディレイニーの影響を受けていると再確認。
2. Posted by slg   January 27, 2005 22:18
読了。

一見平易なスペオペでありながら様々な寓意が仕掛けられているためか、意味ありげなセリフやエピソード、キャラクターなどが雑然と詰め込まれており、ストーリーはもたつきまくるのだが、このもたつきこそがディレイニーの味。解説によると(また、作中人物で作者の分身らしきカティンが自らネタを割っている通り)聖杯伝説なるものを下敷きにした話らしいのだが、それほどしかつめらしく考える必要はなく、その聖杯伝説とやらをネタにこれだけきらびやかな物語世界を造型できていれば上出来。随所にちりばめられた意味深い台詞も健在。ノヴァが自転によってトーラス状になるというネタは科学的に首を傾げたくなるがそんなこと、物語上さして重要ではない。ラストでノヴァに向かって突っ込んで行くまでの話の緩急のつけ方もいい。個人的に本作で最もユニークだと思ったのは結果的にメタフィクションになっていること。作者の分身とおぼしきカティンが途中から聖杯伝説をモチーフに小説を書きたいと言い出し、マウス相手に文学/芸術論を展開し、これが本書のストーリーと併行してもう一つの興味の焦点になるわけだが、最後に至ってどうも本書それ自体がカティンの作品らしいことが明らかになる。そして、「聖杯伝説を書き終えた作家はいない(それをしようとすれば死んでしまう)」というジンクスを破る方法は途中で打っちゃってしまうことだ、とカティンが発言した正にその場面で、本作自体が文の途中でうっちゃられてしまうという凝りようだ。トムとジェリーを意識したと思われるカティン&マウスの凸凹コンビの掛け合いも楽しい。二読、三読すれば更に細かいディテールに仕掛けられた寓意が明らかになりそうで、いかにもディレーニイらしい長編だ。
ただし、伊藤典夫の訳文はあまり好きじゃない。プレアデス方言の訳し方はもうちょっと何かあったんじゃないのという気がする。あまりにも読みにくい。

テーマ性  ★★★★★
奇想性   ★★★
物語性   ★★★
一般性   ★★
平均    3.25点
文体    ★★
意外な結末 ★★
感情移入  ★
主観評価  ★★1/2 (26/50点)