SF百科図鑑
Gregory Benford "Iceborn"
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匿名ユーザー
2005年12月17日
Gregory Benford "Iceborn"
面白かった。ストレートな宇宙SF、地球外生命もの、最初の接触もの。それも、なんと冥王星の生物! ザンドと自称するこの生物、金属の蟹のような姿をしていてロボット的だが、自然発生の生物でおまけに知性がある! その奇抜なようでいてきちんとディテール構築された造型が見事。更に、夜を恐れ、夜には活動をやめて冬眠状態になるザンドに対し、夜の側には別の生物<ナイトサイダー>がいる。米ソ共同の惑星探査プロジェクトの女性隊員が、彼らとの対話に成功する。ところが、地球上のプロジェクト主催者たちは、この知らせを<有権者の人気取りのための捏造>と断じ、政情不安を理由にプロジェクトの一方的打ち切りを通告してきた。しかし、ザンドやナイトサイダーとの接触を果たし、彼らを救う任務に目覚めた女飛行士は、この指示に従わず独力で冥王星生物と共に生きることを決意する。
科学をめぐる政治的軋轢を大幅に取り込んでいるのが、『タイムスケープ』などとも共通するベンフォードらしい点だ。そのおかげでただの宇宙ハードSFに終わらず物語的なひねりが加えられている。
テーマ性 ★★★
奇想性 ★★★
物語性 ★★★
一般性 ★
平均 2.5
文体 ★★★
意外な結末★★
感情移入 ★★★
主観評価 ★★1/2(28/50)