SF百科図鑑
エドガー・パングボーン『デイヴィー 荒野の旅』扶桑社
最終更新:
匿名ユーザー
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January 18, 2005
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この記事へのコメント
1. Posted by SLG January 25, 2005
07:12
少し読んだ。なかなかいい。
2. Posted by slg January 26, 2005
12:57
180ページ。イマイチ退屈。
***
創元のメルマガより
創元SF文庫
◇『反対進化』 エドモンド・ハミルトン著/中村融・市田泉訳
『フェッセンデンの宇宙』で知られる奇想作家の精髄十編を収録。
が近刊予定らしい。
***
創元のメルマガより
創元SF文庫
◇『反対進化』 エドモンド・ハミルトン著/中村融・市田泉訳
『フェッセンデンの宇宙』で知られる奇想作家の精髄十編を収録。
が近刊予定らしい。
3. Posted by slg January 27, 2005
01:02
320ページ。
あまり面白くはない。SFの舞台設定を借りた普通小説という感じで人物描写が細かく、事件がちまちまして淡々と綴られるので、熱中できない。世界設定にも特に新味なし。文明が崩壊し、小国家が分立し教会が巨大勢力となった未来。時々文明批評的考察はあるものの、SF設定の必然性が感じられるわけではない。
一般性は高いと思うが、波瀾万丈のわくわくする冒険譚とは対極の内容。
あまり面白くはない。SFの舞台設定を借りた普通小説という感じで人物描写が細かく、事件がちまちまして淡々と綴られるので、熱中できない。世界設定にも特に新味なし。文明が崩壊し、小国家が分立し教会が巨大勢力となった未来。時々文明批評的考察はあるものの、SF設定の必然性が感じられるわけではない。
一般性は高いと思うが、波瀾万丈のわくわくする冒険譚とは対極の内容。
4. Posted by slg January 27, 2005
11:28
読了。
優れた文学作品だと思う。しかしながら、私が今求めるタイプの作品ではない。
一見脈絡なく語り手の若き日の遍歴を綴っているだけに見える本作だが、最後に至って、語り手の自分探しの旅と、破滅後の世界における人々の幸せ探しの旅を重ねあわせる構成の妙に気づかされる。そして、物語性の観点から不要なディテールを省き必要な部分だけを残すという作業をしていないのは意図的なものであること、真実の表現のためには無編集のまま総体を提示する必要があるのだということを語り手自らが告白してもいるから、物語的編集作業の欠如が怠惰や無能ではなく意図的なものであることも明らかだ。
本作は、語り手の過去と現在が明確な区別もなく併行して語られる。注意して読まなければ今の話なのか過去の話なのか分からなくなるぐらいに紛らわしい。この時点の混乱故に物語世界への没入は妨げられる。その反面、語り手の精神世界の現実が生のままで伝わってくる。それこそが作者の意図らしい。
また語り手は万愚の王として一時王位にあったとして、ディオンらとともにニューインの政治にかかわったことがあると冒頭で主張する。一般的な物語パターンであれば当然、読者はその政治絵巻が波瀾万丈に語られるだろうと期待する。ところが、最後に至るまでほとんど語られることがない。語り手はラストに至って、それを書くにはもう1冊の本が必要だといってペンを置く。同様に、妻ニッキーとの恋愛物語も物語的素材として恰好のものであるにかかわらず、ラスト付近で男装をした妻と運命的な出会いをするという見事な演出はあるものの、肝心のその後は全く書かれず、「それを書くにはもう1冊の本が必要だ」と省かれ、しかもこの妻はミュータントを出産し死亡したことが明かされる。
こういった一般的な物語性への反発もやはり意図的なものらしい。その主張は、物語とはフィクションであり嘘である、人間の真実を歪曲する虞がある、私は人間の真実を、ありのままに書きたい。それゆえに意図的にこういった特殊なスタイルをとったのではなかろうか。
語り手が少年時代に放浪生活を始めてから、楽器を盗み、演奏の腕を上げ、犯罪や性遍歴を繰り返しながら、父らしき人と出会い、楽団に入り、やがて疫病で父を失い、妻と出会うまでが本作の過去の対象時間帯である。その語り口といい濃密な人物や世界の描写といい、物語的にプロットを明確化しようという作為がいっさい排除されているために読みにくい反面、リアリティという観点からすると圧倒的だ。冒頭に書いた通り、人間を描くという正統派の文学作品としてみれば優れていると思う。
ただ、私の個人的な好みからすると、SF設定は、単に語り手の遍歴を自由に造型する手段として一切の世界構造のしがらみを脱構築したかっただけではないのか、それ自体に必然性はないのでないかという点から、SF特有のわくわく考えられないために好みを外れる。
本作は、正統派純文学を愛する人向きの作品である。というよりも、純文学作品そのものだ。
テーマ性 ★★★★★
奇想性 ★
物語性 ★★
一般性 ★★★★
平均 3点
文体 ★★★★
意外な結末 ─
感情移入力 ★★
主観評価 ★★(21/50点)
優れた文学作品だと思う。しかしながら、私が今求めるタイプの作品ではない。
一見脈絡なく語り手の若き日の遍歴を綴っているだけに見える本作だが、最後に至って、語り手の自分探しの旅と、破滅後の世界における人々の幸せ探しの旅を重ねあわせる構成の妙に気づかされる。そして、物語性の観点から不要なディテールを省き必要な部分だけを残すという作業をしていないのは意図的なものであること、真実の表現のためには無編集のまま総体を提示する必要があるのだということを語り手自らが告白してもいるから、物語的編集作業の欠如が怠惰や無能ではなく意図的なものであることも明らかだ。
本作は、語り手の過去と現在が明確な区別もなく併行して語られる。注意して読まなければ今の話なのか過去の話なのか分からなくなるぐらいに紛らわしい。この時点の混乱故に物語世界への没入は妨げられる。その反面、語り手の精神世界の現実が生のままで伝わってくる。それこそが作者の意図らしい。
また語り手は万愚の王として一時王位にあったとして、ディオンらとともにニューインの政治にかかわったことがあると冒頭で主張する。一般的な物語パターンであれば当然、読者はその政治絵巻が波瀾万丈に語られるだろうと期待する。ところが、最後に至るまでほとんど語られることがない。語り手はラストに至って、それを書くにはもう1冊の本が必要だといってペンを置く。同様に、妻ニッキーとの恋愛物語も物語的素材として恰好のものであるにかかわらず、ラスト付近で男装をした妻と運命的な出会いをするという見事な演出はあるものの、肝心のその後は全く書かれず、「それを書くにはもう1冊の本が必要だ」と省かれ、しかもこの妻はミュータントを出産し死亡したことが明かされる。
こういった一般的な物語性への反発もやはり意図的なものらしい。その主張は、物語とはフィクションであり嘘である、人間の真実を歪曲する虞がある、私は人間の真実を、ありのままに書きたい。それゆえに意図的にこういった特殊なスタイルをとったのではなかろうか。
語り手が少年時代に放浪生活を始めてから、楽器を盗み、演奏の腕を上げ、犯罪や性遍歴を繰り返しながら、父らしき人と出会い、楽団に入り、やがて疫病で父を失い、妻と出会うまでが本作の過去の対象時間帯である。その語り口といい濃密な人物や世界の描写といい、物語的にプロットを明確化しようという作為がいっさい排除されているために読みにくい反面、リアリティという観点からすると圧倒的だ。冒頭に書いた通り、人間を描くという正統派の文学作品としてみれば優れていると思う。
ただ、私の個人的な好みからすると、SF設定は、単に語り手の遍歴を自由に造型する手段として一切の世界構造のしがらみを脱構築したかっただけではないのか、それ自体に必然性はないのでないかという点から、SF特有のわくわく考えられないために好みを外れる。
本作は、正統派純文学を愛する人向きの作品である。というよりも、純文学作品そのものだ。
テーマ性 ★★★★★
奇想性 ★
物語性 ★★
一般性 ★★★★
平均 3点
文体 ★★★★
意外な結末 ─
感情移入力 ★★
主観評価 ★★(21/50点)
5. Posted by slg January 27, 2005
11:32
わくわく考えられないために
- ネビュラ賞受賞作リスト2003
- 子供たちのポートレイト Portraits of his Children ジョージ・R・R・マーティン
- 「ちんぷんかんぷん」 Allamagoosaエリック・フランク・ラッセル(Eric Frank Russell) 済
- 占領軍 Occupation Force フランク・ハーバート
- ブログ/2005年12月18日/フェアリーステークス、CBC賞、阪神牝馬ステークス
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