SF百科図鑑 アーサー・C・クラーク『都市と星』ハヤカワ文庫SF


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アーサー・C・クラーク『都市と星』ハヤカワ文庫SF

(読んだ時期)1980年頃

私の中ではクラークの最高傑作であり、それどころか、長い間私のSFオールタイムベスト第1位であり、現在も1位であるかも知れない作品である。

超遠未来の地球に光り輝く都市ダイアスパー、そこに住む少年アルヴィンが、冒険を重ねながらこの都市の謎を解き、長大な人類の歴史のヴィジョンをかいま見るという成長物語であり、人類の長大な進化の物語でもあり、クライマックスにおいて突如長大な視野が開けるという、いわゆる<認識の変革>テーマの代表作の一つでもある。

とにかく、星の海の中に浮かぶダイヤモンドのような都市ダイアスパーが詩的なまでに美しい。そして、ジュブナイルのようにわかりやすい素朴な物語展開が幸いして、主人公アルヴィンが体験していく驚きの数々が、彼に感情移入して読み進んでいく読者にダイレクトに伝わってくる。結末において人類がふたたび宇宙に巣立ってゆく未来を夢みるアルヴィン少年の初々しい感動が、ストレートな感動を呼び起こすこと必定である。作者が意図したかどうかはわからないが、主人公を少年としたことによって、この主人公の少年の姿が、そのまま<未だ少年期にある人類>の姿と重なるという相乗効果をもたらしている。

とにかく、<これを読んでいなければSFを語ってはいけない>と言うに足る古典の1冊には、間違いなくはいる作品である。(2005.12.11)